FNSドキュメンタリー大賞

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2017.7.14更新

悲願の東京公演!盛岡文士劇の奮闘に密着

第26回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
あっぱれ!盛岡文士劇 盛岡文士劇念願の東京公演に密着

7月15日(土)27時35分~28時30分

明治時代に東京で始まった文士劇が、みちのく岩手・盛岡で今も続いている。その「盛岡文士劇」が本家本元・東京での公演をかなえるため動きだした。役者は地元の作家やメディア関係者が殆どで、演劇に関しては素人集団。その現状をさらに追い込む問題が次々と起こる。団長の不在。演出家の急な交代。役者の欠席による稽古不足。しかしスタッフ全員で協力し突き進む。日本唯一の文士劇である盛岡文士劇の東京公演までを密着した。

明治23年。文学結社「硯友社」の尾崎紅葉、江見水蔭らが演じたことで始まった文士劇。娯楽が少ない時代ということもあり人気を博した。その文化はみちのく岩手・盛岡にも及び、東京の文士劇は途絶えた今も「盛岡文士劇」として続いている。

盛岡文士劇も一度は途絶えたが平成7年に復活。その理由は地元の人たちの声だった。復活してからもチケットは即日完売。毎年冬に公演するため、今では地元の冬の風物詩として定着。役者は地元の作家・記者・アナウンサーなど多岐にわたる。更に岩手にゆかりがない東京など遠方に住む人気作家も文士劇を愛し、かかる費用を自己負担で参加するほどだ。

復活から22回目を迎えた今年、盛岡文士劇は本家本元の東京に打って出ることを決めた。団長や脚本家などが夢みた東京公演だが、実際に行くことが決まってから数々の問題点が浮上する。長年続けてきた団長と演出家の体調不良による不参加。主役に抜擢されたのは演劇の事は右も左もわからない他県出身の若い女性アナウンサー。東京公演ということで、出演する人気作家の人数が例年より多いため、稽古に全員揃うことがなかなかない。

そんな現状に戸惑いを一番に感じたのが、ピンチヒッターの演出家・長掛憲司さんだった。原因は盛岡文士劇ならではの役者・スタッフそれぞれの演劇への意識。“ある程度出来ていればご愛嬌”それがまかり通るのが盛岡文士劇なのだ。長掛さんはプロの役者でもあり数々の舞台を経験している。だからこそ東京公演を任せられたのならしっかりとしたものを送り出したい。しかし稽古の度に奮闘するがなかなか思い通りには行かない。

それを支えるのが舞台スタッフ。盛岡は人口あたりの市民劇団数日本一と言われていて、スタッフにも演劇経験者が多い。盛岡文士劇のルールを守りながらも、演出家が願う演劇の本筋を大切にし役者との間を取り持つ。

東京公演の舞台は紀伊國屋ホール。日本を代表する人気劇団が公演し演劇の聖地とも言われている、役者なら誰もが一度は立ってみたい憧れの場所。そこに素人の集まり「盛岡文士劇」が公演を行うのだ。演目は「みちのく平泉 秀衡と義経」。悲劇の英雄・源義経は、たった一人の兄・頼朝に追われ平安浄土・みちのく平泉に逃げ伸びた。そこで親代わりとなった秀衡のもとで命の在り方を学ぶ。

東日本大震災などで多くの命を亡くしたみちのく岩手で続く「盛岡文士劇」が今、東京公演を行う意義は、文化継承の大切さだけでなく、命の大切さを改めて考えてもらうため。様々な困難を乗り越え東京公演を行うまでを密着した。

コメント

プロデューサー・鎌田淑子(岩手めんこいテレビ 報道制作部)

「毎年の冬の風物詩として定着し、地元に愛されている『盛岡文士劇』。チケットの発売日には行列が出来、即日完売!だから盛岡市民でもなかなか生の舞台は見られないのです。その盛岡文士劇の主役に弊社のアナウンサーが抜擢され、東京公演の舞台に立つことを知った時、盛岡文士劇の舞台裏に密着したい!そんな好奇心から取材を始めました。結果、やはり想像を超えた問題が続々と現われてきました。撮影はディレクターのデジカメで行うことが多かったため、映像も荒く、音もあまり鮮明でないところがありますが、“生きた映像”を撮影できたと思っています。この番組を見て、東京公演の試みをあっぱれ!と感じ、ファンが増え、盛岡文士劇が更に長く、深く、歴史を刻み続けてくれることを願っています」

番組情報

番組タイトル
第26回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品
『あっぱれ!盛岡文士劇 盛岡文士劇念願の東京公演に密着』
(制作:岩手めんこいテレビ)
放送日時
7月15日(土)27時35分~28時30分
スタッフ
プロデューサー
菊地十郎(岩手めんこいテレビ)
ディレクター
鎌田淑子(岩手めんこいテレビ)
構成
鎌田淑子(岩手めんこいテレビ)
ナレーション
小野寺瑞穂
撮影
今野賢也(岩手めんこいテレビ)
編集
鎌田淑子(岩手めんこいテレビ)
MA
山内智臣(めんこいエンタープライズ)
CG
本村真由美(めんこいエンタープライズ)
広報
久保郁子(岩手めんこいテレビ)
制作
岩手めんこいテレビ

※掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。