Interview #005
フライトドクター候補生  藤川一男役 浅利陽介さん
 

Q.最初に話を聞いたときの感想は?

最初は具体的な内容は聞かされなかったんですけど、まず「医療モノ」ということを聞かされて、二言めに「ヘリ」という言葉を聞いたんで、「おっ、何じゃ、それ!?」と(笑)。僕の好きなテイストの作品なのかも、と思って、凄く期待しました。

Q.実際に台本を読んでみて、その期待はさらに大きくなったのでは?

クランクイン前にある病院におじゃまして、実際に現場で働いている人たちの雰囲気を見させてもらったんですけど、読んだ台本の内容も含めて「あっ、こういうものなんだ…面白いな」と思いました。藤川は、弱いのか強いのか分からないっぽい感じのキャラで(笑)、僕は凄く好きになりましたね。

Q.先ほど、「好きなテイストの作品なのかも」と思ったとおっしゃっていましたが、具体的には?

まずヘリコプターというもの自体がカッコいいんですよね。男性的な部分なんですけど、僕は戦争映画とかが好きで、軍隊がヘリコプターとかで飛び立っていくシーンとかあるじゃないですか。僕は、そういう瞬間の男の人って無茶苦茶カッコよく見えるな、って思っているので。それから、今回の作品は、緊迫感がある中に、ユルい現場の雰囲気とかもあって、凄くメリハリもあるし、さらにプラスαとしてヘリコプターがある、っていうのが僕的に好きなテイストなんです(笑)。でも、いまのところ、藤川はヘリコプターに乗ってないんですよね。乗りたいんですけどね (笑)。

Q.藤川一男というキャラクターについて、どのように考えていますか?

藤川は、出身地方では神童的な扱いを受けているけど、多分現場では何もできない子なんですよ。いや、何もできなくはないですけど、速攻で対処できない。「アレをやれ!」って言われても、「えっ、何ですか?」っていうような人。凄くいろんなことを知ってるようなんですけど、実は裏でコソコソ「今日言ってたあの言葉、何だったっけな?」って敏感になってて…みたいな。最初にお会いしたときにプロデューサーの増本(淳)さんからそういうお話をうかがったので、そこから自分で膨らませて、いまもいろいろ考えてるんです。そのひとつが、いろんな顔をしたい、ということ。かといって、最初からひとりで考え込んで作るんじゃなく、その時々の台本の状況とか現場の雰囲気にあわせて、いろんな顔を出していきたいな、と思ってます。僕のスタンスは「現場に入ってみないと分からない」という感じなんです。実際に共演者と話をしてみて、1回芝居を合わせてみて、そこでのニュアンスで最終的な芝居の方向性を決めちゃうから。そういう意味では、今回は共演者の数も多いし、幅が広いので楽しみです。

Q.山下智久さんを始め、若手実力派の共演陣がそろっていますが、その中でどういう存在でいたいと思いますか?

ポジションとかは、あんまり意識しない方がいいのかな、と思っているんです。周りにいろいろなキャラがいる中で、「じゃ、藤川ならどうするかな?」という考え方でいきたいというか。緩急をつけるポジションとか、笑いを届ける役とかというのは、結果的にそうなればいい、という風に僕は思ってます。でも、できるだけ面白く芝居したいなぁ(笑)。周りと一緒に芝居を楽しみながら、いいものを作れたらいいなって思います。

Q.今回は、演技以前に、医者としての動きはもちろん、難しい専門用語を理解する必要もありますね。

医療器具にしても、何の用途で使うものなのかが分かれば、覚えられると思います。見学でお邪魔した病院でも、「これ、何に使うの?」とか聞いてました。使う、使わないは別にして、知っておかないといけない、と思ったんですよね。

Q.浅利さんは、この企画を知る前に、ドクターヘリについてご存知でしたか?

ちらっと知ってはいたんですけど、どんなものなのかまでは詳しく知らなかったです。現場にヘリコプターで行って、患者を搬送するだけだと思ってたんですけど、スゴイですね。情報は伝わっているけど、実際に患者を見るまでは容態がどんな状況かも分からないのに飛び立つ…ホントに現場対応能力がないと、全然役に立たないですよね。知れば知るほど、ドクターヘリは大変だなって思いました。

Q.このドラマは、プロフェッショナルな職業の物語ですが、浅利さんご自身が考えるプロフェッショナルの条件とは?

大体、先のことを考えられるようになったらプロじゃないですか? 1回引いてみて、冷静に物や周りがどう動いているかを見て、自分がどこに入ったらいいのかがすぐに分かる人。アバウト過ぎるかもしれませんけど、実際そんな感じだと思います。僕、これ、最近分かったんですよ。それも、バスケットをしてる最中に(笑)。周りがいっぱい動いてたんですけど、僕は「どこでボールをもらってシュートを打てばいいか?」みたいに考えて動いてて…。そのとき、「俺、プロなんじゃないかな?」って思いましたね(笑)。「俺、いいところでパスもらったよ」みたいな(笑)。自分が入ることでまた色が付いて、全員が面白くなればいいじゃないですか。そういう人がプロフェッショナルだと思いますね。今回も、演出部、撮影部、美術、照明…いろんな部署のことを考えながら、また俳優間の芝居のやりとりが上手いこと噛み合っているのでいいものができると思います。

Q.この作品を通して視聴者に伝えたいことは?

ドクターヘリは、人の命に関わるものなんですけど、実際どこまで認知度があるのかと言ったら、まだまだのような気がするんですね。こういうものがあって、人の命を毎日救ってるけど、まだあまり認知されてない。実際、僕もあんまり知らなかったですし…。だからこの作品を見て、まずドクターヘリの存在を知ってもらって、その現場がどんなものかを知ってもらえれば…。最初は、ただ単に「あ、こういう現場があるんだ」っていうくらいな感じで、楽しんで見てもらえればいいと思います。で、「俺もこの仕事をしてみたい」と思ってくれる人がいるんだったら最高だと思います。

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