番組審議会

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第478回 番組審議会議事録概要

1.開催日時

平成30年 6月13日(水)正午より

2.開催場所

東京都港区台場2-4-8 フジテレビ本社

3.出席者

  • 委員長
  • 但木敬一
  • 副委員長
  • 神崎仁
  • 委員
  • 梓澤和幸、岡野光喜、岡室美奈子、小山薫堂、八木秀次、毛利衛(リポート提出)
  • 局側
  • 宮内社長、遠藤専務、岸本専務、松村常務、石原取締役、清水執行役員常務局長、塚越執行役員局長、若生局長、山口局長、金田局長、石原局長、矢延局長、齋藤部長、中山局次長、瑞光部長、西村週刊フジテレビ批評担当、小仲CP、石塚GP、坪田担当局長、立本室長、佐々木部長、春名編成、柴崎室長、千葉部長、熊谷番組審議室

4.議題

  • 「直撃!シンソウ坂上『あさま山荘事件・鉄球作戦の舞台裏…鉄球作業員が初告白!』」
    2018年6月7日(木)21時~21時54分放送

審議番組について、各委員からは以下のような意見が出された。

  • 40数年前にこのような事件があったということを世に問うたということで非常に意義があった。
  • 「その涙何ですか」と聞いたのは、ちょっと酷なのではないかと思い、そこだけが気になった。
  • 過去に起きた忘れ去られていくような事件を取り上げて、真相に迫るのは、平和ぼけしている世代に日本の歩んできた姿を教える意味でも貴重なことだ。
  • 人質を取られ、救出する側が命がけで助けるという事実に対する評価の難しさはあるが、白田さんが「失敗だった」とは、銃眼のところにぶつければあの犠牲は避けられたのではないか、という意味ではないか。そういう解釈を加えると、もっと告白の意味がはっきりしたのではないか。
  • 元連合赤軍の当時少年だった方に関して、よく出演にこぎ着けたなと思った。
  • 過去の問題を取り上げる時は、それが今にとってどういう意味を持つのかを、番組の宣伝でも、作りでも説得力を持って明らかにする必要があるのではないか。
  • 2002年公開の映画『突入せよ!「あさま山荘」事件』を観たが、今回の『直撃!シンソウ坂上』を見て、そんなものじゃなかったんだなと思いを新たにした。私自身が知らなかったあさま山荘事件のそれこそ真相を深掘りしてくれて、非常に意義があった。
  • 連合赤軍の紹介で「革命による理想国家の実現を目指し、そのためには武力行使を辞さない強硬派だった」と。確かにそうなのだが、なぜここに「共産主義」とか「極左暴力集団」「過激派」などの表現を用いないのか、余計わかりにくくなるのではないか。
  • 坂上さんを含めて番組スタッフの気概とチームとしての熱量を感じた。再現もとても丁寧で、興味深く最後まで見ることができた。
  • なぜ今あさま山荘事件をやるのか。例えば夏に向け注目が集まる軽井沢で実は47年前にこんな事件があったという前置きをちょっと入れることにより、知らない人にも興味を持たせられるのかなと思った。
  • 白田さんに失敗と言わせた、それを引き出したことは凄いし、そこを使うところも凄いが、果たして片方の意見だけを聞いて失敗と煽っていいのか。警察側や関わった人の意見を集めながら検証した方が良かったのではないか。
  • (連合赤軍で当時少年だった)加藤さんが、「私たちが散弾銃とかライフルを持っているのがわかっていて顔を出すという行為が信じられない」という話をした時に、スタジオのワイプの坂上さんが「ええっ」という声を出した、多分、視聴者もそう思った、だからこそ坂上さんの意見とか、彼との対峙があっても良かったのではないか。
  • 事件の制圧の日に焦点を当て、鉄球をクレーンでぶち込んだ民間人の白田弘行さんの、「あの作戦は失敗だった」という言葉を中心に据えて、その深層を掘り下げていこうという意図だと理解したが、結果的に余り掘り下げられていないように感じた。
  • この証言は、当時の作戦を再考し、本当に失敗だったのかを検証するための重要な切り口だったのではないか。それは今後のテロ対策を考える上でも非常に重要な問題提起になり得たのではないか。
  • 例えば、総世帯視聴率90%を記録してテレビ史にも残る事件で、立てこもり犯たちがテレビ報道で警察の動きを逐一把握していたなどもわかっており、メディアのあり方としての検証もできたのではないか。
  • 真冬の山荘で、銃器・爆弾を携えて人質をとって立てこもる連合赤軍と地元の警察・機動隊の攻防戦という前例のない事件で、事件そのもののドキュメンタリー、VTR映像だけでも十分に迫力があった。
  • なぜ作戦の途中に鉄球クレーンが停止してしまったかという疑問について、坂上氏が全く尋ねず、番組でも取り上げなかった。この点は鉄球作戦にとって重要なポイントで「余命がなくなってきているので、本心を曝け出しています」と言う80歳の白田氏に、停止した理由をなぜ直接尋ねなかったのか。
  • 同じ1972年9月のミュンヘン五輪でイスラエルのアスリート10何名が殺され、独警察がテロリスト8人中5人を殺した。少し経って、あさま山荘事件で懲役になりその後釈放された坂東が関与したダッカの日本航空ハイジャック事件で日本政府は身代金600万ドル、6億円を払い、留置中の赤軍派6人を釈放。その後の独・ルフトハンザのハイジャックでは西ドイツに特殊部隊ができていて(犯人を)みな殺した。日本は殺さず身代金を出して飛行機まで付けて帰し、独と非常に対照的。この事件はそんなことを学ぶ一つのチャンス。
  • テロに対しどう立ち向かうべきかは、非常に大きなテーマ。それについてどう考えるかもう一歩踏み込んだ方が良かった。
  • 赤軍がなぜ出てきたとか、加藤が「なぜ私たちがこんなことをやったのか考えてもらいたい」という、あの頃の物情騒然たる世の中はなぜできたのかまで全部言おうとすると、あんなに深く人に物を考えさせる番組にはできなかったろう。事件を知らない視聴者に丁寧に取材して1時間に亘って興味深く伝えてくれたという印象で、番組は番組で良かった。
  • ただ、2020年に向けて日本人がテロにどう対処していくかの問題は依然として残ったまま。メディアはこれから何か考えさせる番組を提供していかなきゃいけないという気がする。

それに対して、制作サイドからは以下のような発言があった。

  • 調べれば調べる程、命を賭けて戦ってきた方の思い等を知り、追加取材・リサーチを重ね、オンエアまでに10回以上プレビューした。かなり魂を込めて作ったが、構成とか色々なご意見がある中で成程と思うことも多く、参考になった。
  • なぜあれをやるのかというところが説得力を持って表現できなかったのは力不足。北朝鮮と韓国の首脳会談もあったし、日本でもその昔イデオロギーの違いでこういう闘争があったとか、今の朝鮮の話は日本も決して別の話じゃないという入り方も考えたが最終的には採用しなかった。あんな平和な軽井沢でも、の入り方もあるなと勉強になった。
  • 坂上さんだからこそ本音を喋ろうという人、坂上さんだったら本音で話してくれるのではという人が去年の年末特番でも何人かいて、そこに私たちは賭けていきたい。「その涙の訳って何なんですか」はどうなの?も非常にわかるし、我々の編集の問題とも思う。
  • 連合赤軍についてのナレーションは端折った説明にしたが、番組冒頭で避けられてしまうのも嫌なのでゴリっとした言葉を排除した。「極左集団」という言葉も使い、「過激派」という言葉もスーパーでは出していて、色々な意見を取り入れて折衷案として出したナレーション。
  • 「失敗だった」に対しての反対取材は最後まで引っかかっていた。これまで成功という話は何度も表現されてきたが、本来は佐々さん等に(作戦は)失敗と思っている鉄球の白田さんについてどう思うかという所まで行くべきだったと改めて感じる。一方の主張だけ紹介した時にそれに対し最低限ご意見を聞くことはこれからも心がけていきたい。

その他、フジテレビあるいは放送全般について、いくつかご意見があった。

  • ある月刊誌に、フジテレビの番組審議会の委員が退任させられた等の記事掲載されていた。フジテレビの番組審議会は自由闊達で言いたいことをいえる会だと他所からも言われているようだが、この記事の内容は言いたいことを言うとクビになるということで、放送法で設置が義務づけられている番組審議会の存在意義にも関わる内容だ。

これに関して、局サイドからは

  • 企業広報を通じての質問状には、そうではない旨を回答している。ご承知のように番組審議会は基本的にはその月々の課題番組、またテレビ全般に関して忌憚のないご意見を頂く場で、発言に対してのタブーは全くなく、いわんやそれを一つの材料にして私どもが委員にご退任いただくことなど全くあり得ない。

◇次回の第479回番組審議会は7月11日(水)。『世界!極タウンに住んでみる』。

以上。