2011年06月18日 新・週刊フジテレビ批評で放送
社会・公共

日本の原子力発電と、新エネルギーのこれから

 3月11日に起きた、福島第一原子力発電所の事故は未だ収束していません。事故後、ドイツ、スイスは脱原発を政策目標として掲げ、イタリアは国民投票によって脱原発を選択しました。こうした中、日本国内では原子力発電所をどうするかについて未だに明確な合意形成も、政治的な発信も行われていません。
 また、日本国内の原子力発電所54基中、稼働しているのは6月現在で18基にとどまります。定期点検のスケジュールから、稼動していない原子炉が再稼働を行わない場合は、来年の7月までに国内の原発全てが停止する見込みです。これによって生じる電力不足は、関東だけでなく、全国で発生します。
 こうした状況に対して、これからのエネルギー政策をどのように考え、議論し、合意形成をはかるべきか、そして、原子力発電に替わる電力をどのように調達すべきかは、国民的な課題と言えます。しかし、政治的空白が指摘される中では、これらの課題についても個別のアイデアが先行している感は否めません。
 
感情論ではなく「戦略的思考と行動」が必要!

オピニオンリーダーへの問いかけ

※コンパスで掲載された全ての意見・回答は各氏個人の意見であり、各氏所属の団体・組織の意見・方針ではありません。
Q1:日本は今後、原子力発電と、どのように向き合うべきと考えますか?
Q2:問1の選択の理由について、日本の原子力発電の今後の在り方、原子力発電を取り巻く今の国内の議論について、ご意見をお聞かせください。
Q3:今後、原子力発電に替わる電力の供給が必要になってくると考えられます。再生可能エネルギー(自然エネルギー)を実現してゆくために、どのような施策、政策、枠組みを用意すべきでしょうか。
回答の要点
今回は、3・11から3ヶ月(100日)が経過した今だからこそ、
すでに何度も他のメディアで問われた原子力発電の今後についての設問を、敢えてオピニオンリーダーに問いかけました。

選択肢のなかで最も回答が多いのは、〈段階的廃止〉でした。複数のオピニオンリーダーから、回答理由として今回の事故でリスクとコストの高さが明らかになったことが挙げられています。
しかし、そうした回答のなかでも、原子力発電は日本だけの問題ではなく、世界的問題でもあるため、ただ廃止することへの懸念も示されています。
また、日本の置かれているエネルギー事情から〈現状維持〉〈増やす〉という回答も少数ですが寄せられました。その他、拙速な判断の前に、より正確な情報と徹底的な検証の必要性が指摘されています。

問3の、今後の新エネルギーをどう進めてゆくかという設問に対しては、再生可能エネルギー実現のための施策、政策、枠組みについて、
日本の総力を挙げた取り組みと、それを促す経済的インセンティブの
重要性が指摘されています。

さまざまな見解が寄せられましたが、すべてのオピニオンリーダーの
回答に共通しているのは、日本が生き残るにはどうすべきかという視点でした。
オピニオンリーダーのみなさんの回答をご覧ください。
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オピニオンリーダーの回答

( 25件 )
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1. <即時廃止>多少の電力不足も受容し、原発を停止させる

藤巻健史
株式会社 フジマキ・ジャパン代表取締役社長
Q2. 「1 - <即時廃止>多少の電力不足も受容し、原発を停止させる」の回答理由
使用済み燃料の処理費用、、原発事故の対処費用という莫大な費用を考えると原発程高いエネルギー源はないであろう。
又、1999年の東海村の事故に続き今回の事故が起こった。起きた時のダメージがあまりに大きすぎる。地震国にとっては危険なエネルギー源であり、早急に自然エネルギーにシフトするべき。シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド等、原発が無くても経済が発展している国は多数ある。またウランにしろ、石油にしろ天然ガスにしろ、これらの輸入原料による発電は将来考えれる円安により値段が急騰する。早く円安の影響を受けない自国産の自然エネルギーにシフトすべき。
Q3. 「実現のための施策、政策、枠組み」への意見
電力使用量を抑えるのに規制や倫理に頼る社会主義的な発想は辞めるべき。超高額な炭素税をかけるべきだ。それを消費税の代わりに、復興財源とする。従来の発電方式による電気代が上がればおのずと電力需要が減るのは経済学のABC.一方、自然エネルギを無税にすれば自然エネルギーの競争力は大いに増す。技術も資金も集まり、早期実用化、低コスト化が進む。開発モチベーションが増すからだ。それが市場原理である。市場原理を使うべき。自国産エネルギーで将来の円安が来ても大丈夫。当初は苦しいが、財政赤字に加えて今回の大震災で日本経済はかなりの落ち込みを示す。どうせ、何をやっても苦しいのなら、高額炭素税で将来の日本のための種まきをすべき。
 
 
南淵明宏
医療法人社団 冠心会 大崎病院 東京ハートセンター  心臓外科医
Q2. 「1 - <即時廃止>多少の電力不足も受容し、原発を停止させる」の回答理由
日本の政治や行政の機構が結局原発を食い物にしかできなかった、いい加減な管理しかできなかった、という現実を踏まえて、そういった人たちには「もうちょっと別の方法で国民からお金を巻き上げるなり天下りを確保するなり、適当に隠れてうまい具合にインチキをやってよ」ということで、ただちにあきらめていただくべきだ。結局人が管理するものであるから「より安全性の高いもの」には現実性は全くない。委員会や天下りポストや有識者増税会議をさらに増やす口実に使われるだけだ。そのぐらい誰でもわかっている。
Q3. 「実現のための施策、政策、枠組み」への意見
電力市場を開放することにつきる。電力は「お上から下し置かれ奉るもの」で、民人が「自由に発電したり蓄えられないもの」という制度になっている。発電方法を議論する前に、そういった電力会社に独占されてきた制度や、それが堅持されてきた周辺の巧妙なしくみをまずはすべて取り払う必要がある。自然エネルギーの活用は発電量が一様でないなど欠点もあり、電力消費も一様でない(ピークがある)のだから、スマート・グリッドなど、そういった電力の供給システムを状況に即応させるシステムの開発、導入は絶対に必要だろう。もちろんハードとしての電力を貯める機器、端的には蓄電池であるが、あるいはもっと他の方法、位置エネルギーや化学エネルギーへの転換で蓄える方法など、とにかくアイデアはいくらでも出てくるはずだ。世界に広大な市場を持つすばらしい新しいビジネスチャンスと言える。
自動巻き時計や重りで動く置時計が電力を全く消費していないように、無電力製品の21世紀バージョンも多数、開発され日常生活にあふれることだろう。また、ジョギングすれば発電、充電できる、というグッズも大歓迎だ。
「勝手に発電、勝手に蓄電、勝手に消費」、という時代が来てほしい。発電税がかけられるだろうが・・・。
 
 
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2. <段階的廃止>電力不足に配慮し、ゆるやかに原発を停止させる

伊東乾
作曲家・指揮者 ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督
Q2. 「2 - <段階的廃止>電力不足に配慮し、ゆるやかに原発を停止させる」の回答理由
国内の議論、とのことだが、いま本稿をドイツで記しているので別の角度から答えさせていただく。国際的に見た核燃料資源の社会経済的な循環と、それらの安全保障上の意味、といった問題は別にして、現在「原子力発電」と呼ばれているものは、核分裂反応を熱源として釜で湯を沸かせるだけで、そこから先はほかの既存発電技術と同様、タービンを回して交流発電機を運転するという、きわめて原始的なもので、冷戦期に核兵器の世代交代と並行して中途半端に生まれたシステムが転がり続けているのに過ぎない、という認識がある。米ソ両大国の間で欧州が第三極として力を集中する過程でフランスが原発大国になったのは、こうした背景をよく物語っているだろう。

今後、人類と核物質の長い歴史が展開すると思うけれど、この極く初期型の、タービンをまわすだけという初歩型「原子力発電」は、すでに歴史的使命を(たぶんスリーマイルズ島事故あたりの時期に)おえつつあり、次代エネルギーへの転換は問うまでもない当たり前のことという議論が水準を作っている。
Q3. 「実現のための施策、政策、枠組み」への意見
ひとつだけ、明らかに政策として現実的なことを記すなら、現在原発まわりで回転している経済、そこで生活している人たちの雇用や社会経済を保存的に考え、エネルギー政策転換を実現するのが重要と思う。既存の経済循環に固執するから転換が出来ない。その惰性そのものを、新たな産業市場の展開に振り向けることこそ、賢明な為政者判断と呼ぶべきではないか?
 
 
浜辺陽一郎
青山学院大学大学院法務研究科(法科大学院) 教授,弁護士
Q2. 「2 - <段階的廃止>電力不足に配慮し、ゆるやかに原発を停止させる」の回答理由
原発問題は、日本だけの問題ではなく、世界的に原発の専門家を養成していくことも重要であるから、日本が原発を廃絶するだけでは根本的な問題は解決しない。

ただ、日本国内では、これを今までのように大々的に依存することができないことも明白となったので、方向性としては脱原発で動くべきだろう。その中で、原発ビジネスは海外向けのものに特化して日本としての貢献を考える方向にまとめていくべきではないだろうか。
Q3. 「実現のための施策、政策、枠組み」への意見
発電と送電を分離することは不可欠の大前提。
様々な再生エネルギーの開発競争を促進することも重要。
神奈川県知事が目指すような太陽光発電の推進を進めるには、経済的に割りの合う優遇策を導入することも必要。
 
 
木村太郎
ジャーナリスト
Q2. 「2 - <段階的廃止>電力不足に配慮し、ゆるやかに原発を停止させる」の回答理由
原発は安全で安価であるといわれて多くの国民が支持してきたが、3.11でそれが事実ではないことが証明されたから。
Q3. 「実現のための施策、政策、枠組み」への意見
イタリアの脱原発決定を「集団ヒステリー」というような、政界、官界、財界、学会、言論界の原発推進派の鉄の五角形を解体すること。
 
 
山村武彦
防災システム研究所所長
Q2. 「2 - <段階的廃止>電力不足に配慮し、ゆるやかに原発を停止させる」の回答理由
大事故が発生したら、いったん全部停止して安全確認を行うのがセオリー。これまでの安全管理を失敗した原子力安全・保安院に任せず、客観的な第三者機関による多角的検証を実施、とくに古い原発は廃止とするが、一定の安全性が確認できたものは運転を許可する。ただし、原発が危険であることは震災で立証済みのため、段階的に停止し最終的には原発に頼らないエネルギーで賄うようにする。
Q3. 「実現のための施策、政策、枠組み」への意見
再生可能なエネルギーも、効率や費用対効果の点を精査する必要がある。波動エネルギーなどを含む技術革新を推進する政策が必要。クリアできないであろうと言われた米国排気ガス規制も、ホンダは研究陣を総動員し努力を重ねCVCCの新技術を生み出し、燃費の安いきれいなエンジンをつくりあげた。日本のモノ作りは困難であっても崇高な使命を悟れば、きっと実現してくれるものと信じている。
技術革新を推進するためにリーダーは胸襟を開き産業界に協力を呼び掛け、国家的事業として総力戦であたるべきである。
 
 
中野晃一
上智大学教授
Q2. 「2 - <段階的廃止>電力不足に配慮し、ゆるやかに原発を停止させる」の回答理由
原発は廃炉に時間がかかるものだから、本来は「即時廃止」などという選択肢はそもそもない。速やかに脱原発を進めても「段階的廃止」にしかできない。そういう意味で「段階的廃止」である。
老朽化が進んでいたり、また立地条件などからとりわけ危険性の高いものは即時停止し、それ以外の原発についても速やかに廃炉に向けて動くべきである。脱原発のタイムテーブルも明示する必要がある。
ひとつは、次世代の日本人に対する責任である。原発が「安い」という言説は、事故リスクのほかに、将来の日本人に対するツケ(廃炉や使用済み核燃料の管理の長期的なコスト)を無視した非現実的なまやかしである。日本が世界でもまれに見る世代間不公平の存在する国であることを忘れてはいけない。年金などの社会保障、財政赤字に加えて、東電福島第一原発事故によってとてつもない環境破壊と放射能汚染を若者や子どもたちに押しつけることになった。これ以上、こんにちの生活の利便のために日本の将来を担う次世代に害悪を残すことは許されない。
ふたつめは、世界に対する責任である。東電福島第一原発事故によって日本は信頼を失った。世界の政財官界エリートに随一の影響力をもつThe Economist誌(6月11日〜17日号)が巻頭の論説記事にて、安全を無視した原発行政の責任は長期政権を通じて原発を推進してきた自民党にあるとしたうえで「The LDP should be in the stocks, being pelted with Fukushima\\\'s radioactive vegetables, not relishing a return to government」(自民党は首かせにつながれて放射能に汚染された福島産の野菜を投げつけられているべきであって、(大連立を通じた)政権復帰の前祝いをしている立場になどない)と断じた厳しい現実を直視すべきである。菅政権にすべての責任を擦りつけて逃げ切ろうという姑息なやり口は、日本国内では通用するかもしれないが、世界の目はごまかせない。国際社会から見たとき、歴代自民党政権が推進してきた原発政策の徹底的な反省と検証ができない日本には、今後原発を推進維持する資格などない。
Q3. 「実現のための施策、政策、枠組み」への意見
東電福島第一原発事故を起こした日本は、今後、原発依存から速やかに脱却し、ありとあらゆる手をうって再生可能エネルギーの研究開発に取り組む姿勢を国家として打ち出すべきである。アジア太平洋戦争の災禍以来、これほどの規模と期間で国民と国土の安全を損ない、近隣諸国をはじめとした国際社会を脅かした出来事はない。マスコミは電力会社や日本経団連、経産省、自民党や民主党などの懲りない原発ロビー勢力のお先棒を担ぐようなマネは止めて、脱原発と(これまで無視されてきたに等しい)再生可能エネルギーの推進を求める民意に耳を傾けるべきである。国家の基幹となるエネルギー政策の大転換は、永田町や霞ヶ関で政治が担われているという勘違いを捨て、若い家族や市民たちが声を挙げはじめた日本中の街角を注視することから始まる。小手先の政策論だけでは、原子力村の巻き返しに瞬く間に骨抜きにされるだろう。
 
 
マリヨン・ロバートソン
都市開発会社Metplan社Chairman and CEO
Q2. 「2 - <段階的廃止>電力不足に配慮し、ゆるやかに原発を停止させる」の回答理由
原発の廃止、継続を決めるにあたって、具体的な代替エネルギーの導入策はどうなっているのか。福島原発事故の影響を受ける東電管内だけで無く、関西,北陸など他地域でも節電の号令がかかっているが、電力使用の自粛だけでは、エネルギー産業に頼って構築された現代社会は回らない。
窓の開か無いオフィス等のビル、コンクリートとアスファルトで覆われた街、至便性を追求し続けた都市型基盤をどう変えれるのか。急激に変える事での弊害は否めない。
ダイオキシンなどの排出が少ない原発は、地球の体内にある自然界から得られる究極のエネルギーだった筈。其のエネルギーの凄さは、裏を返せば、危険度の大きさも尋常ではない事を我々は再認識した今、絶対的な安全保障を打ち出せなければ、段階的な廃止に向うのは妥当であろう。
Q3. 「実現のための施策、政策、枠組み」への意見
戦後、工業生産を軸とし、ジャパンファクトリーと渾名されるほど休み無く成長した日本、あらゆる角度から根本的な電力使用削減を政策として打ち出すのは国家的な責務だ。今回の災害が日本国民だけでなく、世界、特に先進国、成長する次世代国に与えた影響は大きい。日本は世界中が注目する今、代替えエネルギーの導入と並行して、斬新なエネルギー使用削減案を議論し、早急に方向付けが求められる。
 
 
鈴木豊
青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科教授・公認会計士
Q2. 「2 - <段階的廃止>電力不足に配慮し、ゆるやかに原発を停止させる」の回答理由
国民にとってリスクの高い原発を停止にし、リスクの程度を評価しつつ、代替エネルギーを実現することを迅速に目指し、ゆるやかにリスクの少ない原発を残し停止する。
Q3. 「実現のための施策、政策、枠組み」への意見
代替エネルギーのフルコスト対便益を測定評価し、再生可能エネルギーを創出すべきである。鈴木豊
 
 
石澤靖治
学習院女子大学長
Q2. 「2 - <段階的廃止>電力不足に配慮し、ゆるやかに原発を停止させる」の回答理由
 現実的には、原発の即時停止は難しいだろう。しかしながら万全の安全対策を施しながら、順次廃止していくことは可能であるし、そうすべきだと思う。
日本社会において、考えるべきことを考えないようにし、議論すべきところを議論しないようにして、なされてきたのが原子力政策である。今回の事故は極めて残念であり、不幸であり、多大な犠牲を出していることは紛れもない事実である。ただその中から、日本社会で議論を尽くしてメリットとデメリットを明らかにしたうえで、結論に到達する政治的プロセスが確立するのであれば、せめても幸いだと思う。しかしながら、単なる感情論で原発問題が扱われてそれで終わりになるならば、別の意味での「原発問題」(原発ではなく、別の政策で同様の問題が発生すること)は、今後も日本で起きるのではないか。
Q3. 回答を控える
 
 
山田昌弘
中央大学教授
Q2. 「2 - <段階的廃止>電力不足に配慮し、ゆるやかに原発を停止させる」の回答理由
今回の事故や詳細な報道で、原発のコストが見合わず、リスクが大きいことが分かった。今ある原発を即時廃止はやはり、コストの点から言っても見合わない。経済的な視点からも、古いものから順次廃炉していくのが合理的。
Q3. 「実現のための施策、政策、枠組み」への意見
コストや量の点から、自然エネルギーは主流にはなり得ないが、補助として進めるべき。政府が税金を投入し、自ら発電施設を作って、電力会社に売る仕組みを作る。民間の業者は、一旦電力を政府に売れば、インセンティブになる。そうすれば、電力料金などのコストの問題はなくなる。
 
 
山崎元
経済評論家
Q2. 「2 - <段階的廃止>電力不足に配慮し、ゆるやかに原発を停止させる」の回答理由
原発のリスクのマイナス面に注目すると、以下の点が指摘できます。

(1)原子力という技術そのものを安全か危険かと決めつけることは不毛です。実際にリスクとして認識しなければならないのは「原子力」そのものよりも、それを運営・管理する「人間」です。基本的に、人間を完全に信じることができないことが、原子力そのもののリスクと混同されていることが、原子力問題を難しくしている根本原因でしょう。

(2)原子力のリスクを評価する上では、今回の「フクシマ」の事故のようなケースの「コスト」をどのように見積もるかという問題があります。評価に関しては、たった1ケースについても最低数閏年の期間を必要とする現実があり、「科学的に」有効な結論を出すことには困難がありそうです。たぶん、上下に10倍以上の開きのあるコストを前提に賛成派と反対派とが議論をするので、議論は噛み合うことがありません。

(3)現実的にいえるのは、姿が見えないし、悪影響が表れるまでに何十年も掛かる放射能に対する「心理的コスト」が非常に大きいということです。

(4)上記の(1)~(3)を綜合していえることは、「できれば」、同じコストの下なら原発を使わずに済む方が、国民の満足度は明らかに高い、という程度のことです。

この段階で、もう一つ考慮すべきは「技術」の前提でしょう。

(5)現在の技術を将来も所与のものとして、発電のコストを考えてはいけません。原発も、それ以外の発電も、開発と投資に資源を振り向けると、効率(安全性も含めて)を改善することができるはずです。

(6)また、節電(白熱電球→LEDライト、エアコンや冷蔵庫の技術進歩など)技術の進歩や、蓄電、電力マネジメントの技術進歩は、発電力の増強と同様の効果を持ちます。

すると、次のような期待を持つことが出来るのではないでしょうか。

(7)「原子力発電を段階的に廃止する」という大方針を明確にして、他の発電技術と節電技術に投資を行うなら、将来的、コスト的に見て原発の代替が可能になる可能性は小さく無いのではないでしょうか。

(8)付け加えると、上記のような、原発を不要とする発電技術の開発は、ビジネス的にも極めて大きな価値を持つことが予想できます。この技術開発への投資は投資それ自体として魅力的なものである可能性が(かなり)あります。

一方、現実問題として、次のような問題があります。

(9)技術の改善とその実現には時間が掛かります。現在稼働している原発を直ちに止めることのショックは大きい。従って、安全管理に現在以上に留意しながら、徐々に原発を減らしていくことが、現実的な選択になるように思います。

最後に補足として。

(10)原発廃止で電力コストが上がり、日本の競争力(←曖昧で使い物にならない概念です!)が損なわれるという議論がありますが、そもそも、石油もウランも輸入するような国がエネルギー集約的な製造業にウェイトを置くこと自体が非合理的です。あくまでも、個々の企業なり個人なりの意思決定の集積で決まることですが、電力コスト云々の問題以前から労賃もエネルギーコストも(アジアの中では一番くらいに)高い日本でこれらに依存するところの大きな「ものづくり」に注力することが賢くありません。

 脱原発をある程度の時間を掛けつつ確実に進めながら、日本の産業構造も変わって行く。そうなることが、望ましい将来の展開ではないかと考えます。
Q3. 「実現のための施策、政策、枠組み」への意見
先ず、新技術に基づく電力一単位当たりのコストとして、原子力や火力のような環境に負荷の掛かる発電のコストに対して、どれだけ追加的なコスト投資していいかを考えて、国からの補助金を設定するべきでしょう。この補助金は、新技術への投資に対する奨励金であり、間接的な形ではありますが、国としての再生可能エネルギーへの「投資」の意味を持ちます。

具体的には、環境負荷発電のコストに幾らかの奨励金を乗せた価格で送電設備を持つ電力会社に再生可能エネルギーによる電力を(強制的に)買い取らせて、奨励金に相当する差額の相当部分を国が負担するような仕組みを作るといいのではないでしょうか。これによって、新技術の進歩を促すといいでしょう。
 
 
吉崎達彦
株式会社 双日総合研究所副所長主任エコノミスト
Q2. 「2 - <段階的廃止>電力不足に配慮し、ゆるやかに原発を停止させる」の回答理由
経年40年以上になる原子炉をじょじょに廃止しつつ、新しい立地を行わない。その間に当面は火力、中長期的には新エネルギー開発で補っていく。究極的には「脱・原発」になるにしても、時間をかけて取り組まざるを得ないことは明らかだろう。この間、新たな技術者の養成も欠かせない。「即時廃止」は現実的な選択肢とは言い難い。
Q3. 「実現のための施策、政策、枠組み」への意見
全国10社の電力会社が、それぞれの地域の特性に合わせて、太陽光、風力、地熱、水力などのエネルギーを組み合わせつつ、競争が起きるような仕組みづくりが重要になる。
「送配電部門の分離」も一案だが、供給責任が明確な現体制のメリットもあるので、その議論は慎重であるべきと考える。
 
 
本田宏
医療制度研究会副理事長
Q2. 「2 - <段階的廃止>電力不足に配慮し、ゆるやかに原発を停止させる」の回答理由
 世界(米国や欧州)の原子力発電所の多くは、大地震が起きにくい地域に建設されている。世界でも有数の地震大国の日本で、安全性を担保しながら原子力で発電することは、地震や津波に対応するための安全対策にかかわるコストはもちろん、今回のような万一の原発事故時の補償等、その他未来永劫にわたる原子力廃棄物にかかるコスト等を考慮すれば世界一高価にならざるをえないのは自明。ところがずっと今まで、そして事故が起きてからでさえ「原発が他の発電に比して単価が安い」等の議論がまかり通っているのは驚愕。これでは建設的な議論ができない。
Q3. 「実現のための施策、政策、枠組み」への意見
全国各地の電力会社の独占体制を止めて、送電線を広く開放する。そうすれば各地でそれぞれの特徴を生かした代替発電(地熱、風力、太陽光、波力等々)の開発•発展が可能となる。
 
 
岸本裕紀子
エッセイスト,政治コラムニスト
Q2. 「2 - <段階的廃止>電力不足に配慮し、ゆるやかに原発を停止させる」の回答理由
福島第一原子力発電所の事故は、いまだ処理が継続中で不安が消えないばかりか、これまで原発の利点とされてきた「コスト安」や「環境への負荷が少ない」などをことごとく覆してしまった。

廃炉の費用や補償費は莫大で、環境汚染は進み、突然生活を断ち切られた人々の不幸ははかりしれない。
毎日の報道を通して私たちは、事故対応への技術は未熟で試行錯誤の状態にあることを知ってしまったし、政府の情報開示の仕方や内容への不信感もぬぐえない。
また、原発の再稼動の決断が地方自治体の長にゆだねられていることもおかしな話だ。
政府の安全基準の見直しすらない中、選挙民のことを考えればゴーサインを出すのは難しいのは自明のことだ。
このような理由で、日本のエネルギー政策についてはゆるやかに方向転換していくべきと考える。
もうひとつ感じるのは、こんなに大事なことなのに、国民はずっと原発やエネルギー政策について、ちゃんと考えてこなかったという反省だ。今回の事故を契機として政府は、今後のエネルギー政策について、継続するのか、転換するのか、その各々のメリット、デメリット、コスト、可能性などをきちんと整理して示し、国民的な議論を高める努力をするべきだと思う。
Q3. 「実現のための施策、政策、枠組み」への意見
原発から再生可能なエネルギーへの変換については国民の間に大まかな理解はあるように感じるが、合意形成にはいたっていないと思う。
それは、太陽光など新エネルギーはコストがかかり、非実現的だという意見、また、原発を止めると、電気料金が上がり、節電のために日本経済が減速するという見方があるからだ。
私たちは、暗くなった街や店舗、28度の室内、多少の電気料金の値上げには耐えられても、景気が更に落ち込むことについては不安になる。

「原発がダメだから、仕方なく再生可能なエネルギーへ転換する」といった説明ではダメだ。

政府は、もし新エネルギー政策に舵をきるのなら、あらゆる叡智を総動員して政策を立て、新エネルギーは大量生産によりコストを抑えることも可能で、新しい雇用も生み出す、というプラス面を語ってほしいし、また、その分野で世界の最先端を目指すくらいのことを言ってほしい。
 
 
坂東眞理子
昭和女子大学理事長
Q2. 「2 - <段階的廃止>電力不足に配慮し、ゆるやかに原発を停止させる」の回答理由
まず福島1号機のような古いものから停止してゆきその間に新エネルギー供給体制を作ることです。すべての原発を一斉に止めると3月の東電のような混乱を生じます。
Q3. 「実現のための施策、政策、枠組み」への意見
新エネルギーは太陽光だけでなく、波、風、地熱、いろいろあり得ます。そうした新エネルギーの買い取りを強制し、それが電気料金に上乗せされることで省エネ型機器の開発普及が飛躍的に進むでしょう。それが日本の強みになることを期待します。
又J-POWER(電源開発株式会社)のような石炭火力発電所でもCO2の排出の少ない、効率のよい発電所を建設すべきです。
 
 
ショーン・K
パーソナリティ/タレント
Q2. 「2 - <段階的廃止>電力不足に配慮し、ゆるやかに原発を停止させる」の回答理由
そもそも「脱原発」、「原発推進」という二元論でのイデオロギー論争が問題の解決を遅くしているように思えるし、リアリティーに欠ける。

今は国内外全ての英知を結集して立ち向かうべき「脱原発“危機”」の状況である事を全ての当事者、また国民も意識すべきだと思う。


常識的に考えて、外部性、環境、運用リスクなどを考えれば全ての電源は再生可能エネルギ―にシフトすべきであることは、“長期的に見て”全世界的に是とする方向である。エネルギー問題に限った事ではないが、変化には時間軸に照らしたロードマップが必要。日本列島を一旦「冷温仮死状態」にして蘇生手術などできるわけがない。


当然ながら、短期的には脱原発危機、中期的には、過渡期エネルギー源としての発電源ポートフォリオの最適化(原発を含む)、中・長期的には、現在では数パーセントのエネルギー供給源でしかない水力、太陽光、風力、バイオマスといった自然エネルギーの発電効率アップ、運用、経済合理性における可用性の実現、となるのではないか。


こうしたロードマップを前提とするならば、まずは原発の新増設と、核燃料サイクル事業はただちに停止すべき。40年廃炉となるならば、いずれにしても設備容量も下がり、否が応でも代替エネルギーでの過不足電力の補填が急務となる。使用済み燃料の、例えば乾式中間貯蔵という代替案なども視野に入れ緊急短期的「脱原発危機」から中長期のエネルギーシナリオを明示した上で、より現実的な過渡期エネルギー政策を練り、国内、国際社会へ発信、了解と信頼、協力を請うていくべきではなかろうか。
Q3. 「実現のための施策、政策、枠組み」への意見
専門家ではないので「枠組み」について雑考を。

自然エネルギーの実現は、現状での原発3割依存の発電源ポートフォリオから自然エネルギーを中心にした電力ミックスへの漸進的シフトの延長線上で推し進めていくべきもの。決して原子力発電に対峙する政策、技術ではなく、各発電源のもつ外部性を国のエネルギー政策という大きな枠組みの中に内部化しつつ、中長期に向けた互恵的とも言える、互いを支えあう持続可能な電源ミックスの発送電・利用効率の極大化(外部性の極小化)を図る必要がある。


また想定外とはいえ、福島第一原発事故には実際に起こり、その最悪のシナリオの可能性が厳然とした現実として目の前につきつけられ、とてつもない外部性が分かった(全貌はまだ見えないが)今、最悪のシナリオは可能性ではなく蓋然性として認知、徹底共有、入口、出口の外部性を再度見積もり、今後の自然エネルギーとのポートフォリオの中での経済合理性について全体最適を図るべきではないだろうか。

原発の入口外部不経済(コスト認識されていない?)とは例えば補助金、出口に関しては使用済核燃料廃棄、再利用、揚水発電、有事の補償コストなど。

そこには厳格な独立性と権限を持ち判断(国際基準に則り)、指示を出せる監督当局が必要で、逆にそこまで民間企業にやらせるのはおかしいし無理があり、会計制度化されていない外部性を織り込んだ(料金引き上げ、膨大な引当金の積み上げなど)民間企業単体の株式会社としての損益計算は株主利益と相反してしまう。もちろん、発送電事業分離、独禁法の対象から電力を除く、一方で電気事業法を改正し、全国一帯の送電会社を作った方がいい等、よいと思うが、いずれにしても目先の問題にとらわれず、各発電源事業の全体性と外部性を十分に把握した上での指針、ここまでは国、ここまでは民間という総論の上に、各論としてのレギュレーション検討がなされてほしい。


炭素税や自然エネルギーの買取など「◯◯ができるようにする」、「◯◯させる」などの特措法など応急処置的にも見える(今は政争の具)部分調整が検討されているようだが、やはり、誰がその全体スキームを描き、その運用を促進、監督する機能としての「主体」を作る、決める、国内はもとより国際社会にも周知させる事ではないだろうか。既に具体的なエネルギー政策の在り方などを盛り込んだ緊急提言を出したという経産省、総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会のような「研究者」、「提言者」ばかりがまたまた乱立するのも困る。

そもそも原発関連で年間4500億円の予算争奪戦を繰り広げながら複数省庁にひしめき合う、原子力安全保安院、原子力安全委員会をはじめとする委員会、審議会、機構、調査会、部会、研究所、民間協会団体などの所謂「原子力村」は発展的に統廃合すべき。特に監督当局は大統領の権限さえ及ばない、有事には軍をも動かす事のできる米原子力規制委員会(NRC)のような独立性、中立性のある組織が一元化、オフィシャルに組成される必要がある。

とにかく、目下の原発危機に対する「対処」、或いは「予防」措置という緊急性を持つ「何を」は「誰が」などなりふり構わず早急に行うべきで、中長期を見据えたエネルギー政策のグランドデザインを描く「誰が」はきちっと決め、国民にも認知されなければ、諸策乱立してしまい、また利益代表組織団体の調整役としての「誰か」になってしまう。
 
 
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3. <現状維持>安全管理の基準を見直し、可能なかぎり既存原発を活用

中津孝司
大阪商業大学総合経営学部教授,国際問題評論家
Q2. 「3 - <現状維持>安全管理の基準を見直し、可能なかぎり既存原発を活用」の回答理由
確かにドイツは2022年までに原発を全廃する方針を決定したが、スイスやイタリアを含めて、周辺諸国から電力を輸入できる欧州諸国のエネルギー政策は、日本にとって参考にはなるが、モデルにはならない。サハラ砂漠に太陽熱発電所を建設し、欧州諸国に輸出するという壮大なプロジェクトもあり、欧州諸国のエネルギー的環境と日本のそれとはまったく別問題である。
日本の場合、たとえば50年後を視野に入れて段階的に原発を廃止する方向が正しいとしても(ウラン資源も有限であることから)、即刻全廃という政策は現実的対応ではない。安全確保を大前提として、当面は原発を維持せざるをえない。
Q3. 「実現のための施策、政策、枠組み」への意見
太陽光パネルを衛星で打ち上げ、大気圏外からマイクロ波で地上に送ることが理想的な自然エネルギーの活用方法だろう。だが、残念ながら、技術的、かつコスト的に実現することは困難である。太陽熱、太陽光、洋上風力、潮力、地熱、水力による発電ミックスで電力を賄うことが当面の課題だろう。ただ、たとえば、水力発電にはダム建設が不可欠で、これには環境破壊が伴う。ダム建設で地元住民の合意を得ることも難しい。そうなると、原発を徐々に減らしつつ、と同時に、石炭火力や石油火力による発電所も徐々に減らしつつ、液化天然ガス(LNG)による火力発電所に転換していくことが最も現実的な当面の政策だと思われる。ロシアから海底パイプラインを建設し、日本列島をパイプラインで取り巻くことも再検討してはいかがか。日本は今後、ロシア産LNGを年間2000万トン輸入するようになる。パイプラインによる供給も検討に値するのではないか。
日本に埋蔵されるメタンハイドレート(天然ガス)を開発することも重要だが、コスト面で採算がとれるかどうかが問題である。
要するに、自然の恵みによる100%発電を目標としながらも、天然ガスをつなぎアポイントリリーフとする時間が長くなるだろう。いずれにせよ、原発を否定するのであれば、電力料金の引き上げは覚悟せねばならない。
 
 
坂野尚子
株式会社ノンストレス社長
Q2. 「3 - <現状維持>安全管理の基準を見直し、可能なかぎり既存原発を活用」の回答理由
経済>安全とは思いません。あくまで安全性が一番であるのは当然のことです。命と経済とを比較した極端な二者選択の意見を見ますが、短期的には現実的に捉えざるをません。電力不足が日本の生産拠点を更に海外に向けさせ、日本への投資意欲が冷え、国の経済再生を益々困難なものにさせないためにも、現在の状況は維持せざるをないです。しかし、長期的には10年計画で再生エネルギーの実現に向かったビジョン、具体的な行動計画に着手すべき時であると思います。
Q3. 回答を控える
 
 
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4. <増やす>より安全性の高い炉の導入などで、原子力発電に取り組む

宮家邦彦
外交評論家,株式会社外交政策研究所代表
Q2. 「4 - <増やす>より安全性の高い炉の導入などで、原子力発電に取り組む」の回答理由
現時点では最も不人気な政策だろうが、日本のエネルギー事情を考えれば、当面は原子力に依存せざるを得ない。
理想論は重要だし、理解もできるが、それだけでは日本が必要とする電力を負担可能なコストで確保することはできない。
究極的には自然エネルギーに移行していくとしても、当面は従来の原子力行政を根本から見直し、より安全な原子力発電を目指すのが現実的ではないか。
Q3. 「実現のための施策、政策、枠組み」への意見
一にも二にも、技術的ブレークスルーが必要であり、それに向けた地道な研究開発に限られた資源を投入するしかないと思う。
 
 
松本大
マネックスグループCEO
Q2. 「4 - <増やす>より安全性の高い炉の導入などで、原子力発電に取り組む」の回答理由
日本の原発はかなり老朽化している(福島原発が一例)。
最新の原発は、かなりコンパクトで、外付けの補機も無く、安全性は昔のものに比べて遙かに高い。
安全性の高い原発に入れ替えていくことは、経済的にも大きな需要を産む。
輸入に頼らざるを得ないエネルギー事情、CO2を多く排出させないこと、日本経済を支える電力の確保、等を考えると、如何に安全な原発を考えるかが重要であると思う。
これは”炉”だけの問題ではなく、どこに炉を設置し、回りにどのように安全を担保できる地域を確保し、どのように送電するかまで含めた広い意味での”安全な原発”を考えるかという意味である。
因みに欧州は、フランスに原発で電力生産してもらい、その電力を買うという域内分業が可能であるし、実際それを行っている。
日本とは事情が違うと思われる。
Q3. 回答を控える
 
 
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5. そのほか(設問・選択肢以外の考え方、視点)

森信茂樹
中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員
Q2. 「5 - そのほか(設問・選択肢以外の考え方、視点)」の回答理由
原発を段階的に縮小した場合の電力料金への影響、将来的な発送分離の是非など、政府はいくつもの選択肢の詳細(国民生活への影響)を公表すべきだ。それがなければ正確な判断ができない。
Q3. 回答を控える
 
 
若狭勝
弁護士
Q2. 「5 - そのほか(設問・選択肢以外の考え方、視点)」の回答理由
電力供給の在り方は国民生活に密着に関連する。こういう基本的な問題については,郵政民営化の時と同じように,総選挙で国民の選択・決定に任せるのが国の在り方。電気料金が高くなっても原発をなくすというのが国民の多数であれば,原発を諦めざるを得ない。総選挙は,震災復興の目処が立たない限り,今すぐにはできでいので,少し先にはなるだろうが,総選挙までは,今しばらくは,原発を稼働させる。そして,総選挙までに,原発の安全性あるいは危険性について国民的議論を行う。現状では,国民の意識として,おそらく危険性ばかりが強調されやすいが,冷静に客観的に議論する必要はあろう。
Q3. 「実現のための施策、政策、枠組み」への意見
再生可能エネルギー,例えば,太陽光についてコストと効果について国家をあげての早急の研究が必要。これまでは,原発があるため,太陽光は,費用対効果が悪いというだけで片付けられていたが,現代科学をもってすれば,かなりの技術革新で費用対効果,コスト削減も可能なはず。要は,国・官民・学をあげて徹底的な実務的研究と実践が必要。
 
 
河野勝
早稲田大学政治経済学術院教授
Q2. 「5 - そのほか(設問・選択肢以外の考え方、視点)」の回答理由
今後の原子力発電のあり方については、国民投票を実施して、有権者の判断を直接あおぐべきである。それに尽きる。それが民主主義というものである。
Q3. 回答を控える
専門家でないので、回答を控えます。
 
 
山田秀雄
弁護士
Q2. 「5 - そのほか(設問・選択肢以外の考え方、視点)」の回答理由
現状での判断は不可能。根本的な疑問として唯一の原爆投下経験国でありながら、しかも地震、津波が極めて多い国であるのにもかかわらず海沿いに54も発電所を作った姿勢はどうしても自分の理解を超えている。しかし他方でエネルギーの3割を原子力に依存し世界第3位の原発大国の日本が直ちに原発を廃止することは産業経済にあまりにも大きな悪影響を与えるのではと危惧する。これ以上火力、風力等の代替エネルギーに依拠できるのか徹底的な検証が必要であり一時的な空気や感情で今後のエネルギー政策を決定するのは危険である。もちろん、東海大地震の可能性も懸念される状況でのんびり対応することも許されないがあまりに拙速な方向性の決定は国益を害する。
Q3. 「実現のための施策、政策、枠組み」への意見
国際レベルというより地球規模で安全と人類の繁栄を企図した代替エネルギーの議論と可能な限りの科学的検証にもとずく提案を作成することが重要である。
 
 
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  • とても有意義なアンケートでした。
    原発停止について積極でない人も、理想としては原発にたよらない環境が整うなら、そのほうが良いと言っているように感じます。
    また、最新の原発は安全性が高いという意見もありましたが、最新鋭の柏崎刈羽原発が、あの程度の地震で無様に壊れ停止したことを考えると、どれほど安全基準を高めた新鋭の原子炉でも地震の被害を免れることは不可能ではないかと思います。
    津波にのように、逃げれば助かるような災害なら対応できますが、逃げても逃げる場所がないような原発災害は、狭い日本の国土ではどうすることもできません。

    また、有意義なアンケート楽しみにしています。