Story #010

 藍沢(山下智久)は、森本(勝村政信)冴島(比嘉愛未)とともにドクターヘリで出動し、電気の配線工事中に転落した患者を搬送する。患者は、約10メートルの高さから落ち、ショック状態になっていた。藍沢は、待ち受けていた白石(新垣結衣)緋山(戸田恵梨香)らとともに、運び込んだ患者の処置にあたった。だが、藍沢は、挿管に手間取り、切開して気道を確保した方がいいのでは、と藤川(浅利陽介)からアドバイスされるなど、正確で迷いがない日ごろの姿とはどこかようすが違っていた。一方、FASTと呼ばれる超音波検査を担当していた白石も、胸部の出血を見落としていることを緋山に指摘されていた。

 脳外科の西条(杉本哲太)は、黒田(柳葉敏郎)の息子・健一(今井悠貴)のオペを開始する。しかし、健一の脳腫瘍は言語中枢に近い場所にあるため、オペは困難を極めた。ガラス越しにオペを見守っていた黒田は、健一に何もしてやれない自分に対する苛立ちを隠せなかった。

 搬送された患者の処置を終えた藍沢は、療法士と一緒にリハビリをしている祖母・絹江(島かおり)の姿を目にする。絹江は、孫が待っているからもう家に帰りたい、と言ってリハビリを続けようとしなかった。藍沢は、そんな絹江に無理矢理リハビリを続けさせようとした。だが、それを見かねた療法士に止められて我に返る。

 藍沢は、絹江を連れて病室に戻った。絹江は、病室を自宅だと思い込んでいるようだった。そこで藍沢は、一緒に暮らしているという孫はいまどこにいるのか、と絹江に問いかけた。しばらく考え込んでも、思い出せない絹江。感情が昂ぶった藍沢は、自分こそが孫の耕作だと絹江に告げた。絹江は、藍沢のIDカードをじっと見つめていたが、やはり何も思い出せなかった。藍沢は、悲しみをこらえながら絹江の病室を後にした。

 そんななか、白石は、救急救命部部長の田所(児玉清)に辞表を提出する。田所は、一応それを預かり、ここで逃げたら戻れなくなる、と白石に告げた。部長室から出てくる白石の姿を偶然目にした緋山は、何かを察したようだった。

 西条は、腫瘍と言語中枢との境界を確かめるために、健一に対してアウェイク手術を行う決断を下す。健一を一旦麻酔から覚まし、話しかけている間に電極で脳を触って境界を見つける、という方法だった。西条は、健一に話しかける役目を黒田に頼んだ。黒田は、戸惑いを抑えながら、学校のことや、好きなスポーツのことなどを健一に尋ねていった。健一が有里子にしっかり育てられていることを実感する黒田。健一への思いが湧き上がり、気持ちを揺さぶられた黒田は、矢継ぎ早に質問を浴びせた。が、そのとき、健一が思うようにしゃべれなくなった。そこが腫瘍と言語中枢の境界だった。西条はその場所をマークすると、健一にもう一度眠るよう指示した。そして黒田には、続きはオペが終わってから家族だけでゆっくり話せ、と告げた。

 緋山は、白石に次々と書類書きや雑用を押し付けていた。仕事をしていれば気が紛れて、辞めたいなどと考えている暇もなくなる、というのだ。冴島も緋山に同調し、白石に仕事を押し付けると、「私も辞めさせませんから」と彼女に告げた。

 藤川は、ヘリポートで梶(寺島進)の仕事を手伝っていた。梶は、そんな藤川に、いつ乗れるのかわからないのだからヘリのシートの感触を味わっておけ、と冗談めかしていった。すると藤川は、いまはまだ座れないが、自分はフライトドクターになる、と言い切る。

 藍沢は、包帯を取り替えるために黒田の部屋を訪れた。そこで藍沢から、健一に会わなくてもいいのか、と問われた黒田は、お前には関係ない、と答える。そんな黒田に、藍沢は、自分ならいまの姿を見てもらって話がしたい、と返す。

 黒田がICUを訪れると、有里子が疲れた顔で手術を終えた健一を見守っていた。すると、健一が目を覚まし、喉が渇いた、と言い出す。健一は、手術を受けたことは理解していたが、黒田と話をしたことは覚えていないようだった。健一に障害が出ていないことを確認した黒田は、それを有里子に伝えた。そして健一に、よく頑張ったな、と声をかけた。

 エレベーターの中で藍沢に出会った白石は、病院を辞めるつもりだと告げた。そんな白石に、藍沢は、自分にはこれしかない、と答えた。

  白石は、健一のようすを見守っていた黒田にも、辞める決心を伝えようとした。それを察した黒田は、自分には関係ない、と答えた。何も言わず、一礼してその場を去ろうとする白石。と、そのとき、黒田は、ICUの患者の容体がおかしいことにいち早く気づく。大動脈瘤破裂だった。

 同じころ、翔北救命センターには急患の受け入れ要請が入っていた。妊娠36週目の妊婦が本棚の下敷きになったのだという。患者はすでに何件かの病院を断られていた。三井(りょう)は患者を受け入れることを決め、藍沢、緋山とともに準備を急ぐ。

 黒田は、白石と、異変に気づいて駆けつけた藤川に、この場でオペをする、と告げる。しかし、白石も藤川も、動くことができなかった。黒田は、左手だけで作業を進めながら、自分がやる、と言い出す。

 藍沢は、三井たちとともに運ばれてきた妊婦・神田美和子(海島雪)の処置を始める。美和子は骨盤を骨折しており、胎児仮死が進行していた。藍沢は、母体を優先することを決意し、息子の雄一(中島光照)とともに美和子に付き添ってきた夫・昭夫(佐野賢一)に同意を求めた。昭夫は、藍沢の決断を受け入れ、美和子を説得した。が、美和子は、諦め切れないようすだった。そのようすを見ていた藍沢は、方針を変更し、帝王切開の後、タオルパッキングを用いて母子ともに助けよう、と三井に告げる。

 左手1本で患者を救おうとする黒田の姿を見た白石は、自分がやる、と進み出た。が、動脈瘤の剥離ができず、苦戦する白石。黒田は、そんな白石に、開胸して大動脈をクランプするよう指示した。黒田は、藍沢が工事現場でやったのを一番近くで見ていたはずだ、と白石に告げた。白石は、あのときのことをひとつひとつ思い出しながら慎重にオペを進め、大動脈のクランプに成功する。

 そのようすをずっと見ていた健一は、ベッドの前を通り過ぎようとした黒田に、「やるじゃん!凄いね、おじさん」と声をかけた。黒田は、こみ上げてくる思いを抑えていた。

 絶対にもう一度家族に会わせる――そう決意した藍沢は、三井、緋山とともにオペに挑んだ。胎児を取り出すと、ただちに骨盤を創外固定する藍沢。オペは成功し、母子ともに無事だった。
  三井は、藍沢の判断を賞賛した。しかし藍沢は、自分の決断は間違っていたような気がする、と答え…。

 あくる日、藍沢は、判断に迷ったことを黒田に打ち明けた。いままでの自分だったら何も考えずに母体を優先していた、というのだ。続けて藍沢は、黒田の腕に関してもいままでなら心が痛むことはなかったが、いまは直視できない、と言い出す。「先生…名医って何ですか?」。藍沢はそう黒田に尋ねた。すると黒田は、その答えは多分現場にしかない、と答える。

 するとそこに、ドクターヘリの出動要請が入った。高速道路で多重衝突事故が発生し、死傷者が出ているという。藍沢は、三井、冴島とともに現場に駆けつけた。そこで藍沢たちが目にしたのは、凄まじい事故災害の現場だった…。

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