2013年04月28日 Mr.サンデーで放送
政治・政策

アベノミクスの現状とこれから

コンパスのオピニオンリーダーの皆様に、アベノミクスの今後を展望いただきたいと考えております。
今回の企画は、現政権の内閣参与で、アベノミクスの“生みの親”とも言われている、元財務官僚の本田悦朗・静岡県立大学教授にMr.サンデーの宮根キャスターがインタビュー取材するもので、その際にコンパスでお聞きしたオピニオンリーダーの皆様の見方を本田氏にぶつけて、企画化しようというものです。
アベノミクスに関しては、安倍政権発足以来、為替相場は円安に向かい、株式市場では株価が急騰。さらに黒田東彦新・日銀総裁が就任し、新たな金融緩和策を打ち出すとさらに株価が高騰、“アベクロ景気”とも言われるような状況にあります。
世界で「通貨安競争」を引き起こすとの懸念も広がっていますが、18日からワシントンで始まった20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、初日の夕食会で日本側が安倍政権の経済政策や日本銀行の金融政策について説明し、「反論はなかった」(麻生太郎財務相)ということです。
順調に滑り出したともみられる「アベノミクス」の今後について、懸念を含め、ご意見をいただきたいと考えております。

オピニオンリーダーへの問いかけ

※コンパスで掲載された全ての意見・回答は各氏個人の意見であり、各氏所属の団体・組織の意見・方針ではありません。
Q1:日本経済復活の起爆剤として期待されるアベノミクスの現時点での評価をお伺いします。
アベノミクスはどれくらいの成果を残すとお考えですか?
Q2:問1の回答理由をお聞かせください。
Q3:アベノミクスの今後を展望するとき、懸念すべきことは何だと思われますか?具体的な懸念をお聞かせください。

オピニオンリーダーの回答

( 22件 )
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1. 大きな成果を残すと思う

武貞秀士
拓殖大学大学院特任教授
Q2. 「1 - 大きな成果を残すと思う」の回答理由
国民がアベノミクスの成功に向けて協力し、強靱な日本国を創造するために総力を結集すべきときがきた
アベノミクスの具体的中身がわかったというだけで、株式相場で株価が急騰し、輸出産業が息を吹き返しつつある。安倍政権が実際にアベノミクスを実行に移して行くとき、さらに日本経済が回復するとみて良い。なぜならば、
第1に、国民の支持が高まりつつある。先日、安倍総理自身が民間放送テレビに出演して、アベノミクスとは「努力したものが報われる社会にするために行う経済政策だ」と説明していた。あらゆる政策は国民の支持を受けることが前提だが、このアベノミクスのコンセプトは国民の支持を集めることは間違いない。
第2に、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を3つの矢とした。これを実行に移すとき、それほどハードルは高くない。だから期待を高めた市場がすぐに反応した。2%のインフレ目標、円高の是正、無制限の量的緩和、大規模な公共投資(国土強靱化)、日本銀行の買いオペレーションによる建設国債の引き取り、政策金利のマイナス化、日本銀行法改正をめざしているが、それらは強力な政治指導力と、なにがいま必要かを知っている日本銀行という2つ前提条件が揃ったので、実現は困難ではない。
Q3. 懸念すべきことがある
 もちろん、いくつかの不安材料がある。ほんとうにアベノミクスによって内需が拡大することにつながるのかどうか。インフレだけが進行して所得が上昇しないときどうなるか。資源を輸入するときのコストが高くなるが、それをどう吸収してゆくか。構造改革を進めるといっても、既得権を守りたいという人々の理解を得ることができるかどうか。懸念が残っている。
 また、懸念すべきは国際社会の反応である。構造改革をしないまま、輸出品の品質向上の努力を怠ったままの企業や、未曾有の円高の恩恵で輸出を拡大してきた国々がある。それらの国々の専門家は、円安を苦々しく思い、自国の輸出が急減したことを憂慮し、「日本政府が円安を誘導して日本の輸出競争力の回復を狙っている」という批判をしている。未曾有の円高を意図的に誘導してきた国家があるのではないかという疑念には耳を貸さなかった国々の批判である。デフレを止めて内需を拡大するための日本政府の政策を意図的に「円安誘導」という言葉で説明する見方があるのは困ったものだ。この国際社会の誤解は、懸念材料のひとつである。
 
 
河野勝
早稲田大学政治経済学術院教授
Q2. 「1 - 大きな成果を残すと思う」の回答理由
大胆な金融緩和を打ち出すことによって、株価を高くし、また円安を誘導した。
何よりも重要なことは、日本経済がよくなるかもしれないというglimpse of hopeを
日本人のマインドセットにもたらした。歴代の政権ができないことを、すでにいくつも
実現していることは、率直に評価すべきである。
Q3. 懸念すべきことがある
経済政策は、金融にしろ、財政にしろ、規制緩和にしろ、なによりも経済主体が将来の動向を「織り込んで」行動するようになったとたんに、すべてその効果が水泡に帰してしまう。アベノミックスは、まさにだれもが予想した以上の、まさに「異次元」の金融緩和をすることによってもたらされた。これからも経済主体の先まわりをして、彼らの合理的期待を上回る政策をずっと打ち出し続けることができるか。相当のイノヴェーションが要求されていると思う。
 
 
中津孝司
大阪商業大学総合経営学部教授,国際問題評論家
Q2. 「1 - 大きな成果を残すと思う」の回答理由
財政出動、異次元金融緩和、成長戦略をワンパッケージで提示したところに「アベノミクス」の妙味がある。
 安倍政権が打ち出した経済政策の手法そのものには新味はない。しかし、財政出動、異次元金融緩和、成長戦略をワンパッケージで提示したところに妙味がある。論より証拠。市場がこれを評価している。日本の株価上昇は世界の注目の的となっている。為替相場は1ドル100円の水準に急接近してきた。これを背景に景況感が改善。そのインパクトは朝鮮特需の規模を超える勢いである。「アベノミクス」は今年の流行語大賞の有力候補となろう。
 今後、経済成長率、賃金上昇率、物価上昇率、といった数値にその成果が表出してくるだろう。もちろん不動産価格は軒並み上昇することになる。夏場を迎えれば明らかになる。今後1年間で日経平均は2万円、為替は1ドル120円を目指すと予想する。これが「アベノミクス」の具体的な成果となる。
Q3. 懸念すべきことがある
 多忙で安倍首相と黒田日銀総裁が健康を損なうこと。両者には今後5年間は仕事をまっとうしてもらわねばならない。

 想定以上の好景気となり、金融緩和策が当初の計画よりも早期に終了すること。異次元金融緩和策は長期間続かないと居心地が悪くなる。そのためには経済回復が適度に漸進的であるほうが市場参加者は喜ぶだろう。資産インフレを長く享受するためには経済状況が適度に改善しないほうがよい。
 
 
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2. それなりの成果を残すと思う

潮匡人
国際安全保障学者,拓殖大学客員教授
Q2. 「2 - それなりの成果を残すと思う」の回答理由
すでに一定の成果を残している。ただ、今後いつまで続くかは不透明。消費増税という重い政治課題もあり、現在のペースを維持するのは、難しいのではないだろうか。
Q3. 懸念すべきことがある
景気弾力条項や参院選の結果など何らかの事情により、消費増税ができない場合など、財政規律に関する国際的な信用が失われ、場合によっては、国債が暴落するなどの懸念が残る。
 
 
岩渕美克
日本大学法学部教授
Q2. 「2 - それなりの成果を残すと思う」の回答理由
 一時的には効果があるが、その後の継続的な効果を見るにはまだまだ不安がある。国際経済の成り行きなども注視しなくてはならない。
 アベノミクスというネーミングはいかがなものかとは思いますが、金融緩和の効果はそれなりにはあるでしょう。ただし、現在の円安はムード先行であり、とりわけシェールガス革命によるドル高が見かけ上、円安になったことから始まったのではと思っております。したがって、日本経済のファンダメンタルズが改善されない限り、一時的なものに終わってしまう危険性は孕んでいると考えます。
 その語の二の矢、三の矢の効果はよくわかりません。あまりに話題先行すぎて、支持率が高すぎるのも、その後の失望につながらないかと懸念してもいます。
Q3. 懸念すべきことがある
 もともと新自由主義戦略に立つ総理であり、またぞろ竹中慶大教授を徴用していることなどからも、格差が広がりかねないことが一番の心配です。一時的な景気への好影響だけで、日本経済全体が上がらなくては、弱者の不満が高まることも考えられます。そうした下支えがない状況でのイケイケ政策は、本当に国民のためになるのかどうか、という不安は常に付きまとっており、それを払しょくするような政策や文言は聞かれていないように感じます。
 
 
永濱利廣
(株)第一生命経済研究所 経済調査部主席エコノミスト
Q2. 「2 - それなりの成果を残すと思う」の回答理由
失われた20年の元凶である産業の6重苦を多方面から解消しようとしているため。
特に円高の主因となっていた消極的な金融政策に抜本的なメスが入ったため、2年で2%のインフレ率の達成は困難であるものの、念願だったデフレからの脱却の可能性が高まった。
失われた20年の元凶である産業の6重苦を多方面から解消しようとしているため。
特に円高の主因となっていた消極的な金融政策に抜本的なメスが入ったため、2年で2%のインフレ率の可能性は低いものの、念願のデフレからの脱却の可能性が高まった。
Q3. 懸念すべきことがある
・現時点では全く懸念することではないが、将来2%のインフレ率達成に固執しすぎて資産バブルを生成してしまうリスクがある。逆に、拙速に金融政策の出口に向かえば、デフレから十分脱却できない可能性もある。金融緩和で先行している米国の出口戦略を参考にすべき。
・せっかく大胆な金融緩和を行っても、財政規律が緩めば日本の信認が過度に低下してしまうリスクも全くないわけではない。
・抵抗勢力に屈することで、法人減税や規制緩和、経済連携協等の成長戦略が不十分となる可能性。
 
 
江口隆裕
神奈川大学法学部教授
Q2. 「2 - それなりの成果を残すと思う」の回答理由
これまでの構造改革と異なり、「女性の活躍」を成長戦略の柱に据えたことは評価できる。これによって、雇用及び消費の拡大が見込める。働く女性に対する強いアピールになり、産業全体の活性化にもつながるだろう。
Q3. 懸念すべきことがある
成長戦略の次の矢がどのような内容になるかがポイントだ。本当の意味で、日本の産業の構造改革につながるものでないと、実質が伴わないものとなる。
 
 
土居丈朗
慶應義塾大学経済学部教授
Q2. 「2 - それなりの成果を残すと思う」の回答理由
デフレ脱却のために金融政策をより積極化させたことは重要なことである。それとともに、成長戦略もより具体化させようとしている点は評価できる。
デフレを止めるためには、積極的な金融政策は不可欠である。それを後押しするような政策方針と日銀総裁・副総裁人事を決めた安倍内閣の姿勢は評価できる。
また、成長戦略を具体化させるべく議論を加速させ、TPPの交渉参加を決定して、経済構造の改革にも着手しようとしている点も評価できる。
ただ、現時点で財政健全化の方針が固められていない点は懸念として残る。
Q3. 懸念すべきことがある
3本の矢のうちの財政政策で、財政赤字を削減できない可能性がある点は、懸念材料である。自民党内には、国土強靭化を名目に公共投資を拡大する声がある。教育の強化、国防の強化も、財政支出を増やす圧力となっている。さらに、TPPに関連して農業分野に補償が必要となれば、これも財政支出を増やす要因となる。ただでさえ、高齢化で社会保障支出が増えることが予想される中で、社会保障以外にも支出を増やす要因が多く存在している。
巨額の政府債務を抱える我が国において、これ以上財政赤字が拡大することは避けなければならず、第2次安倍内閣において、財政健全化目標(2020年までにプライマリーバランスの黒字化など)を閣議決定できるかどうかが問われる。
 
 
クロサカタツヤ
株式会社 企 代表取締役/ 総務省情報通信政策研究所コンサルティングフェロー
Q2. 「2 - それなりの成果を残すと思う」の回答理由
景気が良い「気分」になった功績は大きいが、真価が問われるのはこれから
景気の「気」が気分の「気」であることを実証した功績は大きいと思います。

茶化しているのではなく、経済は人間によって作られる以上、そういう気分が高まることは社会にとって大事なことといえます。日本人が久しく(もしかするとバブル以降)忘れていた感覚かもしれません。

ただ逆にいえば、株価のような「気分」が影響を及ぼしやすい指標の上昇しか、ここまでは成果が見えません。そしてこの先に残された、実体経済の成長を実現するには、数多ある構造的な問題を、解決していかなければなりません。

たとえば、現在需要が最も顕在化しているといえる、被災地の土木工事を見てみると、工事費を使い切れずに積み残しているケースも散見されます。機動性や柔軟性があり、なおかつ一定程度の利ザヤが期待できる、つまり使いやすい予算でなければ、いくら積み上げてもそもそも消化できず、ハコモノ行政に対する批判さえも成立しない、一種の危機的な状況だと言えます。

こうした実務的な問題から、女性のさらなる社会進出などの文化的な問題に至るまで、失われた20年の間に宿題を先送りしたツケが、我々には大きくのしかかっています。この解決の筋道をつけられるかが、アベノミクスの本当の課題といえるでしょう。
Q3. 懸念すべきことがある
持続力。これに尽きると思います。

1980年代のバブルも、振り返れば10年近くの時間を費やして、バブルとして膨らみました。あるいは構造改革に関しても、決断は一瞬だったとしても、それが定着するには長い時間を要します。

その間、権力が安定するか。そして我々国民が、そうした変化に継続してコミットしつづけられるか。

私たち自身の意識はどうあれ、国民の代表である首相がコロコロ変わっている日本は、諸外国から見れば「飽きっぽい国民」によって構成されている、と見えます。

そう考えれば、持続力が問われているのは、実は我々国民の側なのだと、私は思います。
 
 
有馬晴海
政治評論家
Q2. 「2 - それなりの成果を残すと思う」の回答理由
国民自身が、デフレに飽きて、景気に敏感で求めている。
ターゲットを示して、そうなるまでやり続けるという意欲がみられる。
民主党政治の後遺症で、期待が高い。
財界も含めて、いいものは一緒にやろうというむ―でがある。
黒田日銀総裁。
野党がだらしなく、安倍政権に期待するしかない。
全てにおいて、準備段取り、そして周辺が好意的。
少し長いタームが考えられる。
Q3. 懸念すべきことがある
参院選、TPP、実態がついていかない場合など、いろいろあるが、
補正予算も一票差で可決されたり、G20でも諸外国からの批判も少なくのり切っている。
 
 
岸本裕紀子
エッセイスト,政治コラムニスト
Q2. 「2 - それなりの成果を残すと思う」の回答理由
株価上昇と円安、そして気分による一部消費の盛り上がりという意味では、今のことろ順調な滑り出しである。ただ、今はまだ気分どまりであり、そこここに景気回復の確かな手ごたえがあるわけでもないし、国民全体の収入アップなど実体が伴っているわけでもない。
アベノミクスは大きなソーシャル実験であり、実体経済が伴わなければ―――具体的には普通の人々の給料が上がり、株と不動産だけではない適度なインフレが起き、仕事が増え、消費が活発にならなければ、また、新しい産業が興り、そこに新たなビジネスが確立しなければ―――、アベノミクスが成功したとはいえないと思う。                                             
今は、国民も、民主党政権時のごたごた、何も決まらず政権内部での闘争をこれでもかと見せられてうんざりしていたから、安倍政権の矢継ぎ早の政策に新しさを感じているところなのだ。「やはり、スピードと実行力が大事ね」と感じている国民は多いだろうし、当面これで走るのは間違っていないとも思う。
が、その一方で、じっくり議論したり、時間をかけて政策を練り上げたりすることがおろそかになっては困るとも感じる。
女性の活用を強力に打ち出したことは評価できる。
Q3. 懸念すべきことがある
以前の安倍政権は短命だったにも関わらず、国会を通過した政策は案外多かった。おそらく、安倍首相は、スピード感を持って政策実現にもっていくことが得意なのだと思う。
一方で、「経済成長によって生じる格差問題をどうするか」をじっくり議論したりすること、憲法改正について国民的議論を広く喚起することなど、もともと時間がかかり、結論を出しにくい事柄に関しては、性急に事を運びすぎるやりかたとは相入れないから、不安が残る。
 
 
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3. あまり成果を残せないと思う

本田宏
医療制度研究会副理事長
Q2. 「3 - あまり成果を残せないと思う」の回答理由
明治以来渋沢栄一が指摘した、日本経済人の社会貢献意識の乏しさを見れば、大企業の内部留保の放出も一部に限られるだろう。一方庶民は消費増税、円安による諸物価上昇と上がらない給与で、富裕層の一部以外は恩恵が少なく、格差がさらに拡大することが懸念される。
明治以来渋沢栄一が指摘した、日本経済人の社会貢献意識の乏しさを見れば、大企業の内部留保の放出も一部に限られるだろう。一方庶民は消費増税、円安による諸物価上昇と上がらない給与で、富裕層の一部以外は恩恵が少なく、格差がさらに拡大することが懸念される。
Q3. 懸念すべきことがある
その基本が米国型の市場原理最優先にあること。TPPふくめて、行き過ぎた市場原理主義は、弱者からみれば武器を用いない経済戦争に他ならない。繰り返し発生するテロは、世界に市場原理を拡散しようとする米国の生み出した産物であるという現状認識が不可欠。
 
 
松田千恵子
首都大学東京教授/マトリックス株式会社代表
Q2. 「3 - あまり成果を残せないと思う」の回答理由
金融政策だけではデフレを脱却できない。
成長戦略を本格的に軌道に乗せない限り、持続可能性に乏しい。

その成長戦略については、現時点でみるべき内容に乏しい。
Q3. 懸念すべきことがある
当然ながら、財政状況。

どんな国も永遠に債務を増やし続けることはできない。

「今回だけは別」「日本だけは違う」という認識が誤りで

あることは、大著「国家は破綻する」(原題はThis time is different)

にある通り。
 
 
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4. 全く成果を残せないと思う

小幡績
慶應義塾大学ビジネススクール准教授
Q2. 「4 - 全く成果を残せないと思う」の回答理由
リフレはヤバい 黒田新日銀総裁の超金融緩和は百害あって一利なし
リフレ政策という金融政策は極めて危険な政策なので
Q3. 懸念すべきことがある
極端な金融政策による、日本からの健全な資本の流出、金融危機
 
 
にしゃんた
羽衣国際大学教授/落語家
Q2. 「4 - 全く成果を残せないと思う」の回答理由
自民党の政策は、意地になった博打打ちの姿と重なる。派手な生活を好み、その生活がやみ付きで、後先を考えず借金繰り返し、その時さえ良く、チヤホヤされることを喜び、激しく浪費し、さらに大きな借金をする。もちろん反省も感じない。自然の厳しさを知らず、冷暖房付きの部屋でぬくぬくと育ったお坊ちゃん政治家が殆どだからか、冬の時期への備えなどの日本人の真面目で手堅い発想も欠落している。今回も2年で物価上昇率2%にするためなら手段を選ばないと言う。アベノミクスの発想もまた、言わずして博打で、最後の賭けに出たとしか思えない。その場凌ぎになればまだしも、これは日本の命取りになっては困る。「成果を残した」とは、一般の国民が幸せを感じて初めて言えることで、この路線では、そのような時代が来るとは全く思えない。インフレや成長がなくても幸福と活力のある社会をどう拵えるのかがむしろ問題ではないか。
Q3. 懸念すべきことがある
三本の矢の恩恵が本当に社会の細部まで行き届くか?である。一般国民に潤いをもたらすとは推測に過ぎず、そのための具体策も全く見当たらない。結局は一般国民は、幸せの実感どころか、最悪のシナリオとしての、膨大な借金を使い、ばら撒いたは良いが、それが海外ファンドや資産家の富をさらに膨らませたに過ぎず、格差社会を広げ、減少して来ている自殺者を再び増やし、国際的な信用を失い、そして途轍もない額の借金を子どもたちに残す。懸念することしかない。

先週、銀行で住宅ローンの申請をしたのですが、昨年と比べて倍の額を貸してくれると言われ吃驚した。バブルの頃に日本に来た私ですが、当時の羽振りのいい生活をして暫くして夜逃げや行方をくらました恩師や友人。調子に乗せられて失敗する人々。悪夢が蘇る。
 
 
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5. その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)

伊東乾
作曲家・指揮者 ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督
Q2. 「5 - その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
現状で「アベノミクス」は標語、いわば「見せ金」として機能。中長期的な日本経済「復活」の起爆剤となるかどうかは、率直に「これからすべてが始まる」と言うべき段階。
現状では「アベノミクス」なる言葉は標語、いわば「見せ金」として機能する面が大きく、瞬間的な相場の変動は惹起しても、中長期的な日本経済「復活」の起爆剤となるかどうかは、率直に「これからすべてが始まる」と言うべき段階にある。過去6年で6回の政権首班交代が続いた日本で中期的な安定成長を見込む市場の好感や、インフレターゲティングによる中期的な成長姿勢への歓迎感による変化が見えているもので、本質的に「日本経済が復活」する「起爆剤」として機能するか否かは、「アベノミクス」キャンペーンが掲げる「三つの矢」なる呼称に従うとしても、財政政策、成長戦略などいまだ確たる芯が見えない面が大きい。「アベノミクス」が成果を残すかどうかは、この際どうでもよいことで、日本経済の出来るだけ速やかで望ましい立ち直りだけが本質的に重要なイシューと考える。
Q3. 懸念すべきことがある
実体経済と遊離したバブルの膨張と、結果必然的に懸念される恐慌。
 
 
浜辺陽一郎
青山学院大学大学院法務研究科(法科大学院) 教授,弁護士
Q2. 「5 - その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
現在、大博打を打っている最中。吉と出るか凶と出るか。もちろん、なんとか吉と出ることを期待していますが。既得権益の打破を実現する規制改革とか、効果的な予算の使い方など、ちゃんとできるかどうかが問題。
大きな成果を残すかもしれないが、運が悪いとまったく成果を残せないことになる可能性もあり、いま、大博打をしている最中であるとみている。

もちろん、なんとか吉と出ることを期待していますが。既得権益の打破を実現する規制改革とか、効果的な予算の使い方など、ちゃんとできるかどうかが問題。

これまでの非効率的な原子力発電事業を不合理にずるずるとひきづったり、これまでのしがらみに縛られて、無駄を垂れ流し続けながら、新しい産業への効果的な予算の使い方にシフトできなければ、今までと同じというわけにはとどまらず、失望による反動も加わって、まったく成果を残せないどころか、とんでもない結果となるリスクもはらんでいるだろう。特に、財政規律の維持に失敗すると、トリプル安(債券安・株安・円安)のリスクがあるほか、きちんとした構造改革ができないと、インフレによる庶民の不満だけが高まって政治が不安定化してしまう。

金融緩和が単なるステロイド剤で、将来、強い副作用が出ないことを祈っている。
Q3. 懸念すべきことがある
いわゆる「三本の矢」のうち、「民間投資を喚起する成長戦略」が実現できるかどうかが問題だが、まずは産業構造の転換が図られて、そこにお金が効果的に回っていくことになるかが問題。規制改革がうまくできなければ、既得権益を温存して、非効率な事業を残すような結果になり、成長戦略を現実のものにすることはできなくなってしまう。

インフレなのに一般的な所得が増加しない恐れがあるといった指摘がある。きちんとした分配がされることを期待するが、経営者も労働者も手前勝手なことばかりやっていると、どうしようもなくなる。これを規律する政治が模範を示す必要があるはずだが、相変わらずの党利党略ということでは、日本経済全体の安定的な成長は望めないだろう。

もしも、成長戦略が不発に終わってしまった場合、あるいは停滞した場合、財政規律にも支障をきたし、現在の金融緩和は、やがてトリプル安(債券安・株安・円安)となって、企業活動も大打撃を受け、世界での競争力を失うことになりはしないか、心配もある。

だからといって、今、勝負に出ないわけにもいかないのだが。リスクがあっても、何か手を打つべき時ではある。問題は、どうやってそれを実現するかだろう。
 
 
南淵明宏
医療法人社団 冠心会 大崎病院 東京ハートセンター  心臓外科医
Q2. 「5 - その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
経済の実態に景気回復の兆候などどこにもないはずだ!だが世の中はコケおどしで結構いけてしまう。ガンバレ!虚妄政策!迎合報道!保身行政!
経済の成り行きは誰にも予測できない、天変地異のような要素で変動していると思うのだが、それなりの『画策』をもって臨むに当たっては、それなりの『理屈』をもとに行動するのは当たり前に自然な人間の所作であることは間違いないし、やってる本人は絶対に成功するという意気込みでやっているのであって、そういった感情的要素、あるいは人間の思惑が、かてのニューディル政策やナチス・ドイツの失業者根絶を目的とした大胆な政策のように、本当に実体経済を変えうるのか、興味津々で見守りたいと思う。おさらいして言うと、政府や誰かの思惑で、国家レベルの経済は動くのか?という問いだ。それともう一つ、世界がグローバル化し、地域差が縮小し搾取が困難になってくる状況で、労働ー生産ー消費、といった物欲に完全依存する資本主義という経済のしくみは、もう「品切れ」、つまり手詰まりなのか?金持ち(資産家)が何かに投資して(労働者を搾取して)利ざやを稼ぐ、そういう仕組みでなりたつ『お金中心秩序社会』がこれからも継続され得るのか、アベノミクスの今後はその試金石だろう。ただ、私の個人的な予想は資本主義は終演を迎えているし、先の政府が経済を操れるかという点についても疑問なので、とにかく「消費し続ける」というベクトルが停止した今世紀においては、前時代的で全くのKYな揺動にすぎず、茶番に終わると思う。
とか、偉そうに書いたが、誰でも心の底では同じ気持ちだろう。「牛丼の値段下がってるでぇ!」「テレビも安っすいやん!」「クルマなんか軽しか売れへん!」誰も裕福になっていない現状で経済が上向いていると刷り込もうとしているメディアを中心とした輩は本当にご苦労さんなことだと思う。データや統計もいくらでも好きなように結論できるものだし、第一サンプリングが怪しい。実態は相当に下降しているのでは?
Q3. 懸念すべきことはない
個人的には金融商品には手を出していないので安心している。近い将来、株の暴落はまたあるだろう。その都度言い分けはなされるだろうが、虎の子のタンス預金は減る一方。とにかく、日本男子たるもの、もののふの威信にかけてタンス預金を投資などに回してはならない。これからは国家の中央銀行制度の意義が失われて行く30年だろう。そもそもの「お金」の意味が再認識される時代、ということだ。
宮根さん!最近ぜんぜんスタジオに呼んでもらわれへんけど、訳知りなおっさんに質問したって下さい!
「そもそもお金って何なんでしょう?食べるもんあって、家族がおって、住むとこあったらそれで幸せ、その幸せをどう享受するか、がほんまの裕福、いうことやないんですか?」
こんなふうに。
 
 
原田曜平
博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー
Q2. 「5 - その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
回答を控えます。
Q3. 懸念すべきことがある
若者研究家として懸念するのは、やはり、若者の消費動向にどういった変化が表れる
のか、という点です。
今の若者たちは失われた20年のデフレ経済しか知らずに育ってきています。
急に株価が上がっても、これから景気が良くなるから消費しなさいよ、と言われて
も、好景気の経験がないので、急に消費行動に変化が表れるとは考え難いと予想されま
す。
少なくとも、かなり時間がかかるように思います。
不安定な世の中しか知らない今の若者たちに、安心して消費行動を行ってもらうため
に、安心した社会、ビジョンや未来のある社会だと実感させないといけないと思います。
そのためには、若者たちが腹落ちできる政策、夢を抱ける政策が裏にあることが必要
不可欠だと思います。
 
 
朴斗鎮
コリア国際研究所所長
Q2. 「5 - その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
景気の「気」を刺激し、期待値を高めることで円安と株高を実現したことは、スタートしては成功である。しかし、ここから成長戦略を軌道に乗せられるかどうかが問題だ。経済成長が実現できなければ、庶民が潤う「分配」につながらない。期待はするが「結果」を推し量かる段階にはない。
Q3. 懸念すべきことがある
当面は2014年度に大きな山場がやってくる。13年度の財政投入の反動、消費税の駆け込み需要の反動などである。この対応策がまだ見えてこない。
これを乗り越えたとしても「アベノミクス」が成功して物価が上昇するようになったとき、今度は長期金利が上昇し国債価格は下がる。そのときの財政負担増をどのように解決するのか。
こうしたことがうまく解決できないと、金利は高止まりし、超円安になって、食品やエネルギー価格が上がる。年金生活者はものすごく苦しくなる。円が暴落し、企業が外国に吸収され技術や人材も海外に流れる可能性が高くなる。
こうした副作用に対する処方箋がいまのところ見えてこない。
 
 
石澤靖治
学習院女子大学長
Q2. 「5 - その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
 こうした問が出ること自体、アベノミクスが一定の成果を挙げているように思われている部分があるからだろう。しかし私は現在の次元を超えた貨幣供給、それに伴う円安と株高、そしてG20でその政策を容認したことなどは、すべて安倍政権あるいは日本が、ある一定の時間をもらった、言い換えれば「もう1回だけ日本に期待してみようか」という猶予をもらったようなものだと理解している。
 日本がデフレを脱却して成熟型経済として新たな持続的な成長のスタイルを確立するには、これから様々な抜本的な改革が必要になる。安倍首相は19日に「いよいよ成長戦略の出番だ」として、いくつかの政策を発表した。重要なのはその中身の是非よりも、それを具体的にいかに実行するかということである。それを行うには、日本社会と政治、そして自民党自身にそれをやり抜く、思想と意志と戦略が必要である。
 アベノミクスは、明るいムードを作り、時間を買うということでは意味があった。問題はすべてこれからである。そしてこれから実態を伴う成果を見せることができなければ、日本経済は市場から見放され、通貨安、インフレ、不況という大変な事態に陥るのではないか。もちろん、私はそれを望むものではなく、今後の政策を安倍政権も自民党も体を張って実現することを期待するものだが。
Q3. 懸念すべきことがある
 問2で回答したように、目先の円安、株高に浮かれて、その後の苦しい抜本的な改革を避けようとすることである。また参院選で自民党の勝利が現時点で確実視されているが、そうなった場合に自民党が「昔の自民党」に戻り、構造改革に及び腰になることである。その甘さを大いに懸念する。
 
 
山田昌弘
中央大学教授
Q2. 「5 - その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
若者、少子化対策、女性の活躍推進への政治主導の発揮はたいへん評価できる。
金融政策、円安誘導は、富裕層のみに恩恵があり、トリクルダウンが起きなければ、格差拡大につながる。
今のところ中立。
生活者に視点を当ててみると、
若者対策、婚活を含めた少子化対策、女性の経済進出に対する政治主導の発揮は、大変評価できる。
これは、ぜひ続けてほしい。日本の競争力を高めるために、いままで活躍できなかった人材を表に出す施策は日本経済復活の鍵である。
しかし、金融政策、円安誘導は、単に土地や株などの資産を持っている人だけの消費をあおり、一般庶民層の収入増加の道筋がたっているわけではない。物価上昇は、確実に貧困層を直撃するだろう。輸出企業の経営者、従業員はよいかもしれないが、サービス業や輸入を中心とした業者、従業員は苦しむだろう。
Q3. 懸念すべきことがある
格差拡大。
今のところ、資産や株を持つもの、株高、地価上昇期待で喜ぶかもしれないが、そもそも、それらをもっていない庶民層、特に、非正規雇用者などに恩恵が及ぶ道筋がたっていない。ただ単に、収入が上がらず、ガソリン代などが上昇していけば、資産を持っていない人の生活水準は低下するだけだろう。
このままだと、日本は格差社会から、階級社会になってしまうのではないか。
 
 
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