ATP賞テレビグランプリ2009 「特別賞」を受賞して
[2009年11月11日更新分]
今回で26回目を数える【ATP賞テレビグランプリ2009】の授賞式が2009年10月22日(木)に行われ、フジテレビ系列で放送中の『ザ・ノンフィクション』が<ドキュメンタリー枠を14年間堅持し、8月に500回の放送をむかえたことに対して>特別賞を受賞しました。
味谷和哉プロデューサー スペシャルコラム
会場は華やいでいました。10月22日、六本木のハリウッドホール。テレビ番組を制作している、プロダクションのプロデューサーやディレクター達が、誇らしげに集まっていました。そんな制作者の方々から、「ドキュメンタリー枠を14年間堅持し、8月には500回を超えた」という理由で「特別賞」をいただき、いろんなことを考えざるを得ませんでした。
すでに19本もナレーションを読んでもらっている、女優の宮﨑あおいさんが、お祝いに駆けつけてくれ、壇上でこう挨拶してくれました。「いつも、ナレーション原稿を下読みして、喜びや悲しみをアナブースで感じながら、どう伝えようかと緊張しながら臨んでいます」と。
その時、私たち制作者の向こう側には、何百、何千万人の視聴者がいるのだ、と改めて実感しました。何のために番組を作っているのか?
もともと、この「ザ・ノンフィクション」という番組は、日曜日の昼下がりに、ゆったりしながらドキュメンタリーを観てもらうことを目的に開設された枠でした。
私で
チーフプロデューサーは四代目。多くの制作者たちが、それこそ一本一本番組を放送しながら、視聴者の方々と「対話」を重ねて築き上げてきたものです。時には、お叱りのはがきをいただいたこともありますが、私の中で今も忘れられない一通のはがきを思い出しました。
それは92歳のおばあさんからのものでした。きれいな文字で、簡潔にこう書いてありました。
「私は足が悪くて、もうあまり外に出ることはできません。
そんな私にこの番組は元気をくれています。これからもがんばって下さい」
内容もさることながら、92歳の女性が筆を執ってくれたことが、たまらなく嬉しかった。その時こう肝に銘じました。番組を観てくれる人の「顔」を思って、一生懸命作っていこう、と。これからも「ザ・ノンフィクション」をよろしくお願いします。
文:味谷和哉(「ザ・ノンフィクション」チーフプロデューサー)