2014年12月20日 新・週刊フジテレビ批評で放送
政治・政策

国政選挙とテレビメディアのあり方

近年の衆議院選挙の投票率は、2005年の郵政解散で67.51%、
2009年の政権交代解散で69.28%、そして前回2012年は戦後最低となる
59.32%でした。
また、年代ごとの比較では各選挙共通して、若年層の投票率の低さが際立っています。

今回、第47回の衆議院選挙についての事前の世論調査(FNNによる)では、衆議院選挙に
「関心がある」と答えた人は、62.2%で、2012年の衆議院選挙の79.9%を大きく下回っており、
更なる投票率の低下も予想されています。

2005年は郵政解散選挙、2009年、2012年は政権交代選挙でありましたが、
今回の選挙は争点が明確ではないという印象もあり、そのことからも
盛り上がりに欠ける情勢となっています。

主権が国民にある民主主義において、選挙への関心、投票参加は社会の基盤とも言えるものであり、
低い投票率で与党が成立し国の将来に関わる意思形成が行われることは、
望ましい状態ではないと考えられます。

今回の衆議院選挙について、テレビは国民に的確に情報を伝え、
投票行動につなげる働きができていたでしょうか。
そして、今後も行われるであろう選挙について、テレビにできることが
あるとすれば、何があると考えられるでしょうか。

コミュニケーションの形が多様化し、年代ごとのメディア接触も異なる
状況で、国政選挙とテレビメディアのあり方について、
コンパス・オピニオンリーダーの皆様からご意見をいただけますよう
お願い申し上げます。

(参考情報)
●総務省による年代別投票率推移グラフ 
http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/sonota/nendaibetu/index.html

●12月6、7日に行われたFNN世論調査
http://www.fnn-news.com/yoron/inquiry141208.html

オピニオンリーダーへの問いかけ

※コンパスで掲載された全ての意見・回答は各氏個人の意見であり、各氏所属の団体・組織の意見・方針ではありません。
Q1:第47回衆議院選挙に関わるテレビメディアについてどう評価しますか?
Q2:問1の回答理由をお聞かせください。
(コメント欄-文字数に制限はありません。)
Q3:今回の選挙への関心が低くなっている理由をどうお考えになりますか。
ご意見をお聞かせください。
Q4:選挙への関心喚起、投票率の向上について、
これからのテレビにできることはどんなことでしょうか。
具体的なアイデアをお聞かせください。

オピニオンリーダーの回答

( 20件 )
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2. ある程度評価する

村沢義久
合同会社Xパワー代表/ 環境経営コンサルタント
Q2. 「2 - ある程度評価する」の回答理由
民主主義を掲げる国においては、選挙は民意を表明する最重要の場。メディアは、もっと投票率をあげるための積極的な働きかけをするべき。
Q3. 回答する
野党に政権交代を訴えるだけの力がなかったこと。民主党による政権運営があまりにも拙劣であったことが根底にある。
Q4. 回答する
選挙の時だけでなく、日常から国民一人一人が政治に関心をもつように、情報を発信していくべき。同時に、バラエティのようなくだらない番組をなくし、しっかりと番組制作に取り組むべし。
 
 
岩渕美克
日本大学法学部教授
Q2. 「2 - ある程度評価する」の回答理由
 低投票率の原因は有権者の怠慢にある。政治は「悪さ加減の選択である」との言葉が示すように、より悪くない人に投票しないと最悪の結果になる制度であることを承知しなくてはならない。選挙期間中の制限はあるだろうが制度に焦点を当てた報道があっても良かったのではないか。
 今回は、大義なき解散であったためか、選挙戦自体が盛り上がりに欠けた。争点もあまり見えずらく、その意味では安倍戦略にまんまと乗せられた選挙であった。この盛り上がりに欠ける選挙戦の原因は、メディア政治状況などから、テレビ、新聞といった報道機関に求められることになったのであろう。特にテレビメディアは、93年の政治改革、小泉政権下の郵政選挙と政治報道の主導権を握ってきていたので、いわば当然の帰結でもある。しかしながら、前回の選挙も投票率は最低を記録し、今回はそれをさらに下回る結果であった。この原因の一つにテレビメディア、政治の取り上げかたがあるかどうかがということであろう。 
 選挙に関する報道については、以前より慎重さを要求される事情がある。放送法や公職選挙法による制限である。しかしながら、今回の選挙については、争点が見えないこともあり扱いずらいものであったことは否めない。言わば大義なき解散であることを前面に押し出せば野党よりの批判を浴びることになり、公正性を欠く恐れすらあっただろう。とりわけ、公示期間以降の選挙運動期間中は不可能である。
 その中で、GDPショックが起こり、客観的に見ればアベノミクスは現状では効果がないことが証明された。しかしながら、それ以上に期待を外された民主党ショックの方が大きかったために、消極的に自民党に票が流れた。情勢報道などでは与党圧勝の報道が続いた。こうした点を受けて、世論調査の質問紙に臨む政権評価ということで、与野党伯仲を望む有権者が半数近くいることを浮き彫りにした点は評価できる。これが情勢報道の結果に対する揺り戻し効果を生んだと思われる。テレビではアンダードッグ効果と評されたが、微妙に異なる効果ではあると思うがアナウンスメント効果であることは間違いない。
 個人的には有権者を刺激する報道、とりわけ若年層をターゲットsにした報道があっても良かったと思う。扱いずらいが、投票に行かない有権者によってどのような弊害が起きているかを取り上げてもいいと思う。投票時間の延長によって膨大な選挙費用が上乗せされていることなど、選挙制度に関する報道があっても良かったのではないか。その点が物足りなく思う。さはさりながら安倍戦略にはまったのは有権者の選択であって、結果が悪いとすれば有権者の責任である。
Q3. 回答する
 与野党簡に争点がない中での選挙であったこと。選挙の大義とされた増税見送りに反対する野党はほとんどないことからもわかる。突然の解散に、政党、候補者、メディアの本来選挙戦を彩る出演者が準備不足であった。以上のことが想像されるが、一番は衆院選が政権選択選挙であり、現状の政治状況を見ればこの後数十年にわたって影響がある決定を決めたり、自治体の消滅可能性のように数十年後に大きな影響があることにどのような手を本気で打つかといった重要事項がることを理解していない有権者が最も責任が重く、それを伝えきれなかったメディアや有識者にその次の責任があると思う。
Q4. 回答する
 選挙の意義であるとか、選挙の方法すらわからない若年層がいるようだ。選挙になれば情勢報道に終始せざるを得ない部分はあるかもしれないが、よりわかりやすく投票方法などの基本的な、そこまでということまで説明しなくてはいけないのかもしれない。
 開票速報も、テレ東がトップであったようだ。キャスターは、こどもニュースで評価された人です。ジャーナリストとして評価はしますが、キャスター等でする説明は、「難しいことをわかりやすく説明している」のではなく、「タブーを言う」「権力者に突っ込みを入れる」部分です。そこまで説明しなくては駄目なのか、というようなことも説明するようにならなくてはいm家ないのかもしれない。大学生を教育する身として自戒の念も込めて、その必要性を痛感する。
 
 
武貞秀士
拓殖大学大学院特任教授
Q2. 「2 - ある程度評価する」の回答理由
選挙結果は「自公圧勝」ではなかった。開票速報番組は先入観なく、固定観念に縛られないで、目の前の得票数、獲得議席数だけをもとに有権者の選択結果を説明すべき。
 「ある程度評価する」のは、良かった点、改善点の両方があるから。
投票日の午後8時から各局は開票速報をスタジオで開始した。ここでコメントを書くかぎりすべての開票速報の番組を見ておかねばと思い、チャンネルを切り換えながらたんねんにテレビを見た。選挙期間中の番組もいくつかは見た。開票日、各局のスタジオでは開票速報を流しながら専門家が議論をしており、パネルはわかりやすくカラフルで良かった。当選者へのインタビュー、各党の選挙対策本部からの中継など、立体的な構成になっていて、理解が深まった。専門家のコメントは視聴者に対して選挙結果を見るときのポイントを提供しており参考になった。「総選挙実施費用に7百億円を使う必要があったのか」といった得票結果とは直接関係のない質問も出ていたが全体としては当日の番組の構成は良かった。
 ただ、もっとも重要な部分であるが、選挙結果の評価は正しかったのだろうか。視聴者が知りたいことを本当に報道していたのだろうか。ミスリードはなかったか。「自民・公明の圧勝」という報道が続いたが、そうだろうか。開票日翌日でも「自民党圧勝」「与党圧勝」という報道があった。しかし、「自民党単独で310議席到達するか」などといっていたのに自民党はマイナス3議席の290議席である。衆議院の議席が5議席減ったとはいえ、「圧勝」という言葉はしっくりこない。
「民主党は伸び悩んだ」というが、プラス11議席の73議席である。海江田代表が落選したといっても、党代表として他の候補者の支援に行っており自分の選挙区を留守にすることが多かったことが影響したのである。「代表が落選したので民主党の勢いがなくなった」ということではない。維新の党の勢いは持続しており、議席はマイナス1議席の41議席で踏みとどまった。公明党は組織票があるからプラス4議席の35議席だった。自民党が実は選挙で苦戦したのではないか。自民党への批判票が多く、それが共産党に流れたので、共産党はプラス13議席の21議席を記録した。つまり、自民党は圧勝ではなかったのである。それをマスコミは掘り下げて報道してほしかった。
 開票日当日、なぜマスコミは自公圧勝という報道を続けたのか。それは投票日前日までの報道、雰囲気をそのまま踏まえて報道し続けたからではなかったか。最初の予想のときの雰囲気を引きずりながら、当日の開票のときのスタジオで番組が進行したのではなかったか。
 もうひとつ報道内容について希望をいえば、選挙期間であるから、むしろ、さまざまな課題を専門家がわかりやすく説明をして、有権者の理解が深まるような番組を作ってほしい。日韓関係をどうするか。日朝関係はこれで良いのか。日本外交どうあるべきか。それを担う政党はどこか。それができる政治家は誰か。集団的自衛権の行使により日本はどうなるか。今後の安保関連法案はなにがポイントになるか。その他の分野、消費税率、福祉、教育などすべての分野についての専門家の議論をもっと聞きたかった。選挙期間なので日韓関係についての討論番組は、放送するワクがなくなるというのは奇妙だ。
 しかし、日本では選挙期間になると完全に選挙モードにはいってしまう。報道番組は、選挙報道体制となり、普段の報道番組は開店休業になる。専門家の議論よりも各政党の公式見解や政党関係者の見解を報道することが多くなる。要するに一方通行の選挙関連情報の発信になってしまう。
アメリカなどは、選挙のときだからこそ政治家と国民との対話や、専門家同士の政策論議を活発にして、政治家を選ぶときの参考にするという仕組みになっている。候補者と専門家が集まって大討論会を展開してもよいと思う。
Q3. 回答する
 投票率が低いことについてはいくつかの理由があるだろう。大雪に見舞われた地域は投票所に行きにくい。それに事前の新聞、テレビの解説で「理由なき解散」といった言葉が多すぎた。争点がないならどうして有権者は投票に行くのかということになる。有権者はいつも純粋である。また、日本人の政治意識とも関連があると思う。日本人はアメリカ人、韓国人と比較すると、自分が投票をして政治家を選び、それによって政治を変えて、自分の生活や、国家の政策、地域の安全を改善してゆこうという意識は希薄だ。
2012年の韓国の大統領選挙の投票率は、75.8%に達した。とくに50代の投票率は89.9%だったというから驚異的である。「自分たちが大統領を選ぶのだ」という意識が韓国社会にある。過剰だという見方もできるが。
日本社会に「投票を通じて政治を変える」という意識が希薄であることは残念だ。長い時間をかけて改善してゆく必要があろう。
反省点としては、国会解散後、投票日までのあいだ、「解散しなくともよかった」というムードを拡散させた政党やマスコミがあったが、それが低い投票率につながった。有権者の判断をあおぐ選挙を行うことが決まったあと、政党レベルで「理由なき解散」と言ったり、「むだな選挙費用700億円」という説明は控えるべきではないか。有権者は戸惑ってしまう。
Q4. 回答する
 投票率が低かったことを、マスコミの責任にすることはできない。魅力ある政治家が少ないことが原因ではないか。魅力あるカリスマ性のある政治家が、心に残るキャッチーな言葉で、国民に消費税率、集団的自衛権、災害対策、原発事故収束、日韓、日中、日朝関係について語っていただきたい。国民に考えるきっかけをつくる話術を持ってこそ、一流の政治家なのである。
「この分野のことは、おれについてこい」と言い放ち、その言葉が心にしみ通るような政治家の登場を望みたい。要するにキャッチィーな言葉が永田町に不足している。
 投票率向上が急務である。選挙というのは民主主義の基本だ。投票は自分たちの代表を選ぶための手続きであり、自由選挙は国家が民主主義国家たる基本条件だ。国民が選挙とは自分とかけ離れた世界のことだと思うのではなく、自分が指導者を選ぶ機会だと信じて投票所に行くような雰囲気づくりをしたい。マスコミは選挙における投票が民主主義の基本であることをもっと宣伝すべきではないだろうか。
 
 
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3. あまり評価しない

坂野尚子
株式会社ノンストレス社長
Q2. 「3 - あまり評価しない」の回答理由
選挙速報を各局見てみたが、特に司会者のお祭りムードや、政治家へのインタビューで煽るようなところが
大変気になった。

今回の投票率があまりに低かったこと。憲法改正など次代に影響する選挙だっただけに、テレビメディア離れの若者に対してテレビメディアが投票率で貢献できるのかとは思うが、実際には、同時間のツイッターで「テレビは選挙ばかりでつまらない」とつぶやいている若者が多くいて、彼らたちへ何か働きかけができなかったものか、と思う。
Q3. 回答する
投票したいと思わせる政党がいなかった、野党が頼りにならなかったということかと。
Q4. 回答を控える
 
 
山口真由
元財務官僚
Q2. 「3 - あまり評価しない」の回答理由
テレビメディアにおける選挙報道が少ない印象を受けた。

選挙期間中のテレビメディアによる報道は非常に難しいことは、よく理解できる。まず、限られた電波を独占するテレビメディアについては、放送法によって「放送の不偏不党・・・を確保すること」が規律されている。したがって、平時から、偏向のない報道を行うことが、他のメディア以上に強く求められる。さらに、選挙期間中ともなれば、特定の政党や特定の候補者に肩入れし、または逆に脅かすような報道は、強く規制されることになる。

もっとも、そうであったとしてもなお、議論が生じ得るような報道は一切自粛するという風潮のためか、選挙報道が非常に少ないように感じた。これでは、本末転倒となる。不偏不党という放送法の理念は、決して報道しないことを奨励するものではないはずである。
Q3. 回答する
選挙への関心が低い背景については、第一に、自民党に不満がある有権者を吸収できるような野党の受け皿がなかったこと、第二に、消費税については自民党と民主党に明確な立場の違いがなく、論点とならなかったことなどが挙げられると思う。

もっとも、投票率の低さを政治家だけの責任にするような報道には、若干の違和感を覚える。安倍総理に対し、投票率の低さを指摘した上で、「選挙に行かなかった半数の国民の意志をどう扱うか」問うたテレビ報道を目にした。しかし、法律の世界には、「権利の上に眠る者は保護しない」という格言がある。
国民の自覚をあえて促さない論調は、私たち国民の耳に聞こえよいようで、結局は私たち国民を主体性と意志の力を持つ「大人」として扱っていないように思えてならないのである。
Q4. 回答する
テレビ報道において、党首討論のあり方を工夫することはできないか。

与党の自民党・公明党と複数の野党での党首討論は、非常に分かりにくいと感じた。一つの論点に対して、各野党党首が微妙に異なる立場から、異なるポイントを強調して発言。少数野党を含めて党首の数が多過ぎる上に、それぞれの発言時間は非常に短く、発言機会はほぼ1回。短い時間の言いっぱなしで終わるケースが多く、反論や再反論を含む十分な議論はできない。結果として、論点が交錯せず、議論の応酬によって論点が深められていく場面も、認められないように思った。

各政党に対して公平でなければならないため、難しいのはよく分かるが、代表質問のように、与党と野党の1党首ずつの複数回の論戦にするなど、なんらかの工夫の余地はないものだろうか。
 
 
山村武彦
防災システム研究所所長
Q2. 「3 - あまり評価しない」の回答理由
・「敵に隙あり、行って討つべし」安倍首相及び政権与党の戦略勝ち選挙
・前々回選挙時の「民主党政権待望的報道」トラウマで、テレビメディアは選挙報道自粛?
・投票率にかかわらず、今回は結果として「安倍政権信任」以外に選択肢はなかった
 対立軸や、政権奪取勢力がないまま、解散、総選挙に突入するという自民党の絶妙タイミングで仕掛けられた「安倍政権の信任選挙」。前2回の衆院選挙時と比較し、今回はテレビメディアの選挙に関する報道は控えめだったと感じました。明確な対立軸や有力野党不在ということもあったと思いますが、本当にそうだったのだろうか。
 実際にはアベノミクスの進捗状況、TPP、消費税先送り、所得格差、安全保障問題、被災地復興、エネルギー問題など、テーマは数多くありました。にもかかわらず、選挙報道が少なかった要因のひとつに、前々回の民主党政権誕生の選挙時に、民主党政権待望論的報道をしたことへの反省やトラウマが「公平報道の要請文書」で、呼び覚まされたことによるものと推定しています。それにより、選挙に影響を与える懸念のある番組や偏向報道と言われないように、腫物を扱うように自粛した結果、選挙報道の縮減につながったものと思っています。偏向報道は言語道断ですが、短い選挙期間で選択肢が判断しにくい選挙民に参考となる情報を、テレビメディアはもっと提供できたのではないかと思います。しかし、今回は選挙報道が盛り上がったとしても、あるいは投票率が上がったとしても、このタイミングでは、安倍政権信任しか選択肢はなかったように思われます。これも民意だと思います。
Q3. 回答する
前述のとおりです。
Q4. 回答する
選挙が行われることや投票日を知らない人に繰り返し周知することは大切です。しかし、自分の意志で棄権することも個人の自由であり権利ですから、メディアが過剰に投票を呼びかけることにはあまり賛成できません。それよりも、この選挙の意味、どんな課題や選択があるのか、日本が変わる必要があるのか、変わるとしたら何をどう変えるべきのかなどの情報提供が必要です。その場合、メディアに求められるのは、公平、複眼的、ニュートラルサイドからの報道だと思います。
 
 
岸本裕紀子
エッセイスト,政治コラムニスト
Q2. 「3 - あまり評価しない」の回答理由
これはメディアの問題かどうかわからないし、政治家の責任の方がずっと大きいと思うのですが、それでも今回テレビは、選挙をめぐる深刻な事態の本質には迫らず、相変わらずのパターン化した報道ばかりが目についたからです。
選挙前には「低い投票率が問題だ」「若者の政治離れが深刻だ」「争点のない選挙だ」などと言いながら、それをどうにかしようとする企画などはなかったこと。しかしながら、当日の開票速報報道だけは派手にやっていたこと。そのあとの報道は、注目の選挙区について「娘の戦い」といったドラマ仕立てが中心で、日本が抱える問題の本質には迫っていなかったことなどです。
争点についても、本当はいろいろあったはずなのに、「アベノミクスが最大の争点になっている今回の選挙は」などと枕詞をつけることで、あえて争点を不明確にしたりしていたのも問題だと思います。
選挙前の報道は、各党公平の原則など、いろいろ制約があって面倒なのはわかります。それでも、選挙を盛りたてるんだ、といった姿勢とその想いからつくられるべき番組は必要だったでしょう。なのに、選挙の番組は人気がない、だからテレビでは扱わない、ますます選挙から関心が薄れていく、のサイクルでは、何のための報道でしょうか。
Q3. 回答する
政治家への不信。これは野党にも大いに責任があると思います。党内で分裂を繰り返し、他党と一緒になり、また分裂して、では「一体何をやっているんだ。国民の税金を使って」という気持ちにもなります。それも、政策をめぐる争いというより、自分たちの影響力保持、という印象。あげくのはてに、選挙に大敗したのですから・・・。選挙に負け続けて、他国との交渉などできるのかと思ってしまいます。

若者の政治離れ。「誰がやっても同じ」とか「入れたい政治家がいない」などと、きちんと調べたわけでもないのに言っているのを聞くと、情けなくなります。自分たちで日本の未来をつくっていくという自覚がなさすぎます。

争点とマニュフェストへの不信。今回は、原発や集団的自衛権、景気をいかにして浮揚させるか、格差の問題など争点があったはずですが、それをうまく政治家やメディアが整理して伝えなかったのと、付け焼刃でつくるマニュフェストに対して、国民の不信がつのっているように感じました。

今選挙をやる意味がない。政権選択を問うでもなく、消費税についてはどの党も似たようなスタンスで、どう考えても唐突な今回の選挙ですから。
Q4. 回答する
まじめに、争点を整理して、それを比べるなり、議論するなりする。
普段から、もっと政治について、これからの日本について、そういった番組をつくってほしい。選挙への関心喚起のための土台作りが必要だと思います。
 
 
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4. 評価しない

南淵明宏
医療法人社団 冠心会 大崎病院 東京ハートセンター  心臓外科医
Q2. 「4 - 評価しない」の回答理由
変人、希少動物、絶滅危惧種と同様なものをネタにした単なるテレビのエンターテインメントでしかない報道に思える。
目立つ人、曰く付きの人、おもしろそうな対立候補との対戦、落日の野党元党首、などなど国会議院という、一般社会では全く役に立たないヤクザものを一つのエンターテインメントとして扱っている様子は致し方ないと思うが本来の思想や主張など、政治家本来の主張が全く報道されないのはお粗末だとか思えない。が、これはメディアの問題ではなく、訴えるものが何もない候補のせいなのかも知れない。
具体的な質問をメディアがどんどん投げかけて候補者の主張の違いを鮮明にするなどいくらでも方法はある。例えば
あなたの宗教は何か?
あなたが最近6ヶ月以内に読んで感動した本はなにか?
あなたが国民に期待することは何か?
デフレを脱却する必要はあるのか?
消費税は%がいいのか?
国家議員は何人まで減らせばいいのか?
財政再建はどうすればできるのか?
役人の無駄使いをどうすれば止められるのか?
原発などエネルギーはこれからどうするのか?
近隣諸国とどう渡り合えばいいと思うか?
あんたは具体的に何時何をしようと計画しているのか?
などなど答えさせるべきだ。
Q3. 回答する
適菜収が指摘するように、議会民主主義とはその言葉自体が矛盾をはらんだ支離滅裂自己矛盾の狂態であり、そのことに大衆が気付いたに過ぎない。
選挙に民意を反映させることはできない。それはNHKのアンケートと同じく、選択肢が限られていて、少ない選択肢を選んだからとってそれは決して選んだ人の意思ではないことが多いことは明らかだ。
今回は特に選択肢が限られている。
私が見る限り、どの政党の立候補者も知性に欠ける。理性の微塵も感じられない。表情が暗い。風度に趣を感じない。とにかくうるさい!その様には道行く誰しもが眉をひそめて通り過ぎているように思える。まわりでビラを配っているアルバイトの人達も、無愛想で、暗い顔だ。
どの候補者にも代表として国会に行って欲しくない。
そう感じる私のような人が出現し得るのが議会民主主義という中途半端な代物だ。
それに、多数決で決めたことは必ず正しいのか?
隣国が領土に攻め込んできたとする。
けしからんからそう戦せよと多数決で決めたとする。
でも誰でも死ぬのは嫌だ。
だから野蛮な方法で応戦しない、決議する。
銃弾は容赦なく飛んでくる。多数決で皆死んでしまう。
こんなバカでもわかる道理を顧みることなく、さも社会正義にのっとった合理的民主的社会運営、と信じ込まされ、選挙に行かないことが悪いこと、政治に無関心なのはだめなこと、という響きで社会を批判する資格は誰にもない。国民の政治離れは政治の無能さをそのまま示すバロメーターに他ならない。
少なくともこの見解はコンパス参加者全員同じ意見だろう。
Q4. 回答する
政治家の無能ぶり、無節操ぶりをしっかり批判すべきだ。
例えば法務大臣が明らかな団扇を団扇ではなく討議資料と嘯いた。
これは憲政の冒涜!法治国家への挑戦だ!
これほどの犯罪行為(団扇を配った、と言う行為ではなく陳腐な答弁で法務大臣が国会内でしかもテレビの前で国民に言い逃れしようとしたこと)がなぜ放置されるのか?
八億円の熊手はギャグでもいいが、法務大臣のこの浅はかな言い逃れを許すメディアの不作為も国家に対する反逆である。
また、特定機密保護法の独立教唆罪成立の持つ驚天動地の法律施行の国家大転換の事実をどうしてメディアは報道しないのか?意図的スルーとしか思えないのだが、法家商鞅の逸話のごとく、こういった法律は造った側にも何れ厄災として降りかかるだろう。知的好奇心はメディアのネタにはならないのだろうか?それほど国民は何も考えないようになったのだろうか?私には決してそうは思えないのだが・・・。
 
 
小幡績
慶應義塾大学ビジネススクール准教授
Q2. 「4 - 評価しない」の回答理由
議論なき選挙
有識者などによる討論の番組がほとんどなかったから。

まさに、政局、政治論争だけが行われたから。
Q3. 回答する
政治の役割が低下しているのでやむを得ない。
Q4. 回答する
無理に喚起する必要はない。

誠実に本質的な情報、議論を発信し続けるしかない。

それに関心を持つか持たないかは、有権者の責任である。
 
 
潮匡人
国際安全保障学者,拓殖大学客員教授
Q2. 「4 - 評価しない」の回答理由
各党均等に発言時間を与えた結果、与党より野党の発言が増えた番組が多かった。かえって不公平では? 与野党間の議論ではなく、「番組VS自民党」の構図が目立った。開票後の民放番組でも、MCやコメンテーターによる安倍批判が目立った。
Q3. 回答する
どの政党も反対していなかった消費増税先送りについて「信を問う」と言われても、みな戸惑う。結局、アベノミクス以外の論点は争点化されなかった。野党も魅力的な候補者をそろえられなかった。投票率が下がったのは当然では。
Q4. 回答する
各局とも、放送法と公選法が許す範囲内で最大限、独自性を発揮すべき。データ放送の活用も検討すべき。どの局も、ほぼ同じメンバーによる同じような番組だった。これでは投票率同様、視聴率も低下する。選挙や政治への無関心、脱力感をテレビが増大させてしまう。フジテレビはフジテレビらしくあってほしい。
 
 
本田宏
医療制度研究会副理事長
Q2. 「4 - 評価しない」の回答理由
 政権からメディアへ加えられた圧力(公平に報道すべしも含めて)に負けて、選挙の争点を明確に国民に伝える番組が少なかった。日本人は先進国で一番大手メディアを信じる率が高い。その自覚を持った報道を行わなければ、日本が真の民主主義国家に発展することは不可能だ。
 政権からメディアへ加えられた圧力(公平に報道すべしも含めて)に負けて、選挙の争点を明確に国民に伝える番組が少なかった。
 日本人は先進国で一番大手メディアを信じる率が高いとされる。メディアリテラシーが高くない国民を相手にしているという自覚を持った報道を行わなければ、日本が真の民主主義国家に発展することは不可能だ。
Q3. 回答する
①正当な理由が感じにくい解散、②繰り返されてきた政権よりの報道、③争点のあぶり出し不足、④選挙より他の部門(スポーツや芸能等々)が重きを持つようなニュース時間配分、⑤自民大勝等の事前予測で投票意識が削がれた。
Q4. 回答する
 国民に選挙の争点をより明らかに、わかりやすく説明する番組作り。
しかしこれはメディア自身が政権の意向に沿っていたままでは、不可能。そこに日本メディアの深刻な問題がある。
 
 
有馬晴海
政治評論家
Q2. 「4 - 評価しない」の回答理由
能動的に知ろうという人は少なく、受動的に偶然ということになればテレビ。
テレビで選挙報道を知る人がほとんど。
新聞を取る人が若い人は減っている。
能動的に知ろうという人は少なく、受動的に偶然ということになればテレビ。
それに触発される。
投票行動も、テレビに映し出された時間が多い政党が得票につながるという
調査もある。
Q3. 回答する
自民もだめだが、野党はもっとダメ。
入れるところがない。
言っても仕方ない。
Q4. 回答する
ガンガン報道すること。いいことも悪いこともあるがままに。
局が責任を取って政治部が情報を映し出す。
専門家は、ピントがズレレバその後視聴者から責任を問われる。
責任が取れる人が責任で発言をする。これこそが報道の大切なこと。

報道がなければ、政治が積極的に関心がある人、情報を知りうる
一部の人のモノになってしまう。
情報を知ってもらったうえで、個々が判断しなければ、
一部の人のものになってしまう。
 
 
石川和男
社会保障経済研究所代表
Q2. 「4 - 評価しない」の回答理由
選挙の大義は何か?という根本的な問題はあるにせよ、大義なき選挙だ!的な選挙そのものへのネガキャンが多かった。これでは、若い層も含めて選挙に関心を持てるメディア環境とは言えない。
政策を論じる番組は多少あったが、各党の公約を冷静に政策の視点から政治家ではない専門家が論じ合い、社会保障は今後どうなる、景気は今後どうなる、エネルギー問題は今後どうなる、外構問題は今後どうなる・・・といった展望を視聴者に与える番組を連日やることが本当は望ましい。実現しそうにない公約をバッサバッサ斬るようなコンテンツも必要である。与野党問わず、実現性ゼロで詐欺的な内容の公約も少なくない。
政治を劇画タッチで捉えたり、政治家を揶揄するようなコンテンツは、視聴率は稼げるかもしれないが、視聴者の政治リテラシーは上がるとは思えない。
民放の場合は、スポンサーとの関係でそう容易ではないのだろうが、視聴率至上主義で政治番組を作っていると、有権者にとって最も重要な選挙後の具体的政策に関心が行くことなく、単に政治家の点数付けや政党どうしの戦ゲームを愉しんで終わってしまうだろう。
Q3. 回答する
自分の一票ごときで世の中を変えられるわけない、という諦観が蔓延しているからだろう。
少子高齢化が進んでいることで、世代間格差が大きくなり過ぎている。それにより、世代間闘争が起きにくくなっている。これは即ち、高齢層に温かく若年層に冷たい与野党議員に対抗し得る与野党議員が少ないということ。
今のままでは、何度選挙をしても、破滅への道を徐々に進む茹で蛙。。
Q4. 回答する
上記問2と同じ趣旨だが、今のままの政治が続くと、団塊世代以降は確実に大損することを何度も何度も伝える必要がある。
 
 
にしゃんた
羽衣国際大学教授/落語家
Q2. 「4 - 評価しない」の回答理由
総選挙に関わるテレビメディアについての評価を質問する前に、テレビメディアが日常の中で何をやっているか、それが放送法にも言うように民主主義の発展に資しているかを自問自答し、気づくところがあれば、反省することから始める必要があろう。まずは、隗より始めよ。それが全てである。
総選挙に関わるテレビメディアについての評価を質問する前に、テレビメディアが日常の中で何をやっているか、それが放送法にも言うように民主主義の発展に資しているかを自問自答し、気づくところがあれば、反省することから始める必要があろう。まずは、隗より始めよ。それが全てである。

視聴率競争に明け暮れて、なにがなんでも数字を取ろうとバラエティのオンパレード。あるいは人気漫画を原作とするオリジナリティなきドラマ。民主主義の主人公たる国民・視聴者が「民主主義の主人公」という自覚を取り戻し、「自覚を高めていく」ような番組など、お目にかからない。

連日、「これでもか!これでもか!」と遊び的な番組ばかりを放映して、選挙の時だけ「選挙報道です」とやったって、脳みそが弱っている視聴者が民主主義の原点としての選挙を真正面から捉えられるハズもない。

テレビメディアもそのあたりは分かっているのだろう。「政治・選挙報道」でも数字が欲しいから、政治・選挙報道番組のバラエティ化を図る。選挙報道ですら王道を歩むことなく、テレビメディアによって「考える力」を亡くした視聴者にこびへつらうような演出をやっている。
Q3. 回答する
投票率が低いのも、無関心層が、たまに見たメディアで「低投票率予想」が流されておれば、(実は毎日のように流されている)「そうか、俺だけと違うんや。俺も行かなくても構わないだろう」との連鎖を生み、ますます無関心になっていく。選挙終盤になってから白紙委任の危険なところを報道したって無理である。もちろん、無知から来る無関心層も悲劇的過ぎるほど多数である。無知・無関心層に関心を持たせるには時間もかかるだろうが、今のテレビの番組表を見る限りは絶望的である。公明、共産といった組織政党だけでなく、支持基盤の強固な政権政党・自民党も、投票率が低ければ低いほど得票率は浮上するから、低投票率を深刻なものとは見ない。「無知・無関心層は多いほどいい」、なんて内心思っているに違いない。以前、森元首相だったでしょうか、「《無関心層は》このまま寝ててくれればいい」ってホンネを口に出したのはないか。
Q4. 回答する
観客民主主義、おまかせ民主主義、消費者民主主義、などと呼ばれる今の日本の「民主主義」を「国民が主人公の民主主義」に戻すには、テレビメディアの責任は極めて大きい。権力と距離を置き、権力を監視し、権力を批判すること、これらを全て忘れて(放棄して)時の総理とメディアのトップがゴルフしにいったり、食事に出かけたりするようでは真の民主主義は戻らない。
 
 
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5. その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)

森信茂樹
中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員
Q2. 「5 - その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
今回の選挙は、政治論だけの理由なので、メディアもとらえかたが難しいと思います。
「解散権の濫用」というような切り口があってもよかった。
Q3. 回答する
今回のような、国民に問うべき大きな論点のない選挙をおこなえば、ますます有権者の選挙への関心は損なわれる。国民が選挙への関心を失わせるような政治、解散総選挙を行うこと自体が問題だ。
Q4. 回答する
具体的な争点を、その分野の専門家が、政治家、総理・幹事長に、徹底して議論をするような番組作り。表面をなぞってもだめだと思う。税制、社会保障、財政など課題は満載のはずだ。
 
 
原田曜平
博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー
Q2. 「5 - その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
いつもと変わらないので。
Q3. 回答する
今回というより、時系列で見ると徐々に下がってきているのは、政治そのもの
に不信(政治では何も変わらないと思う人が多い)が徐々に根付いてきているのと、
伝える側のメディアが、毎回同じような報道をしているからだと思います。
Q4. 回答する
特に若者の政治離れが進んでいることを考えると、やはり、メディアも未来志向
になり、若者目線での報道が必要だと思います。
具体的には、どの党・誰を支持すれば、具体的にこうした政策を掲げているので、
若者にとってこの点が有利である、等々、彼らの行動欲求を生み出す点を
詳しく解説する必要があるのではないでしょうか。
政治離れ・選挙報道離れをあまりいない高齢層ではなく、むしろ、若者目線を意識
した方が、社会的意義もあり、未来志向でもあり、視聴率にも良い効果を生み出すのではない
でしょうか。
 
 
浜辺陽一郎
青山学院大学大学院法務研究科(法科大学院) 教授,弁護士
Q2. 「5 - その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
選挙を行うこと自体にいろいろな問題があり、テレビメディアだけがうまくやれるわけがない。
選挙を行うこと自体にいろいろな問題があり、テレビメディアだけがうまくやれるわけがない。

選挙に至る経過や問題点については、それなりに報道がされていたが、国民としては、どうしようもないという感じであり、テレビが悪いというわけでもないが、特に評価もできないだろう。
Q3. 回答する
選択肢が示されている感じがしない。

自民党が、信認を得られるかの選挙だったというが、安倍首相自身がどこまでアベノミクスを信じているのかわからない面がみられる。国民に下駄を預けたような形のようでもあり、国民の支持を得られたらアベノミクスを続けるにしても、それが、どのような形でうまくいくかどうかは明確に示されておらず、アベノミクスは誰の責任で行われることになるのか、わからない状況である。

他方、野党はいずれも明確なビジョンを示していないだけでなく、過去の失敗の総括も、政界再編に向けた整理もできていないし、これからの問題提起もピントがずれているように見える。国民からして、反自民の受け皿となる政党もなく、関心を持ちようにも、共感できないし、期待もできない感じである。

たとえば、維新は橋下氏の「慰安婦発言」等から復古調の体質が嫌われたのではないかと思われるが、それがまだ尾を引いているようであり、次世代の党は「自主憲法制定」を第一義に掲げており、多くの国民から、あまり期待していない方向での政策で勝負しているように見えることが、議席を減らした原因ではないだろうか。他方、民主党や生活の党は、前の約束違反を棚に上げて、再び前と同じような抽象的な政策論ばかりで、実現力においてまったく信用できない感じであった。

結局、消去法で、どちらか好きなところを選ぶわけだが、全体として「期待感が持てない中での選択」を強いられるような恰好になっていることが大問題なのではないか。
Q4. 回答する
まずは政治の本体がしっかりしてもらわないと、テレビだけでは、どうしようもないのではないかと思われる。

ただ、国民全体の政治リテラシーや政治に対する国民の資質が上がれば、政治もよくなっていくわけであるから、そのために、テレビが、広く地道に、政治がよくなるような良い報道、政治に対する国民全体の理解を高めるような番組制作をしていくことを目指すべきであると思う。

そういうと、おこがましい感じになってしまうが、良質な政治に関する番組を制作し、それを多くの人々に見てもらうことが重要だ。報道、バラエティ、情報番組、ドラマ、どういう形態でも、いろいろな形で、国民の政治や選挙に対する関心を正しく持ってもらい、政治を正しく理解できるような番組を流してくれるとありがたい。

個人的には、政治のディベート番組が、わかりやすくて面白いので、より多くの影響力を持ちうるのではないか。たとえば、日曜日の朝やBSの番組だけではなく、ゴールデンタイムに地上波でも政治関連のディべート番組はどうか。他局で「TVタックル」が深夜枠に移ったのは残念。また、この種の番組は長続きしないのか。論点は無数にあるわけで、重要で人々の生活に影響を与えるものが多いのだから、そうしたテーマを取り扱うディベート番組を期待する。
 
 
山本博
日本体育大学体育科准教授/アーチェリー選手
Q2. 「5 - その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
NHK 1.評価する
民放各社 4.評価しない
NHKの報道は偏りなく報道する事を心がけようとしている姿勢が伝わるので評価する。
民放各社は、少しでも他局より視聴率を稼ぐための、キャスティングや演出が感じられる。
選挙報道番組だけは報道各社(新聞も含めた)が視聴率を争わずに粛々と報道するべきだと考えている。
従って、民放の報道は評価しない。
Q3. 回答する
2009年の政権交代で民主党が政権を握ったが、その政策能力は国民の期待と大きな隔たりがあった。
期待外れだった民主党に国民は呆れ果てて見切った。そして選挙となり、国民は可もなく不可もなく続いてきた自民党政権に時計の針を戻す事を選択した。
第二次安倍政権が誕生して、アベノミクス3本の矢など経済政策に着手して一定の成果は見せたが、減速気味になってきたところに閣僚の不祥事が発覚したので、仕切り直しの解散となった。
選挙に関心が低いという事は、政治に期待が低いという事、政治に期待ができなくなったのは民主党政権の失態が国民の心に後遺症として残っているから。
維新の会は一時、2009年政権交代時代の民主党に迫る期待が集まり掛けていたが、石原新太郎との合流後から勢いに陰りが招じた。そして、橋下人気にも陰りがみられるようになっての今回の選挙では国民の期待を担うまでのものはない。
従って、国民の関心は選挙よりも年の瀬の準備なのである。
Q4. 回答する
テレビができる事に限定して回答するならば。
各党政見放送を廃止して、各選挙区ごとに候補者の討論会を放送して、激論を放送する。
※法律の改正を前提として。
 
 
中津孝司
大阪商業大学総合経営学部教授,国際問題評論家
Q2. 「5 - その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
テレビ報道と投票行動との相互関係は乏しい。投票行動を左右するのは事前調査である。
 投票率とテレビ報道の間に何らかの相関関係があるとは思わない。どの局も総選挙の争点があいまいだと紋切り型の論説を報じていたが、それが有権者の投票行動に影響を与えたのではないだろう。問題は世論調査にある。事前調査で与党圧勝と伝わったことで、有権者が投票に対する関心を薄めたに違いない。事前情報がなかったなら、投票率は現状よりも高かったのではないか。
Q3. 回答する
 ずばり投票日前に報じられる選挙予測。事前に予測が流れ、大方の展開を把握すれば、有権者は選挙に対する関心を喪失する。
Q4. 回答する
 月並みな論説やコメントを即刻停止し、コメンテーターの一新を図ること。生放送に台本は不要。
 
 
河野勝
早稲田大学政治経済学術院教授
Q2. 「5 - その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
まず、総論として、日本では選挙期間中、メディアが頻繁に世論調査を実施し詳しい情勢報道するということが行われていない。このことをアメリカの友人たちに話すと、それでもデモクラシーか、という反応が返ってくる。ご存知の通り、アメリカの国政選挙においては、毎日のように、もしくは場合によっては数時間おきに、情勢報道がなされ、誰が当落線上にいるかなどがわかるようになっている。日本では、なぜメディアがもっと積極的に、選挙報道をしないのだろうか。思うに、もしメデイァの側が、自分たちの独立性に自負をもち、公平に報道を行っているという自信があるのであれば、(現行の公職選挙法のもとでも)堂々とそうした報道を行って、選挙への関心を高めていくことができるはずである。それができないということは、メディアが有権者から信頼されていないということの表れであるとも考えられる。
まったく違う論点のようにみえるが関連した点としてあげておきたいのは、今回の開票速報を見ていて気付いたのであるが、小泉進次郎氏がやたら頻繁に登場していたという点である。小泉氏は、そもそも解散についてあまり賛成でなかったのでとりあげられたのであろう。そして、開票速報の中でのインタヴューでも、自民党執行部に対して距離をもった発言をしているという感じであった。しかし、これをみていて思ったのは、自民党は小泉氏にそのような(執行部に対する)異見を述べさせるという役回りを担わせるという戦略をとり、だからこそ彼を野放しにしてその行動を規制していないのだろう、ということであった。つまり、小泉氏のような異分子も存在するということをわざと見せるということで、自民党の中の政治的な風通しのよさをイメージとして植え付けようとしているのである。そのことをおそらく小泉氏は自覚し(しかもそうすることが自分自身のキャリアにはマイナスにならないと踏んで)やっているのである。私が危惧するのは、頻繁に小泉氏を登場させたメディアが、そのような自民党ないし小泉氏の戦略にのっかっていることを自覚していたか、という点である。選挙報道をためらうよりも、このような画一的な報道をこぞってすることの方が、よほど政治性をおびた報道の仕方であると考える。
Q3. 回答する
この点については、12月2日の日本経済新聞の経済教室に書いたので、それを参照ください。
Q4. 回答する
問2参照。(上記問1へのコメント部分)
 
 
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