番組審議会

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第475回 番組審議会議事録概要

1.開催日時

平成30年 3月14日(水)正午より

2.開催場所

東京都港区台場2-4-8 フジテレビ本社

3.出席者

  • 委員長
  • 但木敬一
  • 副委員長
  • 神崎仁
  • 委員
  • 岡野光喜、岡室美奈子、小山薫堂、林真理子、毛利衛、八木秀次、梓澤和幸(リポート提出)
  • 局側
  • 宮内社長、遠藤専務、岸本専務、松村常務、石原取締役統括局長、清水執行役員局長、塚越執行役員局長、山口局長、金田局長、石原局長、矢延局長、立本部長、中山局次長、瑞光部長、西村新週刊フジテレビ批評担当、狩野編成企画、神原チーフプロデューサー、柴崎室長、小林部長、熊谷番組審議室

4.議題

  • 『全力!脱力タイムズ』
    2018年3月2日(金)23時~23時40分放送
  • 他に報告事項として、4月改編について、及び、「男性同性愛者をモチーフにしたバラエティのキャラクターについて」の対応報告

審議番組について、各委員からは以下のような意見が出された。

  • 報道風の番組というが、良くも悪くもふざけた番組、私は好きだが。シュールと言えばシュール。
  • 女性アナウンサーはわざと存在感を消しているのか、やっと喋ったと思ったら、抱かれてもいい有名人はという部分。この辺も、多分ギリギリ。でもギリギリすれすれのところで攻めていただきたい。
  • 全体として、結構今の時代にしては攻めている番組、番組の意図は成功している。
  • 『脱力』というタイトルだが、計算された演出で、出演者の化学反応を上手に考え、結果として非常にウェルメードな番組に仕上がっている。
  • ゲストとMC、解説のバランスが絶妙。あの立て付けでなかったら齋藤さんが突然ルパンの真似とかやりにくい。シチュエーションを作っているから普段コントをやらない人がやる、そこが面白い。
  • 今の感じで萎縮なき番組作りをし、挑戦的なものに仕上げていただければ、新しいバラエティ番組の形を見ることができる。
  • どんどんずれていく番組。何をずらしているかというと、テレビ番組のフォーマットをずらしている。ニュース番組、情報番組、クイズ番組とか、私たちが日頃無条件に受け入れているテレビの様々なフォーマットをずらしたり裏切ったり壊したりしていく。そこが攻めているところ。
  • 裏切り過ぎると訳がわからなくなるが、ギリギリの線を狙っていて、逆に、テレビが普段やっているのが何なのかわかってくる。非常にテレビ的で、頭のいいバラエティ。
  • そもそもめくりフリップ自体がクイズ的な要素を持っている。普段、私たちは情報番組をクイズ番組だと思って見ていないが、そのクイズ性を可視化させることで、気づかされる。
  • 最初、報道かバラエティかよくわからず、素直な感想を言うと「よく114回も続いたな」と感じた。
  • 気になったのは、ゲストの映画の番宣が番組冒頭から入っていたところ。
  • 「文春砲」を「売春砲」と、あれはちょっとぎりぎり。もう少し考えた方がいい。
  • 久しぶりに見たが、どんどんとっちらかってシュールになっていて、途中からついていけるかなと思うぐらいの面白さ。
  • パロディーが効いている。例えばこのコメンテーターはいつも偉そうなことを言っているけど、一体誰なんだと思うことがあるが、そういう一般の視聴者の気持ちを逆手にとって、アイドルがめがねをかけてコメンテーターっぽく見せているのも意図を感じて面白かった。
  • じわじわ人気があるようだが、一つ注意した方がいい。委員の皆さんが「物凄く計算された非常に知的な番組」とコメントしているが、そう思われることは恐らくこの番組の目的じゃない。あくまでもいい加減に作っているという匂いは色濃く漂わせていただきたい。
  • 今までのご意見と私は全く180度逆の印象。何が皆さんと違うのかなと考えたら、「番組スタッフが作っていること、演技させたいこと、それをそのまま出ている人はただやっているだけなのだ」と。
  • 一つ一つはそれなりに工夫しているが、トータルで見た時に、結局はそれをさせられている人たちが見えてしまう。そうなった途端に面白くない。
  • パロディーとして笑いを取ろうとする番組と受けとった。
  • ここ大切なところだが、パロディーには批判精神と風刺が欲しい。
  • 今、政治家と官僚の文書書き換え疑惑が問題となり、リニア新幹線の談合、その他商品の嘘等、不正と良心、誰が本当の責任を負うのかについて庶民の憤懣がたまっている。ここに切り込んではどうか。悪いのは現場で上の監督者は知らない、知っていても知らないという物語ほど面白い笑いを誘える。
  • 間違い探しは全体的にテンポが速過ぎる。間違いがあっても、最後にこれが正解と言わないでスルーする。もう少し、ゆったりやっていただくといいのではないか。
  • 3月9日の放送で、今までのクイズをパロディー化したが、これはかなり完成度が高い、今後もう少し完成度の高いものを、少し内容を削ってゆったり見せるようにしていただけると、フジが望んでいるような昔の笑いをとるような番組になるかと思う。
  • 三大ニュースは途中まで本気で見ていて、間違いかなと思い、冗談だと分かった時に、腹の底からおかしかった。わずか半年前の話が今オンエアされるとこんなに面白いのかと感じて、なかなか傑作だ。
  • 今までは、例えば芸人同士の喋りで笑わせる、あるいは少しゆがんだ形でいじめをやって笑わせるとかで、そういうのでは全くない、新しいジャンルの笑い。
  • 一つの知的な遊びなんだろう。知的な遊びで、1週間疲れた人たちを脱力させれば大成功だと思う。

それに対して、制作サイドからは以下のような発言があった。

  • 海外映像を使って、そのテーマから専門家が全然関係ないことを解説する番組というのがスタート。模索しながら今の形に変わってきて、この1年半ぐらいこういうスタイルでやっている。
  • 台本段階から考査とコミュニケーションをとって、台本、VTR、収録のオフラインも見てもらい、いかに人を傷つけないようにしながら笑いを生むかということは丁寧にやっている。
  • 「頭のいいバラエティなのかもしれないけど、そこの部分でいい加減さが見えるのを忘れないように」というのは凄く心に響く言葉で、そのとおりだ。時としてちょっとハイレベルな笑いにいって、わかるかわからないかみたいな視聴者に対してのクイズになっているのはいけないんだなと改めて感じた。
  • 大枠としては、コント的なストーリーのある番組の中でいかに毎回違ったことで笑いを作っていけるかを工夫して考えながら作っている番組だ。
  • いない人いじりはしないとか気を付けていて、傷つく人がどこにいるんだろうということを考えて毎回制作に取り組んでいる。

5.報告事項

4月改編について、報告。

  • ポイントは4つ。1つ目は、ゴールデン・プライムタイムの徹底的な改革。2つ目は、ニュース番組をブランドアップするために『プライムニュース』のタイトルに統一。3つ目はドラマの強化。月曜21時は、古沢良太さん脚本の『コンフィデンスマンJP』、主演は長澤まさみさん。木曜22時は『モンテ・クリスト伯』というタイトルで主演はディーン・フジオカさん。華麗な復讐劇を木曜22時枠で展開させたい。
  • 最後のポイントは、構造的な改革。20時54分からのニュース、天気予報を廃し、よりスムーズにゴールデンタイムの視聴習慣がつけば。また、土日の午後帯は、大枠にし、デイタイムの視聴率底上げを狙う。

「男性同性愛者をモチーフにしたバラエティのキャラクターについて」、番組審議会でのご意見をもとに講じた対応について報告。

  • 昨年10月の番組審議会で、「この時代に、LGBTの問題に関して認識が甘過ぎる」、「時代の変化に制作陣はついていけていない」、「多様性を認め合おうという社会のあり方に逆行していないか、局内で議論をしてほしい」というご意見をちょうだいした。
  • バラエティを担当する制作センターでは、全社員、全常駐の派遣スタッフを対象に、LGBT問題に関する勉強会を、計3回開いた。LGBTに関する現状や正しい理解を行うために必要な知識、当事者の方々の苦悩などを聞いた。
  • LGBTに分類できない方もいて、多様性の複雑さや性的少数者の方が何に傷ついて不快に思うのかなど、当事者の方々のお話を聞くことがでた。
  • 番組制作に関していろいろな視点でも意見交換を行い、LGBTに限らず様々な社会問題に関して、制作陣が一堂に会して勉強した上で論じ合うことの有効性を感じた。

6.その他

  • 次回、第476回番組審議会は4月11日(水)。審議番組は4月5日放送の視聴者参加型のクイズ番組『99人の壁』。これは単発番組で2回目の放送だが、社内のプレゼン大会で金メダルをとった入社2年目の社員の企画。

最後に、担当役員から年度末の挨拶があった。

  • 放送倫理やチェックシステムについてのご批判、基本的な常識の欠落に対するお叱りなど、厳しいお言葉をきちんと生かし、来年度こそは実際の放送に齟齬が出ないようにしていきたい。引き続きご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願いします。

以上。