参加アーティスト
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04/16
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Bernar Yslaire
ベルナール・イスレール(画)

Jean-Claude Carrière
ジャン=クロード・カリエール(作)

展覧会に向けて
わたしは日本の文化と思想、その簡素な表現方法による美意識、優雅で純粋な線描に強く魅せられている。伝統の尊重と新しいことへの挑戦を両立させるために磨き続けるバランス感覚に深い感銘を覚える。『ルーヴルの上の空』にはある意図があった。18世紀の古典的な偉大な画家の革命的な創作を題材にしているが、最先端の技術を駆使して、いくつかの未完成のデッサンを交えて表現した。2009年に荘厳なルーヴル美術観に展示されたわたしのつつましいデジタル連作画像はその精神の延長線上にあった。これを今回東京で展示できることはとても誇らしく、光栄でもある。なにしろここは北斎と大友の国で、類希な才能あるアーティストたちと共に展示されるのだから。

略歴(ベルナール・イスレール)
1957年、ベルギーのブリュッセル生まれ。幼い頃からバンド・デシネを描き始め、16歳で雑誌「スピルーSpirou」誌の執筆陣に加わる。1986年、代表作の『サンブル Sambre』(既刊6巻)を発表。激動の19世紀フランスを舞台に展開する呪われた赤い目の少女をめぐるこの壮大な歴史絵巻は、イスレールの代表作のみならず、1980年代バンド・デシネ界を代表する傑作として高く評価されている。1997年からは3年間にわたりWEB上で『二十番目の空の記憶 Mémoires du XXe ciel』を連載するなど、新しいメディアに積極的に挑戦している。作画を手がけたルーヴル美術館BDプロジェクト第4作『ルーヴルの空の上 Le Ciel au-dessus du Louvre』は2009年に刊行。同年、それまでの功績が高く評価され、フランスの芸術文化勲章シュヴァリエを受章。2015年にはさらに上位の芸術文化勲章オフィシエが授与されている。

作品紹介
『ルーヴルの空の上 Le Ciel au-dessus du Louvre』
(画:ベルナール・イスレール、作:ジャン=クロード・カリエール、未邦訳)
フランス革命下のパリ。ルーヴル美術館はまさにこの革命のさなかに産声をあげた。独裁政治を築きつつあるロベスピエールは、キリスト教とは異なる新たな信仰対象の必要性を痛感している。ジャン=ジャック・ルソーに倣い、それを「最高存在」と名づけた彼は、親友でもある画家ジャック=ルイ・ダヴィッドに、その肖像を描き、最高存在を祝う祭典を演出するよう依頼する。しかし、ダヴィッドはそのような存在を想像することすらできずにいる。時を同じくして、バラという名の少年が革命のために殉死するという事件が起こる。人々はこの少年の肖像を描き、彼の名誉を讃えることをもダヴィッドに依頼する。ダヴィッドは最高存在とバラを同一視し、ちょうどその頃出会ったジュールという両性具有的な少年をモデルに絵を描き始める。やがてジュールは、ロベスピエールの反抗分子として誤って処刑されるが、ダヴィッドは彼の遺体を探し出し、憑かれたように絵画の制作を続ける。しかし、そんなダヴィッドをよそに、政治の季節は急速に移り変わってゆくのだった。