日本と非常に馴染みが深いワシントン州最大の港湾都市シアトル。シアトル美術館は地質学者にして美術コレクターであったリチャード・E・フラー博士(1897〜1976)により1933年に設立され、造形美術の交流と対比をテーマに、東洋美術・西洋美術・アフリカ美術にわたる世界各国の美術品を所蔵しています。
この度、サントリー美術館が所蔵する日本および東洋美術コレクション(約7,000件)の中より、選りすぐりの優品98件が日本に貸し出されることになりました。アジア美術は、シアトル美術館コレクション形成の端緒であり、今もその中核として重要な位置を占めています。サントリー美術館のまとまったコレクションが、アメリカ国外で一堂に公開されるのは世界で初めてのことです。
シアトル美術館のアジアコレクションの中心は、古代から近代におよぶ質の高い粒揃いの逸品を集めた日本美術です。縄文時代の土偶にはじまり、平安時代の仮名の名筆「石山切」、鎌倉時代の仏教絵画の名品「地獄草紙断簡」や、<浦島の手箱>の名で知られる漆工の名品「浦島蒔絵手箱」、室町時代のやまと絵屏風の注目作「竹に月図」、桃山時代の巨匠・本阿弥光悦と俵屋宗達による「鹿下絵和歌巻」、かつて龍安寺の方丈をかざった狩野派絵師の襖絵、さらに江戸時代からは、シアトル美術館を代表する名品「烏図」屏風、尾形光琳の水墨画屏風や葛飾北斎の肉筆浮世絵にいたるまで、日本にあれば国宝・重要文化財になるであろう貴重な作品が少なくありません。
このうち、当初一巻の長大な巻物であった「鹿下絵和歌巻」は、その前半部分が細かく切断され、美術館や個人コレクションに分蔵されていますが、幸いにもシアトル美術館はその後半部分が切断されることなく伝存しています。今回、シアトル美術館が所有する後半部分と前半部分の断簡のうち数点が同時に展示されることは、本展のおおきな見所のひとつとなります。
日本美術とならび、シアトル美術館のアジアコレクションにおけるもうひとつの中核を担っているのが中国美術です。全米屈指のコレクションとして知られる陶磁器をはじめ、青銅器、玉器、銀器、漆器など、各時代を代表する工芸の優品が勢ぞろいします。また書画においては、元代の水墨画の傑作として名高い「墨梅図」、明代を代表する文人・文徴明の名筆「金焦落照図寄詩(きんしょうらくしょうずによせるうた)」、清代の邵弥(しょうみ)の画帖「山水図冊」などが登場します。
さらに、韓国、インド、ネパール、タイ、ヴェトナム、インドネシアからは仏教彫刻、絵画、工芸の貴重な優品をご紹介します。
本展では、シアトル美術館が76年におよぶ歴史の中で育んできたアジア美術コレクションから、選りすぐりの逸品98件をご紹介します。日本美術に限っていえば、近年紹介され注目を集めたプライス・コレクションやバーク・コレクションよりも長い収集の道程を経た、また、
質・量ともに充実した北米有数のコレクションであるシアトル美術館のコレクションは、日本での公開が心待ちにされていました。これまでまとめて紹介される機会を得なかったサントリー美術館コレクションを一堂に展示するこの貴重な展覧会は、サントリー美術館を皮切りに全国を巡回します。
まるで玉手箱から次々と取り出された宝物のような、時代・ジャンルともに多岐にわたる珠玉の逸品の数々をお楽しみください。
※「美しきアジアの玉手箱」におけるエデュケーション・プログラムは、ホームページ(http://suntory.jp/SMA/) をご覧下さい。プログラムご参加の方は、当日に限り展覧会もご覧になれます。
【巡回のご案内】
2009年9月19日〜12月6日 神戸市立博物館
2009年12月23日〜2010年2月28日 山梨県立美術館
2010年3月13日〜5月9日 MOA美術館
2010年5月23日〜7月19日 福岡市美術館
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