地球環境大賞「幸せ国に学ぶ豊かな未来へのヒント」
[2013年8月2日更新分]
岡 康治プロデューサー スペシャルコラム
6月23日(日)13:00~14:00放送「産業の発展と地球環境との共生」を理念に、今年で22回目を迎えた地球環境大賞。
地球を守るための技術の開発や取り組みなどが評価され、これまでに222の企業や団体が受賞してきました。
そうした技術などの優れている部分をわかりやすく紹介する特別番組の担当となって、4回目になります。
毎回頭を悩ますのが、受賞した最先端の技術をいかに噛み砕いて、映像化して伝えるかということです。
今回、大賞のアサヒビールホールディングス株式会社もそうでした。
受賞の対象となったのは、【食料・エネルギーの同時的増産を可能にする「砂糖・エタノール逆転生産プロセス」の開発】。ざっくり言うと、今までと工程を逆にすることで、サトウキビからエタノールと砂糖がたくさんとれる技術を開発したということなんですが・・
資料を読んだだけでは、素人の我々にはピンときません。
そこで、技術やシステムの“凄さ”を理解するために、広報の方との打ち合わせを皮切りに開発者の方からも何度も何度もレクチャーも受けることになります。しかし、どうしても専門用語が多くなり、なかなか前に進めないこともしばしば。そんな時、ディレクターのこの一言が効きます。
「あなたの奥さんやお子さんにわかるように説明してください」
この魔法のことばで、一気に解説がわかりやすくなることが多いそうです(技術者の方から見ると、専門知識をもった人間が取材に来ていると思われているようです)。そこでもうひと押しして、技術のカギの映像化するために、開発者の方に知恵を絞ってもらいます。
今回の「砂糖・エタノール逆転生産プロセス」場合、開発者の小原聡博士が編み出してくれたのは、手作りの酵母と糖分の模型です。この模型を使うことで、なぜ今までよりたくさんの砂糖やエタノールが抽出できるのかを映像的にも説明することが可能になりました。さらに、小原博士と伊藤アナウンサーの軽妙なやりとりを交えることで、とかくとっつきにくい先端技術の仕組みを、とっつきやすいものに仕上げることができました。
こうして初めて見る視聴者の方にも理解してもらえる作品を完成させるまでに、企業の方との顔合わせから
数えて実に3か月あまりが経過しています。
最先端の技術や取り組みで地球の豊かな未来を守る。こうした技術を生かすのも殺すのも“人”です。
心の持ち方、ライフスタイルを見つめ直すヒントを見つけに、幸せの国ブータンにも行きました。
首都なのに信号機を使わない交差点。冷えた飲み物が出てこないレストラン、そしてツルを保護するために電気を諦めた村・・テレビはもちろんネットなど先進国にはあるものは普通に存在するのに、敢えて「使わないこと」を選択した「世界一幸せな人々」がいました。
足るを知る心・・「幸せ」にも「環境」にも豊かな未来へ向けての重要なカギと言えそうです。
文:岡 康治(フジテレビ 情報制作局 情報企画センター)