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更新日:2015年9月30日

2015年9月度社長会見要旨(2015.9.25)

Q.7月クールを受けて4月改編の総括

この夏はとにかく全局含めてスポーツソフトが目白押しで、テレビにとってスポーツコンテンツの重要性を改めて実感した。また、今までテレビではあまり取り上げられてこなかった競技も、放送することによって認知が上がり注目されたというケースもあり、2020年の東京オリンピックに向けてテレビとしての使命感も感じた。
テレビの主役は人であり、躍動する人を余すことなく映すことが魅力ある放送となる。“LIVE感”というのは“生”という意味だけではなく、視聴者と一緒に呼吸をしているという臨場感をテレビが伝えていかなくてはいけない。地上波の位置づけを改めて考えさせられた。
自社で中継した『FIVBワールドカップバレーボール2015』は、男女ともに選手が世代交代となり次世代の選手たちに注目が集まったが、その若い選手が活躍したことで視聴者の心をつかんだのではないかと思う。来年の5月にはオリンピック世界最終予選もあり、引き続き日本代表を応援していきたい。ネットメディアの発達もあると思うが、視聴者は気がつかないうちに情報が取り込まれていて、スポーツの放送をより楽しむ能力を身に着けている。うかうかしていると取材、中継する側が置いて行かれる。世の中にビビッドに反応してテレビ中継につなげていくことが大切だ。

Q.7月クールの連続ドラマについて

月曜21時『恋仲』は、視聴率としてはもう少し上を望んでいたがSNSの反応がよく、無料見逃し配信「+7」の再生回数も今までにない数字をたたき出している。制作者が意図を持って作りたいものを、そして視聴者に見ていただきたいものを思いを込めて作っており、それが響く世代にはきちんと届いたと思っている。見たいと思ってくれる視聴者層が存在したということは「月9」にとってはいいこと。これを続けていくことが重要で、現場には振り切った気持ちで続けていって欲しい。
その他のドラマは、時勢にも合っていて悪くはなかったとは思うが、立案時に作ろうとしていたものがうまく具現化できていないのではないかと感じた。10月ドラマの奮起を期待したい。

Q.10月改編に関して

4月に大きく改編したので、今回は本当に問題のあるポイントについて改編を進めた。バラエティは一日でも早く鉱脈を見つけ、常時二桁を取れるレギュラー番組を作ることが必須。2時間のワイド化をしても見応えのあるものとなるように、制作陣は知恵を絞り、汗をかいてほしい。
日曜に新設する3時間の大型枠『日曜ファミリア』は、これまで日曜日に3時間枠を試してみて、曜日の特性として、またテレビの特性を生かしたものとして有効ではないかと考えている。
4月に大改編をしたデイタイムについては、半年が過ぎ、いよいよ実を結ぶ頃かと思っている。午前帯の流れは非常にいいので、その勢いを午後につなげられるよう切磋琢磨していって欲しい。
ドラマについては、最近コメディが少なくなってきていると感じていたので、月曜21時『5→9~私に恋したお坊さん~』、木曜22時『オトナ女子』と2作品あり楽しみだ。コメディは演出力を必要とする難しいジャンルだが、制作もそれに挑戦して技を磨いてほしい。『5→9~私に恋したお坊さん~』の石原さとみさんと、『オトナ女子』の篠原涼子さんは、コメディエンヌとしても実力がある方なので注目している。水曜22時『無痛~診える眼~』は、医療と刑事ものが結びついた一話完結のドラマなので、見やすさを極力優先したスピーディーなサスペンスを見せてくれることに期待する。ぜひご覧いただきたい。

Q.Netflix(ネットフリックス)の配信がスタートしたが手応えは?

Netflixはアクセス数や会員数を公表しないので、実際のデータは手元にないが、私どもが新たにNetflix用に制作して提供した『TERRACE HOUSE BOYS&GIRLS IN THE CITY』『アンダーウェア』が、2つとも日本のNetflixで最も見られている作品の上位に入っているということなので、よかったと思っている。
Netflixをはじめ大手動画配信サービス事業社との向き合いは、テレビ局として(1)コンテンツプロバイダーとしてのアーカイブ作品の提供。Netflixには、過去放送した『テラスハウス』シリーズや、ドラマ、映画作品などを合わせて50タイトルほど提供している。(2)『TERRACE HOUSE BOYS&GIRLS IN THE CITY』や『アンダーウェア』のように新しくコンテンツを制作して提供。(3)広告媒体。この三つの位置づけがある。
そういう意味では、dTVやHuluなどにもコンテンツを制作したり、提供していきたいという思いもある。
また、Netflixとは、提供した作品をあとから地上波で放送することが可能な契約なので、『TERRACE HOUSE BOYS&GIRLS IN THE CITY』や『アンダーウェア』もぜひ地上波で放送していきたい。それがまた相乗効果になると信じている。

 

Q.広告型無料配信サービス「+7(プラスセブン)」と「FOD(フジテレビオンデマンド)」の最新概況について

FODの会員数については初めて公表するが、9月16日時点で有料会員は約80万人、有料無料サービス合わせて月間の利用者は約200万人。放送局が自社で運営しているプラットフォームとしては大きなものになりつつある。8月に『めざましテレビ』をはじめとする番組内での告知や、テレビスポットを流すなどキャンペーンを実施したこともあり、月間の利用者が前年比2倍超えとなった。今後も地上波の見逃し番組のラインナップの充実に加え、映画、海外作品、コミック、小説など、幅広いジャンルの作品を揃えた魅力的なプラットフォームに育て、ビジネスチャンスに繋げていこうと考えている。
「+7」については、月曜21時『恋仲』の視聴数が8月に入って普段の4倍以上に跳ね上がり、1作品で「+7」全体の半数をしめるほど驚異的な再生数になっている。「+7」のFODにおける視聴傾向は、全体の60%くらいがスマートデバイスで見ており、ティーン、F1、M1、F2層が多い。特に7月クールは前クールと比較して『恋仲』目的の視聴が急増し、結果ティーンの比率が飛躍的に高まったのが最大の特徴。
また、4月からスタートしている24時間ニュースチャンネル「ホウドウキョク」の配信では、先日の鬼怒川で起きた洪水決壊報道の空撮映像を配信したり、安保法案採決時に真夜中の国会から映像を送り続け通常より多くのアクセスがあった。かなり興味を持って見ていただけており、こういう点は他の動画配信事業社にはないので、テレビ局の持つFODのもう一つの軸になったらいいと思う。

Q.最新の営業概況について

上期の見込みは、前年同期比でネットタイム91.5%、ローカルタイム92.5%、スポット94.1%、トータル93.0%で前年割れ。引き続き市況は厳しい。7~9月で見るとGoogleやガンホー等の「通信」、「医薬品・医療用品」、夏に向けて大型映画が目立った「エンタテインメント」の業種が非常に伸びているが、一方で中国経済の影響からか「自動車・関連品」は不調で、全体の市況を下げたのではないかと考えている。

Q.最新の映画事業の概況について

7月18日公開「HERO」(監督:鈴木雅之、出演:木村拓哉、北川景子、松たか子、佐藤浩市ら)は、観客動員約360万人、興行収入約46億円となっており、今年公開の実写邦画ではNo.1を記録する大ヒットとなった。
9月5日より公開「アンフェアthe end」(監督:佐藤嗣麻子、出演:篠原涼子、AKIRA、佐藤浩市ほか)は、テレビシリーズ開始から10年を迎えたシリーズ完結編だが、シルバーウィークの成績が好調で、観客動員約123万人、興行収入約16億円と、根強いファン層に支えられて20億円の大台を狙える興行になりそうだ。前作同様頑張っていきたい。
10月24日に公開する「ギャラクシー街道」(脚本と監督:三谷幸喜、出演:香取慎吾、綾瀬はるか他)は、“登場人物が全て宇宙人”という奇抜な発想のロマンティック・コメディで楽しみにしている。
※数字は9月24日現在

Q.今後のアニメ戦略に関して

今月17日に発表したが、2016年(スタート日未定)にデイタイムに新たにアニメ枠を設けることが決まった。デイタイムにアニメ枠ができるのは2006年以来10年ぶりとなる。その新枠でお送りするのは『モンスターハンター ストーリーズ』(仮)で、2016年に発売される大ヒット家庭用ゲーム「モンスターハンター」の最新作「モンスターハンター ストーリーズ」が原作の新作アニメ。アニメ枠は縮小傾向にあったが、新枠を設けてチャレンジする。今回のアニメ化は商品化や配信といったライツ事業を主軸とするアニメの立ち上げが狙いだが、ゲームが原作ということで間口も広がるので、海外展開も積極的に狙い、一気にビジネスを拡大していきたいと考えている。また、制作は昨年7月にフジテレビが子会社化したアニメ制作会社「デイヴィッド・プロダクション」が務めることが決まっており、フジテレビのアニメ制作部門という位置づけでレギュラー番組を制作していく。
そのほか、2013年興行収入10億円を突破した「劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(通称:あの花)の監督・長井龍雪、脚本・岡田麿里、キャラクターデザイン・田中将賀のヒットメーカー3人が結集し、再び秩父を舞台にした完全オリジナルストーリーの青春群像劇「心が叫びたがってるんだ。」が9月19日(土)より全国142館で公開された。24日までの6日間で興行収入3億円を超える好調なスタートを切っている。
アニメ事業に関しては他局に後塵を拝していたが、2013年1月にアニメ開発部を新設し地道に進めてきた。やっと勝負できるまでに成長してきたので今後に期待したい。