番組審議会
第457回 番組審議会議事録概要
1.開催日時
平成28年 5月11日(水)正午より
2.開催場所
東京都港区台場2-4-8 フジテレビ本社
3.出席者
- 委員長
- :
- 但木敬一
- 副委員長
- :
- 神崎仁
- 委員
- :
- 梓澤和幸、石井英夫、大石静、岡室美奈子、林真理子、八木秀次
(毛利衛:レポート提出) - 局側
- :
- 亀山社長、遠藤専務、鈴木専務、稲木専務、崎山取締役、西渕取締役局長
小川執行役員局長、清水執行役員局長、塚越局長、平松局長、小田局長
中山担当部長、宮道部長、高橋新週刊フジテレビ批評担当、現王園室長
金井部長、太田プロデューサー、高田プロデューサー
柴崎室長、小林部長、太田番組審議室
4.議題
ドラマ「OUR HOUSE」第1話
2016年4月17日(日)21時00分~22時09分放送(初回15分拡大)
議題番組に対して各委員から以下のような意見が出された。
- 初回をリアルタイムで観た時、愛菜ちゃんの圧倒的な演技力と、二つの文化がどうぶつかって融和していくか、これは結構面白いドラマになるのでは、と思った。
- これはどういう家庭を想定しているのか。中流なのか極めて庶民的なのか。ミュージシャン、医師、焼き鳥屋など、ドラマの進行のためにいろんな役割を与えて、職業を考えて、行き当たりばったりという感じ。
- 局の意欲としては、家族物で何か人気の継続番組を作りたいというものを感じた。昔、時代時代に新しいタイプのホームドラマがあったが、そういうものをこの時代に目指したのか。
- 問題は、リアリティー。山本耕史さん演ずる父親が、亡くなった妻を本当に愛していたら、幾ら何でも、6カ月で再婚することはとても考えられない。
- TBSが守り続けてきた日曜9時に、なぜまたドラマをぶつけたのか。一度撤退しているはず。なぜこの時間がまたドラマになったのか教えていただきたい。
- 役者同士の丁々発止のやり取りをしっかり見せるため、台詞をしっかり聞かせるためにセット中心のドラマになっている。娘と、外国人のお母さんとの毎回のバトルが見せ場だが、この決戦の場をセットに持ってきているというのは、昨今どこにも見ない覚悟の表れだ。
- 父親の奏太が能天気過ぎる。妻の死後半年で再婚しているということに視聴者は不快感を持ったのではないか。これも(その意味が)第4話でぼやっとわかり始めているが、初回ではこの辺がわかりにくい。
- テーマ設定がなかなか興味深いだけに、展開の工夫がもっとあれば視聴者を掴めたのではないか。
- 『マルモのおきて』は震災直後で、世間全体が家族の結びつきみたいなものを大切にしていた時にタイムリーな企画だった。今は、学生がユーチューブ文化にどっぷり浸っていて、ウルトラマンと同じで3分しか集中力がもたない。ホームドラマはどうしても時間がゆったりと流れるイメージがあり、難しいのではないかと感じた。
- 家族間のホームドラマだからこそのコミュニケーションの問題は、実は今非常に切実な問題で、もう少しそこをわかりやすく伝えれば、いろんな世代にウケる要素はたくさんある。今後の展開に期待。
- 一般的にホームドラマとかホームコメディというのは極めて日常的、ありふれた現実を舞台にして作られているが、このドラマは全く逆。4人もの子どもがいるやもめ男が、交際ゼロのアメリカ娘を引っ張ってきてしまう。あり得ないギャップを逆手にとってドラマを作っている。
- 離婚とか再婚した時に、子どもがいる場合、新しく親となった人はどういうふうに対応するか、親権をとられた親は子どもにどう対応するか、あるいは子どもが親権をとられた親をどう思っているかという問題もこのドラマは取り上げている。
- 第1回目だけでは、伏せている部分もあり、わからないところが多い。回が進むにつれて訳ありの部分が徐々に出てきて、次の回も見たくなるというふうに設定されているのではないか。
- 芦田愛菜はやはりとても上手い。切れの良い長い台詞。母を看取った後、父親と2人で交わす、抑えきれない寂しさ悲しさを訴える僅かな台詞と繊細な表情。ドラマでの年齢を忘れさせるほどの上手さだ。
- セリフなどに、昭和の匂いが強いのは事実。若い世代に昭和臭さは、わからないかもしれないという気がする。
- これはホームドラマなので、少年少女諸君もターゲット。9時でどれだけ起きているか、とも思う。
これに対して、制作サイド、局サイドからは、
- 最近にない、真っ正面からの家族の繋がりを描くホームドラマを作りたいと、『ひとつ屋根の下』の野島伸司さんと永山耕三監督のタッグで、国際結婚のカップルの企画を立てたのがスタート。コミュニケーションがそれぞれ不自由な面がある人々がどう戦って繋がっていくのか、そして家族になっていくのかを描きたいと思って制作した。
- 皆様から出た疑問点は、我々も作っている最中、壁にぶつかったところ。第1話で解決すべき疑問点、リアリティーを感じさせなくてはならなかったところ、排除してはならなかったところがあり過ぎた。
- 4話まで見れば何となくわかってきたけれども、第1話で勝負しなくてはならない昨今のドラマの事情を考えると、そこは悠長だったのかもしれないと反省している。
- この後の展開として、例えば小さな初恋とか友達との話とか、そしてやはりお母さんが恋しい、そして新しいママをぶつかりながらも受け入れていって、国籍の違う女性同士わかり合えるところが描かれていく予定。桜子の背伸びし過ぎている部分は、物語上もだんだん減っていき、そこを気をつけて作っていければと思う。
- 一度撤退した枠になぜというご意見もあったが、連続ドラマはリアルタイム視聴が損なわれてきており、何とかリアルタイムに見ていただけるようにと、ウイークエンドに連続ドラマを設けたく、総合的に判断して日曜の21時にした。独自の企画でTBSのドラマとは差別化して存在感を示していきたい。
などとの説明があった。
その他、BPO人権委員会から人権侵害があったとの勧告等を受けた事案に関して、引き続きの社内対応や勉強会などについての報告があった。