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社会貢献トピックス

第24回世界文化賞受賞者個別記者会見リポート 絵画部門受賞者・蔡國強氏

[2012年11月5日更新分]


今年の世界文化賞では、蔡國強氏が中国国籍では初の受賞となりました。
絵画部門の受賞者・蔡國強氏は、1986年に来日。火薬を使いながら様々なメディアや手段によって常に衝撃的な表現を発表してきました。
95年にはニューヨークに拠点を移し、水墨画的な「火薬絵画」や、野外、空中で火薬を爆発させるパフォーマンスなどで国際的な評価を高め、今後ますますの活躍が期待されます。

個別記者会見の冒頭、日本の印象を聞かれた蔡國強さんは日本語でこう語りました。
「1986年12月に日本に来て、日本語学校に通い、その後筑波大学で学びました。板橋に3年、取手に5年住んでいたのですが、利根川の堤防の上でまだ若かった妻と子どもと一緒に夕日を眺めていたのを良く覚えています。その頃の日本での生活は、豊かではないが美しい時間でした。
1995年、ACC(アジアン・カルチュラル・カウンシル)の奨学金によってニューヨークへの滞在を認められ日本を離れましたが、その時、私は「日本のアーティスト」として選ばれ、ニューヨークへ行ったのです。とても感謝しています。
いつも思うのですが、日本の街には寂しさのある美しさがあります。静けさがあります。やっぱり日本は美しいです。ニューヨークで日本のことを聞かれると『日本は郷里の美しさ』だと答えます」


これほど詩的に日本の良さを答えられる人は、日本人でさえ数少ないはずです。
20年以上親交のある、いわき市の友人たちについては…
「東日本大震災の後、私は友人が緊急に使えるように、まず支援金を送りました。その後、北京で作品のチャリティーオークションを開催しました。驚いたのは、友人はそのお金を当座の生活費には使わず、『あのお金で桜を植えましょう』と言ったのです。『原発事故は次世代に悔しい思いを残しました。だから、10万本の桜を植えて、自分の手で次世代に美しい故郷を残したい』のだそうです。もちろん、私も一緒に植樹しました」

世界文化賞の賞金の使い道に関しても、日本への思いが詰まったお答が返ってきました。
「賞金の一部はいわき市の子どもアート教育センターに寄付します。それから、ACC(アジアン・カルチュラル・カウンシル)にも寄付をします。私は<日本のアーティスト>としてニューヨークへ行ったのですから、今度は、日本人アーティストがニューヨークで研修するために役立て欲しい」


日米欧で活躍する蔡國強さんですが、国籍はもちろん中国。中国福建省泉州市で育った彼の原点は、絵が好きだったというお父さんではないかと聞いてみました。
「父のことは、少し辛い思い出です。私は若いころ、父に反発していました。彼は、墨絵と書を描いていて、中国の歴史や文化を心から誇りに思っている人でした。私がまだ小さかったころ、私を膝に乗せてマッチ箱の裏にいつも山水画を描いていました。父に『ここはどこですか?』と聞くと『故郷です』と答えていました。父は、自分が若いころの故郷、海辺の町を描いていたのです。
私は長じて村に行ってみました。父が描いた風景とは違っていました。それでいいのです。絵画は心の美しさ、心の風景を描くものですから。
私は20代初めにニューヨークへ渡り、50歳の時グッゲンハイム美術館で、大きな回顧展を開いてもらいました。50歳の若さで回顧展、光栄なことです。
しかし、その時父は病気で倒れ何も理解できない状態でした。回顧展開催を報告しても、父にはわからなことが悔しかったです。会場の一角に父のことを思って、虎の絵を展示しました。自分が今の年齢になって、父と繋がっていたと感じます」

<グッゲンハイム美術館で個展を開いた初の中国人アーティスト>になった快挙を、絵が好きだったお父さんに報告できなかったのはざそ無念だったでしょう。住む国や考え方は違っていても、芸術を通して堅く結ばれていた父と息子であったと思います。

個別記者会見ではぎくしゃくする日中関係に関する質問も多く出ました。
「私は、日本でいっぱい展覧会を開いてもらいました。日本人アーティストも中国でもっと展覧会を開いてほしい。まず、友達になること。アジアの思想には『他人の思想を認める』という考えがあるのです。私は日本の良さも中国の良さも両方知っています。日本と中国が互いに習い、補い合えば、次代に大きな貢献ができるはず」

世界文化賞授賞式典終了後の10月25日には、またいわき市へ行くのだそうです。古くからの日本の友人たちとまた特別な時間を過ごすことでしょう。

文:桜井郁子(フジテレビ CSR推進室)

世界文化賞

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