番組審議会

議事概要一覧へ>>

第468回 番組審議会議事録概要

1.開催日時

平成29年 6月14日(水)正午より

2.開催場所

東京都港区台場2-4-8 フジテレビ本社

3.出席者

  • 委員長
  • 但木敬一
  • 副委員長
  • 神崎仁
  • 委員
  • 梓澤和幸、岡野光喜、岡室美奈子、林真理子、八木秀次
    (毛利衛:リポート提出)
  • 局側
  • 亀山社長、遠藤専務、鈴木専務、稲木専務、岸本常務、崎山取締役、西渕取締役局長
    清水執行役員局長、石原執行役員局長、金田局長、塚越局長、平松局長、小田局長
    中山担当部長、宮道部長、瑞光部長、高橋新週刊フジテレビ批評担当
    張江CP、西村P、織田担当局長、大野室長、矢野編成担当、柴崎室長、小林部長、熊谷番組審議室

4.議題

『ザ・ノンフィクション~上京物語2017僕たちが選んだ道~』
2017年5月21日(日)14:00~14:55放送

審議番組について、各委員からは以下のような意見が出された。

  • 地方で育った青年が東京で働いて生活する力を付けていく、人間として発達する悩みや厳しさを描き出そうという意欲に共感した。
  • 長い間何人かの青年を地道に追い続けて凄いと言いたいが、今回の2017年のバージョンのためにどれだけのカメラを回しているのか。今回のために素材となる映像が決定的に少ない。
  • ラストのナレーションも「人生は選択と決断の連続だ」と言っているが、こういう言葉が出る青年じゃない。尻切れトンボでも、まとめない方が、あの青年は立体的に見えたのではないか。
  • 硬派のドキュメンタリーではなく、いわば市井の普通の人達の人生を描いている。いわゆる偉い人の特別の人生でなくても、ごく普通の人の人生模様を描いても十分に面白くて、共感するところがある。
  • 長い時間かけて取材してきたことに対しては敬意を表したい。若者2人の挫折や迷いも瑞々しく描かれているところもあり、いいシーンもたくさんあった。
  • ただ、口当たりのいい、わかりやすい単一のストーリーにまとめ過ぎたのでは。若者2人と先輩の、3人のあり方が非常に単純化されているので、面白いところはたくさんあるが、今の若者のドキュメントになっているかというと少し疑問。
  • よく寿司屋へ行くと、大将達が「今の若い連中はよくわからない、すぐやめてっちゃうんだよ」と言っている。(このドキュメントには)寿司屋のご主人の感情が入っていなくて、そのあたりを堀り下げたら面白かったのではないか。
  • インパクトのあるシーンが欠けている。争いのシーンがない。先輩と争ったはずだし、嫌み言われたり、そういうこともあったはずなのに。そして、給料明細が出てこない。あの家は会社が借りているのか。そういうこともわからないと切迫感は伝わってこない。
  • 例えばインタビュー形式にして、インタビュアーがもうちょっと詳しく聞き出してナレーションに入れるともう少し心理状態がわかるのかなという感じ。
  • この店で修行した人が今までどのぐらいいて、短期でやめた人、長く続いた人の差は何か、どうなったかも実は聞きたかった。この物語がもう少し続いて、もう少し若者の成長が見れればいいという気がした。
  • ノンフィクション番組は、番組制作としては取材・制作期間も長く、確たる予測もつかない地味で根気の要る作業だ。しかし、テレビ局として社会の現実を伝える、それもニュースにはならない、見た目ではわからない事実を当事者の立場に立って伝える重要な役割を担っている。
  • 『ザ・ノンフィクション』はフジテレビの良心だ。世の中のスポットライトを全く浴びない人達にスポットライトを当てていくという意味では、本件もその1つであることは間違いない。
  • 出来れば来年、その子達が一体どうなったか、きょう委員の方々が言った点も参考にしていただきながら、また次にあの子達がどこへどう成長していくのかぜひ見たい。

それに対して、制作サイドからは以下のような発言があった。

  • 『上京物語』はシリーズで、2009年から8年間、合計11作。11人の若者の上京を追ってきた。
  • 2015年に第1回を放送し、それから今回と、2年間で2本放送しているが、約2年弱の取材で放送テープ100本ぐらい、1時間テープなので100時間、まあまあ取材は重ねていた。
  • 今回、主人公の主観のナレーションにしている。本人の思いをもっと知りたい。ただ、どうしても18、19の子どもで、いい表現で喋ってくれない部分をナレーションに変えて、本人の主観を伝えているという演出だ。
  • 終わりのナレーションで「人生はいつも選択と決断の連続だ」というのを確かに書いた。本人が喋らないであろうフレーズをナレーションにしないようにと考えているが、これは気をつけなければいけない。

5.報告事項

5月28日放送の『ワイドナショー』において、宮崎駿監督の過去の引退に関する発言として、真偽を確認せずにネット情報を引用、事実と異なることが判明した件について、担当局から、その後の対応と再発防止策の取り組みについて報告。併せて、6月6日放送の『ノンストップ』で、季節限定アイスの企画でネットから架空のパッケージを引用して放送してしまった件についても報告した。

各委員からは以下のような意見が出された。

  • 名誉毀損の定義とは何なのかということ。それは、公然と、具体的事実を摘示して、人の社会的評価を低下させることだ。評判を下げようとか上げようとかにかかわらず、言っていないことを言ったとして引用し、その中に社会的評価を下げることがあればそれは名誉毀損になる、人権侵害である。
  • 皆さんは報道機関という圧倒的な影響力を持つ武器を握っている場所にいる。そういうところにいる人ほど、自己批判能力を鍛えていかなければだめだ。
  • この機会にフジテレビも、システムとしてどうコンプライアンスをチェックして運営していくかということを三日坊主にならずに毎日繰り返すシステムを回せるようにやっていくことが大事かと思う。
  • 宮崎駿監督に対するリスペクトがなかった。そこが根本的な問題なのではないか。どういう趣旨であの話をテーマにしたのか。
  • 放送を出すことの重さを、現場を担う人達にはたたき込まなきゃだめだ。
  • 例えば1つの大事件でも背景にはまだ表に出ないようなものがいっぱいある。そういうことをチェックするために軽いような事故でも報告してみんなで共有するシステムが必要。
  • 単に視聴者に偽情報を伝えただけではなく、宮崎監督の名誉をより深く傷つけ、また、あらぬ発言をさせられた出演者達の信用をも傷つけた。
  • これは決して2週間目のADの責任ではない。局の責任だ。局は、時代がこういう時代になって、若い人達を受け入れてその人たちを育てなきゃならないという責任を持っている。
  • ネットの持っている危険性についてもっと局内で話し合ってもらいたい。若い人と中堅の人と偉い人とごちゃ混ぜになったディスカッション体をぜひフジテレビ全体で作ってもらいたい。
  • 我々はネットとの関係をどうやっていくのか。ネタ探しにネットを使うとしたらどういう時に許されるのか。放映する時に何かテレビとしての主体的な努力、主体的に付け加えるものがなかったらおかしい。
  • 人間は何かの転機に立った時にどっちへ進むかだ。何となくそれを世間から忘れさせていく方向でやっていくのか、それを期に自分を変えてしまおうという方向に行くのか、それは多分選択だ。フジテレビはぜひ報道機関としての選択に行ってもらいたい。

その他、大石委員のご退任の挨拶、体制の変更に伴い、退任する役員、亀山社長の挨拶があった。

以上