今、「古畑任三郎」をやろうと思った理由は? 実のところ、今やろうと思ったわけではなくて2年前から企画があがっていたんです。以前からたくさんのファンから要望もいただいていたし、三谷さんと再び作りたいという話をしていたんですよ。その時点から、三谷さんの中には松本幸四郎さんのキャスティングイメージがあって、それに見合う話を書いていた。だから、幸四郎さんじゃなければ成り立たない脚本が先に出来上がっていたんですね。でも、お二人とも忙しい方なので時間がとれなくてスケジュール調整をしていたらこの時期になったんです。でも、ファンの方の懐かしいと思う気持ちと新作が見たいという時期に重なった感じで良かったと思います。 5年ぶりの現場を見ての感想は? 今回に限ったことではないけど、「古畑任三郎」の現場は不思議な緊張感があるんです。それが5年たっても変わってなかった。それは役者・田村正和がかもし出すオーラなのでしょうか。あのバラエティで軽いノリをみせている八嶋智人でさえ、緊張して「本当に突っ込んでいいのかわかんない」って怯えている感があるから(笑)。田村さんも久しぶりなこともあって気合いが入っているようで、やる前は「やりたくない」なんて言っていたけど(笑)、いざやるとなったら初日にはセリフが完璧に頭の中に入っていたからね。幸四郎さんや津川さんはもちろん、誰一人としてリハーサルから台本を持ってくる人はいませんでした。 作品の手応えは? はっきり言って芝居の次元が高いです。幸四郎さんの対決のシーンとか、古畑が一気呵成にかかってくるセリフのやりとりを見ていると、レベルの違うところでぶつかっている感じがします。内容も、犯人を見つけて古畑が追い詰めるっていうだけじゃなく、もっと奥深い“人の対立”みたいな話になっていて、かなりハイレベルですね。三谷さんが狙った通りの完成度の高いものができていますよ。 「やりたくない」と言っていた田村さんを口説き落とせたポイントは? なんだろうな(笑)?確かに古畑のセリフの量はかなり多いし覚えるだけじゃなくてそれを畳み込むように言わなくちゃいけないから、役者の作業はかなり大変。あのスタイルに到達するには家でどれだけセリフを練習しているんだろうって思いますよ。ものすごい時間とエネルギーがかかるんだろうなって。だから、田村さんの「やりたくない」は、やる時にはパワーが必要だから撮影前後に自分で勉強する時間がほしい「やる時期を考えて」なんだと僕は思っています。田村さんからは無理をさせないでほしい、スケジュールに余裕がほしいという希望はありましたけどね。でも、古畑は他の誰かでは演じられないっていうのはわかっていると思うし、覚悟は決めていたんじゃないかな。「やりたくない」とは言ったけど、「やらない」とは一言も言わなかったから。「僕だけじゃなく大勢のファンが見たがっている」って言うと、「いや、俺は見たくない」とか言いながらも、最後には「わかってるよ」みたいな会話もありましたね(笑)。なので、一番大きかったのはファンの声。それが一番の説得材料でしょうね。 「古畑任三郎」が10年も続いた理由とは? やっぱり三谷さんの才能あふれる脚本、田村さんのスタイリッシュなキャラクタでしょうね。10年前、第1シリーズのときは決して視聴率は良いとは言えるものではなかったけど、何か“風”を感じたんですよ。それでパート2を作ることになって、今がある。そして10年前の作品なのに、今見ても何回見てもおもしろい。決して古さを感じさせないし、本当にすごいなって思いますよ。 最後に本作品の見どころを。 歌舞伎界の大御所である松本幸四郎と古畑の対決を楽しんでもらう。これしかないでしょう! こんなのありえない組み合わせだし、今後もきっとないですよ。違う分野でトップを走る2人が「古畑任三郎」の2時間半で、人生で1回だけ交わった対立は絶対に見ものですよ! 気になる“この先”の「古畑任三郎」は…? 基本的にはないでしょうね(笑)。でも、みなさんのご声援とかがあれば万が一ある…かも!? まぁ万が一があるとしても、ずっと先の話になるでしょう。逆に言えば、今、新作があることがラッキーだと思って今回の作品を楽しんでください。 |