2013年09月21日 新・週刊フジテレビ批評で放送
政治・政策

「秘密保全法案」~“知る権利”との両立 焦点

政府は9月3日、機密情報を漏らした公務員への罰則を強化する「秘密保全法案」の
概要を発表し、国民の意見を募るパブリックコメント(意見公募)を17日まで募集した。
これをもとに10月15日召集予定の臨時国会で成立を目指している。

一方、安倍政権は「知る権利」「報道の自由」などの国民の基本的人権を不当に
侵害してはならないといった趣旨を条文に明記する方針を固めたという。(18日新聞記事)

外交や防衛など4分野の情報の一部を「特定秘密」に指定し、漏らした公務員らに、
最高懲役10年の厳罰を科すことが柱で、米国などとの情報共有の基盤となる。

政府が法律を作ろうとしたきっかけは、2010年に起きた尖閣諸島沖漁船衝突映像の
インターネット流出事件だったといわれる。

かつてこのような機密漏洩事件が起きている。
●1972年「外務省機密漏洩事件」
沖縄返還協定の際に、日米間で密約がとりかわされた事実を、
政府は否定し続けてきた。そして、その密約を暴いた毎日新聞の記者が、逆に犯罪者として処罰された事件。
●米国では「アメリカ外交公電ウィキリークス流出事件」
「元CIA職員スノーデン氏によるNSA機密情報漏えい事件」

【特定秘密保全法案の概要要旨】

特定秘密の指定――行政機関の長は、安全保障に著しく支障を与える恐れがあり、特に秘匿が必要なものを指定。①防衛②外交③外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止
④テロ活動防止に関する事項を具体的に限定列挙。
適性評価の実施――特定秘密を取り扱う職員は、適性評価で秘密を漏らすおそれがないと認められた職員等に限定。
罰則――故意か過失による漏えいを処罰。特定秘密の取り扱いを業務とする者(懲役10年以下/現・懲役1年または最高50万円の罰金要確認)公益上の必要により特定秘密を知得した者(懲役5年以下)

詳しい情報は下記のURLにて。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=060130903

オピニオンリーダーへの問いかけ

※コンパスで掲載された全ての意見・回答は各氏個人の意見であり、各氏所属の団体・組織の意見・方針ではありません。
Q1:今回の「秘密保全法案」に関して、どのようなお考えがありますか?
Q2:問1への回答の理由をお書きください。
Q3:罰則が厳しくなることによって、告発する人が、いなくなってしまう事と
メディアが二の足を踏んでしまうなど懸念されていますが、どのようにお考えですか?

オピニオンリーダーの回答

( 14件 )
  コメントを投稿する

1. 賛成

岩渕美克
日本大学法学部教授
Q2. 「1 - 賛成」の回答理由
 これまでの経緯から、こうした情報を秘匿したり、情報を流したものを厳罰化する法案は、感情論的に反対するものがある。完全な法案であるとは思わないが、その点は修正すればよいのであって、国家機密の存在とその非公開性は法的に担保しなくてはならない。
 総体としては、賛成します。ただでさえ日本は、情報に対する感度が悪すぎるきらいがあると思います。知る権利や情報公開ばかりが目立ちすぎて、国益と照らし合わせた場合に秘密にすべき情報を認めないのでは、ダダ漏れ国家になってしましかねません。日本はスパイ天国であるなどの言い回しはこうした現実を表していると思います。いい意味でも、悪い意味でもということになりますが、国家機密は国家を維持するために当然あってしかるべきものであり、それらを保全する目的で制定されるものであるとすれば制定しなくてはならないと考えます。ただし、原案ではいくつか問題点、まだ検討余地の高いものがあるようです。たとえば現状の自衛隊法や公務員法との関係では、単に厳罰にすればよいというものではありません。また、情報取扱者の定義とその調査が及ぶ範囲の問題もプライバシーとの観点からより明確にすることが必要でしょう。不都合、非合理な部分だけを取り上げて法律自体の必要性にまで拡大解釈することは妥当ではないでしょう。
Q3. コメントする
 こうした法案、事情は少し違うが集団的自衛機縁の議論や第9条改正の議論は、つまるところ性善説化性悪説かの違いに過ぎないように感じています。したがって、この法案が基に告発者が増えるか減るか、メディアが報道を控えるかどうかはそれぞれの個々の問題ではないでしょうか。もともとジャーナリストを考えれば、国益や国家国民にとって必要と思われる情報を政府や権力者の顔色を見て控えるのであれば、御用メディアのそしりを免れないでしょう。それは法の問題というよりもメディアの問題です。告発者についても同様ではないでしょうか。長いものに巻かれろ的な人間が多いかどうかにかかっていますし、これによってためにするような告発が減ることはかんげいすべきことにもなります。
 こうした問題は制度的なものとは異なり、国や民族の文化的な側面が強く働くものではないでしょうか。
 
 
潮匡人
国際安全保障学者,拓殖大学客員教授
Q2. 「1 - 賛成」の回答理由
「その漏えいが我が国の安全保障に著しく支障を与えるおそれがある」特定秘密を法律で保護するのは、国家として当然の法整備である。欧米など諸外国でも同様の法律が整備されている。現行の国家公務員法の一般規定は「特定秘密」の保護を目的としたものではない。これまで「特定秘密」を保護する法律が整備されてこなかったことのほうが問題である。政府は今後、スパイ防止法の制定も検討すべきと考える。
Q3. コメントする
国民の「知る権利」は近代憲法上、最高度に保障されるべき基本的人権である。報道は、その「知る権利」に奉仕する(最高裁判例)。かりに本法案がそれを侵害するなら、憲法違反となろう。ただし、政府案では「拡張解釈の禁止に関する規定」も予定されている。そうした条文が明記されるなら、人権侵害のおそれが大きいとまでは言えない。諸外国の法制と比較しても、べつに前近代的な法整備ではない。罰則についても、現行の自衛隊法やMDA法(特別防衛秘密)と比べ、法的妥当性を失する罰則強化とは言えない。なお、この程度の法規制に臆してメディアが二の足を踏んでしまうのなら、そもそもジャーナリズムに値しないのではないか。「知る権利」に奉仕する正当かつ必要な報道なら、違法性が阻却される(と解釈されるべき)。国民世論も報道を支持するであろう。
 
 
中津孝司
大阪商業大学総合経営学部教授,国際問題評論家
Q2. 「1 - 賛成」の回答理由
安全保障に関わる問題の国家機密は当然の措置である。
賛否両論があるのは承知しているが、国家の尊厳を守るための国家機密の秘密保持は公務員のみならず国民全体の責務である。安全保障に関わる機密は当然の措置であり、国民の義務だとも位置付けられる。この意味で国家安全保障に関わる問題については国家が個人を優越する。
Q3. コメントする
国家安全保障に関わる問題については聖域なく死守する必要がある。この場合、個人の自由は制限される。
 
 
石川和男
社会保障経済研究所代表
Q2. 「1 - 賛成」の回答理由
この法律によって保全すべき範囲を、国会での法案審議の場でしっかりと限定列挙していくようにすべきである。そういう審議を経る中で、情報保全と情報開示の均衡点を見出していくべきだ
「知る権利」や「報道の自由」が引き続き守られるべきなのは当然である。しかし、国家の安全保障や国民の安寧の維持を守るのが国家・政府の最大の役割の一つであることを考えれば、それは「知る権利」や「報道の自由」を超越するものと思う。
 政府の立場からすれば、例えば、ある事が報道されることによって安全保障上の支障が生じる可能性が高まることは、到底許容できないはずだ。ただ、この法案が成立し、施行された場合に、過度の情報統制など政府側の制度濫用の可能性も否定し得ない。
 したがって、この法律によって保全すべき範囲を、国会での法案審議の場でしっかりと限定列挙していくようにすべきである。そういう審議を経る中で、情報保全と情報開示の均衡点を見出していくべきだ。
Q3. コメントを控える
 
 
▲ページトップへ

2. 反対

本田宏
医療制度研究会副理事長
Q2. 「2 - 反対」の回答理由
民主主義の基本は「国民の知る権利の保障」。現在日本は必ずしも必要な情報が国民に提示されていない。そのため発生しているのが原発収束の遅れ、未曽有の高齢化社会目前にした医療や社会保障整備の遅れ等。為政者から見れば都合が良い「秘密保全」は長期的に民主主義の根幹を崩す恐れが高い。
 民主主義の基本は国民の「知る権利を保障すること」。現在の日本は必ずしも多くの必要な情報が国民の目の前にきちんと提示されていない。そのために発生しているのが原発収束の遅れ、未曽有の高齢化社会目前にした医療や社会保障整備の遅れ等々である。
 為政者から見れば都合が良いかもしれない「秘密保全」も、長期的に見れば、民主主義の根幹を崩して、国内混乱を引き起こす恐れが高い。
Q3. コメントする
 すでに現在の日本のメディアは為政者の意向を十二分に忖度して報道を規制しているように見える。社会の木鐸とは言い難いメディアが、今以上に為政者側につく理由を与えれば、国家がどうなるかは歴史を見れば明らかだ。
 
 
南淵明宏
医療法人社団 冠心会 大崎病院 東京ハートセンター  心臓外科医
Q2. 「2 - 反対」の回答理由
拠るらしむべし、知らしむべからず、は衆愚政治の王道。一方、法律があろうがなかろうが、メディア次第だ。肝心のメディアが今のまま、保身第一の事なかれ主義で権力に迎合する存在感のないひ弱な「バラエティ・チャンネル」ばかりなら、何が起ころうがなにも変わらない!
拠らしむべし、知らしむべからず、は衆愚政治の王道。為政者としては常套手段であり、何も驚くべきことではない。それに日本の場合、法律はどう読んで理解して(今の政権であれば漢字に振り仮名が必要だろうが)誰がどう適応するか、その都度の解釈であるので現状でどうなるかは全く不明だ。防衛省が自己防衛力を高めるための法律とも理解できるし、どうせ某超大国からの託宣でこういう法律を作るのだろうとも想像できる。それにしても歴史的事件である、毎日新聞西山太一記者と外務省蓮見喜久子事務官の事件に日本のメディアがいかに低俗に、そして権力に迎合して報道、あるいは肝心部分を無視してきたか、その厳然たる歴史を見れば、どのような法律があろうがなかろうが、メディアがどうしようもないほど腰抜けである限り、国民には何も伝わらず、国民の痴呆化がどんどん進んでいくだけ、大勢には何ら影響はない。ただTPPと同じように国辱的に押しつけられた法案である雰囲気を感じ取るので、ならば実に情けなく、かっこ悪いのでなんとかして止めて欲しい。もっと日本独自の『国家安全保障法』みたいなのを造ってほしい。
さて、たったの二週間のパブリックコメントで決められてしまう!と国民の関心を高めようとしている女優もいる反面、くだらないバラエティを流しまくる低俗マスゴミの実情を観て、国家壊滅の危機感を持つ人がおそらくこの日本に5人ぐらいしかいないであろう現実は、やはり結局これはメディアの「日本総幼稚化」の結果に他ならない。
国民脳髄全溶解の戦犯がメディアであるのに、今更「国民の知る権利はどうなるの?マスコミの取材の権利は?」などと被害者面する厚顔無恥さにはあきれかえる。恥は無いのか?メディアども!と言いたい。
何があろうと、どんな事件がおころうと、多数の人が泣こうがわめこうが、腰抜けメディアは一切報じない。巨悪を放置し、権力に迎合し、こびへつらい、強い奴の情報を無批判で垂れ流す。対象が弱いと見るとを徹底的にたたきまくり、ドブに落ちたらなおさら石を投げつけまくる。卑怯の極みだ。組織の不正、非道、犯罪行為をどれだけ多くの人がこれまで決死の思いで告発してきたか、そしてのそのほとんどをメディアが無視してきたか。そういう実情を無視して「政府は酷いんですよ!」などと国民に問いかけることにメディアの人間は恥を知れ!
無理だと思うが、もって勉強しろ。そして正義をなせ!この現実でメディアしか正義にはなりえないのだから。この国が文化的であるために、この国に正義が保たれるために、メディアは存在する、と自負と責任感、使命感を持ってほしい。
Q3. コメントする
西山事件とその顛末が物語るように、司法の正義とは権力者の利益である(カリクレス)。
タダの公務員の集団である裁判所に正義など求めるべくもない。また、裁判は社会を変えないし、裁判所も社会を変えようなどとは思っていないだろう。
世の中は個々の人間の熱情で彩られている。
自分が公益のため、社会のため、正義と思って行動する人物は必ずいる。
どんな法律で締め付けようと、締め付ければ締め付けるほどそういった、逸材、いや英雄と言うべきジャーナリストは必ず出てくるものだと信じる。だからいくら法律で縛っても、それでも身を賭して告発する公務員も必ずいることだろう。ただもっとおそろしいのは、これまでの日本のいろいろな事件で、真相を知る人間や告発を企図した人物が突然の不慮の死を遂げている、という事例が散見される点に注目すべきだ。これは取り締まる法律がどうのこうのと言う話ではない。こういう小説めいた、かつアンタッチャブルな事件に対しても行政やメディアはいったいどう反応してきたのか?
またさらに「お上の御政道」をメディアで批判した人物やタレントがやけにタイミングよく、不祥事が発覚しメディアから消え去る事態に不自然であるという印象を国民の誰もが持っているのではないのか。こういう事態の方が今回の法律よりはるかに恐ろしい、メディア戒厳令社会とも言える恐ろしい社会なのではないのか。
一方で本当に「悪」に対する司直の不甲斐なさは国民はもう身に染みている。インチキ投資詐欺事件や詐欺商法や組織犯罪など、何年も前からいろいろな人が身を挺してさんざん指摘、告発していた話をずっと無視し続け、被蓋が蔓延してはじめておもむろに、そして唐突に「違法です」などと正義感面して特捜部が大挙家宅捜索する、そんな検察を誰が信用するだろうか?誰が正義を成すのか、どこに正義があるのか、国民は全くわからない。違法適法、やりたい放題、証拠創作、何でもあり。基本、弱いものイジメの見せしめ懲罰。とことんあきれてしまう。例えば「お母さん助けて」詐欺にはこの手の犯罪に限っておとり捜査を法律で認めれば徹底的に根絶できるのに、やらない。やはりどの機関も、自分達の組織が第一で国民、市民はそっちのけ、ということなのだろう。
どんな罰則があろうと、正しいと思ったことはしっかりやり遂げる、むしろ卑怯な手法でじゃまされる事態を享受する、そんな英雄は必ずいる。世間の人々が全く情報を与えられず飼い慣らされ、巨悪が蔓延っても、研ぎ澄まされた異彩を放つ英雄はそこかしこから必ず創出されるものだ。
 
 
にしゃんた
羽衣国際大学教授/落語家
Q2. 「2 - 反対」の回答理由
「特定秘密保全法案」への道筋もまた、結論ありきで、民意が反映されたとは到底思えない、形だけのパブリックコメントもいつの間にか済ませたそうだ。毛頭考えたはずがない「報道の自由」と「知る権利」の文脈も法案を通すための、仕方がなく後から付け足した。「秘密保全」と「知る権利」、「秘密保全」と「報道の自由」は相反する上、両立は基本的にありえない。ましては「何が特定秘密」って勝手に国家が決められるようでは両者間の力関係はあまりのもバランス悪すぎる。到底賛成など出来ない。言わずして民主主義の最大の前提条件が情報公開であり、言論の自由である。改善余地は大いにあるが、少なくとも周辺諸国を見渡しても、国家を批判することが命がけの国ばかりで、日本ほど民主主義が進んだ国は珍しい。失うようなら「MOTTAINAI」は環境問題に限らず、現状の民主主義にも大いに当てはまる。せっかくの民主主義を捨てて、日本は周りの諸国と同じレベルに降りて、国家権力だけの対話で戦争でもしようとしているのか。今回の秘密保全の第一歩は、ある日突然、赤紙が来るってことに繋がるのではないか。戦前回帰の風潮を心底心配している。「外国の利益を図る目的」などを処罰の対象に掲げているが、国民に内緒で、まさか日本が他国の利益を図る行為(売国)をしようとしているのではないだろうか。そんな彼らこそ、処罰の対象になるべきではないか。かつての西山太吉のような志し高いジャーナリスト逮捕者はもちろん、秘密情報を抱え込んだがゆえに他殺や自殺する羽目になる者もこれから大量に発生するでしょう。

国民の安全保障の担い手として国家は万能ではなく、むしろ間逆で国家中心に委ねることが最大の不安要因であることが歴史からの最大の教訓でもある。とっくに終わったと国側で処理されているかつての戦争の後始末を行っているのも結局、力のもたない民衆である。また、二度と過ちを起こさない、安全保障としても自由で越境な精神をもつ民衆の力こそが最も有力で、絶対に無視してはいけない。「秘密保全法案」の延長線上に、国家同士の戦争とは無縁の民衆の平和な心までも抹消されるのはないかと心配している日本人は大勢いる。戦争経験者の日本人老婆に「国はろくなことはせん。信用するな!」って言われた記憶が蘇る。戦後、GHQが、Screen(映画)、Sport(プロスポーツ)、Sex(性産業)の3Sを愚民政策として導入したというが、今度の「特定秘密保全法案」もまた言論統制の中で、日本国民に「見ざる!」「言わざる!」「聞かざる!」と、国民を愚民どころか、まるで猿扱をしようとしている。
Q3. コメントする
罰則が厳しくなることによって、メディアは、どれも上っ面で、似たような内容の、刺激にかける、面白くないものになってしまうのでしょう。報道の自由=表現の自由=知る権利は、失ってからではもう遅い。起きようとしている状況についてのメディア側の自覚がどうなっているのかと心配するほど、おとなし過ぎる。各々のメディアの思想を取りあえず、横にお置いて自らこの議論のリードする必要がある。
 
 
▲ページトップへ

3. どちらでもない

浜辺陽一郎
青山学院大学大学院法務研究科(法科大学院) 教授,弁護士
Q2. 「3 - どちらでもない」の回答理由
必要性は認めるが、いろいろと修正する必要があるのではないか。たとえば、「行政機関の長」による「特に秘匿が必要なものを指定」の適正さはどのように担保されるのか。
必要性は認めるが、いろいろと修正する必要があるのではないか。

「行政機関の長は、安全保障に著しく支障を与える恐れがあり、特に秘匿が必要なものを指定」というが、その指定の適正さはどのように担保されるのか?行政機関の長が拡大解釈して乱用した場合、誰がどのような責任を取るのか明らかでなければ、結局、その指定が独り歩きしてしまう恐れがある。

たとえば、30年を経過したら自動的に全部公開するといったルールなどでも導入しないと、事後的にも検証できないということにならないか。

「特定秘密を取り扱う職員は、適性評価で秘密を漏らすおそれがないと認められた職員等に限定」という、が、この職員等の適性性はどのような資格、どのような手続きによってチェックされることになるのだろうか。

ある程度の運用に依存せざるを得ないところがあるにしても、それをチェックする仕組みがなければ、抽象的な精神規定を置くだけでは無意味ではないか。
Q3. コメントする
告発者を保護するルールも明確に設けるべきではないか。現行の公益通報者保護法では不十分。

メディアの在り方は、その報道倫理が問われている問題。メディアにかかわる倫理観に裏付けられた高度な専門性を持った人材が多数育成されなければ、いろいろな理念も「絵に描いた餅」である。
 
 
鈴木豊
青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科教授・公認会計士
Q2. 「3 - どちらでもない」の回答理由
①適正・公正な運用環境が不明であるから。
②環境が確立されれば法案は必要である。
③欧米の議会・政府の国民・市民への完全開示の姿勢は、Public Right to Know(公的な知る権利)から出発したパブリックアカウンタビリティ(公的説明責任)であり、この思考は日本は遅れている。
④国民に対しては原則的に、「包み隠さず開示する」ことが原則である。
⑤このことは立法府・行政府に対して共通である。
⑥しかし、国益・個人情報に関しては一定の制限がある。
⑦それ故「特に秘匿が必要なもの」のの判断基準を明確に、確定的に確立させておかなければならない。
⑧不確定概念であると、自由裁量が入り、完全不開示の弊害を惹起させてしまう。
Q3. コメントする
①開示・不開示の基準が明確であれば、違反した場合は厳罰もやむを得ない。
②基準が明確・確定的であれば、メディアはパブリックアカウンタビリティにも包含されており、ひるむことなく国民・市民に対して果敢に報道する義務がある。
 
 
岸本裕紀子
エッセイスト,政治コラムニスト
Q2. 「3 - どちらでもない」の回答理由
この憲法にも関わるような重要な法案について、あまりに情報が不足しており、報道も少ないので、きちんとしたスタンスを示せないという「どちらでもない」です。

知りたいことは、以下のことです。
* 世界各国は機密情報保護について、どのような法案を持ち、それをいかにして運用しているのか。
* 日本では、従来の法案でどのような不都合があったのか(インターネットに流出した尖閣沖漁船衝突の 映像などは、むしろ知りたかった情報である)。
* この問題は、集団的自衛権の問題とどう関係しているのか。アメリカからの要請はあるのか。
* 特定秘密の範囲は、明確にできないのか。
* そもそも、違憲状態(一票の格差)のまま選ばれた国会議員が、このような重要な法案を決める権利が  あるのか。
Q3. コメントを控える
 
 
伊東乾
作曲家・指揮者 ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督
Q2. 「3 - どちらでもない」の回答理由
Yes and Noだ。一大学教官としては「守秘」必要性、秘密漏洩への罰則は理解可能。むしろそれら情報に携わるものの選別で行政機関の長や警察本部長などが行う「適性評価」濫用を懸念。むしろ自治体の長などが国益に反する発言を平気でする局面を見る現代日本である。危険極まりないものを感じる。
多くの方が機密の漏洩に対する「罰則」関連で反応しておられるかとも想像しつつ、他の方と少し違う可能性のある意見を述べたい。これは一音楽家としての僕というより東京大学の1教官として経験に基づいて思う事だ。例えばあらゆる東大教授は何らかの形で入試に関わっている。大学入試はそれこそ「守秘義務」のオンパレードだが、私はこうした内容については機密の遵守を非常に大切な事と考えている。マスコミがお気楽に「知る権利」などと書くとき「出してはいけない情報を業務で持つ人がどう思って見ている事か・・・と、やや冷ややかな印象を受けることが多い。全学生の成績を筆頭に、日常的に多くの守秘すべき情報を持つ一大学教員として「秘密漏洩への罰則」などはむしろ強化されてもよい面があるのでは、位の印象を実は持っている。しかしそんな私が、今回の秘密保全法案にYes and No の意見を表明するのは「特定秘密」の取り扱いができる職員(「取り扱い業務適性職員等」)を選別するべく(本人の同意を得た上で、としているが)「行政機関の長」あるいは「警察本部長」が実施するという「適性評価」が実施でき、また「公務所もしくは公私の団体に照会して」必要な事項の報告を求める事が出来る etc といった細部に疑問を持つからだ。これは「特定秘密」にタッチ出来る者の選別という観点を拡大解釈することで公務員その他の思想信条その他の情報をチェックし、ある種の「種別」を行える枠組みを広げるもので、大学でいうなら、学長が、特定の教官が特定の守秘業務の担当に適するか否かをチェックし、さまざまなフルイ分けを正当化するといっているようなもの。節度を持って利用されるならともかく、法の条文は一度記されればあらゆる方向に暴走し得るもので、さまざまな危険を懸念しないわけには行かない。とくに現在の日本では自治体の首長などで率先してこの適性に合わない、国益を害する連中を目にするので、危険極まりないものを感じざるを得ない。
Q3. コメントする
告発が正義である、といった短絡的な立場を私は取らない。むしろ、スクープばかりを狙い、誤報の場合などさっぱり責任をとろうとしないメディアの体質を考えるとき、こうした側面を強調すること自体に私は疑問を持つ。
 
 
山村武彦
防災システム研究所所長
Q2. 「3 - どちらでもない」の回答理由
国家として国民の不利益にならない範囲で一定の情報管理は必要だと思う。しかし、国益を損なう特定秘密と国民の知る権利との境界を誰がどのような基準で決定するかが明確でない。
また、秘密保全法案で特定秘密に指定された場合、公文書管理法の除外規定が適用される可能性がある。たとえその時点で国家秘密であっても、一定の期限を設け開示するルールがないと、特定秘密という名のブラックボックスになってしまう、それを防ぐ意味でも客観的な時間の審判で後日歴史評価できる仕組みや、時の政権に不利になる情報が特定秘密にさせないためのチェック機能、そして国民の知る権利を阻害させない明確なルールが必要である。
Q3. コメントを控える
 
 
牛島信
弁護士(会社法) 牛島総合法律事務所
Q2. 「3 - どちらでもない」の回答理由
日本の国益を守り、国民の安全を確保するためには、政府が保有する重要な情報の漏えいを防止する特定秘密保全法の制定は必要であり、同法には公務員による機密漏洩に対する一定の抑止力があると思われる。しかし、そもそも大量の情報を瞬時に漏洩することを可能にしたインターネット社会においては、たとえば日本版スノーデン事件、すなわち、政府の機密情報の大量漏洩は避けられない時代となる可能性があるのではないか。
Q3. コメントを控える
 
 
松田千恵子
首都大学東京教授/マトリックス株式会社代表
Q2. 「3 - どちらでもない」の回答理由
内容が流動的なので何とも言えないが、以下の点は考慮すべきではないか。
① 機密の指定や適正評価の実施など、効果的かつ効率的に運用できる状態にあるのか
② サイバーテロへの対策についても考えられているのか(昔ながらの機密漏洩への対処にみえる)
③ 一方、国民の知る権利云々については情報公開法の充実とセットで考えるべきではないか
Q3. コメントを控える
 
 
▲ページトップへ

サイトを見た方からの回答

コメントを投稿する
※ご入力いただいた情報の取り扱いについては、『利用目的』をご覧下さい。
 また、メッセージを送信される前には『フジテレビホームページをご利用される方へ』を必ずお読み下さい。
※送信内容に個人情報は記載しないようお願いします。
※投稿する際は、件名を編集しないでください。
コメントはありません