2012年03月24日 新・週刊フジテレビ批評で放送
その他

3月11日関連の震災報道

《参考情報》
3月24日放送の「新・週刊フジテレビ批評」では東日本大震災から一年を迎え、今後の震災報道の
あり方を考える番組内容を企画しております。

各テレビ局は、震災から1年となる3月11日に向けて、地震、津波、原発、復旧、復興等々様々なテーマに関して、
多様なアプローチを行い、1年という時間の経過を受けて、一部に再現ドラマという表現手法も取り入れられました。
一方、そうした放送に先立つ2月下旬には日本医師会から、3月上旬にはBPO(放送倫理・番組向上機構)から、
番組内での津波の映像使用に配慮してほしい旨の要望が出され、各テレビ局はそのことを踏まえた上で放送を行いました。

こうした中、「新・週刊フジテレビ批評」ではこれまで2週に渡り、被災された方々に、震災報道をどのように
とらえているかを取材してきました。現地では、復興がなかなか進まない現状を背景に、多くの方々から
「忘れ去られてしまうのではないか」「伝え続けてほしい」という切実な声をいただきました。
1年という時間が経過し、震災への社会的関心の低下が指摘される中、今後も長期的に報道を続けていく
ために、どのような情報を発信していくかは、被災地の復興推進という意味からも、テレビ局にとっての
大きな課題とも言えます。

オピニオンリーダーの皆さまの視点から、3・11前後の震災報道をどのように評価されたのか、
また、今後の課題についてご意見をいただけますようお願い申し上げます。
「振り返り」にとどまらない、震災報道を!

オピニオンリーダーへの問いかけ

※コンパスで掲載された全ての意見・回答は各氏個人の意見であり、各氏所属の団体・組織の意見・方針ではありません。
Q1:3・11当日とその直近に放送されたテレビの“震災特番”を総じてどう評価されますか。
Q2:問1の回答理由をお聞かせください。
また、可能であれば、“震災特番”の放送内容について「伝えるべき内容」を放送できていたか、「伝えきれた点」「伝えきれていない点」などがあるとすればどういった点かについてご意見をお聞かせください。
Q3:今後テレビメディアが“震災報道”を長期的に続けていくために、どのような取材・制作をするべきだと思いますか。視聴者はどのような報道を求めているのかも含め、ご意見をお聞かせください。
回答の要点
今回は、発生から1年が経った東日本大震災に関わるテレビ報道、特別番組への評価と、
今後の震災報道の在り方についてコンパス・オピニオンリーダーに意見を求めました。

各オピニオンリーダーからは、番組全般を評価するしないにかかわらず、震災関連の
報道および特番が、今後取り組むべき点についてさまざまな見解が寄せられました。
被災地が抱える問題を地道に伝えること、「地震」と「津波」と「原発」の影響を正しく
伝えること、海外からの視点を意識することなど、当時の振り返りにとどまらない様々な
視点からのアプローチが、今後はより一層求められているようです。

皆さまは、震災関連の報道や特番をどうご覧になりましたか。
《コメントを投稿する》から、ご意見を投稿ください。

オピニオンリーダーの回答

( 15件 )
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1. 評価できる

坂野尚子
株式会社ノンストレス社長
Q2. 「1 - 評価できる」の回答理由
残念ながら、NHK以外はあまり見ていませんが、1年前と今を考えるきっかけとなりました。
Q3. コメントする
義援金が集まった去年、がれき処理に否定的な今、災害を被ったエリアとそうではないエリアのギャップは日に日に増える一方です。そのギャップを埋めるのが報道だと思います。被災地の今を全国につなげてください。
 
 
武貞秀士
拓殖大学大学院特任教授
Q2. 「1 - 評価できる」の回答理由
 3月22日夜のNHK番組は見ました。いかに、報道記者が映像をとるのに苦労したか。真っ先に現場に駆けつけた記者、ヘリコプターが方向を変更した後、津波の凄まじい映像を生でとらえて、生で放送を続けたこと、何が報道に必要かを、考えさせてくれる番組でした。全体として、おそらく、1年経過したあとの震災関連の報道は、「危機管理はどうあるべきか」「何が足りなかったか」「今後の大災害の時、医療、自衛隊、地方自治体、住民、民間、報道、政府、国際社会は、どう対応すべきか」を深く考えさせる、番組が多かったものと信じています。

震災報道は、以上の点を中心に、未来志向で訴えてゆくことが大事と思います。ちなみに、中国、韓国では、自国の大災害の1年後に、これら日本の報道のような、まじめな総括的報道、今後の対策への教訓を示唆する番組は望めないのではないでしょうか。いやなことは早く忘れてしまいたいという、諸外国の報道と、日本の報道は対照的であると思います。
Q3. コメントする
先述のように、「今後、同じ災害がおきたとき、どうすべきか」について、示唆に富んでいる番組は、貴重です。当時の映像があるので、説得力があります。

“震災特番”の放送内容について、やはり、「危機管理はどうあるべきか」「我々に、何が足りなかったか」「今後の大災害の時、医療、自衛隊、地方自治体、住民、民間、報道、政府、国際社会は、どう連携して対応すべきか」の3つは不可欠です。
そして、いままで知られていなかった、「多くの人命を救うことにつながった、目立たないひとの必死の努力と、役割と活動と、その結果の美談の一部始終」などを発掘して紹介することは、必要でしょう。

たとえば、米国にいた日本人の女性医師が、ともだち作戦で、被災地に薬を送るために、米軍に直接交渉をした話(産経新聞の3月18日付けで、河合雅司記者の記事で報道)が報道されています。このような話で報道されていない話は、おそらく、たくさんあるのでしょう。そのような話を発掘してゆくことは、報道界にしかできない仕事だと思います。
 
 
中津孝司
大阪商業大学総合経営学部教授,国際問題評論家
Q2. 「1 - 評価できる」の回答理由
おおむね震災特番を拝見した。映像(特に津波の映像)が流れると、画面に釘づけになり、我を忘れて画面に見入った。西宮在住のため、阪神淡路大震災で震度7を経験したが、津波の恐ろしさは表現できる言葉が見当たらない。映像を流すことに賛否両論があると思うが、激震しか体験したことがないので、あらためて津波の猛威を知るには映像が有効と考える。
激震がおさまった直後に津波が襲う――激震だけでも動揺するにもかかわらず、高台に避難しなければならない事実。その一瞬の判断が生死を分ける現実。自分が住む地域に津波が来ることをどのようにシミュレートすればよいのか。生死を分ける具体的なシミュレーションにまで踏み込むことが重要だと思う。
Q3. コメントする
津波の恐怖については事あるごとに報道すべきだと思う。その体験者はその時の恐怖感を思いだすので語りたくないだろうが、各地域で発生するであろう津波のシミュレーションの際、具体的にどのように行動すればよいのか、また、日頃、どのような訓練をすればよいのかを教示してほしい。
 
 
稲増龍夫
法政大学教授
Q2. 「1 - 評価できる」の回答理由
個々の番組を取りあげれば、まだまだ不十分であったり、行き届かなかったところがあるだろうけど、テレビトータルに見れば、かなりきめ細かい報道がなされており、「テレビは一面的だ」とか「テレビはもういらない」というのは、いわば、「お約束の常套批判」であり、それはかつてテレビがあまりに強大な影響力を持っていたことの反動である。もちろん、そうした幻想と思い上がりを打破するためには必要な言説かもしれないが、テレビの枠内で十分に役割を果たしており、これを代替するメディアはまだ存在しない。つまり、当たり前のことだが、テレビは、あらゆる層の多様なニーズに応えうる万能のメディアではなく、受け手のないものねだりも行き過ぎなら、それに応えようと無理するテレビも背伸びし過ぎで、お互いに身の程を知って、テレビの限界と守備範囲を冷静に見つめた方がいいと思う。「伝えきれない」ところがあるのは当たり前で、いちいち気にせず、やれる範囲で番組に取り組んでいけばいいのではと思う。
Q3. コメントする
「きめ細かさ」は他のメディアに任せて、大局を伝える「鳥の眼」の役割を果たしてほしい。かつての巨人軍ではないが、勝つことをのぞむファンンもいれば、負けると喜ぶファンもいたわけで、テレビは、「アンチテレビ」の声が大きくなることをむしろ喜ぶべきだと思う。
 
 
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2. まあ評価できる

南淵明宏
医療法人社団 冠心会 大崎病院 東京ハートセンター  心臓外科医
Q2. 「2 - まあ評価できる」の回答理由
原発と震災と防災とがれきの放射能など多種多様な問題山積で、メディアも国民も識者も何をどう考えていいのかわからない状況での各局での視聴率争いだったので見ている方は問題点を絞り切れず、というかすべてが手つかずという現状を改めて見せつけられ、情けないやらあほらしいやら腹が立つやら気の毒やらでネガティブな感情だけが残った。どの番組もそれなりに頑張ったのだと思う、が、全くの弱腰の問題点の指摘で、何も決められない政府と何も伝えられないメディア、そしてしっかりと焼け太る役人ども、という印象だけが残った。特に腹立たしいのは、200億円以上かけて作ったスピードの放射能拡散予想を何ら活用しなかった失態について、「事実を開示するマニュアルを作らなければならない」、などと寝ぼけた提案していた大臣がいて驚いた。もともと事実を隠ぺいするマニュアルが役人の仕事の要諦としてDNAに組み込まれているのだからそんなマニュアルだけで解決する問題だと考える姿勢は本当に情けない。資料を開示するために有効なマニュアルを作るならその前に犯罪を起こさないマニュアル、天下りしないマニュアル、弱いものイジメしないマニュアル、無駄に税金を使わないマニュアルなどいろいろなマニュアルをまず作ってほしいのだが、そういう下らない議論に終始してもMCが政治家に迎合して聞き入っている様子にはメディアもあまりに不甲斐ない。そういえば重要な会議の記録を跡形もなく廃棄するマニュアルもあるようだが、それを修復したように見せかけて都合のいいように議事録を作ってしまうマニュアル、あるいはもともと議事の進行を全く無視して役人の都合のいいように議事録を作るマニュアルについても、「事実を開示するマニュアル」にそってぜひ開示してほしい・・・、などそんな議論を吹っかけてほしかった。本当に何ら生産性がみられなかった不毛な井戸端会議に終始した。メディアは自らの影響力の大きさを自覚し、さらに存在意義とノブレス・オブリージェを今一度認識しなおして欲しい。
Q3. コメントする
政治家に迎合しないでほしい。すると「数字を取るために大物とか大臣を出演させたいんですけど、そうなると気を使わざるを得ないんですよ。断られたら番組が成り立たないですから」
こんな言い訳をCPさんはするだろう。出演を渋る政治家を説得するために力関係がどうしても下手になっているのだ。
それで意味のある番組、メッセージが伝えられるのか?そんなことはコンパスで意見を集めなくても分かっているはずだ。
 
 
岸本裕紀子
エッセイスト,政治コラムニスト
Q2. 「2 - まあ評価できる」の回答理由
震災後一年の報道特集は、その一部を観ただけであるが、時間をかけてテーマを練り、丁寧に取材し、おおむねよく作られていたと思う。
震災当日を自分なりに思い出し、犠牲になられた方々の話に涙し、復興に向けて歩んでいる人々の力に感動し、今後震災が起きた場合にはどう行動すればいいのかなど、わかったことも多かった。
ただ今後は、「絆」とか「勇気」とかそのような大きな言葉でくくられる企画ではなく、被災地や被災者の方々が抱えている問題、地元産業の復興や仕事、家の問題、補償の落差などを地道に報道していく必要がある。「私たちのことを忘れないでほしい」という被災者の言葉は、関心が薄れるにつれて政府の対応も雑になり、復興に真剣に取り組んでくれなくなるのではないか、という不安と一体であると思われるからだ。
原発の問題はいまだ解決途上にあるし、不明な点が多くある。さらに細かい検証が必要だし、「3・11からの一か月」といったドキュメンタリー番組があってもいい。
Q3. コメントする
長期的報道については、一つの被災家族を5年間追う、街の復興や変化を追う、行政がどう変わっていったのかを追う、などいろいろあると思う。
また、震災で見えた日本人のもう一つの姿についても、企画を組むのはどうだろうか。福島県の人々を差別した事例、震災直後に水などを買い占めに走った様子、被災地のがれきの受け入れに反対する人々など。一方で絆の大切さを説きながら、なぜそういう言動をとるのか。
 
 
本田宏
医療制度研究会副理事長
Q2. 「2 - まあ評価できる」の回答理由
 医師の立場で、医療問題についての報道についてもどかしさを感じた。
 多くの医療に関する報道は、医師や看護師不足で医療機関や地元住民が困っている被災地の現状、場合によってその中で孤軍奮闘している医療者の紹介等が多かったような印象だ。
 しかし被災地は震災以前から医師不足•医療機関不足で困っていた地域。たまたま大震災がその現実をさらに悪化、広く注目されるきっかけとなった感が強い。
 個々の医療機関や医療者の頑張りは、もちろん尊敬に値し素晴らしい。しかし現場の精神論のみを美化しシステムの問題を直視しなければ、根本的解決は夢のまた夢である。
 被災地のみでなく、なぜ全国で医師不足や赤字の医療機関の統合閉鎖が行われているのか、震災で白日の元にさらされた日本の貧弱な医療環境について、その深層を広く国民に周知する報道が望まれる。
Q3. コメントする
 先に述べたように、なぜ日本の医療崩壊が放置されてきたのか、なぜ原発の安全神話が信じられていたのか等々、私たち国民が真実に触れにくい日本と日本人が抱える根本的問題についてその実態と深層を明らかにして欲しい。
 また現在政府は、全国で救急体制整備(災害派遣医療チーム Disaster Medical Assistance Team:DMAT)を急いでいる。恐らく近く予想されている関東や東海等々、東日本大震災を超える震災に備えてのものだろう。しかし全国の医師不足や医療機関不足のままにDMAT体制のみ形式上整備して本当に大震災の医療体制は万全なのだろうか?。ぜひその点についても鋭く分析し、国民的議論を盛り上げて欲しい。
 
 
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3. あまり評価できない

鈴木豊
青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科教授・公認会計士
Q2. 「3 - あまり評価できない」の回答理由
メディアの報道の責任は、①事実のありのままの報道、②その事実の発生原因と責任の所在の可能性を報道することである。①は多くの報道があったが、②ついては公式の発表についてが多く、原因と責任の所在については掘り下げが少ないと感じた。エンターテイメント的報道が多くあり、責任とその結果としての防止への方向性が示されるような報道が少なかったと思う。
Q3. コメントする
震災の原因と責任の根源あるいは可能性を深く掘り下げて取材し、国民に明示しなければならない。そうでなければ風化させてしまうであろう。メディアの存在理由あるいはそれが広く認められるのは、国民からの報道の負託があるからである。国民はそして立法府・行政府は、そこから緊急的にどうすべきかの展開を考えたいと願っているはずであるからである。
 
 
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4. 評価できない

小幡績
慶應義塾大学ビジネススクール准教授
Q2. 「4 - 評価できない」の回答理由
無駄である。
我々は、被災を自分のこととしては捉えられない。同情(sympathy)は持てても、共感(empathy)はできない。共感とは、同じ立場に立って感じるということだとするとそれは難しいしつらい。
だから、我々は同情できるが相手の立場に立てないことをつらく思い、罪悪感に浸っている。その罪悪感を楽に処理できるのが、震災特集をテレビで見て、涙を流すことだ。罪悪感の処理は、何の役にも立たない。
Q3. コメントする
視聴者に迎合せずに、東京の人々の本音をぶつけ合うことだ。それは我々の本当に醜い心を映し出すだろう。視聴者をそれを不快に思い、怒りに震えるだろう。そして初めて、それは自分の心のデフォルメであることに気づき、震災の現実、自分にとっての真実に気づくことになる。
そこからしか始まらない。
テレビはそのきっかけになることが出来る。
 
 
海老原嗣生
株式会社ニッチモ代表取締役 HRmics編集長
Q2. 「4 - 評価できない」の回答理由
いつもながらに、自虐的すぎる。
ちょっとは、褒めるような報道ができないのか?
これは震災直後の報道と全く同じ。世界ではかなりフラットに「日本は震災対応でもすばらしい」と、良い部分も流したのに、国内報道は夢のない話一色。思い出してほしい。
・福島50の話はニューヨークタイムズがまず流した。
・震災でも私的行動に走らず、秩序と理性で対処した被災者に対して、韓国や中国の報道でも賞賛された。
日本はこうした賞賛報道を逆輸入するばかり・・・。
1年経って振り返るなら、少なくても以下のことに気づいてほしい。
1)千年に一度、マグニチュード9という大震災なのに、直接的な地震による死者・行方不明者は少ない。死者・行方不明者のほとんどは津波によるものだ。倒壊が原因ではない。これは、マグニチュード7弱でも多数の死者を出したニュージーランドと比べると、誇れることではないか。常日頃震災対策を解き、また耐震住宅建設を進めてきた日本だからこその数字だろう。
2)現在避難を続けている方々もいるので、厳しいことは重々承知だが、それでも、避難者の過半数は、地震ではなく「原発」関連だ。もし、この地震に「原発被害」が伴わなければ、日本の災害復旧は相当早かっただろう。ここを分けて考えるべきはず。政府は何もしない、阪神大震災と比べると、という発言が多数出るが、あの時にもし、福井の原発が同じ状況だったら、対応は分散されていたはずだ。
再度言いたい。今回の被災の多くが「原発」関連であり、また死者・行方不明者の大半が「津波」による。直接的な地震被害の少なさを取り上げる報道がぜひ欲しい。
3)行方不明者の身元判明。震災直後、死者・行方不明者の総計が3万名に迫るほどだったものが、現在は1万9,000名になっている。この間に、1万名以上のゆくへ不明者の身元が判明している。この数字も誇れることとして取り上げるべきではないか。
最後にもう一度言いたい。今回の地震の倒壊による直接被害はどれほどだったのか?マグニチュード9に広範囲が襲われ、岩手から千葉まで含めると、居住人口1000万に迫るような状況だったのに、直接的な地震被害が少なかったこと。ここを再考してほしい。
Q3. 回答を控える
 
 
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5. そのほか(設問・選択肢以外の視点・考え方)

浜辺陽一郎
青山学院大学大学院法務研究科(法科大学院) 教授,弁護士
Q2. 「5 - そのほか(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
新しい映像はインパクトがあったものもあり、最近の動きもそれなりに理解できた。それぞれの番組の制作意図は、それぞれにあるのだろうから、総括的な論評はできない。ただ、震災の問題には、原発をはじめとした人災の部分と天災の部分があって、それを区別して検討する必要がある。人災の部分については、日本人は責任問題を避ける傾向があるが、それでいいのだろうか。天災は防げないが、人災(復興の遅れなど、事後的な対応の不手際を含む。)を繰り返さないためにも、人災に対しては原発問題をはじめとして、しっかりと向き合う必要がある。

すべてを見ていないので、「伝えるべき内容」を放送できていたかはいえないが、その悲惨さやいまだに窮状にあることは、それなりに伝えていると思う。「伝えきれていない点」として、先述の「人災部分の責任問題如何」の視点が弱いのではないか(原発問題は、それなりの扱いがされているが、まだまだ弱いかもしれない)。そのほか、今後の見通しの不透明さがあると思うが、それはないものねだりだろう。
Q3. コメントする
人災の部分については、その後の責任問題がどのように決着したのかまで見極めたいが、そのプロセスについても、要所要所を報道してほしい。

もっとも、被災者の方々への視線というか、被災者の方々の生活を優先した配慮が最重要ではある。
 
 
中野晃一
上智大学教授
Q2. 「5 - そのほか(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
震災から1年ということでまだあまりに生々しく、テレビで特別番組を見る気になれなかったです。したがって「震災番組」を評価する立場にありません。(また3月11日当日は朝早くから夜遅くまで、東京から日帰りで気仙沼、陸前高田を経由して大船渡に行っておりました。)
Q3. コメントする
1年経過してまだこれしか復旧・復興できていないという見方と、1年しか経っていないのにもうここまで復旧・復興したという見方、その両方ともに真実を捉えていると感じています。失ったものがあまりに大きい以上、そうした状況は今後もしばらく続くのではないかと思います。取材・制作する側が過度に感情的になることなく、失われた数々の尊い命への謙虚な追悼の念を忘れずに報道を続けていただきたいです。
 
 
原田曜平
博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー
Q2. 「5 - そのほか(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
回答を控えます。
Q3. コメントする
日本と中国を中心に、アジアでマーケティングを行っている立場として、
「ピンチをチャンスに変える」意志を持った報道が必要だと思います。
震災直後、私は中国、インドネシア、ベトナムを周り、若者たちに
インタビュー調査を行っていました。
どの国の若者の口からも、日本に同情する以上に、日本人に対する
尊敬と畏怖の言葉が聞かれたのに驚いたものです。
皆が黙って歩いて帰宅している姿や、文句を言わず列を作って帰宅する
日本人の姿に、世界中の人々が感動し、「こりゃ敵わない」と思った
のだと思います。
そして、こんな忍耐力と真面目さがある日本人が作った製品は、
質が悪いわけがないと感じていた若者も多くいました。
今、日本にはたくさんの外国人がいます。
ソーシャルメディアの時代、彼らの意見が世界中に広がっていき、
それが日本の国力につながっていきます。
この大ピンチを大チャンスに変え、少しでも早く復興が実現する
よう、日本国内向けだけを意識するのではなく、日本や日本人や
日本製品のプレゼンスを上げる、「世界の目」を意識した報道こそ
されるべきだと考えます。
 
 
山田昌弘
中央大学教授
Q2. 「5 - そのほか(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
海外にどのように受け止められているかという番組があったのでしょうか?それがあればよかったと思います。
Q3. 回答を控える
 
 
伊東乾
作曲家・指揮者 ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督
Q2. 「5 - そのほか(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
すべての番組を見たわけではないので、個別具体に触れることはできないが、番組作りの定形に即して、実際に見ずとも内容が判ってしまう、パターンを超えたものは目にしなかったように思う。従来も伝えられてきた範囲の内容が、少し角度を変える、程度の事で伝えられ、私たちが実際に現地、それも20キロ圏内に入って始めて知るような内容は、ほぼ一切伝えられない状況に、何か本質的変化があったとは思えない。結果、視聴率の低下、放送継続の困難、といった、これまた先の読める民放おきまりのスパイラルに落ち込みつつあるようにみえ、憂慮すべきことかもしれないと考える。
Q3. コメントする
東京でデスクが、視聴率の数字が出る出ないといった判断を既存のパタンで考えている限り、マンネリ化は不可避だろう。責任ある立場のものが、まず、正規の手続きを踏んで、福島原発直近まで行って見ることを薦める。私自身一昨日初めて、業務で入った現地の帰路、サーベイメータで随時線量も確認、安全確保しながら福島第一原発正門前まで車を運転してみた。短時間であり、被曝量は都内にとどまるのと統計的に有為な差はない。 東京でいすに座って可能な判断で放映できる番組はすでに限界がある。判っていてしないとすれば、局として怠惰を指摘されても、反論できないのではないか?
 
 
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  • 2012年03月24日放送
    『3月11日関連の震災報道』について

    今後、取材にもとづいて報道していただきたいことが一つあります。今回の震災報道のどこかで言及されたかもしれませんが、おそらく多くは取り扱われなかっただろうと思います。

    それは、被災者の生活再建における経済的な側面です。持ち家を失った家族の生活再建にはどの程度のお金が必要で、それを賄う手段には何が使われるのか。被災すると、細かいことも含めて、具体的にどのような出費がかさむのか。地震保険の保険金、生活再建支援制度による政府からの支給がどの程度なのか。残りの金額はどう工面するのか。貯蓄からの持ち出しなのか、無い袖は振れない状態に陥ってしまうのか。

    そう考えるのは、大きな自然災害から家計を守る方策を考えるきっかけになるからです。リアリティあふれる情報に触れると、自分の家計に照らして考えることが容易になります。

    流れる情報量がある量を超えると、相手が自然災害といえども、自分の家計は自分で守ろうという意識を持つ人たちがぐんと増えだすのではないかと思います。災害が家計に与える影響を理解する人が増えると、自分の家計は自分で守ろうという意識が強い社会に変わっていくでしょう。公的支援に関する議論にも影響を与えるかもしれません。

    今、防災意識が高まってきていると思います。この機会に、命を守る方策に加えて、家計を守る方策についても日頃から考えておくべきではないかという問題提起を、報道を通じて行ってほしいと期待しています。