番組審議会

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第439回 番組審議会議事録概要

1.開催日時

平成26年 7月9日(水)正午より

2.開催場所

東京都港区台場2-4-8 フジテレビ本社

3.出席者

  • 委員長
  • 酒井真喜子
  • 副委員長
  • 但木敬一
  • 委員
  • 梓澤和幸(レポート提出)、石井英夫、大石静、岡野俊一郎
    神崎仁、寺尾睦男、林真理子、毛利衛、森英恵(レポート提出)、八木秀次
  • 局側
  • 亀山社長、遠藤専務、鈴木常務、大多常務、稲木常務、港常務、西渕執行役員局長、
    崎山執行役員局長、 小川執行役員局長、小田局長、岸本局次長、夏野部長、
    木佐部長、高橋新週刊フジテレビ批評担当、杉田演出、 現王園室長、金井部長、
    石井ゼネラルプロデューサー、 増本主任、北村専任局長、柴崎室長、太田番組審議室

4.議題

フジテレビ開局55周年記念ドラマ『若者たち 2014』(7月9日 水曜日 22:00~23:24放送、初回30分拡大)
※今回は初めての試みとして、当日の放送に先駆けて審議した。
議題のドラマに対して各委員から以下のような意見が出された。

  • 審議という目で見ようとしていたが、のめり込んだ。私にとっては、心を捕えたいいドラマだった。一つ一つの問題が自分の人生に照らし合わせクリアにわかって感傷的になった。
  • 満島、蒼井の2人の女優がリアリティーをもってドラマを引き締めている。
  • 森山直太朗が歌う主題歌を背景に演出される、若者の悩む姿がよい。

等、役者の演技力や制作サイドの演出力を評価する声があった。

また、

  • 今晩の放送で、若者の視聴率がどれだけ取れるのか大きな実験。日本の社会として普遍的に若者たちに勇気を与えるのかどうかの賭けでもある。これがわかってもらえたら日本は大丈夫だなと思える番組だ。
  • 少子化時代に5人といえば、大家族。喧嘩もしない兄弟が多い中、こういうものがどう受けとめられるのか。兄弟っていいですね、と思う人はいると思うが。
  • 印象的な2つの場面があった。ひとつは、赤ちゃんの命を考えさせられるシーン。二つ目は妻夫木演じる長男がプロレスラーにかかっていくシーン。格差が進む今日の青年たちと、60年代70年代を過ごした人たちに、「俺たちのことが書いてある」と思ってもらえるドラマだ。
  • 熱すぎるとか、重いとか、今風じゃないといわれるのを覚悟で、フジテレビがドラマの直球勝負に出たな、と思った。
  • 日本人の凝縮された姿。こんなふうに人と人とがぶつかりあっている姿を若い人たちにぶつけてみたらどう反応するか。それは大実験であり、失敗するかどうかはわからないが、子供たちにこういう在り方、家族の在り方、社会の在り方、をぶつけたらどうなるか、非常に面白い試みだと思う。

等、今回のテーマが現代の若者に受け入れられるかどうかはわからないが、ある種「実験」「挑戦」であると、チャレンジングなドラマであることを評価する声が多数あった。

その一方で、

  • 旬の俳優をあつめて、いろんなエピソードを散りばめたが、「若者たち」のリメイクを今やる意義がわからない。
  • リメイクに興味がない。フジテレビの誇る演出家たちで予算をかけるなら、オリジナルの作品を作ってほしいと思う。
  • いろんな問題を一度に持ち込みすぎて、見ている側に整理がつかない。
  • プロレスラーが素人に手を出すのはタブーだ。素人がリングに上がり、プロレスラーがそれを相手にするという演出はありえない。
  • 朝食から議論になるとテーブルを動かして、取っ組み合いが始まる、という場面はリアリティーが感じられないし、今の若者が受け入れるのか。

等、演出のリアリティーや、リメイクドラマを作ることに疑問も投げかけられた。

これらの意見に対して制作者、経営側から以下のような説明があった。

  • 「若者たち2014」だから今を切り取る、ということより、人が生きていく根のようなものを描いて、こちらの思いを世の中に投げてみようというところから、このドラマは始まっている。ネットやLINEで繋がっている中で、言葉で言い合いたい、叱られたいと感じている世代も出てきたと思っている。こちらの思いを受け止めてくれれば、作り手としても嬉しい。
  • あり得ないリアリズムをも超える、ある種の人間の真実、あるいは、根源的に持っている何かが見る人に伝われば、そこで離れる人がいたとしても仕方がないと考えている。
  • 「こんな台詞言いっこない」、と言ったら、作家が「テレビは視聴者におもねって全部柔らかい言葉に直してしまう。ここは固い台詞でやりたい。」と言うので、こういう言い回しになった。
  • キャストたちに最初の本読みで、「これは、志のドラマ、あたるかどうかは五分五分。」と話した。志のドラマと言って、これだけの人が集まってくれた。
  • 今の若者にもこういう人たちはどこかにいるかもしれないが、よほどのことでないと探し出せない。ドラマは、いない人間、存在しないものと、いてほしいものを描く実験だと思っているし、こういうドラマをヒットさせることができるフジテレビになればいいと思う。

以上