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2007.8.27
第19回 フジテレビヤングシナリオ大賞
 

これまで多数の人気脚本家を輩出してきました『フジテレビヤングシナリオ大賞』の第19回の大賞受賞作品と佳作受賞作品が決定いたしました。

■和田 行(ドラマ制作センター企画担当部長)
今回の応募総数は1,359編です。数は年々減ってきていますが、作品1つ1つの質は上がっています。最近はクオリティが高い作品が数多く含まれています。
2000年より、テレビ朝日さんが同時期に新人シナリオ大賞を開催し、そちらは大賞賞金が800万円とフジテレビより300万円高くなっているので、そちらの方へ応募される方が多いのかも知れません。
若手による、斬新でビックリするような作品は減り、レベルの高いヒューマンドラマの様な作品が増えています。
今回受賞された皆さんには、即戦力としてどんどん活躍して欲しいと思っています。

■増本 淳(ドラマ制作センタープロデューサー)
恋愛ものが少なく、人間ドラマが多いという印象を受けました。
今回の受賞作に共通しているのは、しっかりとした内容で、台本としての完成度が高い事です。どれも僅差で甲乙つけがたい作品です。
大賞の熊谷さんは若干23歳で、今作品が処女作で、今後我々と共に仕事が出来ると期待しております。
佳作の三作品はどれも芝居の表情が浮かびやすく、登場人物の感情がわかりやすく、書かれている台詞や行間がとてもよく表現されています。


大賞 賞金500万円 「今日は渋谷で6時」 熊谷 純(23)

(選考理由)
暗澹とした世相を取り込みながらも、コメディタッチで明るい物語に仕上げている。
若い感性と勢いが溢れる作品。

(作品)
ニート歴6年の良平、お金に困っているタレントの加奈、窓際中年サラリーマンの大木は、それぞれインターネットで出会った相手と実際に会う約束を取り付ける。偶然にも「渋谷ハチ公前に6時」に同時に待ち合わせした3人は、それぞれ相手を勘違い。微妙にズレるやりとりから人違いに気付き、巡り巡って出会った良平達は、つたないながらも絆を深めていく。偶然の出会いから、自分を変えるきっかけをつかんだ良平達だった。

▽熊谷 純
私はあまりドラマのシナリオを書いた経験はないのですが、一番好きなフジテレビのヤングシナリオ大賞を受賞できて、大変嬉しく思います。
まだスタートラインに立った所ですので、これから直しを入れて行きます。
フジテレビの力になれるよう、がんばります。

Q.シナリオを書こうと思った動機は?
元々、ドラマに限らず映画やゲームなど、物語が好きでした。
高校を卒業して、ゲームの世界へ進みましたが、ドラマも面白そうだと興味が沸いてきました。

Q.応募作品は温めていた作品ですか?
応募の1ヶ月前から書き始めた作品です。

Q.今後どのような作品を書きたいですか?
三谷幸喜さんのような、作品を見たら脚本家が分かるような、この人でなければ書けないと思わせるような作品を書きたいです。


佳作 賞金100万円 「埋み火-うずみび-」 太田真理子(36)

(選考理由)
テーマが伝わってくる作品。人の心の汚い部分を描きつつも、「それが人間」と寛容に見守るような、作者が持つ温かい人間観が感じられる作品。

(作品)
父を亡くし、母と二人暮らしの小学6年生の藤枝勇人は、同級生の樋口マリに思いを寄せている。ある日、樋口家に起こった火事で、マリの双子の妹・ユリが亡くなってしまう。「亡くなったのがマリちゃんでなくてよかった…」と内心ホッとしてしまう勇人。しかし、亡くなったのは、本当はユリではなくマリだった…。樋口家に起こった悲しい事実や自分の父の死因が明らかになる中で、自分の心の疾しさや母の抱えている苦い思いなどが消えていった。そして、勇人は「誰もが持っている心の埋み火は、消すことができる」と知る。

▽太田真理子
私はスクールで10年近くシナリオの勉強をしてきました。実力をつけてからデビューするという夢が叶い、これからの誇りになります。
とても嬉しくて、舞い上がってしまいます。

Q.シナリオを書こうと思った動機は?
映画「シンドラーのリスト」の中に“1人の命を救うものが世界を救える”という台詞があり、強く印象に残りました。
また、とあるドラマを見て人生の救いになった事もありました。
こんな素晴らしい脚本を作るなんて、良い仕事をしているな、自分も出来たら素晴らしいと考え、脚本家を目指すようになりました。

Q.応募作品は温めていた作品ですか?
賞狙いをやめて、「今書きたいもの」で浮かんだストーリーです。

Q.今後どのような作品を書きたいですか?
その時書きたいもの、「北の国から」「Dr.コトー診療所」のように、心に残るものを書きたいと思います。


佳作 賞金100万円 「永遠のはかなさ」 鹿目啓子(31)

(選考理由)
淡々としたストーリーを透明感のある文章で綴り、独特の雰囲気を醸し出している。

(作品)
弁護士を目指す真壁俊一は、アルバイトで出会った真理に恋をする。しかし、真理は夫の愛人を刺した容疑で公判中の身だった。俊一は「弁護士を目指す人が容疑者と付き合うのか」という友人の言葉で、真理から遠ざかってしまう。十二年後、弁護士になった俊一は、真理の家が売りに出されているのを見つけ、物件を見るふりを装って真理の家を訪れる。そして、真理が大事にしていた物の中から、俊一の名前がある司法試験の合格者発表の記事を見つける。真理が「変わらないものなんてない」と言いながらも、俊一の気持ちが変わらないでいて欲しいと信じていたことに気付かされ、「絶対に真理を忘れない」と誓う俊一だった。

▽鹿目啓子
評価していただいたことを大変嬉しく思います。
早く映像化されるような作品をを書きたいと思います。

Q.シナリオを書こうと思った動機は?
元々書くことが好きでした。
映画の勉強をしているうちに、脚本が映像作品になるには大勢の人が携わるので、脚本を書きたくなりました。

Q.応募作品は温めていた作品ですか?
この賞に応募しようと思って書き始めてラブストーリーです。
同時期に祖父が亡くなって、テーマが決まりました。

Q.今後どのような作品を書きたいですか?
ロングバケーションの様なストーリーを書きたいです。


佳作 賞金100万円 「春を待つ家」 加藤由紀子(37)

(選考理由)
安定したストーリー展開。繊細な観察眼から、登場人物の心の変化が丁寧に描かれている作品。

(作品)
高橋一郎は、十二年前に妻の反対を押し切って子連れの在日朝鮮人と結婚した娘の麻子が、子宮癌で入院したことを知る。麻子の夫は、二年前に他界。入院中に麻子の義理の息子・賢秀を預かるよう妻・真紀に持ちかけるが、頑として聞かない。しかし、入院先に出向き、賢秀を引き取ることを決めてしまう。ある日、賢秀が学校で暴力沙汰を起こしたことをきっかけに、一郎は、賢秀が在日朝鮮人として抱えてきた痛みを知り、自身の社会観が間違っていたのではないかと気付く。そして、冬のある日、麻子は無事に退院、賢秀は麻子の元へ戻っていく。春になり、真紀と麻子は再会を果たす。長く凍てついた家族の心を溶かすように、春の陽射しが高橋家の庭を包み込んでいった。

▽加藤由紀子
表現の勉強の一環として、シナリオを書く事になりました。何度も挫折を繰り返しながら書いた作品が、こういう形で評価されて、嬉しいです。
人間を見つめて、ずるさや嫌らしさなどをしっかり書き、それでもなお人間の暖かいものを表現したいと思います。

Q.シナリオを書こうと思った動機は?
自分はマイナス要素の多い人生でした。元々役者を目指していて、役者の勉強の一環でシナリオを書いたところ、それらのマイナス要素を全てプラスに転じることが出来ると知りました。
ドラマが好きで、ドラマフリークで、ドラマを見ながら生きてきました。

Q.応募作品は温めていた作品ですか?
ずっと温めていた7、8年前の短い作品を元にしました。
自分が一番手応えを感じた作品に仕上げました。

Q.今後どのような作品を書きたいですか?
ホラーでもコメディでも、人間を描きたいです。
難病を扱うようなストーリーではなく、日々を感動的に捉えたいと思います。



(2007年8月23日 記者発表より)

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