Interview #002
フライトドクター候補生  白石 恵役 新垣結衣さん
 

Q.台本をお読みになっての感想は?

最初に「医療ものだよ、次は」っていう話を聞いて…。やっぱり凄く難しそうな印象があったので、そこに私がいるっていうイメージが持てず、どうなるものかと思っていたんですが、台本を読んでみたら、真剣なシーンはもちろん真剣なんですけど、ところどころ笑いがあるというか、ちょっと力の抜ける部分もあって、読んでいて楽しむことができたので少しホッとしました。

Q.演じる白石恵というキャラクターに関しては、どう思われましたか?

監督さんやプロデューサーさんがお話ししてくださったのが、「いまの世の中に一番よくいるタイプの人間」「積極的にはガンガンいけないけど、とりあえず間違えたくはないから努力はする」というところでした。そのお話を聞いていて、共感できるところが凄くたくさんありました。「かといって、薄い存在にはしたくない」ともおっしゃっていたので、そこをどうしたらいいか、っていうのは悩みどころでもありますが(笑)、共感できる部分に関しては素直に表現していければいいなと思います。

Q.特に、どういった部分に共感しましたか?

「積極的にガンガンいくという感じではないけど…」というところですね。例えば白石は、「こういうときにどういう症状があると思う?」って聞かれたときに、わかっているんですけど自信がないんです。最後に「〜と思います」って言っちゃうような、あまりはっきりしない…私も、こうやって取材を受けているときによくあるので(笑)。こういう風に思っているんだけど、数時間後に違うかもしれない。でも、いまこう思っているのは確かだからとりあえず言うんだけど、「〜と思います」っていうのは必ずつけてしまう自分がいるし(笑)。自信がない、っていうところに凄く共感しました。

Q.でも、優等生ですよね?

そうですね。自分に自信がない分、凄く努力はする、っていう子ですね。

Q.今回は、医学の専門用語も多いですが…。

そうですね。でも、最後に「〜と思います」ってつけられるので(笑)。間違ってても…いや、間違っちゃいけないんですけど(笑)。

Q.実際に病院にも見学に行かれたそうですが、そのときの感想をお願いします。

思っていたよりも落ち着いた感じだったのは意外でした。電話がかかってきたりしたら凄く焦るのかな、って思っていたんですけど、そこは何人もの患者さんを見ているからなのか、思っていたよりも穏やかというか、落ち着いてらっしゃって…。それだけプロ、キャリアもたくさんあって…白石はそうじゃないので、そこは真似できないな、と思いました(笑)。でも、常に落ち着いていよう、っていうのは、普段から自分に言い聞かせているんだそうです。先生に「意外と穏やかな感じなんですね。ビックリしました」って言ったら、「一応、僕たちは笑顔を絶やさないようにしている」っておっしゃっていたので。「急ぐけど、あせらず、落ち着いて」っていうことらしいので、私もそれは常に自分に言い聞かせていようかな、って思いました。やっぱり、「急ぐ」のと「焦る」のは違うので、そこは意識していかないとできないことなのかもな、と思います。

Q.医療シーンは緊迫感のある撮影が続きそうですが・・・。

専門用語がたくさんでてきますけど、そのどれがどのことを指しているのか、っていうこともあんまりわかっていないくらいだったんです(笑)。「レベルワン」が点滴っていうことはわかったんですけど、ホントに少しのことしかまだ知識がないので、それかやってみないとわからないな、と思います。

Q.研修医ではないので、動きなどもキチンとできていないといけないわけですよね。

そうですね。そこは監督さんも「しっかりやっていきたい」とおっしゃっていたので、頑張ります(笑)。

Q.「フライトドクター」はご存知でしたか?

知らなかったです。でも、名前を聞いてからは、意外と特集されていたりっていうのを見かけたりしていたんで、「世間に広まりつつあるんだな」っていうのはわかりました。

Q.命の最前線で戦うフライトドクターの印象は?

「凄い!」と思いました。(増本Pから「到着時間の早さには驚いていたよね」と言われて)あ、そうですよね。見学に行った病院は、都内から車で2時間くらいかかったんですけど、説明を受けているときに、「大体、この辺だと何分くらいでいけるのか?」って地図を見ながら聞いたんです。そうしたら「中野くらいまでだったら20分で行ける」っていわれて。実際に、ドクターヘリが飛んでいく瞬間と戻ってくるときも見たんですけど、凄く速かったです。

Q.準備が、ということですか?

前に番組で特集された映像を見ていたんですけど…ヘリコプターに向かって走っていくお医者さんの姿とか。あと、飛び立ってから、「着きました」っていう連絡がくるまでが凄く早くて…。「もう?」みたいな。で、「ヘリに乗った段階では、目的地がどこなのか、っていうのもあまりわかってないことが多い」っておっしゃってて…。

Q.その場で状況を聞きながら判断していく、というわけですね。

そうですね、飛んでいる間に。でも、最初に入った情報と、現場に行ってからの情報が異なることも多いんだそうです。時間が経てば、状況も違いますからね。

Q.ヘリに乗るシーンもありますが…。

(高所は)苦手です。苦手なんですけど、苦手なんていってられないですね。人の命を助ける仕事をしているんだから、高いところがどうとか、言ってらんないよな、って。だから、そこは忘れます、ハイ(笑)。

Q.白石恵を演じるにあたって、一番大事にしていきたいところは?

平均的なキャラクターだ、っていうのを聞いたので、多分、見ている方が、一番共感してくるんじゃないかな?そうなったらいいな、って思っています。リアルに、素直に、表現していきたいな、と思います。相手との掛け合いで、自分の芝居も変わってくるので、そこは臨機応変に…頑張ります!

Q.医者役を演じることになって、フライトドクターに会ったりした中で、いままで感じていた医者のイメージは変わりましたか?

自分が診てもらうときは、病気に関しては何でも知ってて、落ち着いていて…完璧な人なんだと思っていたんですけど、台本を読んだり、資料を見たりしてからは、やっぱりお医者さんも悩んだりするし、不安にもなるし、もちろん頑張っているし…人の命を助けるという重い仕事をするのは凄いな、と思いました。やっぱり人間なんだな、って。

Q.些細なミスが命に関わることもあるわけですし、いまの時代は、それで訴えられてしまうこともあるわけで…。

責任は重いんでしょうね。それがどのくらい重いのか、っていうのはお医者さんにしかわからないでしょうけど…。でも、(助けられなかったにしても)その度に、多分、胸を痛めているんでしょうし、精神力の強さも必要になってくるんでしょうし…。(小声で)疲れるでしょうね…。

Q.今回は、山下智久さんをはじめ、同世代の共演者が多いですね。

戸田恵梨香ちゃん、比嘉愛未ちゃん、浅利陽介くんとは、病院見学も一緒に行ったんですけど、そのときからなんとなく役柄と重なるキャラが出てましたね(笑)。結構、みんなガンガン質問するんですよ。比嘉ちゃんに関してはメモ帳まで用意して、専門用語について細かく聞いていて…。「ICUとHCUの違いとは?」とか。みんなが質問するのを聞いて、「はぁ…」って。「よくそんな質問思いつくな」って思いながら、聞くのに必死でした。浅利(陽介)くんは、お医者様からもスタッフの方からもとことんイジられていました(笑)。「早っ!」って思いながら見ていました(笑)。

Q.山下さんとは一度共演されていますよね。

ミステリアスな役、っていうのは以前にも見たことがありますけど、藍沢にも弱さみたいなところもあって、彼が抱えているものも描かれていくので、その微妙なところをどういう風に演じるのかな、って気になっています。

Q.楽しくやっていけそうな手ごたえはある?

そうですね。同年代の方がいて、設定も同僚っていうことだし、(小声で)楽しくできればいいなぁ(笑)。

Q.役柄では皆ライバルですが…。

遅れをとりたくない、っていうのはわかりますね。でも、そこまで積極的に一歩前に踏み出す勇気もまだない、っていうところも共感できるので…。むしろ、私がそういうタイプなので、白石でよかったです(笑)。

Q.いままでに放送された医療ドラマで好きな作品はありますか?

自分が出た作品なんかはチェックのために見るんですけど、他の番組はテレビをつけてやっていたときに見る、っていうくらいで…。不規則なので、1話を見逃しちゃうと「ああ…」ってがっかりしちゃったりとか…。チラホラ見ていたのは『医龍』とか。あれはもうとことん、医療シーンを見せていたので、(医療ものには)そういうイメージがあったから「大丈夫かな?」って思ったんですけど…。

Q.「いつか自分も医者役を演じるのかな」とは思わなかった?

考えてもいなかったですね。制服を着ているイメージが強いと思うので、そこからいきなりガーンと「医者です!」って…。「OLです」「大学生です」ではなく「医者です」ときたので、大丈夫かな、って思ったんですけど、自信がないだとか、まだ学んでいく立場だとかっていう設定を聞いて、少し安心しました。

Q.印象に残っているエピソードは?

2話で、白石が、患者の女性に、うっかり悩みとか本音をバーっと吐き出しちゃうシーンがあって…。いないじゃないですか、不安を患者さんに見せるお医者さんなんて。いままで私はそんな人に会ったことがないです(笑)。そこは凄く印象的ですね。

Q.見てくれる人に伝えたいことは?

お医者さんも人間ですよ、っていうことですね。いろんなことに悩んでいるし、苦しんでいるし…っていうところかな?やっていくうちに、もっといろいろ出てくるかもしれないですけど、いまはそこですね。

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