参加アーティスト
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Mari Yamazaki
ヤマザキマリ

展覧会に向けて
私がかつて暮らしたシリアには、パルミラという古代遺跡があります。 かつてシルクロードと欧州をつなぐ交易都市として発達したこの街には、数々の貴重な遺跡が 残されていました。つい最近まで。 私はこの古代都市遺跡が大好きで、シリア滞在中には何度も足を運びましたが、今となっては 地球で一番遠い場所になってしまいました。ルーヴルの古代ギリシャ・ローマセクションの中には、 このパルミラからの素晴らしい出土品がいくつか展示されています。 今回の企画では、そのパルミラの出土品と戻れぬ国への思いというものを、ここで育った人物 の目を通じて表現してみようと思いました。
未来への平和を願いつつ。

略歴
1967年、東京都生まれ。1984年に渡伊、フィレンツェの国立アカデミア美術学院入学美術史・油絵を専攻。1997年に漫画家としてデビュー。比較文学を研究するイタリア人研究者との結婚を機に、シリア、ポルトガル、アメリカを経て現在はイタリア在住。2010年古代ローマを舞台にした漫画『テルマエ・ロマエ』で、「第3回漫画大賞受賞」、「第14回手塚治虫文化賞短編賞受賞」、世界8か国語に翻訳される。著書に『ルミとマヤとその周辺』『ジャコモ・フォスカリ』等。文筆作品では、『テルマエ戦記』『望遠ニッポン見聞録』『男性論』『国境のない生き方』等。現在は、『スティーブ・ジョブズ』、『プリニウス』を(とり・みきと共著)連載中。2016年「平成27年度芸術選奨文部科学大臣新人賞」受賞。

作品紹介
『Palmyre au Musée 美術館のパルミラ』
シリアに暮らす主人公。家のそばにある古い建造物や柱が転がる広大な遺跡は恰好の遊び場だった。そんなある日、いつも通り友達と遺跡の上に登って遊んでいると、ひとりの男性に注意され、しぶしぶそこから降りる。 少年は男性の解説によって、初めてそこがかつて商人たちから「バラの街」と呼ばれたパルミラ遺跡だったことを知る。ふと気がつくと目の前に広がっているのは美しいオアシスの隊商都市だった古代時代の光景。賑わう人々、そして眩しいほど綺麗な女性の姿。しかし母に呼ばれ我に返ると、そこにはいつもの砂漠しかなかった。過激派組織たちが無惨にも遺跡を破壊し、少年に声をかけてくれた考古学者の命も奪われた。少年は難民としてヨーロッパに渡り、大人になる。かつて見たあの素晴らしい光景と美しき女性、 そして学者たちが護ってきた遺跡に会いに、主人公はルーヴル美術館にあるパルミラを訪れる。