参加アーティスト
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Jirô Taniguchi
谷口ジロー

展覧会に向けて
「ルーヴル美術館 BD プロジェクト」――このまったく新しいマンガ企画に出会い参加できたことを とても幸運に思っている。しかも、国境を越えた言語(マンガ、BD)でルーヴル美術館を自由に描ける という夢のような大胆な企画に驚いた。 ルーヴル美術館を訪れ、膨大で歴史ある桁外れの美術品に圧倒されつつ、気持ちは自然に解放 されてゆく。おそらく、この企画がなければ生まれなかったであろう『千年の翼、百年の夢』は これまでのマンガ表現の形式にとらわれず、全ページカラーという日本では考えられないマンガ領域 への新たな試みだった。
今回の特別展で私のマンガ表現に刺激や変化を与えてくれた BD の作家たちと共に作品が展示 されることの喜びは大きい。 BDは日本マンガには見られない豊かな想像力や絵画的描写力の素晴らしさがある。そんな ヨーロッパの優れたマンガ表現を、多くの人たちに興味を抱いて貰えたならとても嬉しく思う。

略歴
1947年、鳥取県鳥取市生まれ。1971年、『嗄れた部屋』でデビュー。代表作に『事件屋稼業』(関川夏央作、1980年)、『「坊っちゃん」の時代』(関川夏央作、1987-96年)、『父の暦』(1994年)、『孤独のグルメ』(久住昌之作、1994年-)、『遥かな町へ』(1998年)、『神々の山巓』(夢枕獏作、2000-03年)、『ふらり。』(2011年)などがある。フランスを中心にヨーロッパでの評価が高く、日本で出版された作品が多く翻訳出版されているだけでなく、現地で日本未発売のオリジナル作品の出版も行っている。2011年にはフランス芸術文化勲章シュヴァリエを受賞している。ルーヴル美術館BDプロジェクト第11作『千年の翼、百年の夢』は2014年に刊行された。

作品紹介
『千年の翼、百年の夢』(小学館)
2013年5月、スペインのバルセロナで開催された国際マンガフェスティバルに参加した主人公の日本人マンガ家は、帰国前にパリに立ち寄る。目的は美術館巡りだった。しかし、長旅の疲れからか、彼は到着初日から高熱にうなされてしまう。一夜明け、熱が下がったことを確認した彼は、ルーヴル美術館に向かう。だが、ドゥノン翼半地下の古代彫刻を眺めている最中に、再びめまいが彼を襲う。ある女性に話しかけられ意識を取り戻すと、不思議なことに美術館を満たしていたはずの来場者の姿が見えない。ルーヴル宮の守り人だと名乗るその女性によれば、ルーヴル美術館は夢と現実の間にあるのだという。彼女に案内されるまま、主人公のマンガ家はルーヴル美術館の夢と現実、表舞台と裏舞台を行き来する。立ち去り際、彼女は自らの正体を明かす。驚いたことに彼女はサモトラケのニケだった。それからというもの、滞在期間中にルーヴルを訪れるたびに、主人公は、時空を超えたさまざまな出会いを体験することになる。