ロベール・ルパージュ インタビュー

『トーテム』は、
異なる種と進化の歴史を表現します。

シルク・ドゥ・ソレイユは、動物がいないサーカスです。しかし、パフォーマーの身体の中には様々な動物が存在していることに気づき、その身体を使って進化の歴史を再現することも可能だと考えたのです。私にとって『トーテム』は、異なる種と進化の歴史を表現することでした。私たちは母親の子宮にいる時、まるで魚類のような状態です。生まれた直後の動きは爬虫類に似ています。それから、ほ乳類らしい動きになり、今度は立ち上がって類人猿のようにどこでも登るようになり、最後に人間になる。そこに興味を持ったのです。

『トーテム』の演目には、
それぞれテーマがあります。

『トーテム』は、演目ごとに様々なテーマがあります。例えば「リングス・トリオ」 については、リングというのは海辺にあるものだと考えました。海辺というのは両生類の場所です。ですから、私は両生類についてのシーンを作ることが重要だと考えたのです。私たち自身、海に行けば両生類になるともいえます。私は、こういったつながりを見つけようとしたわけです。演技とテーマの関係性については、ある演技を初めに設定して、その中に当てはまる動物の性質を探す時もあれば、逆の場合もありました。演目の順番については、常に試行錯誤で行ないます。それぞれのエネルギー感、お客さまがどう感じるかによって自ずと決まるのです。

テクノロジーで、
サーカスは、もっと進化します。

プロジェクション(映像)をぜひ使いたいと思っていました。それによって、異なる様々な動物、生き物のための異なる環境を作りたいと。古代ギリシャの演劇の原則の一つですが、登場人物が登場する時は、別の世界から訪れなければなりません。それをつなげるのがブリッジです。ブリッジのスタイルのデザインはとても「進化」的です。そして、ブリッジが立っている時はトーテムになります。サーカスはコーチや振付師の素晴らしいデザインのセンスから進化するものです。さらに、アクロバット器具や機材の進化に新しい要素やテクノロジーを取り入れることで、サーカスという芸術を進化させられると思っています。

日本的な精神に基づいた
『トーテム』を、お楽しみに。

私は日本の文化に非常に影響されています。単に伝統的な文化だけでなく、現代の文化の影響も受けているのです。ですから、『トーテム』が日本に行くことに興奮しています。このショーは日本的な精神に基づいているので、日本の皆さんにとって、より簡単に親しみが持てるものだと思うからです。私は歌舞伎の大ファンで、ブリッジを渡ってキャラクターが登場するのは、花道にヒントを得ました。そして、歌舞伎のもつ演劇性やキャラクターの作り方にとても刺激されました。

舞台演出家、劇作家、俳優、映画監督。1957年、カナダのケベック市生まれ。1985年、ドラゴン3部作のショーで世界に名を知られる。1989年から1993年まではオタワの国立アートセンターのシアターフランセで芸術監督を務める。舞台で、映画で、オペラで、全ての分野を超えて世界で活躍を続け、2009年にカナダ総督芸能賞を受賞。『トーテム』は『KÀ』 (2004)に続き、彼にとってシルク・ドゥ・ソレイユ2作目の作品である。