Interview #011
黒田脩二役 柳葉敏郎さん

Q.収録の方はようやく終わりが見えてきたところですが、今回の現場はいかがですか?「医療ドラマの撮影は大変だ」とよく言われていますが…。

みなさんおっしゃっていますが、やっぱり大変なのは医療用語でしょうね。医療シーンに関しては資料を作っていただいているんですが、それが一体どういうものなのかを理解した上でしゃべらないと伝わらないと思っていましたし…。みんな、素人なりにしっかりそれがわかった上で取り組んでいけたのはよかったと思います。

Q.黒田というキャラクターに関しては、どのように捉えて演じていたのでしょうか。田所部長(児玉清)から、若者嫌い、なんて言われたりもしていましたが…。

ただの若者嫌いじゃないんですよね。理屈ばっかりこねて何もしない若者が嫌いだ、というだけでね(笑)。まあ、ここまできて、藍沢(山下智久)を始めとするフェローのみんなが人間的に成長しているんでね。人間的に成長すれば、彼らは医者としての技術はあるわけですから。黒田としては、意外だった彼らの成長ぶりが嬉しいのと、自分自身に起きた事故のことの間で、葛藤しながら彼らを見ることによって、おそらく黒田もまたひとつ、人間として成長したんじゃないかな、という風に思っていま10話を終えました。

Q.黒田先生に降りかかった事故は、視聴者のみなさんにも相当ショッキングな出来事だったようです。

そうでしょうね。まあ、役者で例えて言うならば声がでなくなってしまうようなものですからね。それを考えると、黒田にとってはとんでもない出来事だったと思います。生きていく上で大きな糧を失ったわけですからね。

Q.今回の現場は、山下さんを始めとする若いチームと、勝村政信さんやりょうさんといったシニアチームがあって、個性的な顔ぶれがそろいました。共演陣に関してはどんな風に感じていましたか?

楽しかったですよ。まあ、あまり普段から若いフェローたちとあまり仲良くするのは、黒田という役をやっていく上で邪魔になったらいけないな、と思ったので、多少控えながら時間を過ごしてきたんですけど、シニア組は、どっちが子どもなのかわからないくらい(笑)、撮影の合間にはしゃいだりもしましたので楽しかったですね。

Q.りょうさんも勝村さんも、そうおっしゃっていました(笑)。りょうさんは、「シニアの方が子どもだ」と…

やっぱり?仰るとおりです(笑)。お笑いのレベルが一緒なんですよね。レベル、って言っちゃうと彼らにも失礼かもしれませんが…。同じ年代なりの楽しみ方というか…くだらないことなんですけどね。ただ、重いシーン、大変な撮影がずっと続く作品なので、それがみんな、ちょっとした息継ぎにはなったと思います。

Q.柳葉さんの目には俳優としての山下さんはどう映りましたか?

いやいや、僕の口からは言えないですよ。そんなおこがましいことはできません。ただ、同じ現場を一緒に過ごさせてもらって、山下くんたちに助けてもらったことは一杯あります。物を作る、っていうのは、ひとりでは決してできないことですし、お芝居っていうのも相手があってナンボ、ですから、その辺のコミュニケーションっていうのは非常に上手くとれてやってこれたんじゃないかな、って思っています。

Q.『コード・ブルー』はドクターヘリという新しいシステムを題材にしたドラマですが、そうした作品に関わることで、医療に関して何か考えたことは?このお話よりも前にドキュメンタリー番組をご覧になって、これもいつかドラマになるんじゃないか、と思われたそうですが…。

ドクターヘリは、究極ですからね、救命救急の。言うまでもなく、本来お医者さんっていうのは、そういう現場に向き合っていく職業なんですよね。それを疑似体験ではあるけどやることができた、っていうのは、残りの人生のプラスになっていくような気が僕はしています。

Q.格差という言葉がよく使われる時代ですが、医療も都市部と地方で相当格差があるものですよね。

医療だけじゃないですけどね。地方の格差の話をするととてつもなく広がってしまいますけど…。ただ、お医者さんはやっぱり大変ですよ。その大変さをもっともっと上の人たちにわかってもらって、それを解決するための環境作りをしていってほしいな、と個人的には思います。間違いなく、そこに世話になるのは僕らなんですから。お医者さんの大変さを、このドラマで少しでもわかってもらえたら有難いな、って思いますけどね。

Q.最後に、視聴者のみなさんへのメッセージをお願いします。

人の命っていうものをしっかり受け止めてほしいな、って思います。命の尊さだとか、命の大切さとか重さとか…そういったものを、みなさんが暮らしている環境のなかで、それぞれ考えてもらえればいいな、と思います。僕はこのドラマをやっていて、それぞれの人間関係に必ず涙してしまうんです。白石(新垣結衣)でいえば、お母さんとの電話でのたわいもない会話。あれで、ボロボロ泣いちゃったんですよねぇ。もちろん、藍沢とおばあちゃんの関係もそうだし、藤川(浅利陽介)とおふくろさんとの関係もそうだし…。人間って、人間同士の関係のなかで生きているんだ、っていうことを、もう1回、自分の周りを見つめ直して、確かめていってほしいな、と思います。

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