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2012年度 社会貢献トピックス

気仙沼で「ずっとおうえん。プロジェクト」~cadocco編~

[2012年9月27日更新分]

奥寺アナウンサーの呼びかけで実現…気仙沼の"一角"で朗読イベント

■奥寺 健アナウンサーの報告
9月2日気仙沼市の中心街にある「みなみまち cadocco(かどっこ)」で朗読イベントを開催しました。

「みなみまち cadocco」は、薬局だった1階が津波で半壊した建物を改装したもので、50人程度が集まれる多目的スペースです。外側がガラス張りでとても明るく開放的。近くには、仮設の商店街が軒を連ねます。

朗読会には、子どもたちのほか、男女幅広い年齢層の方がご来場くださいました。

気仙沼には朗読に興味のある方が多く、最初に、オリジナルテキストを使っての朗読レクチャーを少し行いました。その後、浜田廣介さんや斉藤隆介さん、新見南吉さんの童話や詩を朗読しました。
そして最後に気仙沼に因んだ本を朗読しました。

震災直後に気仙沼の避難所で子どもたちが書いた壁新聞が題材となった「ファイト新聞」という本です。フジテレビは、今年1月に東京ドームで「ふるさと祭り」という大きなイベントを開催したのですが、私は、その期間中の1日、「ファイト新聞」を元にした特設ステージイベントをプロデュースしました。

舞台では、「ファイト新聞」の朗読の他、新聞を書いた子どもたちに電話で生出演してもらい、気仙沼や自分たちのことを語ってもらいました。東京と気仙沼がつながったと感じた瞬間でした。それから半年余りがたち、今度は地元気仙沼で「ファイト新聞」を朗読することができ、これで通じ合ったと思いました。小さな完結編を見る気持ちになりました。
新聞を実際に書いた小山里子ちゃんやそのお父さん、初代編集長吉田りさちゃんのお父さんも、会場に来て朗読を聴いてくださいました。

また、今回のイベントは、気仙沼の劇団「うを座」の方々が準備をしてくださいました。「うを座」は、フジテレビアナウンサーによる朗読舞台「朗読Legend」でお世話になった「演劇倶楽部『座』」主宰の壤晴彦さんが指導された劇団で、私たちにとってゆかりのある劇団です。

そんないくつかのつながりのなかで、今回のイベントが生まれました。
私自身、震災以降、何度か気仙沼に足を運び、その都度いろいろな方々に出会いました。気仙沼は、大都市ではありません。人々のつながりは密で、みな何らかにおいて知り合い関係でした。会場には来られなかったものの、「みなみまち cadocco」での朗読会に協力、賛同してくれた方、また、そんな方から知らせを受けて駆け付けてくださった方もいました。朗読会には、子どもたちのほか、男女幅広い年齢層の方がご来場くださいました。
朗読会を通し、気仙沼の方々の輪の中に入れてもらえたような温かい気持ちになりました。

震災から1年半。まだまだ先の道のりは長いですが、それでも当時見えなかったものが少しずつ見えてきています。
津波で家を失い、地域が壊滅的被害を受けていても、互いに支えあいながら一歩ずつ進んでいる方々。中には、リスクを背負って既に家を再建し、地元とともに歩む勇気ある決断をした方もいらっしゃいます。
沿岸漁業は絶望の淵から立ち直り始め、ホタテやカキの養殖は確実に勢いを戻してきています。ワカメ漁も、当初の悲観的な予想とは様子がずいぶん変わってきました。気仙沼で生きる多くの方々に接するうち、"ずっとおうえん"するのは、決して簡単ではないものの、被災した地域が自分で立とうとするのを"見守る"ことからなら私にもできるのではないか。そんな気がしてきました。

"完結"の要素もあった今回の朗読会でしたが、「ずっとおうえん。プロジェクト」としては、ここからが本編の始まり…そんな気持ちになってきた、今回の経験でした。

文:奥寺 健(フジテレビ アナウンサー)