番組審議会

議事概要一覧へ>>

第472回 番組審議会議事録概要

1.開催日時

平成29年 11月8日(水)正午より

2.開催場所

東京都港区台場2-4-8 フジテレビ本社

3.出席者

  • 委員長
  • 但木敬一
  • 副委員長
  • 神崎仁
  • 委員
  • 梓澤和幸、岡室美奈子、小山薫堂、林真理子、八木秀次
    (岡野光喜、毛利衛:リポート提出)
  • 局側
  • 宮内社長、遠藤専務、岸本専務、松村常務、石原取締役統括局長、清水執行役員局長、塚越執行役員局長、山口局長、金田局長、石原局長、矢延局長、立本部長、中山局次長、瑞光部長、高橋新週刊フジテレビ批評担当、草ヶ谷プロデューサー、金井・演出、牧野部長、保原企画担当部長、渡辺・編成担当、柴崎室長、小林部長、熊谷番組審議室

4.議題

  • 『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』
    2017年10月23日(月) 21時30分~22時39分放送

審議番組について、各委員からは以下のような意見が出された。

  • とても面白くて、いいドラマ。まず脚本がとてもいい。石田ゆり子さんという非常にクールなインテリ女性を配して、だんだん主人公の佐藤智子さんに惹きつけられていくという過程も納得がいった。
  • 普通の主婦ということを強調するあまり、ヤンキーっぽく、高校中退でがさつな主人公となっていて、これは良くなかった。短大卒ぐらいの学歴でサラリーマンの奥さんでも良かったのではないか。
  • 既に第2話、第3話でいじめ、シングルマザーの貧困という問題が取り上げられたが、地方政治に付きものの、例えば太陽光発電の建設、原発、公共道路の通過などといった環境問題。それから深刻な介護、生活保護などの貧困や社会福祉の問題。子どもの保育園、学童保育、いじめ、自殺、それから家庭内虐待。こういう問題について、ドラマではあるけれど取材をしてやってほしい。
  • 「目の前にある、この問題を解決せずしてどうしてみんなの幸せが語れるんですか」という台詞、これはジーンと来る。
  • ここ数カ月の実際の国政レベルでの政治がドラマ以上にドラマチックな展開。そんな中で、地方の市議会レベルのドラマとなるとちょっとスケールが小さくなってしまった感じ。
  • 市議会議員出身の監修者がついているようだが、選挙事務所もなく選挙を行って当選するというのはほぼあり得ない。
  • 普通、どこでも各会派別の部屋に入る。会派を別とした新人議員研修室の設置を秘書の意向で行うということ自体が地方自治の二元代表制としてはあり得ない話だ。料亭での会合も地方ではほぼない。
  • デリバリーヘルスの場面は、時間帯からしてもやや踏み込み過ぎかなという気もする。
  • 風刺がアクセントで入っていて、話題作りにはいいが、そこに力をかけ過ぎない方がいいのでは。リアリティの追求かエンターテインメントかがやや中途半端。表層的な炎上とか、リスクの方が多い。
  • カメラ目線で語るシーンは、ちょっと冷める。例えば千葉の市長が、議会の掃除役で出てきて、カメラ目線で語るなど、リアルな政治家や政治評論家をカメオ出演させることによって、物語にダメージを与えることなく面白さを演出できるかなと思った。
  • 市会議員が主人公という点は、とても意味がある。テレビなどのメディアはスポットライトでなければいけない。そこに光を当てることによってその人たちの仕事が世間で評価され、その人が誇りを持って情熱が生まれて、結果として社会に還元されて社会が良くなっていくというのがメディアの責任ではないか。
  • 課長島耕作が、何十年もかけて会長島耕作になったように、市会議員で頑張って、次が市長佐藤智子みたいな感じになって、シリーズ化していった方が、いける要素があるんじゃないか。
  • 私はあらゆるドラマを見ている。今回のドラマはとてもいい。ちょっとベタなところはあるが、ちゃんと伝えたいことのある、いいドラマ。
  • 待機児童問題とか格差問題とか、現実の社会問題を取り込みながら、政治とは何かということを考えさせてくれるところがとてもいい。1話完結型ではあるが簡単な勧善懲悪ではないところに共感を覚えた。
  • ヒロインが余りにも無知で非常識に描かれ過ぎている。ヒロインのキャラクター造形もベタ過ぎ、そこで離れてしまった視聴者が結構いるのではないか。
  • カメラ目線問題は、例えば政治の仕組みを解説してくれるとか、そういうところでは有効かもしれないが、ちょっと多過ぎる。もっとフィクションだからこそ伝えられるものを大事にしてほしい。
  • 子持ちの女性が就活のために市議会議員に立候補!というドラマの切り口のユニークさだけでなく、出演者の配役が的確で個性的な上、個々の台詞が丁寧に作られていて説得力があるため、非日常的なストーリー展開も拘りなく引き込まれ、無理なく楽しんで見ることができた。
  • 「民衆」という言葉はリンカーンや自由民権運動を想起するほど古い印象。また「敵」という言葉もドラマのタイトルとしてはネガティブ過ぎる。題名で損をしている。
  • 登場人物のキャラクターが実在の政治家と重なるのは安易。公正公平な立場が求められるマスメディアとして、実在の人物、不祥事があった政治家を連想させるのはいかがなものか。政治ネタは旬が過ぎるのが早い。
  • 議員立候補の資格や議員になった後にどのような特権があり、制約があるのか、また議会の仕組みなど、劇中で解説を入れるなどをすることで、視聴者が政治や行政などに関心を持つきっかけ作りの一翼を担うことになるかもしれない。
  • 普通の主婦が市議の高額な報酬とか高い当選率に惹かれて余りにも簡単に立候補するというのには違和感があったが、ドラマそのものがシニカルというかコミカルに作られていて、突拍子もないことをする人が世の中を変える可能性があるという設定なので応援するという雰囲気になった。
  • 彼女の演説の中で違和感を感じたのは、「人は生まれた時点で人生が決まるのはおかしい」との発言。今時の発言としてはちょっとおかしい。少しオーバーな表現にも思える。
  • まさかあの日に解散があってあの日に選挙があることを知っていてこのドラマの準備をしたんじゃないと思うが、それにしては凄くかぶった、どう見てもこれはパロディーであると感じる。
  • それなりにネットで話題になってくれることを望んでいる。現代風の番宣はどうあるべきかということかもしれないが、面白いテーマだし、せっかくこれだけ丁寧に作っているんだから、もう少しネットでいろいろ皆で賛否両論、喧々がくがくやってもらえればいい。

それに対して、制作サイドからは以下のような発言があった。

  • 確かに今現実がドラマチックであるという中、月9のドラマで若い人もわかってもらえるドラマにしたいという思いが強く、エンターテインメントとしてどう見せていくべきかを考え、制作した。リアリティーとフィクションは、もうちょっと違ったバランスもあったかもしれないが、現実的な方向だけではなく楽しめる要素も盛り込んで、今後バランスよく作っていきたい。
  • 『民衆の敵』のタイトルに込めた思いは、狭義で言うと我々一般市民や国民の幸せを阻害するものが民衆の敵であるということと、最終的には民衆の敵というのは実は、そういった政治や社会で起きている問題に気づかず、無知、無関心であることなんだというところに帰結させたいと考えている。
  • カメラ目線の演出について。人間の表と裏みたいなこと、政治の世界では人間の表と裏みたいなものが少し明確になって出てくると思うし、そこのどろどろした感じを演出するために、また尺短く、切れよく表現するためにカメラ目線でという演出を考えた。冷めてしまうという指摘は、視聴者からもいただいており、今後は、この演出が癖になるような仕掛けをしたい。

5.報告事項

『とくダネ!』の2事案、「容疑者映像の取り違え」と「京都府議の夫婦間トラブル報道」について、BPO放送倫理検証委員会での審議入り決定について。

  • 10月13日にBPOの放送倫理検証委員会で『とくダネ!』の2件が討議され、審議入りが決まった。
  • 容疑者映像の取り違え及び刑事事件における書類送検の事実確認という最も慎重に取り扱うべき情報について、同じ番組で2件続けて起きたこと、またその事案がキー局で起きていることを重く見たというのが審議入りの理由。川端委員長からは、「一番慎重にやらなければならない事実の確認について、この番組で問題が起こっているのではないか」と厳しい指摘を受けた。

2017年最後の番組審議会につき、宮内社長から挨拶があった。

  • 7月に社長に就任してから、この4カ月の間には大変な問題が多発したが、委員の先生方のご意見で、いい形で対応ができているのではないか。
  • 番組については、7月の『コード・ブルー』、それから『27時間テレビ』等で、従来のフジテレビの力が少しずつ発揮でき始めたかと思う。この芽を大事にして来年、4月改編等に向かえれば。本年は大変ありがとうございました。

6.その他

  • 来月12月は休会。
  • 次回の第473回番組審議会は1月17日(水)。議題番組はなく、「2018年時代の変化とテレビジョン」をテーマにご意見をいただく予定。

以上。