番組審議会

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第473回 番組審議会議事録概要

1.開催日時

平成30年 1月17日(水)正午より

2.開催場所

東京都港区虎ノ門2-10-4 ホテルオークラ東京

3.出席者

  • 委員長
  • 但木敬一
  • 副委員長
  • 神崎仁
  • 委員
  • 梓澤和幸、岡野光喜、岡室美奈子、林真理子、毛利衛、八木秀次
    (欠席・小山薫堂)
  • 局側
  • 宮内社長、遠藤専務、岸本専務、松村常務、石原取締役統括局長、清水執行役員局長、塚越執行役員局長、山口局長、金田局長、石原局長、矢延局長、柴崎室長、小林部長、熊谷番組審議室

新年初回は課題番組を設けず「2018年 時代の変化とテレビジョン」と題してご意見をいただいた。冒頭、宮内社長、但木委員長から新年の挨拶があった。

4.宮内社長挨拶

  • フジテレビは昨年来、「時代の変化についていけていないのではないか」というご指摘をたくさんいただいた。私も今年の新年全体会議で、とにかく信頼をされるフジテレビを第一眼目に番組作り、イベント活動その他にも従事するようにという指示をした。但木委員長の、フェアな報道をしろ、そのために何をするんだというお言葉を引用し、社員にも徹底したところである。
  • 既に広報発表したが、今年の4月改編では、よりフジテレビの信頼を回復するための第1弾として報道・ニュース番組を強化する大改革を予定している。地上波、BS、インターネット、CS、全てニュース番組は『プライムニュース』というブランドで統一することで、より信頼されるテレビ局に変身したい。変身した地上波の『プライムニュース』をご視聴いただいて、いろいろなご指導もいただければと思う。

5.但木委員長挨拶

  • 今年も番組審議会に与えられた役割を誠実に果たしていきたい。委員の方々に活発なご意見をいただき、また局側から様々な情報をいただいて、フジテレビが信頼されるテレビ局として国民の間に広く視聴されるように望んでいる。

6.「2018年 時代の変化とテレビジョン」について。

ご意見をいただく前に、局サイドから、録画視聴率の観点からテレビ番組への接触方法がどのように変化しているかの説明があった。

  • 2016年10月からビデオリサーチ社がタイムシフト視聴率というのを出し、リアルタイムの視聴と録画、そして1週間以内に再生した数字で、ダブっているところは落として総合視聴率という形を数字として出すようになった。簡単に言うと、今まではテレビで放送されている時間に見ていた方が多かったが、録画して見る方々がどんどん増えてきているという傾向にある。また、タイムシフト、録画視聴が多い番組はドラマ、映画、アニメという傾向が如実に出ている。
  • リアルタイムにテレビで見る方、録画して見る方、インターネットで見る方、PCで見る方、スマホで見る方ということで、非常に多様化してきている。
  • 今後さらにテレビ視聴の仕方の多様化が進むことが想定されるが、録画を含めた総合視聴率や、FODやTVerを使ったインターネット配信での見逃し視聴、見逃し視聴ではない無料配信など、一つのコンテンツがいろいろなルートを経て視聴者に届いていくことは間違いない。トータルリーチでコンテンツを評価していく可能性を今後も視野に入れ、探っていきたい。

「2018年 時代の変化とテレビジョン」というテーマで委員からは、以下のご意見があった。

  • 個人の意識も、公共のメディアに勤める管理職、スタッフとしての意識が、ひょっとして前のいい時代だった時の常識がそのまま当てはまるんじゃないかという意識でいるのではないか。過去の成功体験で、例えばLGBTの発想そのものを笑いにするという、30年前はそれで人気を博した(からいいんだ)、そういう発想自体がいけない。知らなかったではなくて、それ自身が時代に反しているというのが個人の意識までいかない。これは絶えず切磋琢磨していかなければいけない部分だ。
  • 一時、番組作りが萎縮しているのは、政権が圧力をかけているからだという話もあったが、むしろSNSが普及する中で相互監視社会になってしまったということが一番大きい。テレビは放送法という枠はあるにしてもそういった大きな現象の中にいるんだという自覚のもとに、できるだけ萎縮せず伸び伸びと番組作りをしていただきたい。
  • ネットドラマをどう考えるか。テレビは放送でブロードキャスティングだがネットは通信でコミュニケーション。放送と通信の違いをどう踏まえるかを抜きにネットドラマとテレビドラマを一緒くたに論じられない。通信と放送の最大の違い、一つは非選択性。ブロードキャスティングは一方的に届けられるものであって、コミュニケーションは自ら見にいくものという大きな違いがある。テレビのライブ性や中継性、、同時視聴する人数の多さがまず放送の大きな特徴かと思う。
  • ある種ゲリラ的にネットは攻めてくる。そういう中で、時間をかけた取材とかよく練られた構成でネットではできないことをきちんとやることがテレビの使命。
  • 質の高いドラマとは何か。大きな社会の流れの中で多様性が重要だ。多様性をないがしろにするようなものは今後受け入れられていかないし、昨今人気のあるのは多様性が凄く大事にされているドラマが多い。
  • 改憲発議が2018年中にということは知られたニュース。これほど歴史的に大きな意味を持った憲法が変えられることになるかもしれない、発議する側も反対する側も物凄い情熱が入るはずの問題だ。それにしては、余りにも熱が低い。新聞メディアしかり、テレビメディアしかり。どっち側というのではなく、それを決めるのは極めて尊い一人一人個人である、自分で考える最高のチャンスだ。
  • 去年もLGBTの問題でいろいろご意見申し上げたが、自分たちが作る番組が社会の時代の空気に合っていないということが認識されていないことで、いろいろな問題が起きるのではないか。言葉を換えれば、過去の成功体験が忘れられないということだ。2011年に東日本大震災、2016年に熊本地震、昨年は九州の北部豪雨で、いつ社会不安が起きるのかという視聴者の不安感というのがある。視聴者との目線がずれてきているのではないか。そういう意味で、謙虚に社会の今の現象とか世相がどうなのかをもう一回考えてみる必要があるのではないかと思う。
  • NHKさんも最近、ネットと総合視聴率を意識しだしている。こんなにいろんな見られ方をしている時に、いつまでも視聴率を出してきてああだこうだ言う方が間違っている。私も好きで見ていた『刑事ゆがみ』などは総合視聴率でいい数字を出している。
  • 視聴率に関しては業界で何年もいろいろ検討されていると思うが、未だに新しい指標が出てこないのを非常にもどかしい。民放のテレビ局が検討委員会を作って早く新しい指標を出すべきじゃないか。
  • テレビ界はこれからの高齢化社会にどう対応しようとしているのか。10代で1日大体1時間半、50代で3時間、60代で4時間テレビを見ているという調査がある。高齢者に限定する必要はないが、若い人から高齢者まで幅広い世代をターゲットにした番組作りが検討されるべきではないか。
  • 2020年に向けて、サッカー、ラグビーもあり、オリンピックと来るので、老若男女関係なく、皆スポーツへの関心を非常に強く持つ数年間になる。それに対応するような体制をフジテレビが持っているかというと、今若干問題じゃないか。
  • 最後に申し上げたいのは働き方改革の問題。20年前と比べてアメリカは生産性が200%ぐらい、ヨーロッパが150%ぐらいになって、日本だけが2%しか上がらない。ツールの進歩で働き方がどんどん長時間労働しないで済むようになっているはずだが、日本だけがそのツールが上手く利用されていない。
  • テレビの場合は、自分の部下の時間は全部自分の時間だと思っているんじゃないか。それはしごきの中から人は成長するという信仰があって、その辺は少し体質を変えていかなくちゃいけなくて、今まで当然視されていたことを直していかないと働き方改革はできない。

これに対して、局サイドからは、以下の発言があった。

  • 4月から、BSフジの『プライムニュース』というブランドを借りる形で、地上波のニュース、昼、夕、夜とも放送する。第一は、やはり事実に基づく正確な情報、それをしていくことが信頼に繋がる。
  • 憲法問題については、国の成り立ち、国民一人一人の生活にかかわっていくことなので、多面的に視聴者に判断材料を公平に提供していきたい。
  • きょうも、例えばコンプライアンスと信頼という一つの時代、それからテクノロジー、インターネットとの付き合い方、また番組のタッチ、構成など細部にわたってと、いろんな部分でご意見をいただいて、大変ありがたく、新年でいろんな参考になった。今年は新しいものをどんどん始めて既存の価値観を壊していく1年間になる、今後ともよろしくお願いいたします。