2012年07月21日 ザ・コンパスで放送
社会・公共

『九州北部豪雨』から考える、これからの「豪雨対策」

■1:設問テーマの背景(facts)

 7月12日から九州北部に降り続いた豪雨は、気象庁が「経験したことのないような大雨」と表現して警戒を呼び掛けたものの、各地で河川の氾濫や、大規模な土砂崩れを引き起こし、14日時点で22人が死亡、8人が行方不明という甚大な被害をもたらしました。
また。住民への避難指示と避難勧告は福岡、大分、佐賀、熊本の4県で少なくとも計12万8千世帯、35万8千人におよびました。

 いわゆる「豪雨」(1時間あたり80mm以上の雨量)の回数は気象庁の調べで、全国的に増加傾向にあります。約10年毎の平均発生回数を見ると、1976年~1986年:10.7回、1987年~1998年:13.6回、1999年~2010年:17.0回となっており、70年代後半から80年代半ばまでと最近の10年を比較すると実に約1.7倍増加していることがわかります。
「豪雨」の回数は増加傾向にあり、今回の九州での豪雨をはじめ、毎年、豪雨災害は大きく報じられているにも関わらず、同じような被害が繰り返し繰り返し発生しています。

 昨年も、7月には、新潟・福島で記録的豪雨が発生し、死者・行方不明者合わせて6人の被害を出し、9月には、台風12号による集中豪雨で和歌山県を中心に、50人を超す人命が失われ、さらに同じ9月、今度は台風15号の影響で名古屋の庄内川が氾濫する可能性が高まり、市内の109万人に避難勧告が発令される事態となりました。

 今回の梅雨前線による大雨は、引き続き各地で警戒が必要なほか、今後の台風シーズンでも、河川の氾濫や、山間部での土砂災害、都市部ではゲリラ豪雨による被害も懸念されます。

■2:番組として(our aim)
 番組では、豪雨が増加傾向にある中で、毎年、同じように豪雨災害、とりわけ人的被害の発生が繰り返されるこの背景に何があるのか。そして これからどのような対処が可能かを考えたいと思います。
そして、豪雨災害への備えを、2つの観点から考えたいと思います。

 ひとつは、豪雨災害の被害を最小化する対策の現状と、その問題点です。
今回の災害は、たとえば、山国川の氾濫は、2003年から行われていた整備が遅れていた箇所から発生したことなどから、いまだ50%台に留まる、河川整備の遅れが改めてクローズアップされる結果となっています。
国の河川整備は画一的かつ計画が硬直的になる傾向がある一方、地方自治体が主導する場合は、その行政能力の差によって対策の質に差が出ることが予想されます。加えて、事例ごとに、主体が異なる場合、
責任の所在が混在し、結果的に対策が不十分になることも考えられます。
さらに、国にも地方にも、財政状況に余裕があるとはいえない中、堤防整備は何十年単位の時間がかかる大型事業であり、即応性が低く、完成時には、環境が変わっている可能性もあります。

 もうひとつの観点は、避難という緊急性の高い判断の現状と、その問題点です。
気象情報は国から末端の市町村に伝えられるトップダウン構造ですが、その情報に基づく避難等の判断は地域特性を踏まえ各地方自治体に委ねられます。
ですが、状況が不透明な中では、現実的には避難指示・勧告は、簡単には出しづらく、一方、住民が独自に判断するための材料は限られているという中では、避難が後手に回る危険性は常に付きまといます。
今回の九州での豪雨でも、最も被害の大きかった熊本県阿蘇市で避難勧告が発令されたのは、降水量が最も多い1時間当たり106.0ミリを記録した午前2時~3時台の後の午後4時でした。また熊本市では、午前7時に氾濫が始まりながら、市が避難指示を出したのは2時間後の9時20分であったとの報道もあります。
国-各自治体-住民という3段階の構造の中で、適切な避難の判断と行動がなされるためには何がどうあるべきなのか、明解な答えはいまだ見出されていません。
・ 
 簡単に答えが見つかる問題では無論ありませんが、行政、経済、経営、政治、法律、さまざまな分野の知見を持たれる、コンパス・オピニオンリーダーの皆さまのご意見が集まることで、難しい問題の答えにつながる大きな端緒が拓けると考えました。
どうかご意見をお聞かせください。よろしくお願い申し上げます。

オピニオンリーダーへの問いかけ

※コンパスで掲載された全ての意見・回答は各氏個人の意見であり、各氏所属の団体・組織の意見・方針ではありません。
Q1:豪雨が増加するなか、毎年の被害、とりわけ人的被害が繰り返し発生する背景にはどのような要因があると思われますか?
Q2:問1の回答理由をお聞かせください。
繰り返し被害が発生する要因をどう解消するかについてもご意見をお寄せください。
Q3:人的被害の発生をなくすため、適切な避難勧告・指示が発信され、住民が速やかに避難を行うには、今後どのような問題の改善が必要でしょうか?ご意見をお聞かせください。

オピニオンリーダーの回答

( 23件 )
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1. 1:国の対策の問題

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2. 2:地方自治体の対応能力の問題

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3. 3:上記(1,2)のいずれもの問題

常見陽平
千葉商科大学国際教養学部専任講師
Q2. 「3 - 3:上記(1,2)のいずれもの問題」の回答理由
「豪雨は、毎年、どこでも発生するものである」
危機とは常に想定外のものだと考える発想が必要。
「大震災や原発事故の教訓に学べ」と誰もが言うが、学んだ人を見た試しがない。
縁起が悪い話だが・・・。
「地震、雷、火事、オヤジ」とよく言ったものだが、オヤジはともかく、地震、雷、火事などは起こるものなのだという認識が必要。

何か起こった時の対応フローを明文化し、頑固に実行すべし。特に国と自治体の役割分担などは明確に。

自衛隊や警察にも積極的に動いて頂く仕組みづくりが必要。

また、災害時対策という名目で地域コミュニティの再生に取り組むべし。

何より、個人での防衛が必要。我が家には水が200リットル、1ヶ月分の食料、ガスボンベ、酸素ボンベなどが常備されているし、いざという時に逃げるグッズが登山用のリュックサックに家族の人数分、用意してある。無政府状態化した時に、自分を守れるように護身術もマスターしている。

何か起こるもんだと思って生きるべし。
Q3. コメントする
何より、政治家や、自治体関係者を含めた危機管理の徹底が必要。危機の際のリーダーシップが求められる。

ただ、これはさんざん言われて解決されていない問題なので、トレーニングを繰り返すこと、過去の事例から学ぶことが必要である。

ちなみに、ハーバードビジネススクールでは、震災時に日本の優れた企業の優れたリーダーはどう動いたかのケーススタディーをまとめていて、もうすぐリリースされる予定である。なぜ、日本の大学で真っ先にまとめなかったのだろうか。

住民も、政治家や自治体は決められないものだという性悪説にたった対応が求められる。
 
 
南淵明宏
医療法人社団 冠心会 大崎病院 東京ハートセンター  心臓外科医
Q2. 「3 - 3:上記(1,2)のいずれもの問題」の回答理由
いくら奴らが無責任だからといって、災害の責任を行政に押し付けるのは酷だ。だがせめて昔の地図、地勢図(3D)をしっかり公に公表して、住民がしっかり、つまり3D的にも、自分たちがどういうところに住んでいるのか、理解することが大切ではないだろうか。
いくら行政が無責任で仕事をしないからと言って、災害の責任まで押し付けて忌み嫌うのは間違っているとは思うが、道路、防災について知り合いの首長さんのお話を聞いてみると、市町村、県、国と言う三重の支配で国土までが役人の食い物にされてきた長い歴史の罪重ねのシステムでは判断の鈍さ、というより自分で決めたくない、決して自分たちでリスクを取りたくない、逃げ腰思想が蔓延しているように思える。ただ、構造物で災害を防ぐのは限界があり、行政お抱えの怪しい専門家の意見をうのみに税金をつぎ込むことは辞めるべきだ。そのような行き過ぎ、政治史献金欲しさの税金どぶ捨て公共工事の問題点が指摘されても、御用学者どものねつ造データの実態は隠蔽され、今日報道された志賀原発の真下の活断層の様に、国が見落としても「当時の資料は残っていないので原因は不明」などと即答され、教訓が以下有れない。
そういった、学術的に、入札的に、インチキがからんでいるせいだろうか、こういった防災工事について過去から学ぶという姿勢が忌み嫌われ得いる土壌があるのではないか。その意味で御用学者どもの名前と顔を今後はしっかりと公表する必要がある。
さて、こういった「昔のことは水に流す」という思想でこの国土で文化文明を築き上げたこの社会だが、今一つ、災害対策に名案がある。それは、10年前、20年前、30年前、40年前、あるいはもっと昔の航空写真や地勢図をインターネットなどで、しっかりと公表することではないだろうか。造った土地は弱い。新たなマンションや土地が分譲されたとして、前に何があったのか、盛り土がどの程度されているのか、池だったり湿地帯だったり、京都市で起こった突然の増水の様に、砂防ダムが『ダム湖』を作ってしまう可能性があったり、そういう情報が意図的に隠されているように思うのは私だけだろうか?
ちなみにたまたま入手した古地図では、やはり神社仏閣は昔から残っていて災害に遭わない土地が選ばれているように思う。奈良時代に確立された僧侶の必須科目、五明のうちの工巧明(くぎょうみょう)に災害に遭わない場所を探すという奥義がふくまれているのだろうか?ちなみに知恩院は立地はもともと傾斜地だったものを水平に整地したとか。現在もほとんど水平だと言うことで、昔の技術はたいしたものだが、やはりしっかり選んでいた、特に治水というか斥水という目利きがしっかりいていたのだろう。
「このマンションは昔はウナギの養殖池でしたぁー」などの情報を公開すると土地の値段に直接影響する情報だからこの土地利用史公表義務化案が出たらおそらく悪徳不動産業者は廃案を求めて金権党の議員にせっせと陳情を始め骨抜きにされるのだろう。
Q3. コメントする
避難命令の発令は非常に難しいし、何が何でも絶対にリスクを取らない日本の役人社会では「誰が???」というところを極めて曖昧する盤石な「役人防災体制」が造りあがっているだろう。従って、事後の検証は「誰がいつどうした」がいつも濁流に飲み込まれて流されてしまい、跡形もなくなるので絶対に不可能なようだ。だが自らの命を危険にさらしてまで救助や復旧に当たる現場の人々がいつもテレビに映し出されるのだが、あれにはいつも感動する。責任逃れに奔走する幹部役人どもの醜態には眼もくれず、現場で汗水たらして人命救助に、一日も速い復旧に努力する隣組、講、祠堂、結たばなど地域コミュニティ、そして消防団や消防隊、行政府職員、自衛隊の皆さんが映し出されると、日本に生まれて本当によかったと思う。間の抜けた政府高官がノコノコ被災地に視察に行くこともあるだろうが、移動の途中、そのまわりにくっついている総務省、国土交通省の役人が手にする端末であやつらめは何をパチパチ打ち込んでいるのか?覗き込むと「想定問答集 想定質問1.今回の土砂災害の国の責任はどのようにお考えですか。回答:過去の調査や経験値では到底予想できなかった速度で水量が増加した事実があったようで、従って今後はさらに検討を加え不退転の決意で・・・」
お役人さんは嫌な仕事ばかりやらされて本当に大変ですね。
 
 
朴斗鎮
コリア国際研究所所長
Q2. 「3 - 3:上記(1,2)のいずれもの問題」の回答理由
同じような被害が繰り返し発生しているということ、特に多くの人命が奪われていることを深刻に受け止めなければならない。「経験したことのないような大雨」とか「異常なゲリラ豪雨」などと、現在起こっている状況を「異常」で「特殊」と認識していては今後も同じ災害が繰り返されることになる。地球の気象変動によって日本を取り巻く気象状況が変化し、過去の「異常」が現在の「通常」となりつつあるとの前提で対策を立てる必要がある。
これまでの国主導の「災害対策」の仕組みでは、局地豪雨やゲリラ豪雨に対応できない。防災のスペシャリストを重点地域に配置するなどして防災対策機能を現場に接近させ、臨機応変に対応できる体制整備を急ぐ必要がある。もちろん住民に対する避難訓練も平行して強化しなければならないだろう。こうした体制構築で地方自治体の権限拡大が必要であるならば、その法整備も必要だ。
それとともに、山林の管理、河川の管理、堤防の造成なども、役所任せにせずに、地域住民が主体となってまずは立ち上げていくべきだ。地域住民が一致団結して立ち上がれば、いくら財政不足といえども、国や地方自治体が動かざるを得なくなるだろう。思案に暮れずまずは行動に移すべきだ。そうした中で防災意識も高まり解決につながる良い知恵も出てくるにちがいない。
Q3. コメントする
まずは正確な情報の確保が必要だ。気象予報のスペシャリストを配置するとか、地域情報に長けている民間の気象予報会社を活用するとかして、広域情報だけでなく局地的な情報をも正確に把握できるシステムを整備する必要がある。より正確な情報が得られるようになれば、国からの情報や指示を能動的に受け入れられるだけでなく、避難指示・勧告も自信を持って適時に発信することができるだろう。
 
 
中津孝司
大阪商業大学総合経営学部教授,国際問題評論家
Q2. 「3 - 3:上記(1,2)のいずれもの問題」の回答理由
人命を守るためのインフラ整備と有事の際の避難訓練が最重要である。
人間が自然界の中で生活する以上、その自然と向き合っていかなければならない。大自然の猛威には基本的に人間は太刀打ちできない。いかなる防御策を講じたとしても人間はある意味で無力である。これを大前提に自然の猛威と共存していく方策を打ち出さざるをえないであろう。
その第一は人命を守るインフラを整備することである。最悪の事態を想定することは困難である。それでも過去に学びつつ、防災、減災の対策は講じられるはずだ。中央政府も地方自治体も「まさか」の一言で済ませるのではなく、想定でき得る最悪の事態に備えるためのインフラ整備が最も重要である。責任分担や権限の問題ではない。危機に立ち向かう瞬間の判断能力の問題だ。そのためには災害を熟知する専門家を政府、地方自治体の内部に確保しておくことである。
普段は危険地帯でなくても、瞬時にして危険地帯と化すのが自然の猛威である。その猛威に逆らうのではなく、周辺住民は一刻も早く避難する、いわば有事の際に備えた避難訓練を日頃から心がけておくことだろう。これは地方自治体の責務でもある。
Q3. コメントする
孤立する恐れがある地域を徹底的に選び出し、その地域と防災関係組織との間にホットラインを設置し、一刻も早く孤立地域の住民を救出する方策を講じておくことである。これは政府や地方自治体の予算の問題ではない。最優先に取り組むべき政策である。
 
 
武貞秀士
拓殖大学大学院特任教授
Q2. 「3 - 3:上記(1,2)のいずれもの問題」の回答理由
避難勧告、避難する範囲と避難手段、救助活動の開始という一連の活動を一元化する。そのために国家機関である常設の「緊急事態対策庁(仮)」を作る。そこには、地方自治体、警察、消防、医療、国交省、防衛などの関係者が常に常駐する。類似の防災関連の会議や審議委員会はすべて解散して、責任の所在を明確にする。
 国の対策、地方自治体の対応能力、責任分担の不明確さ、住民の防災意識の問題のすべてが複合して、豪雨に対処できなかった。そして、予想以上の人命が失われたが、「すべで悪い」と言っていても解決策がでてこないので、国の対策と地方自治体の対応能力の問題が複合した問題と言いたい。個人の防災意識も大事である。分単位で危機が自分にせまってくるとき、どうすべきかを判断するのは自分だ。
 被害を最小にするために最も重要なことは、(1)目の前に迫っている災害の予測、避難勧告、避難すべき範囲と避難するときの手段の選択、被害が生じたときの救助活動の決定、活動開始という一連の活動を一元化することだ。そのために国家機関である常設の「緊急事態対策庁(仮)」を作る。そこには、地方自治体の危機管理担当者、警察庁、消防関係、医療関係、国土交通省、防衛省(災害出動で中心的役割を果たす)などの関係者が常に常駐する。類似の防災関連の会議や審議委員会はすべて解散する。類似の機関が乱立してしまうと、行政がマヒしてしまうし、権限が衝突してしまって、危機に直面したとき責任の所在があいまいになる。後日、災害を検証するときに責任のなすりあいになるのは、関連機関が乱立していたからである。同じ趣旨で他の「・・・委員会」「・・・審議会」の数はできるだけ減らす。そして緊急事態に対処する機関に権限を集めて権限を一元化する。権限の境界があいまいであると、今回の豪雨のケースのように、地方自治体の対応がバラバラになってしまう。この常設の「緊急事態対策庁(仮)」には、住民避難に際して超法規的な指示を与えることができるようにする。「ここからは緊急事態です」という指示を出すのは総理大臣である。だから、緊急事態に際して自分の責任の大きさを理解できない人が総理大臣にならないように、国民は選挙権を行使しなければならない。その他に、(2)遅れている河川整備を進める。「想定外」の災害には対処できない堤防の建設計画がないのかどうかを検証する。これは国家の仕事である。(3)地方自治体のレベルでは、熊本県阿蘇市と熊本市での避難指示が遅れた原因の検証を早急に開始して、問題点をまとめる。その結果は、「緊急事態対策庁(仮)」の活動マニュアルに活かす。(4)危機が身辺に迫ったとき、自分の命を守るためには、各個人の防災意識、危機管理のセンスが決定的な意味を持つ。個人の防災意識を高めることも大事だ。今回は「お上の避難指示がないので、豪雨のなか、家にとどまる」という判断をした人も多かったのでは。やはり混乱や想定外の事態においては、自分の判断力は大事だ。

 
Q3. コメントする
 豪雨は自然災害であるが、堤防決壊、避難の遅れ、救助の遅れは人災である。想定外の豪雨が到来することが増えた。「経験したこともないような豪雨」という気象庁の担当者の表現が住民と行政の判断のてがかりになったというのは奇妙な話だ。緊急事態に直面して、専門家や関係各部署の叡知が総動員されていなかったからではないか。気象庁に避難の可否の判断の基準をまかせるのはあまりにも気の毒だ。災害対策を総合的、大局的に一元的にひとつの部署でおこなうために、緊急事態対策庁(仮)を常設したい。
 緊急事態対策庁(仮)を発足するとき、自衛隊の参加は困るという人々がおられるだろう。しかし、日本は世界で最も災害の多い国家である。地震、津波、火山噴火、豪雨、堤防決壊に対処するには、国家が主導する機関が一元的に活動する以外にない。持っている装備のすべてを投入して国民の生命財産を守らなければならないのである。どこの国家でも災害出動では最も大きな装備を持つ軍隊が出動している。
 アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁(Federal Emergency Management Agency of the United States、略称:FEMA)は、大災害に対応するアメリカ合衆国政府の政府機関である。天災にも人災にも対応する。アメリカ国土安全保障省の一部となったが、FEMAは、洪水、ハリケーン、地震および原子力災害を含む災害に際して、連邦機関、州政府、その他の地元機関の業務を調整することを請け負っている。2003年3月以降、国土安全保障省の一部となり権限・規模が縮小されたが、2003年以前の組織のように、迅速な災害対策を実施するには権限の一元化、予算執行の権限を与えておくことは不可欠だ。
 
 
鈴木豊
青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科教授・公認会計士
Q2. 「3 - 3:上記(1,2)のいずれもの問題」の回答理由
国は新規のインフラ整備のほうに重点をおき防災は後回しにしている。地方も新規に重点を置いていると同時に財源の不足で防災を後回しにしている。国民・市民の命に関わるリスクを識別していない。
1。国は新規のインフラ整備のほうに重点をおき防災は後回しにしている。
2。地方も新規に重点を置いていると同時に財源の不足で防災を後回しにしている。
3。国民・市民の命に関わるリスクを識別していない。
4。国・自治体もそれぞれの所管に関して防災に関わる責任関係を明確に決めていない。
5。国民・市民も自然災害に関してその責任について主張をしない。
6。自然災害の質が変化していることに国も自治体も識別していない。
7。以上に対応するにはそれぞれについて対応を責任を持って行わなければならない
Q3. コメントする
1.国・自治体が発信する勧告・指示の理由と方法をよく事前に説明しておく必要がある。
2.発信・受信のシステムの有効性を評価しなおす必要がある。
3.我が国の自然環境からの住民側も災害リスクを学習しておく必要がある。
4.住民の防災教育を子供の学校教育で意識向上を図る必要がある。
5.国・自治体の不適切な勧告・指示に対する責任を明確にする。
 
 
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4. 4:国と地方自治体の責任分担の不明確さ

坂野尚子
株式会社ノンストレス社長
Q2. 「4 - 4:国と地方自治体の責任分担の不明確さ」の回答理由
想定外の被害がおきる天候であることを踏まえ、誰の責任であるとかの問題ではなく、おこりうる問題の最適化と、おきてしまった問題への最短の解決策をはかることが大事。この国の問題は、いつでも、クロスファンクションが難しいことで、自治体と国、国の中でも役所間で、どう対応するか考えている間に事態がどんどん悪化する。
Q3. コメントする
自己責任と言えない部分がある。よって、ある程度の強制的避難勧告は致し方ないと思える。
 
 
山田昌弘
中央大学教授
Q2. 「4 - 4:国と地方自治体の責任分担の不明確さ」の回答理由
豪雨が起こることを止めることはできないし、どこにどのように来るかも予測できない。それゆえ、豪雨が起きたときの連絡、広報体制を構築しておくことが必要だろう。
豪雨が起こることを止めることはできないし、どこにどのように来るかも予測できない。それゆえ、豪雨が起きたときの連絡、広報体制を構築しておくことが必要だろう。
Q3. コメントする
現在の時点では、常時提携している携帯への通報システムを作る、利用できない高齢者へは、補助をしてでも持たせるという試みがそろそろ必要となっているのでは。
 
 
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5. 5:住民の防災意識の問題

森信茂樹
中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員
Q2. 「5 - 5:住民の防災意識の問題」の回答理由
地方分権との問題が生じうる
自然災害というのは、おそらく、人間の技術力が自然の猛威に追い付いていないことが最大の要因ではないでしょうか。高齢化と過疎で、人手不足などが被害を大きくしているのかもしれませんが。

ただし、長い目で見ると、かつては台風で数百人から数千人(例.伊勢湾台風)が亡くなっていましたが、現在では、それほどの被害はなくなったとも言えると思います。全体としては、防災は進んできたと言えるでしょう。

 実はこの問題は、地方分権と絡んで今後大きな問題となる課題である。
先日、国が国交省などの地方出先機関の移管を国と地方の会議の場で申し出たのですが、引き受ける地方の首長はほとんどおらず、「河川管理などは都道府県ではなく国で責任を持ってやってほしい」という声が多かったといいます。地方は責任を新たに追うことに極めて消極的で、地方分権を進める橋下改革と同整合性をとっていくのか、今後の課題です。
Q3. コメントする
これは、ITの成果を活用するほかないのではないか。
 
 
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6. 6:その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)

山村武彦
防災システム研究所所長
Q2. 「6 - 6:その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
・国は防災社会資本整備という安全に国家百年の計できちんと投資すべき。
・災害のたびに法令が強化されるが、異常気象時代は過去の事例に基づく対策では追いつかない。
・治山治水事業を進めるとともに、最終的には地域と個人の防災力・危機管理対応力をあげるしかない。
 九州北部豪雨で死者行方不明22人を出した阿蘇市の現場を2日間にわたり調査してきた。下流では河川の氾濫による洪水が発生したが、犠牲者の多くは急傾斜地におけるがけ崩れ土石流に巻き込まれたもの。「これまで経験したことのない豪雨」などの警告が出されていたが、「梅雨入りしてからずっと雨は降り続いていており、その都度出される避難勧告にすべて対応していればほとんど生活ができない」という人も多かった。犠牲者の多くは深夜からの猛烈豪雨により明け方のがけ崩れに巻き込まれた人たちだった。「戸を開けたら1メートル先も見えない豪雨・濁流だった、そんな暗闇の濁流の中を避難することなどできなかった」という人も多かった。災害発生個所はいずれも急傾斜地の危険区域に指定されていた地域だが、適切な防災工事がなされていたとは思えない。洪水発生個所も、浚渫などの河川防災メンテナンスが適切ではなかったと思われる。画一的な公共事業投資削減で住民の安全が犠牲にされている。

 国土の70%が山地で河川は急流、その山地に隣接した地域や河川流域に町があるという宿命的地勢リスクを負った日本。広島豪雨発生後、国は平成12年に土砂災害防止法を制定し、都道府県と国の役割を含め急傾斜地の警戒区域、特別警戒区域を指定し、住民の集団移転事業促進などを法制化してきた。しかし、特別警戒区域に指定されても、集団移転はほとんど進んでいない。それは財政的な国のバックアップが消極的であることも要因となっている。また、新潟・福島豪雨の翌年平成17年には水防法を大幅改正し中小河川など監視体制強化の氾濫対策、避難勧告・避難指示が迅速適切に出されるようにとガイドラインを定め、市町村の地域防災計画に組み込んでいる。しかし、それでも痛ましい水害・土砂災害は頻発し後を絶たない。
 
 災害が発生すると「市町村の避難勧告の遅れ」などが俎上に乗せられるが、県単位や広域単位での気象警報で、すべての地域に早め早めの避難情報を出せば空振りが多くなりオオカミ少年になり、避難勧告の信ぴょう性を失う。国が治山治水の責任を持つことは当然だが、土砂・洪水災害に対する防災対策は国や自治体だけではなく、住民を含め、社会全体で支える仕組みが必要。そして、それぞれの役割(責任)分担を明確にし、財政措置を含め国や自治体が後押しすべきである。
Q3. コメントを控える
 
 
浜辺陽一郎
青山学院大学大学院法務研究科(法科大学院) 教授,弁護士
Q2. 「6 - 6:その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
国も、地方自治体も、住民も、それぞれにやれることを総合的に考えていく必要がある。
地球温暖化などに伴う異常気象が増えているが、十分な防災対策のために十分な財源がないのが現実。これまでの乱開発のつけが回って、地盤が弱くなっている等の地域もあろう。一方、少子高齢化も進んでおり、費用対効果を考えると、防災のことは人命のことにかかわるだけに重要であるから、より効率的・効果的な対策が求められている。

こうした状況であればこそ、国も、地方自治体も、住民も、それぞれにやれることを総合的に考えていく必要がある。

将来的には、住民が安心して住める区域を集中させて、万全の防災対策を効果的に実施できるような地域社会を構築していくことも考える必要があろう。
Q3. コメントする
被害が高い確率で予想される場合、住民の避難については、強制力をもった避難命令をもう少し活用すべき。
 
 
本田宏
医療制度研究会副理事長
Q2. 「6 - 6:その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
 2500年前に釈迦が唱えたとされる人間の根源的な悩みは、四苦八苦の四苦、「生老病死」でそれは現在も変わっていない。すべての人に必ず死が訪れると同様、自然の前に人は無力であるという現実を正視することが、自然災害による人的被害を最小限に停める基本である。
 2500年前に釈迦が唱えたとされる人間の根源的な悩みは、四苦八苦の四苦、「生老病死」でそれは現在も変わっていない。すべての人に必ず死が訪れると同様、自然の前に人は無力であるという現実を正視することが、自然災害による人的被害を最小限に停める基本である。
Q3. コメントする
 津波が発生する可能性がある地域において避難場所(高台等)の設定や避難訓練がなされているように、河川の氾濫や土砂崩れが発生する可能性がある地域の指定と、当該地域における日頃からの避難訓練が必要。さらに気象予報を活用するため、地域住民へいかに迅速に周知徹底させるかという広報システム作りが急務である。
 
 
諸葛宗男
東京大学公共政策大学院特任教授
Q2. 「6 - 6:その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
防災に対する基本的考え方を改める必要がある。
これまでの防災対策は、「過去に起きた災害」の再発を防止すれば災害は起きない、というものであるが、これを「過去に起きた災害を超える事態」にも備える防災対策に切り替える必要がある。
問題は、行政が「過去最悪」ではなく、「起こりうる最悪」の
事態を想定した「避難対策」を講じることである。
①避難対象地域の選定
②避難先の確保
③避難手段の確保
④避難連絡の手段の確保
⑤避難指示の判断基準の策定
⑥避難訓練の実施

地域による避難対策の粗密が生じないようにするためには
まず、国が基本的なガイドラインを策定する必要がある。
これに沿って自治体が地域ごとの避難計画を立てることに
なろう
Q3. コメントする
小中学生でも携帯を持つ時代である。このICT技術を使わない手はない。
 対象となる、事業所や家庭に直接、避難勧告・指示が表示され、音声で
知らせる装置を配給すれば良い。それによって多くの人命が救われることに
なるのであれば安いものである。
 
 
長田渚左
スポーツジャーナリスト
Q2. 「6 - 6:その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
(選択肢の3,4,5 いづれも背景にあると考えます。)
人知をこえて来るような天災はあるにしても、それにいかに向きあうかが、真の行政であると思う。
Q3. コメントする
天災に対する命令系統の徹底。
人命への心からの配慮を細やかにすること。
 
 
岸本裕紀子
エッセイスト,政治コラムニスト
Q2. 「6 - 6:その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
世界的に見ても、竜巻、豪雨、豪雪、夏の気温の上昇など、事前に予測できないような異常気象の度合いが強まっているように感じます。それに比例するように、人的被害も増していると思います。
防災ということであれば、豪雨が予測できた時点で住民に避難を促すしかないのでしょうが、気象庁が発表した情報を、いかに早く正確に伝えられるかだと思います。
今回は、気象庁が、「これまでにないような豪雨」という最高レベルの危険度を示す表現を使ったということですが、その言葉の重要性が地方に伝わらなかったということを知りました。その予報がもっと正確に伝わっていれば、と思います。
「これまでにないような豪雨」では、私が聞いても、ただの豪雨とあまり変わらないように感じました。
地震の、マグニチュードOO、震度OOなどのように、豪雨レベルOOという表現を取り入れたほうがいいかもしれません。
Q3. コメントする
予報の仕方を変えるのも一案です。
地震の、マグニチュードOO、震度OOというように、豪雨レベルOOと予報するのです。
「レベル5なら、すぐ避難する」「レベル3なら、テレビやラジオをつけっぱなしで警戒する」など、、レベルによって住民がどう対処すればいいのかをはっきりさせておきます。
 
 
潮匡人
国際安全保障学者,拓殖大学客員教授
Q2. 「6 - 6:その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
1から5までの選択肢すべてが要因となっている。今回はじめて気象庁が「これまでに経験したことのないような大雨」と予報、厳重な警戒を呼びかけたが、被災地では活かされなかった。それぞれに問題があり、責任分担も不明確。海外のような実践的な防災訓練もなく、国民の意識も低い。日本の「防災の日」の訓練のごとく、明日「発災」と分かっている訓練では効果が乏しい。
Q3. コメントする
原発事故を「人災」とした国会事故調報告書の指摘は多く、今回の災害にも当てはまる。官民を挙げて危機管理体制の見直しに努めるべき。自衛隊の活用についても課題を残した。阪神・淡路大震災以来、指摘されてきた問題の多くが先送りされたままだ。日本には米国FEMAのような組織もない。
 
 
有馬晴海
政治評論家
Q2. 「6 - 6:その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
費用対効果を考慮しないと、無限に整備するなんてことは物理的に不可能だ。
自然災害は予測不能だ。
政治関係者として発言させていただければ、
想定内の予防と被災者への対処しかない。
それも費用をどれだけかけるか、賭けれるかという問題がのしかかる。

予防には、これまでの災害を前提に考慮するしかないが、
昨今のあらゆる場所で無秩序に起こる現象に対処するというのは、無限と同様だ。
もちろん国の対策も自治体の対策も十分ではないかもしれない。
だが、全てにおいて十分なんてできない。
居住権を剥奪し、法外なおカネを賭けれれば少しは改善するかもしれないが、
そんなことは無理だし、むちゃくちゃな考えだ。

一番わかりやすい方法は、
これまで経験した同等レベルのものが襲っても対応できる土地づくり街づくりをすること。
それができなければ、これまで被害があったか所の人はこれまで被害がなかった土地に移転する。
だが、それでうまくいくかというとそうもいかない。

どんな予防も万全ということが言えなければ、
居住地帯として建築不可にして、防止する。
特に河川敷や川の蛇行、崖っぷちは、今後建築不可にして最低限の防止に努めるしかない。
それでも自分の土地を離れられず、死んでもこの土地という場合が起きる。
今後建築不可とすれば50年後にはその地域に居住する人はいなくなる。
それでも50年かかる。

いたちの追いかけっこだが、政治的にできる法規制と、
費やせるお金でどれだけのことを遣るのか。
費用対効果を考慮しないと、無限に整備するなんてことは物理的に不可能だ。

個人一人一人が自分の命を守ることを考えてもらうしかないのだが、
それにしても、その場合の情報提供は、政治が行うべきだ。
Q3. コメントする
避難勧告と指示はどちらが思いの?
一般の人がどちらがどれほど重いのかわかるわけがない。
危険を持って非難させる事は政治的に判断する。
天気予報がわかるなら、早めに、身の回りのものを持って非難を誘導する。
そういう地域ということを居住の段階で説明の義務を付ける。

これまで住んでいた方はわかるが、これからすむ人は知らない場合がある。
場合によっは、避難を強制する場所という位置づけ。

個人任せではなく、政治主導役所の権限。
役所に強制力を持たせる。
役所も早めの対策ができるようこれまで以上に自然災害に対する法整備をする。
津波も、来るまでに30分。きちんと連絡を徹底すれば、全員が避けれたはず。
津波の怖さ、台風、洪水の怖さの教育をキチンとすれば、
避けれるものもあるはず。
個人主義を貫くのか、役所が主導権を握るのか。
政治が、人の命をどう考えるかだ。
 
 
伊東乾
作曲家・指揮者 ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督
Q2. 「6 - 6:その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
サイエンスに準拠しない土建の発想で災害が根絶できるわけがない。
私個人の経験として、東京大学理学部・地球惑星物理学科の茅根創教授から、水害発生の基本的なメカニズムを教えていただき、目からうろこが落ちたことがある。
人類が定住農耕社会を生み出した約8000年前から、地盤が軟弱な沖積低地の「治水感慨」が人類文化、たとえば王権(ファラオのピラミッドでも仁徳天皇陵でも)支配の根幹にあり、それが共同体をひとつにまとめてきたこと、そこで必然的に発生する「御しやすい柔軟な土壌」=「水害に弱い軟弱な土壌」という私たちの文明・文化の土台に対して、自然科学の冷徹な目をもって(土建業的観点から利権でそろばんを最初にはじくのではなく)、事態を見徹すことが必要不可欠である。

災害もまた地球表面上の物理的なプロセスであって、原因があるから結果がある。そこには科学的にゆるぎのない災害発生のメカニズムがあり、それと正面から向き合わず、既存の利権その他に縛られた中途半端な施策で、根絶ができないというのは、あまりに必然的としか言いようがない。
サイエンスに準拠しない土建の発想で災害が根絶できるわけがない。
Q3. コメントする
既得権益的な利権をいったん宙吊りにし、本当に必要な合理的な問題状況の再確認からはじめるのがすべての1の1.そしてそれが非常に困難であるのが、日本という国の現状ではないか、と疑う。
 
 
小幡績
慶應義塾大学ビジネススクール准教授
Q2. 「6 - 6:その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
地球が怒っている。
地球が怒っている。
人類の地球環境破壊の結果である。
Q3. コメントする
温暖化防止。資源採掘の制限。自然環境の保全、改善。
 
 
熊谷亮丸
大和総研チーフエコノミスト
Q2. 「6 - 6:その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
国・地方自治体の両者に加えて、住民の防災意識にも大いに改善の余地がある。河川整備の遅れは地方分権の遅れに起因するところが大きい。「コンクリートから人へ」という安易なスローガンの弊害が出ている側面も否めない。
Q3. コメントする
国と地方自治体の権限と責任の所在を明確化した上で、避難勧告は前倒しで予防的に運用するべきである。
住民サイドも常日頃から防災意識をより一層高める必要があるだろう。
 
 
木村太郎
ジャーナリスト
Q2. 「6 - 6:その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
警報はもっと具体的に
気象警報や避難指示の出し方に改善の余地がある。
「経験したことのないような大雨」では差し迫った危機感が伝わらない。
米国のトルネード警報では、被害が予想される特定の地名を伝えた後「家や車が吹き飛び、樹木が倒れ、電線が切断されることが考えられる。ゴルフボール大の雹も降る可能性がある。いま直ちにシェルターへ避難しなさい。躊躇していると手遅れになる」と言う。(YouTube参照)
先の東日本大震災でも、津波警報がでた際に防災無線の「高台へ避難してください」という呼びかけよりも「にげろ!」という命令形が効果があったといわれる。
Q3. コメントする
マクロの気象予報ではなく、国交省の河川監視情報や電力会社などのレーダー情報も取り入れたミクロの気象観測データをもとに避難勧告や指示を早めに出すことにつきる。
 
 
にしゃんた
羽衣国際大学教授/落語家
Q2. 「6 - 6:その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
「心」「制度」と「ことば」の3つの壁を知り、改善する必要性。「心」とは、思い込み、偏見、決め付け、過剰なこだわり、過信、無関心、油断や慣れであり、「制度」とは現状の法律,条例、システム、ルール、常識である。「ことば」とは、言葉そのものであり、情報、コミュニケーションや関わりである。
国や各地方自治体、住民も含めた「国民」の防災意識の問題である。人的被害の要因も高波、強風、事故型、土砂等など様様である。事故で命を落とした後では、責任の在り処を見付けても意味が無い。回避できるよう徹することが求められる。

先日訪れた、妻の実家のある福井県、サーフィンスポットでもある鳥居浜でも人的災害発生を起こす構図を垣間見た。波打ち際からそう遠くないところに「家」が建てられていた。海抜ほぼ0の砂浜の延長上にある正に「砂上の楼閣」。いつ崩れるか、いつ高波に襲われるかわからない危険な場所です。しかし、それを恐れない住民、それを許可する行政、それを販売する業者。まさに、三者の防災意識の欠如がここにある。これは、全ての自然災害に通じるのではないか。もちろん、原発問題とも根っこは同じである。

山登りを多少する人間なら、テントを張るときにどこが安全か考える。雨が降っても大丈夫か?落石がないか?後ろの斜面は崩れないか?と。家を建てる時も、国も地方も住民も同じように安全を考えるべきである。日本には縁起が悪いことを言ってはいけない慣習があるが、危機管理にかけては縁起が悪い話は大いに口に出す必要がある。

スリランカの小学校4年生の教科書に登場した「日本からの手紙」という文章を懐かしく思い出す。内容が正しいかどうか別であるが、そこには、日本人の姿を観察したある少女の分析が書かれていました。「日本人は早歩きであるが、地震国家だから仕方が無い。日本人は常に心配した顔をしているが、火山国家だから仕方が無い。・・・日本は大変な国なんだと子供ながら強く思った。日本の一国民となった今、災害大国の日本の災害の幅がさらに増し、より複雑化している現状を実感する。この現実に正面から向き合う必要がある。
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被害を出さないためには、自然の対し常に心のスイッチをONし、絶えず意識し、絶えず確認し、見直し、乗り越えなければならない「3つの壁」がある。それらは「心」「制度」と「ことば」である。「心」とは、思い込み、偏見、決め付け、過剰なこだわり、過信、無関心、油断や慣れである。「制度」とは、現状の法律,条例、システム、ルール、常識、正しいや価値観である。「ことば」とは、言葉そのものであり、情報、コミュニケーションや関わりである。

[言葉]つまり言語の数、情報を発受信量、情報のチャンネル数、言語の数、関わり合いを増やし( → )[制度]つまり、最新の安全体制・常識を更新し( → )[こころ]強く、優しく、柔軟で、安全に強い心をつくる。市民、地方自治体、政府含む全てがそれぞれの立場で、この[3つの壁]の良好な循環を意識し絶えず更新することが必要である。
Q3. コメントする
過去の災害を教訓をうけて、災害危機情報を地域住民にどのように伝えるべきかという点、例えば「津波がきますから非難してください」ではなくて「津波が来ます。急いで非難しなさい!」と命令口調の方が切迫感があり危機情報として有効と言うような現状改善をもちろん歓迎したい。「避難しろ!」と短く、ハッキリ言う文化を創っていましょう。空振りでも構わない。空振りこそが避難成功の証なのですから。そして、空振りの時に誰も批判をしてはいけない文化も共有しましょう。自然災害においては「狼少年」の話は存在しない。

豪雨被害と津波被害は共通点が多い。例えば、スリランカで2200年ぶりに発生した津波の現場を取材して強く思うのは、被災地の人々の、まず意識、知識や常識についてである。津波というものを誰も知らなかった。勧告や指示どころか、事前情報も全く無かった。だから人的被害が4万人にも達した。だから、自然災害を知り、多数のチャンネルを介し事前に、速やかに情報を発受信する必要がある。一方、東日本大震災の取材を経て思うことは、情報があっても逃げなかった人がいたということ。つまり、情報があるだけで、発信するだけでも意味がない。受信して受け入れて初めて被災から免れる可能性がはじめて生まれるのである。

また、システムを創る際、人間の心理や習性などもしっかり分析し、取り入れるべきである。大人になればなるほど、頭の柔軟さを失い、大丈夫だったという思い込みが激しくなり、その結果避難をしない。自然災害で動物が死ぬのは稀である。もちろん死んでいるがほとんどが人間にくくり付けられいたものだった。震災では子供の方が先入観なく避難したという事例がたくさん紹介された。また人間は1回目の呼び掛けでは避難せず、誰か別の人がもう一度呼びかけないと行動しない心理や習性あるようだ。
被災の発生をなくすため、適切な避難勧告・指示が発信も大切であるが、対象が人間である以上、人間の心理的・習性的な様子もシステムに取り入れない限り絵空事に過ぎなくなる。
 
 
土居丈朗
慶應義塾大学経済学部教授
Q2. 「6 - 6:その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
1990年代に、欧米諸国の2倍以上の規模の公共事業をしたはずなのに、なぜこんな結果になるのか。結果から言えば、1990年代に行った公共事業には、近年の豪雨被害を食い止めるのに役立たない意味で「無駄」な公共事業が多かったからである。その背景には、公共事業を不況期の景気対策として濫用したことがある。不況期になると公共事業が突然増えるが、好況になると公共事業費を抑制する。そうした公共投資政策を、わが国では1990年代以降とり続けてきた。

生活や生産のインフラや防災のための公共事業の必要性は、景気がよかろうが悪かろうが変わるものではない。したがって、こうした公共事業は、本来は好不況によって増減させるべきものではない。ところが、わが国の公共事業は、好不況によって増減させてきた。そのために、生活や生産のインフラや防災のための公共事業が時期を通じて安定的に行えなかった。別の言い方をすれば、不況期に公共事業が急増すると、予算消化に追われ、対象を厳選して優先順位をつけて実施することが疎かになり、必要度が低いのに実施が容易な事業が先に実施され、予算はあるのに必要度の高い公共事業が十分に実施できない事態に陥ったと考えられる。

また、1990年代末以降の地方分権も影響した可能性がある。地方分権は望ましいことである。しかし、河川管理に関しては、従来国が管理していた一級河川について都道府県に権限を移管するなどの権限移譲が行われた。それでいて、一級河川でも、国土交通大臣が管理する区間と都道府県知事が管理する区間とに分かれる状態が存置された。権限移譲自体が問題というより、権限移譲後に国と自治体の役割分担や連携が十分にうまくできなかった点に問題がある。

要因は、予算面、行政面だけにとどまらない。近年の被害の背景は、予算不足や行政の不備だけですべてを説明できない。もう1つ重要なのは、河川管理にまつわる土地利用において、個人の私的財産権が過度に優先され、不十分にしか治水工事が行えない状況が散見される。適切に私権を制限し、土地収用や立ち退きや移転が早期に行えて本格的な治水工事ができれば、今般の被害が防げたものもあったかもしれない。
Q3. コメントする
河川管理者(国土交通大臣、都道府県知事、市町村長)の役割・権限分担をもっと明確にし、地元住民との連携を密にして、避難勧告・指示が適時適切に出せるような体制を構築する必要がある。また、住民も非常時に備えた私権制限をある程度は甘受することも必要だろう。
 
 
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