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2011年度 社会貢献トピックス

「こどもおうえんプロジェクト」名取市閖上(ゆりあげ)へ!

[2011年7月27日更新分]

佐々木恭子アナウンサーの「こどもおうえん朗読会」リポート

3月11日、東日本大震災が発生してから、何かできることはないか探しながらも、義援金以外に、一歩も動き出せていないことに自分でも苛立ちを感じていました。
発生から1週間たった頃、<ラジオから流れる童話の読み聞かせに被災地の子どもたちが聞き入っている>というニュースを観て、いてもたってもいられなくなりました。機会があれば、ぜひ、子どもたちに会いたい。本を読みたい。


程なくして、被災地に中継取材に行くことになりました。取材先は、宮城の東松島・雄勝・名取。目に飛び込んでくる光景に圧倒されました!どれだけテレビの映像で見たつもりになってはいても、自分の想像なんてちっぽけなもんだと思い知らされるだけでした。
人の暮らしがどんな風に営まれていたか、津波がくる前はどんな町並みだったのか、わずかに残された断片からだけでは、もう頭にイメージを描けない。そして、被災した皆さんが話してくださる内容に、胸は何度も押しつぶされそうになりました。
皆さん、すんでのところで一命を取り留め、何とかきっかけを探して一歩進みだそうとしている。
「前向き」なんて簡単な言葉では片付かない、もっと切実なものです。

名取市閖上(ゆりあげ)で出会った櫻井広行さんは、「ゆりあげ港」で行われていた名物朝市を、いち早く場所を変えて復活させた人です。その朝市では、新一年生のお子さんを持つお母さん達も店を出していました。聞けば、家を流され、入学に備え用意していた学用品も、準備中だった保育園の卒業アルバムも、全て跡形なく無くなってしまったといいます。

現在の閖上(ゆりあげ)小学校の様子。
津波の被害が大きく校舎は使われていない。
閖上(ゆりあげ)小学校の体育館は、
津波に流された品々の拾得物展示場になっていた。


「お子さんたちに、物語の読み聞かせに伺ってもいいですか?」
ためらいながらお母さん達に聞くと、「ぜひ!喜ぶと思います」という嬉しい返事。その後、同じ新一年生の息子さんを持つ櫻井さんが、学校側と話を進めてくださいました。本来通うはずだった閖上(ゆりあげ)小学校は再開できず、近くの不二が丘小学校に間借りしているとのこと。一つの校舎に二つの学校があるのです。

7月8日。地元在住の仙台放送・柳沢剛アナウンサーも参加して「こどもおうえん朗読会」が実現しました。伺ったのは、閖上(ゆりあげ)小学校の1年生と4年生のクラス。


1年生のクラス


4年生のクラス
まずは子どもたちに大きないい声を出す練習、その後私と柳沢アナウンサーが朗読。1年生のクラスでは「おおきなかぶ」、4年生のクラスでは「おおきな木」など、数作品を読みました。1年生も4年生も、汗が噴き出る暑さの中、しっかり聞き入ってくれました。視線が吸い付いているのがわかりました。1年生には少し難しい内容も、最後まで集中してくれ、4年生に物語の感想を求めると、こちらが伝えたいこと以上に深く受け取ってくれていました。感激でした。

最後は、両クラスとも全員で宮沢賢治の「雨ニモ負ケズ」を大きな声で朗読。校長先生も先生方もスタッフも参加してみんなで「雨ニモ負ケズ」の大合唱となりました。

取材から2か月ぶりに、かつて「ゆりあげ港」があった場所に立ったら、相変わらずガランと爆撃を落とされたかのような荒涼たる風景に、雑草だけが青々と伸びていました。
ただ、当日も韓国から祈りを捧げに来てくれた僧侶の団体に会いました。8月の旧盆に行う灯篭流しの計画も少しずつ進み始めているそうです。あと何年、ということはわからないけれど、「悔しいから、絶対負けたくない」その思いはなお強く刻まれているようです。


私たちは微力だけれど、微力を積み重ねていくしかない。「また来てね」そう手を振ってくれた子どもたちに、また、会いに行きたいと思っています。
最後に、この「こどもおうえん朗読会」を実現させるまでにご尽力いただいた皆様、ありがとうございました!

文:佐々木恭子(フジテレビアナウンサー)

※「こどもおうえんプロジェクト」についてはこちら

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