2009.5.18
<2009年6月19日(金)21:00〜22:52放送>
リーダー不在で100年に一度といわれる深刻な不景気に陥り、先行き不透明で混迷の時代へと突入しようとしている今、「父権の復活」が声高に叫ばれている。フジテレビではそのような現状を踏まえ、父の日を前にした6月19日(金)の『金曜プレステージ』の枠で2時間のスペシャルドラマを制作、放送することが決定した。
原案は、さだまさし作詩・作曲の「親父の一番長い日」。
(*ご注意:さだ氏の作品は、すべて「作詞」ではなく「作詩」と表記されています)
1979年10月19日に発売されたこの曲は、一人の女性の誕生から結婚に至る人生と、娘の成長に一喜一憂する父親の姿を女性の兄の視点で描いたもので、演奏時間12分30秒という異例の長さにもかかわらず、「家族の絆」や「親の愛情」などを実に温かく歌い上げ、6週連続オリコンシングルランキング1位に輝くほどの大ヒットを記録した。
当ドラマは、その30年前の名曲「親父の一番長い日」をモチーフにお届けするオリジナルドラマで、きわめて昭和的で懐かしくもあたたかい家族の愛をベースに、父と娘の一番泣ける一日を感動的に描いていく。主演は長澤まさみと國村隼(ダブル主演)。共演は、伊藤淳史、高岡蒼甫、仁科亜季子、中山忍、小倉久寛、星野知子、銀粉蝶、今野浩喜(キングオブコメディ)ら豪華キャストでお届けする。
制作にあたる関卓也プロデューサー(フジテレビ ドラマ制作センター)は
「家族の間に遠慮やわだかまりがあるのに、それを解決しないままやり過ごしてることが多い現代。だからこそ、思い切りぶつかり、思い切り傷つきながら進む家族の話を描いてみたいと思っていました。そんなある時、さだまさしさんの歌を聞いていたら、懐かしい日本の昭和の家族の原風景が見えてきて、『これだ!』と思ったことがこのドラマを企画するきっかけです。“「頑固な親父」が「愛娘」を嫁がせるまで。”そこに、ぜひ描いてみたいと思う家族の問題が詰まっていました。起用の理由は、まず長澤まさみさんはお父さんから見て“娘にしたいナンバーワンに選ばれる女優さん”であり、この父の日に贈るスペシャルドラマで、彼女にぜひ娘役をやって頂きたかったからです。また、國村隼さんは、私の中でもっともリアルなお芝居をする俳優さんで、頑固な昭和の親父をこの平成に生きているお父さんとしてリアルに表現して頂きたいと思ったからです。実際に収録してみて、予想通りピッタリでしたね。さらに伊藤淳史さんについては、チャキチャキな妹とおっかない親父の間でいつもびくびくしてるお兄さん。そんな役のイメージが沸いた時、日本にこの役をお願いできる人は伊藤さん以外にいないと思いました。高岡蒼甫さんは、以前お仕事した時から、こんな純朴な青年はなかなかいないと思っていたので、今回の好青年役は彼にと決めていました。このドラマは長澤まさみさん扮する“浅草のチャキチャキ娘”が國村隼さん扮する“昭和の古風な頑固親父”と一騎打ちする場面が最大の見どころ。気持ちいいくらい喧嘩をし続ける親娘が“わたし結婚したい”という一大事件を通してどう成長していくかを見守って下さい」と語っている。
なお、曲の歌詞は兄の視点で描かれているが、ドラマは兄のナレーションで物語が進行という構成になっており、このあたりも曲とドラマがリンクしている部分である。
また、原案のさだまさし自身も「あるちょっとした役」で出演しているのでそちらも必見だ。
舞台は東京の下町・浅草。ちょうちん屋『墨田屋』五代目である親父・墨田栄一郎(國村隼)は妻の輝代(仁科亜季子)、長男の正一郎(伊藤淳史)、長女の千晴(長澤まさみ)と共に、ひとつ屋根の下に暮らししている。それに近所のマンションで悠々自適の生活をしている栄一郎の母・“虹バア”こと虹子(銀粉蝶)の5人家族。職人気質の頑固親父だが、娘のことはそれこそ目の中に入れても痛くないほど溺愛している。が、おてんばで、物怖じせずにポンポンとものを言うチャキチャキの下町娘は、古い考えの父親と親子げんかばかりしている毎日だ。
ある日、娘は結婚することを告げる。が、娘を嫁になどやりたくない親父は大反対。「駄目だッ、許さねえッ!」の一点張りだ。そして、親父の、悩み、苦しみ、葛藤する毎日が始まる。
そんな中、事件が起きる。娘の婚約者・平賀健吾(高岡蒼甫)が不遇の事故に遭い、下半身不随になってしまったのだ。結婚に反対している親父の心境は、より苦しいものに。
この事件は、墨田家の家族にも大きな波紋をよぶこととなり、父と娘の関係、そして、娘と婚約者との関係が、次第に新たなものへと変化していく―。
こういうチャキチャキの下町娘はたくさんいても、國村さん演じる栄一郎のように、本気になって怒ってくれる父親は、今はとても少ないのではないかと思います。國村さんとも現場で「家の中でのお父さんの権力がなくなってきている」という話をしました。
演じるにあたって特別な役作りはしませんでしたが、男の子みたいな気持ちでいることは常に意識していました。収録で印象に残っているエピソードは、このドラマは下町が舞台のせいか、ちゃぶ台を囲んでご飯を食べながら話すシーンが多いのですが、浅草の名物や深川めしなど、昔ながらのご飯が出てきて、ヘルシーな上に毎回本当においしいんですよ。おかげで心身がすごく健康になった気がします(笑)。
國村さんはとにかくすてきで理想のお父さんだし、伊藤淳史さんとは、昔、共演して以来、仲良くさせていただいているので気兼ねなくお芝居ができ、仲の良い兄妹を演じられていると思います。お母さんの仁科亜季子さんもおばあちゃんの銀粉蝶さんも気さくで面白い方ばかり。高岡蒼甫さんもすてきな方で、収録はとても楽しかったです。
(私が演じる)千晴は、しょっちゅうお父さんとけんかしているのですが、へらず口をたたくところは私自身と同じですね(笑)。口げんかは強く、何でも乗り越えられる自信があるところは千晴と似ていると思います。父の日の思い出としては、お財布を買ってあげたことがあります。全然使ってくれませんでしたけど(笑)
普段、言葉や手紙は恥ずかしくて「ありがとう」をなかなか伝えられないのですが、目上の人を敬う心は生きていく中で一番大事なことなので、このドラマを通し、子供の世代には父親の偉大さを感じ取ってほしいですし、また、お父さん世代には、父親としての自信と威厳を持ってほしいなと思います。あたたかい気持ちになれるドラマですので、ご家族そろってぜひ見て下さい。
脚本を読んだ時、非常にシンプルでストレートで、必要なことが余計なことをせずに書かれてあるので、地に足の着いたリアリティさを、きちっと表現しなければいけないなと思いました。演じるにあたっては、台本に書いてあると通りにやると、非常にステレオタイプなきつい頑固親父になってしまうので、そうならないよう、コミカルな部分も取り入れつつ、そのへんの兼ね合いを意識して芝居をしています。ただ、役というのは無理やり作るものではなく、むしろ、(役を)“感じて”いくものですから、そういう意味で、今回も栄一郎を常に感じながら相手役と関わっていきたい。そう思いながら演じています。僕自身にも娘がいますが、僕は決して栄一郎のようなタイプではなく、むしろ真逆。好きなようにさせたいと思っていますので、(栄一郎とは)随分、隔たりがありますね。
みどころは、やはり"家族"。父と娘の関係が芯にはなっていますが、その2人を取り巻く母や祖母、兄、兄嫁などの家族がきちんと描かれています。頑固すぎて困った父親ですが、そんな父親を実は娘は慕っているんですよね。だからぶつかり合う。でも、だからこそ仲良し。そのさまをぜひ見ていただければと思います。
台本を読んで、日常のごく一部を切り取ってありふれた日常の中での家族のぶつかり合いを描き、そしてそういう中にも家族の愛がある…、そんな、ものすごくあたたかいドラマだなと思いました。妹役の長澤まさみさんとは以前に共演させていただいて以来、仲良くさせていただいていて、普段の待ち時間のやりとりと芝居があまり変わらないので、素のままでいこうかなと思いましたが、一方、家族のやりとりはテンポ良く、面白おかしく、少しデフォルメするくらいの方が見ている方も面白いかなと思うので、そこは意識して演じています。
こういう、家族をテーマにしたドラマは今はとても少なくなりましたが、最近、家族の大事さを忘れているのかなと思う事件やニュースがあまりにも多いので、こんな時代の今だからこそ、「やりたいドラマ」というよりも、「やらなければいけないドラマ」だという気がします。よく「どの世代にも見てもらえるドラマ」と言いますが、それはまさにこの作品のことを指すのだと思います。メインが家族になっていることで、心の中の部分をより描いていて、見ている方に届くものがすごく大きいと思いますので、ぜひ多くの方に見ていただきたいです。
台本をとても面白く読ませていただき、また、さだまさしさんの曲を聴いて、温かい感じを演技に出すことができればと思いました。僕の演じる役は事故で下半身不随になる設定で車いすのシーンが出てくるため、(車いすを)事務所のスタジオに持ち帰り、そこのスタジオで練習に励みましたが、やはりかなり難しかったですね。障害を持っていらっしゃる方の気持ちを少しでも理解でき、そして、突然障害を背負ってしまったつらさをもうまく表現できるといいなと思いながら演じました。平賀健吾という青年には共感できますし、とても好青年だと思います。婚約者の千晴も、元気で明るくて前向きで、台本を読んだとき、まさに理想の女性だと感じましたね。長澤まさみさんは初共演ですが、千晴にぴったりな魅力的な方だと思います。また、國村隼さんとは以前、ご一緒させていただいたことがありますが、まさに“下町の頑固親父”にぴったりな方ですね。
台本の中で好きなせりふは千晴という名前の意味の、“千の晴れをありがとう”。親のいろんな思いが詰まっていて、自分自身も、親を大事にしないといけないなと思いました。このドラマを見て、家族の大切さにあらためて気づいていただけたらうれしいですね。
お話をいただいた時、30年も前の歌で、今とずいぶん価値観の違う時代のヒット曲ですから、うれしいと思う反面、果たして今の時代にこういう温もりが伝わるのかなという不安もありました。けれど、よく考えてみればわれわれを取り巻く環境は大きく変わってはいるけれども、人間(の本質)はそんなに違ってはおらず、むしろ(いろんなことを)ドライにクリアしていかないと明日が来ないような日々をすごしているのが表向きで、本当はこんな温もりがほしいし、暖かいものに触れて泣きたいんですよね。ですから、よくぞ今の時代に取り上げて下さったなと思います。
僕はコンサート中心でやってきていて、役者の仕事はなかなか経験できないことですから、今回は僕にとって非常に貴重な体験でした。撮影現場はこういう空気なんだなと、そのにおいを嗅ぐだけでも楽しかったのですが、一方、すごくあがってしまいました。
“頑固親父”って男のひとつのあこがれですが、今は頑固親父って本当に少ないですね。女性にとって父親という存在は、常に大きな壁でいてほしいという願望があるんじゃないでしょうか。お父さんがどっしりしていないから日本がだめになった。そんな気がするので、頑固親父って大事だなとあらためて思いますね。
親父は浅草のちょうちん屋「墨田屋」の5代目・墨田栄一郎(國村隼)。妻の輝代(仁科亜季子)、長男である僕・正一郎(伊藤淳史)、長女の千晴(長澤まさみ)がひとつ屋根の下に暮らしている。それに近所のマンションで悠々自適の生活をしている親父の“虹バア”こと墨田虹子(銀粉蝶)の5人家族。さらに、家族ではないが、“辰さん”こと車田辰治(小倉久寛)と、村迫昇(今野浩喜)が職人として「墨田屋」で働いている。辰さんは先代からの職人だ。
昭和の古臭い親父とでも言おうか、曲がったことが大嫌い。筋が違うと思えば、女・子ども関係なく怒鳴り散らす。しかめ面の親父が笑う時はめったにない。頭に血が上ると勢いで行動する。妹の千晴が生まれる時も自宅で日本シリーズに熱中している真っ最中だった。病院からの電話で女の子が生まれたと知ると僕を小脇に抱え、下駄で一目散に病室に駆け込む。そして赤ん坊を抱き上げ、「これはべっぴんになるぞ!」と叫んだ。
親父は一週間、ちょうちんを前にうんうんとうなっていた。親父は病院で「命名、千晴」と書かれたちょうちんを母親に見せた。それは「どんなに雨が続いても、いつか必ず晴れの日が来る、千の晴れに恵まれる」という親父の思いが込められていた。
親父にとって千晴は、文字通り目の中に入れても痛くない存在になった。ある日千晴は親父の目を盗んで仕事場に入りちょうちんに絵を落書きした。が、それはいたずらではなく、ちょうちんには親父の下手な似顔絵と“おとうちん”という文字が。そう、それは父の日のプレゼントだったのだ。それを知った親父は号泣。親父の喜ぶ姿を見て千晴はその年から毎年ちょうちんをプレゼントするようになった。
わが家が何があっても欠かさなかったのは、火の用心の夜回りだ。家族4人で近所周りをすることはどんな寒い年末でも怠ったことはない。親父は千晴のプレゼントしたちょうちんを掲げて大声を出した。親父にとっては自慢のちょうちんだった。
そして中学生になった千晴が、親父に新しいちょうちんを差し出す。親父はうれしそうに受け取って、また壁に飾る。親父は、こんなふうに千晴と一生、一緒に過ごせると思っていたろうか。それがいつか終わってしまうなどと、このころは想像もできなかっただろう。
そんな関係に影が差し始めたのは、千晴が高校に上がったころ。妹は初恋を覚えたのだ。その年のバレンタインデー。手作りチョコを初恋相手に渡そうとするが、千晴は渡せずに帰ってくる。結局、千晴は親父に渡した。親父は、まさか初恋相手に渡そうとしていたとはつゆ知らずえらく感動していた。僕はそれが本当は別の人にあげるはずだったチョコだとはとても言えなかった。
父へのちょうちんプレゼントは時と共にどんどん増えていく―。そして千晴は大学生になっていた。作業場で仁王立ちする親父の前に門限ギリギリに滑り込んできて千晴はその鬼の形相をにらみ返した。それから「大学に入ったんだから門限9時はキツイ」と千晴は訴える。でも親父は一刀両断、嫁入り前の娘の夜遊びなど許さないという。千晴が怒って居間を飛び出すと、親父はちょっと寂しげな顔で酒を飲む。以来、千晴は親父にちょうちんをあげることをやめてしまった。
そして現在、千晴は24歳。デパート勤務。千晴には付き合って2年の恋人、平賀健吾(高岡蒼甫)さんがいる。平賀さんは、同じ会社の営業マン。物腰が柔らかくて優しく、さわやかな好青年。幼い時に父親を亡くした平賀さんは、千晴の父親と本当の親子になるのが夢だと言う。その平賀さんにプロポーズされたが、親父のことが気掛かりな千晴。これまで親父には、彼氏の存在を悟られまいと懸命にやってきた。知られれば反対されるに決まっている。千晴は僕に相談にきた。僕は「任せろ」と胸を叩いた。僕が結婚することになっている尚子(中山忍)の後押しもあり、妹のためにも絶対に認めさせると鼻息荒く、実家へと向かう。僕は親父にそれとなく尋ねる。「もし千晴に恋人ができたら…」その言葉が言い終わらないうちに僕は吹っ飛んでいた。「千晴に恋人なんて絶対に許さん!!!!」頼りない兄の姿を見て千晴は誰にも頼らず、自分で説得するしかないと決心する。「こうなったら強行突破だ。平賀さんと会って親父に会う日取りを決める!」と。さらに、「抜き打ちで家へ連れて行き、親父に認めさせる。これしかない」と決心を固める千晴。
大のジャイアンツファンで野球好きな親父は、毎週日曜日は草野球だ。ある日曜日、そのグラウンドへ千晴が平賀さんとやってきた。白熱した試合の真っただ中だったがマウンド上の親父は、千晴が男連れであることに気づく。事もあろうに2人は手をつないでいた。われを失った親父はマウンドを降りて客席へ。紹介するつもりがつかみ合いの大騒ぎに。そのうち試合放棄だと相手チームも飛び出してきて大乱闘になってしまった。
家に帰っても、千晴と親父の口げんかは止まらない。親父に、千晴は怒り心頭。とうとう千晴は言い放つ。「私、お父さんが何と言っても結婚するから!」「駄目だッ! 許さねぇッ!」「この石頭!」「出て行けッ! そんなに結婚したいのなら勘当だ!」千晴は荷物をまとめると、何と本当に出て行った。僕は母に頼まれ後を追う。「親父に対して意地張っているようにしか見えないよ。家に戻るぞ」「あんな石頭の顔なんか見たくない!」「どうせ明日、親父に会うんだぞ?」「…?」
翌日は僕の結婚式。案の定、千晴と親父は結婚式の最中もにらみ合いを続けた。おまけに、僕と新婦・尚子の神聖なる口づけの瞬間、千晴と彼のそれを思わず想像してしまったらしい親父は「許さん!」と奇声をあげ、さんざんな結婚式となった。困った僕は、2人を外に出して落ち着けようとする。
その時、千晴の携帯が鳴った。なんと平賀さんが取引先で事故に遭い、危篤状態だという。病院に駆け込んでくる千晴と親父。手術中を示す赤ランプが点灯している。千晴は胸が張り裂けそうになるのを平賀さんの母親、幸江さん(星野知子)の前では何とか踏みとどまっていたが、親父と2人きりになると、千晴は肩を震わせて泣くじゃくった。
「…お父さんどうしよう…健吾が、もし…もしも…」悲しみに打ちひしがれた娘を見て、親父は「大丈夫だ」と一生懸命励ました。
翌朝、平賀さんの意識は戻る。今までと変わらない笑顔で、ベットサイドで寝ていた千晴に微笑んだ。慈しむように恋人を見つめる千晴。
千晴は夕食の茶の間で平賀さんの回復は良好だと伝えた。ほっとする家族。が、喜んでいたのもつかの間、千晴はさらに「下半身不随で、一生、車いすでの生活なんだって」とさらりと告げる。彼の下半身はもう動かない、とも。あまりに平然と言ってのけた千晴だったが、親父はもちろんのこと、一瞬にして茶の間に張り詰めた空気が流れた。しかし場の空気が沈んだのを察した千晴は笑いながら明るく言う。「命が助かっただけでも奇跡なんだって」。気丈な彼女の姿を親父は静かに見ていた。
その夜ひとり仕事に没頭する親父におふくろが言う。「千晴はもう、私たちが思ってるほど子供じゃないのかもしれませんね」。しかし親父は認めない。「まだ子供だ。あいつは病院で肩を震わせて…。俺がいなきゃどうなっていたか…」とつぶやく。
数日後、僕は千晴と一緒に見舞いに行った。平賀さんは屈託がなく、絶望を感じさせない強い雰囲気で僕たちと接する。僕は感心する。自分の方が気を遣おうと堅くなっていた。その緊張を平賀さんにほぐされるとは思わなかった。千晴に言う僕。「アイツならおまえを幸せにできるかもしれないな」。
千晴は、その夜、親父に結婚の決意は変わらないと告げる。しかし親父は結婚には反対だと言い放つ。千晴に介護なんかできるわけがないと。千晴は絶対できる。やってみせると言い返す。その強いまなざし。親父は圧倒されて、それ以上は言い返せない。
だがそんな言い合いの真っ最中、おふくろが倒れてしまう。平賀さんと同じ病院に搬送された。おふくろは、退院まで千晴に親父の面倒を頼むと言い、千晴もそれを受け入れる。
ほどなく平賀さんは、退院に向けてリハビリを始めた。千晴はリハビリに付き添って、献身的に支える。リハビリは車いすの乗り降りだけで一苦労だ。千晴は手を貸したい衝動を抑えながらじっと見守る。リハビリを終えた平賀さんを、千晴はマッサージしながら励ます。平賀さんも千晴の励ましで、またがんばろうと思うのだった。おふくろの見舞いの帰り、そんな2人の姿を親父は見かけた。つらいリハビリは続いている。なかなか思うように体が動かない。平賀さんにも焦りや疲れが出てくる。とうとうイライラして、物に八つ当たりをしてしまう。千晴が駆け込んでくる。すぐにわれに返り、ごめんと謝る。でも平賀さんは、そんな千晴の励ましに笑顔で答える余裕を失いかけていた。
そんなある日、平賀さんはある決意を千晴に話す。そして…。
2009年5月15日発行「パブペパNo.09-106」 フジテレビ広報部
※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。