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エコアナ・島田彩夏リポート ごみの小島が『緑の森』に!?壮大プロジェクトに考える「ごみと私たち」
エコアナリポート!!

エコアナ・島田彩夏リポート
ごみの小島が『緑の森』に!?壮大プロジェクトに考える「ごみと私たち」

[2008年6月18日更新分]


ある日の昼過ぎ、私はだだっ広い、海に浮かぶ小島に立っていた。ここはフジテレビのすぐ近くにある「中央防波堤」。東京23区から出るごみの埋立地だ。今私のいる「内側」の埋め立ては既に終わって土に覆われている。

建築家・安藤忠雄氏の発案で東京都と進めている「海の森」プロジェクト。約88haもの敷地(東京ドーム19個分)に48万本の苗木を植えて森を作り、海から都心へ緑の風を吹きぬけさせようという壮大な計画をご存知の方も多いだろう。

安藤氏といえば先日フジテレビの勉強会に講師として来ていただき、緑を増やすことの大切さを教わったばかり。フジテレビのいわばご近所の「ごみの島」が10年後には緑あふれる海に浮かぶ「森」に生まれ変わる・・・その記念植樹式があるというので早速取材にやって来たのだ。


安藤氏・ボノ氏登場

と、にわかに背後ににぎやかな声が聞こえてきた。安藤忠雄氏と世界的なロックバンド「U2」のリードボーカル・ボノさんがそろって会場に到着したのだ。他にも石原慎太郎東京都知事や植樹に参加する小学生たちが。

まず都知事が子どもたちに「緑を増やすことは誰のためでもなく皆さん自身のためです」と話し、続いて安藤氏が「この東京から全地球にむけて森を広めて発信してゆくことが大切」と呼びかけた。

更にボノ氏が演壇に立つと(ここでお姉さまがたが「どよ」とやや色めき立つ。さすが世界のスター)、「よりよい地球を世話する心が呼び戻されるように、今日祈りを捧げます」「(こういった活動は)慈善ではなくまさに正義なのです」と熱を込めてスピーチ。


都知事スピーチ

ボノ氏スピーチ

その後近くの畑に移動。植樹のためのこの土も都内の公園や街路樹の剪定枝葉をもとに作られているのだそう。全員で、これも種からまいて育てた苗木を植えた。太陽がギラギラと照りつける5月末の夏日、まだ少し遠慮がちに立っている苗木を囲む子どもたちの、きらきらと輝く笑顔が眩しかった。


植樹をする子どもたち

植樹・ゲストら


海の森予定地案内図・航空写真*東京都港湾局提供*
(c)東京デジタルマップ

『東京都江東区青海2丁目地先』
この住所でピンとくる人はかなりの地形通かとお見受けする。しかしそこに『中央防波堤内側埋立地内』と付くと分かる人も多いだろう。そう、青海2丁目地先が、東京23区から出るごみを最終的に埋め立てるごみ処分場の正式な住所なのであった。

正確にはココ。
フジテレビから第二航路海底トンネルを走り抜けるとそこはもう、埋立地。

今回植樹したのは赤い線で囲まれている部分。
ゴミの埋立地と聞くと単純な私は「夢の島」という単語を思い浮かべてしまうのだが、調べてみると夢の島というのは江東区にある14号地のことを指すことが分かった。

整備状況・航空写真*東京都港湾局提供* (c)東京デジタルマップ


処分場の移り変わり
都廃棄物埋立管理事務所提供
東京都2番目のゴミ処分場である。東京には昭和2年に潮見に初めての処分場ができ、海の森予定地の中央防波堤内側は4代目、昭和48年から61年まで使用され総埋め立て量は1230万トンなのだという。

現在は同じ中央防波堤の外側とそこにつながる新海面処分場が都民の生活の影の部分を支えている。しかもここは「最後の処分場」と言われ、東京にはもうどこにも埋め立てる場所はないのだということだ。つまり、処分できるゴミは「有限」であるという。

私たちは、どのくらいのゴミを出しているのだろうか。平成19年度、中央防波堤には1年に4トン~5トントラックが延べ25万91台、1日に685台がゴミを運びこんで埋め立てた(産業廃棄物・残土を除く)。

我が一人暮らし宅のごみ袋を思う。ずっと家にいる訳ではないし大して料理もしないがやはり生ごみや紙ごみなど出るし、なんだかんだで結構かさ張っていると思う。一人者でさえこうなのだから東京23区から出るごみの量の凄まじさは想像に難くない。大丈夫なのだろうか・・・。

私は今さらながら心配になって聞いてみることにした。電話で対応してくださった東京都廃棄物埋立管理事務所のミヤベさんは、埋立地の緑化については喜ばしいこととした上でこう話してくれた。


ごみ埋立処分量の推移
都廃棄物埋立管理事務所提供
処分場が今あるだけしかないのは事実。その残余期間を少しでも延ばすには、ひとりひとりがごみに対する意識を高めることが何よりも大切だと言う。

また少し前までは残余期間は30年程と言われていた。が、リサイクルなどの進展などによりごみの量が減り、今では50年程と予測されている。ミヤベさんは、3R(リサイクル、リユース、リデュース)を徹底するなど更にごみを減らすことができればこれをもっと伸ばすことだって可能なんです、と教えてくれた。日々の生活の中でごみを出さない、出したごみをきちんと分別すること、シンプルだけどこれが答えなのだ。

海の森のパンフレットにはこう書かれている。
NOT FOR US, BUT FOR OUR CHILDREN.
苗木を植えてはじけるように笑った子どもたちの笑顔がずっと続くように、自分に何が出来るのかを改めて考えた貴重な取材となった。

既に埋め立てられたごみが新しく緑の森として生まれ変わる―――そこから運ばれる風はただ爽やかなだけじゃない。私たちの生活と切り離すことのできないごみの問題を思い出させてくれる風でもあるだろう。

微笑む女の子 緑の森将来イメージ図

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