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世界中に溢れるアート情報の中から、F・A・N編集長のアンテナにピッピッと反応した新鮮なネタをとびきり楽しく料理してみました!猫好き編集長のアートな雑記帳です。
Vol. 27独断と偏見で選ぶ「ダリの傑作」
上野の森美術館で開催中の『ダリ回顧展』、混んでいて申し訳ありません。ご迷惑をおかけしております。みなさん自由に使いたい時間帯は同じになってしまうのでしょうか。
ちょっと曜日と時間をずらすと、ゆっくりご覧になれるのですが…。
曜日で言えば、上野のほとんどの美術館が休館日になっている月曜日。
時間帯で言えば、上野のほとんど美術館が閉館する午後5時以降。
休日なら、土曜日より日曜日の夕方。

この鉄則を踏まえつつ御来場いただければ、けっこうゆっくりダリ作品に浸れます。

そうそう、会期の終了間近も混みます。来年1月4日までの会期ですが、「まだやってるからいいや」と思っていると、駆け込み入場の皆さんで長い列ができます。
アメリカ・フロリダの「サルバドール・ダリ美術館」の作品とスペイン・フィゲラスの「ガラ=サルバドール・ダリ財団」の作品が、ひとつの美術館で展示されるのは世界でも初めて。
本展監修の先生によると「このクオリティーのダリ作品群が、再び日本で公開されるのは、早くても20年後」だそうです。
会期終了直前の混雑も嫌だし、20年なんて待てない方、フロリダとフィゲラスの両方を旅行する予定のない方、どうぞお早めにご覧になってください。これは展覧会PRではなく、一人の美術愛好家としてのアドバイスです!

さて、今回は「ダリ回顧展 - この作品だけは、じっくり見ないとソンするぞ!」と思う作品を、独断と偏見で選びました。私が、何度でも絵の前に立ちたいと感じる作品です。
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病める子供
1922-23年
Worldwide © Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, SPDA,Tokyo 2006
In the USA: ©Salvador Dalí Museum Florida/ Tokyo 2006
サルバドール・ダリ美術館所蔵
展示会場の最初の作品「病める子供」は、ダリが十代の頃描いた自画像。
夢見るような目、繊細な眉、美しく整えられた黒髪、細く長い指。これほど美しい病気の少年を描いた作品が、他にあるでしょうか。ふんわりとした青とピンクの微妙な色使いは、作品を直に見ないとわかりません。この絵の回りにだけ、不思議な照明が当たっているのではないかと錯覚してしまいます。
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魔女のサルダーナ
1920年頃
Worldwide © Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, SPDA,Tokyo 2006
In the USA: ©Salvador Dalí Museum Florida/ Tokyo 2006
サルバドール・ダリ美術館所蔵
「病める子供」の隣に置かれた「魔女のサルダーナ」は、ダリがわずか16歳の頃、1920年に描いた水彩作品。サルダーナとは、輪を描いて踊るカタルーニャ地方独特の踊りです。そう、マティスの「ダンス」(1910年)のそっくりなのです。たぶん、ダリはマティスの作品をどこかで見ていたのでしょう。ただし、マティスの「ダンス」が明るく躍動感に富んでいるのに比べ、ダリのこの作品となんと物悲しいこと。陰と陽。光と影。マティスとダリの精神構造の違いを見た思いです。
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2人のジプシーの少年
1920-21年
Worldwide © Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, SPDA,Tokyo 2006
In the USA: ©Salvador Dalí Museum Florida/ Tokyo 2006
サルバドール・ダリ美術館所蔵
素描を展示している部屋に置かれた「二人のジプシーの少年」は、厚紙にグアッシュで描かれたもの。「魔女のサルダーナ」と同じ頃の作品。二人の少年の目に、ハッとします。あどけなくて可愛いけれど、決して子供っぽくない。明るい空の色や背景の人物に比べて、少年達の重い雰囲気が気になります。その後、どんな大人になったのかしら。
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無題 燕の尾とチェロ
(カタストロフィー・シリーズ)
1983年
Worldwide © Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, SPDA, Tokyo 2006
ガラ=サルバドール・ダリ財団所蔵
1986年、死の6年前に描かれたダリ最後の作品。晩年のダリにとって、チェロは常に何かの痛みを表現する役割を任っていたといわれていますが、そんな事を何も知らなくても、この絵の前に立つとなんとも言えない不安感や無常観に襲われます。絵のほとんどの面積を占めている白が原因でしょうか?しかも真ん中が盛り上がって紙が破れたように描かれている。いつまでもジーッと見ていると、わけもなく苛立ってくるような作品です。 前年、最愛の妻ガラを亡くし<抜け殻>となったダリの苛立ちでしょうか?
どうでしょうか?「これがダリの絵?」と思う作品ばかりでしょ。偶然ですが、初期の作品と最晩年の作品だけになってしまいました。一人の画家の回顧展が興味深いのは、こういう「自分なりの作家の見方」ができるから。
もちろん、脂の乗り切った時代の傑作「記憶の固執の崩壊」や「家具栄養物の離乳」や「子供―女の記憶」があってのダリです。ここにあげた作品だけしか描かなかったら、近代美術の巨匠、シュルレアリスムの奇才には、ならなかったでしょう。
ただ、私にとって新鮮でかつ印象的だったのはここに挙げた4作品。
さて、あなたにとってどのダリ作品が、忘れられない傑作になるでしょうか?
(文:桜井郁子)
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プレゼント応募は終了いたしました。
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