Interview #008
ヘリパイロット・梶寿志役 寺島 進さん
 

Q.今回の作品はドクターヘリを題材にした医療ドラマですが、このドラマ以前からドクターヘリのことはご存知でしたか?

いや、この話をうかがったときに、資料用にドキュメンタリー番組のDVDをもらったんでそれで初めて知りました。でも周りには、知っている人も結構いたんですよね。

Q.そうですね。柳葉敏郎さんも、テレビでドクターヘリのドキュメンタリーを見て「これはいつかドラマになるな」と思っていたそうですし…。

ああ、そうなんですか。

Q.今回の現場はいかがですか?若いキャスト、スタッフが多い現場ですが…。

俺、毎日来てるわけじゃないからあまり実感がわかないんだけど(笑)。でも現場は…どうなんだろうね?昔から「いまの若いヤツは…」なんてよく言うけど、山下(智久)くんは凄くいいですよ。『白虎隊』とか『クロサギ』とか、いろいろ見てたんだけど、一段と顔つきが良くなったというか、いい男っぷりが上がったというか、大人の男の顔になってきたと思いますね、まだ若いんでしょ?何か、スゲー楽しみですね。

Q.寺島さんにそんな風に思ってもらえていると知ったら、きっと喜ぶと思います。

直接言わないけどね。まあ、一緒に飲んだ席ででも(笑)。

Q.藍沢というキャラクターも深いですし…。

そうですね。ああいう心の中を表に出さない感じも、魅力的だと思います。あと今回は、久しぶりにりょうちゃんとか、勝村(政信)くんとかと一緒なんで楽しいですよ。それから、何と言っても本物のドクターヘリのスタッフのみなさんの活躍ですね。暑い中、汗だくになってやってくれていて、ホントに感謝しています。彼らは初めてドラマに参加しているわけですけど、一心不乱にやってくれている姿を見ると、心を打たれますよ。自分も頑張らなきゃダメだな、って感じますし…。

Q.物作りの現場は大変なわけですが、ドラマのことを何も知らないでいきなり「こうしてほしい」「ああしてほしい」と言われながらワンクールやり遂げるのは、とてつもなく大変ですよね。

相当スタッフもワガママ言ってると思うしね(笑)。「ヘリの位置はこうで…」って、カメラの位置変えればいいだろ、って話でしょ(笑)。まあ、そうは言ってもいろいろと演出的なこととか物理的な問題もあるから仕方ないことなんですけどね。でも、ホントに一生懸命やってくれてますからね。あと、病院のスタッフの方々も、朝から晩までずーっと付き合ってくれて…。そういう姿を見ていると、ドラマって本当にたくさんの力が集まって成立してるんだな、って思います。

Q.医療監修をしてくださっている松本尚先生にお話を伺ったんですが、先生は「医療ものとして同業者が見ても嘘がないようにやりたいけど、演出上、どうしてもぶつかる部分もある。それは、こっちが理解しなければいけないことだとわかりました」とおっしゃっていたんです。

ああ、そんな風に言えるのは、きっと心の深い人だからなんですよ。いろんな側面から物事を見ているからなんでしょうね。なるほどねぇ…。

Q.それにしても、梶さんというキャラクターはとても魅力的ですね。ちょっとカッコ良すぎます(笑)。

出番少ないからね(笑)。野球で言えば、スターティングメンバーじゃないのよ。1回から9回までずっと出ているわけじゃないんだけど、まあ7回の表あたりに代打で出て、その1打席だけで印象を残してやろう、みたいな感じかな。

Q.ちょっと昔の『あぶさん』のような感じですね。

そうそう(笑)。そんな感じが出せればいいかな、って思ってますね。

Q.パイロットとして働く姿はもちろんカッコいいのですが…

あれはカッコつけてるんですよ(笑)。

Q.でも、たまに藍沢たちフェローにかける言葉も最高にいいですし、さらに奥さんのことなどで可愛らしい一面も見られるあたりもステキです。

それはそういう設定だからね(笑)。入る前にちょっとプロデューサーと相談して、医療関係以外の部分で、人としてどうあるべきか、みたいな部分が出せればいいな、っていう話はしていていたんですよ。そういう部分も加味してもらえたら嬉しいな、ってね。お医者さんも人ですからね。だから、学校で言えば、教育指導の先生みたいなものですよ(笑)。

Q.このドラマを見て、「フライトドクターになりたい」「フライトナースになりたい」と思ってくれる若い世代もいると思いますが、松本先生は「ドクターヘリのパイロットになりたい、という人ももっと増えてくれたら嬉しい」とおっしゃっていました。ですから、カッコいい梶さんが果たす役割は大きいと思います。

20代の人とかがもっと出てくるといいですよね。この日本では、産業としてなかなか難しい部分もあると思うんですよ。大陸の国じゃないしね。ヘリポートだってそうでしょ?車がたくさん生産されても、なかなか駐車場はないのと一緒で、ヘリコプターがあったってヘリポートがないと意味がないわけだし。そういうところも改善されていけばいいんですけどね。

Q.こういう作品に関わると、医療のことについて考える機会も増えるかと思うのですがいかがでしょうか?

患者の立場とか、患者の肉親の立場でドラマを見ることはありますね。「えっ、こんな決断するわけ?」とか…。一刻を争う状況なわけだから、そんなことも言っていられないんでしょうけど。なかなか厳しい職業ですよね。でも、注射1本打ってもらうのだって、下手な人よりは上手い人にやってもらいたいのが人間の心理じゃないですか(笑)。俺も点滴打ってもらったときに、隣に外人さんがいたんだけど、若い看護師さんがなかなか針刺さらなくて苦労してたのね。でも、何回も刺されるの、あんまりいいものじゃないしねぇ(笑)。

Q.役者さんのお仕事もそうかもしれませんが、医療従事者の方だってやっぱり経験が必要でしょうし…。

経験を積むと、モチベーションの保ち方がわかってくるんですよね。若いと、そういう部分に波があったりするんですよ。それはどんな世界でもそうなんだと思いますしね。

Q.最後に、視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。このドラマは若い世代も見てくれているようですので…。

若い人たちにメッセージねぇ(笑)。山下くんばっかりじゃなく、俺も見ろ(笑)。おじさんの心の動きも読み取れよ、って伝えてください(笑)。

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