番組審議会

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第464回 番組審議会議事録概要

1.開催日時

平成29年 2月8日(水)正午より

2.開催場所

東京都港区台場2-4-8 フジテレビ本社

3.出席者

  • 委員長
  • 但木敬一
  • 副委員長
  • 神崎仁
  • 委員
  • 大石静、岡室美奈子、林真理子、八木秀次、(梓澤和幸、毛利衛:レポート提出)
  • 局側
  • 亀山社長、遠藤専務、鈴木専務、稲木専務、岸本常務、崎山取締役、西渕取締役局長
    清水執行役員局長、石原執行役員局長、塚越局長、平松局長、小田局長、中山担当部長
    宮道部長、瑞光部長、高橋新週刊フジテレビ批評担当、増本編成企画担当、西原編成企画担当
    柴崎室長、小林部長、熊谷番組審議室

フジテレビ番組審議会の委員を30数年にわたり務め、現顧問の岡野俊一郎氏の訃報について。

4.亀山社長

  • 2002年のワールドカップのロシア戦の中継権を、私が当時編成局長で引き当てた時、「アナウンサーが大げさに盛り上げるのではなく、しっかり中継をしていただきたい」という一言を頂戴したのが記憶に残っている。
  • 本当にサッカーを愛し、スポーツを愛し、そしてテレビを一生懸命見ていただいたことに私ども感謝している。心よりご冥福をお祈りしたい。

5.議題

日曜9時ドラマ『大貧乏』第3話 1月22日(日) 21:00~21:54放送
※参考として、委員には第1話から最新の第5話までDVDで送付。

審議番組について、各委員からは以下のような意見が出された。

  • 『大貧乏』というタイトルは振り切っていて、賛否両論かもしれないが、いいタイトルだ。
  • 作り手が何を訴えたいかがシンプルに見えていない。どんなに枝葉のアイデアが冴えていても太い幹がないと、見る人の心に染みない。
  • 描きたいのは正義なのか、理想なのか、現実の恐ろしさなのか、愛なのか。
  • むしろタイトルで損した。タイトルと内容が大分違っているという印象。今、世の中二極化していて、リアルな貧乏はこんなものじゃない。
  • 基本はコメディだが、企業の経理の闇を暴いていくという、どこかで見たことがあるようなものを思い起こす。全体のストーリーの牽引役として池井戸潤タッチが用いられているということなのだろうが、それだけにストーリーの輪郭が余りはっきりしていない気がする。
  • 安達さんのドラマは単純ではない。恋愛ドラマであっても結ばれてハッピーエンドではなくて、むしろ恋愛しながらも女性が選択と決断で、どう生きていくか、芯のあるかっこいい女性を描ける脚本家さんだ。
  • 恋愛や社会との関わりを通して、様々な女性の生き方にも触れながらゆず子さんがどう変容していくかみたいな話で、面白いところはたくさんある。
  • 例えば『リッチマン,プアウーマン』は、実はシンデレラになったかと思ったらすぐ転落するとか浮き沈みのリズム感、スピード感があった、今回、むしろブレーキをどんどんかけている気がする。
  • 小雪さん久々の登場に期待して見た。結構面白い。
  • ゆず子さんは大金持ちの弁護士に愛情を捧げられていて、ちょっと我慢すれば貧乏から脱出できるが踏みとどまっている。子どもや、生活のためと思わないゆず子さんに女性は共感を抱いていく、というふうにこのドラマはできているのではないか。ゆず子さんは彼とタッグを組んでいくが、女性の共感を得られているかというと、残念なところが幾つかある。
  • 主役の七草さんと同級生の弁護士の片思いの話と、企業の不正行為の話を組み合わせたストーリー、両方の話を並行して進めるということでどうしてもテンポが遅くなり、展開が悪いところがある。
  • 倒産の原因が、まず裏金の存在を見つけ、やっと4話、5話で損害賠償のからくりに迫るという複雑な話、視聴者がなかなかついていけない。
  • 最初に感じたのは、日曜日の夜9時に『大貧乏』というタイトルのドラマを見る気になるだろうか?この時間は、寛いだ気分で楽しめそうな番組を見たい。タイトルで大分損をしている。
  • とはいえ、番組名にとらわれなければ、とても面白く楽しめる番組だ。巨額の賠償金支払いの理由は理解困難でしたが、不正流用した30億円の現金を外国へ持ち出す、その船の出港阻止に失敗するというところも、メデタシとはならない意外な展開でかえって楽しめた。
  • シングルマザーの家庭の辛さと喜びを描くドラマとして期待を込めて拝見した。制作者は子育てでどの家族も大変な苦労を抱えているという現実に着眼したと思われる。しかしこの作品は、物語の軸が幾つにもない交ぜになり、二兎、三兎を追うものは一兎をも得ずという結果。
  • 子育ては、ごく個人的なテーマに見えながら世相を反映し、社会、政治に関係する大問題、ここを具体的な取材により奥深く掘っていくことで展望が出てくるはず。制作グループのご健闘を期待したい。
  • 巨悪の剔抉(※てっけつ=悪事をあばき出すこと)が締めくくりとして出てくると思うが、それならそれで敵が誰かをもっと早く見せて、それを追い詰めていく姿の方が面白い。
  • 1話、2話は割合テンポが良かったが、3話から、話が全然進まなくなった。どういう理由かわからないが、恋愛の方も剔抉もスローテンポ、視聴者から言うとそこら辺で離れる。

これに対して、制作サイド、局サイドからは、

  • 通り一遍の回答でなく、いろいろお話を伺って、凄く勉強になった。特に展開が遅いとか、着眼点には共感できる点があるが、本線が何なのかわからない、盛り込み過ぎであるという点に関しては、我々制作者が悩んで出した答え、その悩みの過程が全て見透かされているような印象を持った。
  • 純粋な物語作りとは別に、今回、我々が常に意識しながら作っている点が一つある。それは、裏のドラマだ。裏の医者物とどう渡り合おうかということで、いろんな要素を盛り込んだ。
  • 脚本家安達奈緒子さんとはかなり古くから仕事をしており、かっこいい女性を書ける人だと思っていた。我々が伝えたかったのは、かっこいい中年女性、組織という大きなものに小さな主婦が立ち向かうという点と、甘くてちょっと笑える恋、ラブコメディを交えた物語だ。
  • ドラマに求めるファンタジーとリアリティのバランスの取り方が、今非常に価値観の多様化があって意見が分かれるということを、今回も痛感した。
  • そこに関しては、もっと注意深く番組を作らなければならないと、皆さんのご意見から強く感じた。

6.その他、報告事項

電通問題等で話題になっている社員の働き方につき、フジテレビの取り組みについて。

  • フジテレビの残業の規定は、現在、事務職場で残業70時間、現場で90時間と設定されているが、実際に番組制作の周辺ではそれを超える労働時間が発生。テレビという商品の性質上、短期的には無理でも、中期的にはきちんと休暇を取らすべく、最低月4日という設定をして、実行させている。
  • 時間だけではなく社員のメンタル面にも着目し、産業医と社員の面談等、努力を続けている。
  • 将来的には番組制作のプロセスにおける時間の効率的運用という問題に強く取り組んでいかなくてはいけないと考えて研究している。

BPOの放送倫理検証委員会が公表した「2016年の選挙をめぐるテレビ放送についての意見」について。

  • 委員会は、政治的に公平であることを定めている放送法第4条第1項各号の番組編集準則は倫理的規範だとした上で、放送局には選挙に関する報道と評論の自由があり、テレビ放送の選挙に関する報道と評論に求められているのは「量的公平」ではなく「質的公平」だと指摘した。
  • また、都知事選で主要候補をクローズアップしたことについて、多数の立候補者の中から有力と思われる候補など一部の立候補者を重点的に取り上げる番組を編集し放送することは、放送倫理として求められる政治的公平性を欠くことにはならないと述べた。
  • 選挙報道の重要性を改めてこういう形で示したということは、ある意味ありがたいと思っている。
  • なお、この意見書の中に指摘されているニュースの『ユアタイム』の都議会議員選挙立候補者が映り込んでしまったミスに関しては、大命題よりも遙か以前の問題であって、足もとからしっかりと見直して取り組んで行きたい。

以上