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2011年度 社会貢献トピックス

第23回高松宮殿下記念世界文化賞 式典&祝宴が華やかに開催!

[2011年11月10日更新分]

第23回高松宮殿下記念世界文化賞(主催:公益財団法人日本美術協会=総裁・常陸宮殿下)の授賞式典が、10月19日(水)東京・元赤坂の明治記念館で行われました。
1988年に優れた芸術家たちの顕彰として始まった世界文化賞、これまでに受賞の栄誉に輝いたのは、22カ国 119人。
若手芸術家奨励制度も15回目を数えました。

式典の冒頭あいさつに立った日本美術協会・日枝 久会長は、
「3月に東日本大震災があり、例年どおり発表を行うかどうか悩んだが、国際顧問をはじめ多くの方々の励ましをいただき、こういう時こそ芸術の持つ希望の絆を強め、復興への力を示そうと実施を決意しました。」と述べました。

今年の受賞者は以下の5人です。

(左から)音楽部門 小澤征爾 / 彫刻部門 アニッシュ・カプーア / 演劇映像部門 ジュディ・デンチ
建築部門 リカルド・レゴレッタ / 絵画部門 ビル・ヴィオラ

式典のあとのカクテルレセプションでは、各界の著名人や文化人、これまでの受賞者などが華やかに集い、受賞者を祝福しました。

フジテレビは、フジサンケイグループの一員として、グループとともに世界文化賞創設当時から協力を続けています。記者発表や受賞式典の模様は、ニュースや情報番組で詳しく紹介されました。

2011年10月22日深夜に放送された『第23回高松宮殿下記念世界文化賞授賞式特番』では、音楽部門の受賞者・小澤征爾氏本人と、氏を良く知る人物を取材。『天才』と言われる小澤征爾の人間像に迫っています。

「第23回世界文化賞授賞式特番」プロデューサー特別コラム
~小澤征爾 その眼差しの奥にあるもの~

「世界のマエストロ」小澤征爾さんのインタビューの日。
武者ぶるいなんて、恰好の良いものではなく、ただただ緊張してその時間を待った。
小澤さんの指揮者人生の年表は頭に叩き込んだ。
限られた時間での質問内容の吟味に、朝までかかった。
現場の若いスタッフには、ジーパン着用禁止も伝えていた。
小澤さんの入り時間まであと1時間15分。
そんな時、撮影場所のホテルのスタッフが、私のところにやってきて耳打ち。
「あの~~~、先生がお一人でもう控室にいるんですけど・・・」「えっ?」
そのスタッフも明らかに戸惑っている。
いよいよである。
小澤さんがお入りになっている控室へ。自分の名前すら噛んで挨拶をしたコチコチの私に、
先生は満面の笑みで「こちらこそどうぞよろしくお願いします」とおっしゃった。
「中村さん、今、ぼくは数年後にやるコンサートの曲目を決める打ち合わせしてきたの、コーヒーショップで。いやあ、これは一番頭使ってねえ、むずかしいんだよ。いっちばん、難しいの。疲れたなあ。」
とお話になる。笑顔の中の目が大きく見開いていてオーラと熱がすごい。
一瞬にして、私は肩から力が抜けた。
髪を振り乱して指揮する小澤さんを、気難しい方と思い込んでいた自分が恥ずかしい。
インタビュー内容の打ち合わせに入った。
番組の主旨、先生にお話し頂きたいこと、息子さんとの対談のコンセプト…
説明するこちらに向けられた小澤さんの眼差しは鋭く、一時も目を逸らさない、瞬きもしない。
つたない説明を終えると「もう、覚悟はできていますよ!何でも聞いてください」と笑顔。若いディレクターの心は一瞬にしてほぐれた。
予定通り始まった1時間の取材時間は瞬く間に終わった。濃密な時間だった。

今回の取材にあたり、私たちは小澤さんに関する様々な文献に目を通し、関係者にも話を聞いてきた。
音楽家として、指揮者としての功績を称えるのはもちろんだが、共通したのは小澤さんのそのお人柄に言及していたことだった。

「セイジは私が出会った誰よりも、素晴らしいユーモアセンスにあふれている。
偉大な芸術家には稀なことです」(メトロポリタン・オペラ総裁 ピーター・ゲルフ)
「謙虚で寛大。権威も振りかざさない。」(ベルリン・フィル第1コンサートマスター ダニエル・スタブラヴァ)
「あれだけのキャリアを持ちながら誰も敵がいない、非常に稀な人間。人間性が優れている証」
(ウィーン国立歌劇場元監督 イオアン・ホーレンダー)
「ムーティはウイーン人から尊敬されている。しかし小澤は愛されている。」
(オーストリア業界関係者)
「本当にあたたかい人」(ヴァイオリニスト 樫本大進)

私は、小澤さんと数時間同じ空間で過ごしただけだが、制作・技術そこにいたスタッフすべてが圧倒的なスケールで、あたたかく包まれた。
肩書でも立場でも年齢でもない、今、何かを作り上げるためにこうして出会った人間ひとりひとりの存在を大切にしてくださる。
今まで感じたことのない、とてつもないオーラだった。

小澤さんはインタビューをこの言葉で締めくくった。
「個」が大事。

今、日本人に最も必要な言葉だと、私は思った。

文:中村百合子(フジテレビ 情報制作局 第23回世界文化賞授賞式特番プロデューサー)

世界文化賞

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