手術シーンなどもかなりリアルに撮っていますし、ヘリコプターを使った撮影も多いので、大変といえば大変ですけど、出演者のみなさんが素晴らしい方ばかりなので楽しいです。この現場は、シニアたちの方が、フェローたちよりもいたずらっ子なんです（笑）。大人のほうが子どもみたいな感じで、いろいろちょっかいを出し合ったりしてて…それも楽しいですね。

常に冷静沈着で合理的なんですけど、本当は情に厚いというか…。それこそ、いまの緋山（戸田恵梨香）みたいな人だったんでしょうけど、医療訴訟を起こされてしまう事件があったので、自分の感情を抑えるようになってしまって。特に最初のころは淡々と仕事をこなすような感じでしたけど、５話あたりから訴訟の問題が本格的にでてきて、そこで初めて三井の本当の姿が少しずつ出てきて…。だから、前半は抑えた演技をしていましたね。

難しいですね、動きは。特に手術シーンのときは流れを止めたくないですし…。私、役柄によっては、現場の空気を感じて動きながら覚える、というやり方をすることもあるんですけど、今回は、普段使わない医療用語がたくさんが出てくるので、予めキチンと覚えてから現場に入っています。それがどういった意味か、っていうことも、スタッフの方が医療台本を作ってくださるので、それを見て、どの担当の人に言っている言葉なのかということもちゃんと理解して…。でも、手術シーンの動き方は現場に行かないとわからないことなので、それに関してはその場で先生から指導を受けてやっています。セリフを言っていても手はずっと動かせるようにしておかないといけませんし、三井はシニアドクターなのでその辺にも気を遣っています。

これからの医療システムであるドクターヘリを題材にしているドラマなので、その辺は細かく指導を受けながらやらなければいけないですね。だから、映っていないときでも、そのシーンの流れは全部聞くようにしてます。結果的にカメラの中に映っていないときも、流れを把握してお芝居を続けていないと、いざ、カメラがこちらを向いて自分が映し出されたときにリアルさが欠けてしまうので。

やっぱり嘘は見えてしまいますからね。なので、できる限り気を遣っているつもりです。

そうですね。フライトドクターもそうですが、お医者さんというのは、本当に大変なお仕事だと思うんですよね。三井は、子どもを助けたい、という患者さんの強い希望があったとはいえ、自分の感情で治療方針を決めてしまって、結果的にふたりを死なせてしまった…ということがありましたけど、立場が逆だったら、真壁（阿南建治）さんのように「許せない！」と思うのは理解できるじゃないですか。大変なお仕事だけど、やっぱり人間がやっているものなので、完璧にはできないし、思うような結果が伴わないことだってあるわけですよね。例えば自分が病気になったりして、ドクターヘリで運ばれたとしても、お医者さんの前にいったら安心してしまうこともあると思うんです。でも、１００％治るなんて保障はないわけですよね。そう考えると、お医者さんの立場って本当に大変だな、と思います。しかもフライトドクターは、１分、１秒の決断の遅れが患者の命に関わるようなお仕事なので、迷ってなんかいられないわけですし…。

山下さんたち５人は、ご一緒するのは今回が初めてなんですよね。でも、みなさんそれぞれ、役柄にぴったりで…。ご本人たちはどう思っているのかわかりませんけど（笑）。山下さんは、そこにいるだけで華がある方で、ゴレンジャーで言ったらレッド・タイプなんですけどブルーもできる、みたいな感じ（笑）。幅広いことができそうな方だな、って思います。新垣さんは、個人的に彼女の仕草が好きなんです。役の中にも出てくる仕草とかでも、彼女にしかないチャーミングさを感じます。戸田さんは、凄く一生懸命で、自分の役について細かいところまで考えながらワンカットワンカットやっている感じが伝わってきます。素敵だな、って思いました。比嘉さんは、もしかしたら一番、普段と役柄のイメージが違うかもしれないですね。２話で、白石に感情をぶつけるシーンがありましたけど、あのときに「いままで怒った芝居をしたことがない」って悩んでいて…。確かに、普段は凄く柔らかい感じですからね。でも、比嘉さんには品がある。だから、冴島のように厳しい役でも彼女が演じれば怖いだけではない、深みが出るんでしょうね。で、藤川は…浅利さんも凄くいいキャラなんですよ。ゴレンジャーで言ったら黄色（笑）。本当にチャーミング。他の人にはできないんじゃないですか？

最近は、理解しがたい事件があったり、自殺してしまったりする人のニュースなどもよく目にしますけど、このドラマを見て、もう一度、命の重さを感じてもらえればいいな、と思います。生きるって簡単じゃないことだと思うけど、悲しみ、苦しみさえも自分の糧にして豊かな人生を送ってほしい。命の尊さを感じてもらえたら嬉しいです。