Interview #001
フライトドクター候補生  藍沢 耕作役 山下智久さん
 

Q.まず、台本を読んだ感想からお願いします。

企画書の段階から読ませていただいたんですけど、最後まできっちりストーリーの流れができていて、クオリティーの高さを感じたし、それと同時にプレッシャーも感じました。人の命に関わる一番近い場所を視聴者に届けるわけですし、最先端のヘリコプターを使った救命の話なので、もちろん社会派ドラマだと思うんです。ただ、ずっと緊張して見ていると疲れちゃうと思うんですけど、なごめるシーンとかもあるし、フライトドクターの4人と患者さんの心の交流もちゃんと描かれていたりして、とてもしっかりした台本なんです。僕が言うのも何なんですが(笑)。

Q.ドクターヘリの存在はご存知でしたか?

知っていました。たまたまドキュメンタリー番組を見たことがあったので。やっと去年法整備されたものをいち早く視聴者の方に届けられる立場になれたのは、凄く光栄ですね。

Q.そのドキュメンタリー番組を見たときの印象は?

単純に凄いな、って思ったんですけど、まさか自分がそういうことをやるとは思っていませんでした(笑)。

Q.今回演じる藍沢耕作という男はどういうキャラクターですか?

凄く貪欲というか…自分の技術を上げるために、患者さんとの触れあいよりも、重症患者を診て技術を上げたいっていう、そこが第一なんですね。そういうキャラの中にも人としての感情とか、患者さんに対しての気持ちもあったりして、きっと過去になにかあったんだろうな、と予感させるところもあり…。ミステリアスな部分がたくさんありました。

Q.一見、クールな感じ?

そうですね。クールですね。

Q.演じるにあたって、ご自身の中でイメージした藍沢像は?

行動とかしゃべり方とかは、わかりやすいクールな感じではないんですけど、考え方とか中身の部分ですごく淡泊なんですよね。そういうところもうまく表現できたらいいなと思います。クランクインする前に、実際に病院を見学させてもらったんですけど、救命科というのは凄く慌ただしくて、お医者さん同士が顔を見て話す、という感じではなくて、ずっと患者さんだけを見ながら話していたのが印象的でしたね。ほかの科の手術現場も見させていただいたんですけど、どこを手術するのか決まっていると、静かで物音ひとつしないような雰囲気なんですけど、救命は慌ただしいというか、凄く緊迫感がありました。そういうところもよりリアルに伝えていきたいな、っていう思いはあります。

Q.救命は、心肺停止から10分間が勝負といわれていますが…。

患者さんが来て、普通だったら手術室に運んで手術するんでしょうけど、僕が行ったときは本当に緊急だったらしくて、その場で手術が始まり…。ビックリしました。いまは淡々と語ってますけど、貧血ギリギリでしたね(笑)。ここにいる人たちが人の命を救うんだな、って実感しました。

Q.先ほど、ドクターヘリのドキュメンタリー番組を見たとおっしゃっていましたけど、番組を見たときと実際に現場を見たいまでは、心構えも違ってきましたか?

ドクターヘリによって命が助かる割合が上がっている、というのは事実なので、そういう意味を含めて、このドラマがきっかけになって、もっとドクターヘリに関する認知が高まったり、設備が整ったり、というように、何かひとつでも意味を持った作品になるように精一杯頑張りたい、というのがいまの心境です。やっぱり、年配の方はきっと医療のこととかにも凄く関心があると思うんですけど、それに比べて若い世代は関心が薄いですよね。僕も医療ドラマに正直、いままではそんなに関心はなかったんですけど、今回の4人の若い医者がフライトドクターになるために奮闘するということで、10代の人たちのような若い世代にも興味を持って見ていただいて、命の大切さについて考えてもらえたり、1日1日を大切にしていこう、って思ってもらえれば嬉しいです。本当に、明日何があるかわからないですから。これから先何年も生きられると思っていても、ある日突然事故に遭ってしまうかもしれないじゃないですか。そういう意味では、この機会に興味を持って欲しいと願っています。

Q.人間であれば誰でもミスはすると思うんですけど、お医者さんはもちろん、フライトドクターもミスが絶対に許されない、という厳しい世界ですよね。

許されないですよね。ダメですよ、ミスは。それしか言えないですけどね(笑)。人間だからしょうがない、って言えないですもんね、やっぱり。でも、お医者さんとかはそういうことは重々わかっているわけで…。しかも、食事とかもきちんと食べられるわけではないみたいですし、寝る時間もないし…大変ですよ。

Q.藍沢は、若いにもかかわらず、そうしたプレッシャーに押しつぶされることなく的確な判断をして治療に臨むタイプですが、彼のその自信や強さに対して感じたことは?

藍沢は、冷静なんですよね。冷静で醒めたところもあるから、淡々と治療ができると思うんですよ。逆に感情移入しすぎると結構できないような気もするし。そういう意味では、クールで冷静な考えがいい方向に影響しているんじゃないかなって思います。

Q.医療の専門用語がたくさん出てくると思いますがどうですか?

そうですね。難しいです。演じると同時に、嘘がないように動かないといけないとうこともありますし…。

Q.病院に行った経験から、役作りの参考にできるようなことはありましたか?

僕、入院もしたことないんですよね。お見舞いは行ったことがあるんですけど…。でも、患者さんの立場とお医者さんの立場は全然違うと思うんです。藍沢に関して言えば、まだ患者さんに対してそれほど興味を持っていないというスタンスなので、そこはまだ考えたことないですけど、ほかの3人の医者に関しては結構患者さんとのやりとりがあったり、心温まるエピソードもあるので、みんなはきっと考えているんじゃないかなと思います。

Q.実際にヘリコプターに乗るシーンもありますが…。

いっぱいあると思います(笑)。

Q.高いとことは大丈夫ですか?

全然大丈夫ですよ。ヘリコプターも何度か乗ったことあるし。だから、楽しみでした。大変な撮影になるだろうな、っていう覚悟はしています。凄く狭いですからね、ヘリコプターの中は。ドクターヘリの中って、結構、シンプルなんですよ。最低限のものしかなかったりするし…。

Q.共演の新垣結衣さんや、戸田恵梨香さんらのイメージと役柄に関しての印象は?

みなさん、凄く役柄のイメージと重なる部分はありますね。新垣結衣ちゃんと戸田恵梨香ちゃんは2回目の共演なんですけど、結衣ちゃんは凄く正統派のお医者さんっていう感じで、知識がたくさんあって…。知識優先で淡々とやっていく、みたいな感じがすぐイメージできました。戸田恵梨香ちゃんも、「私はできるわ」みたいな、そういうズンズン行く感じがすぐ頭に浮かんできました。

Q.今回プロフェッショナルの人たちの話ですが、山下さんにとってプロフェッショナルとはどういう人たちだと思いますか?

みんなプロじゃないですかね。技術の内容とか仕事の内容とかは違うと思いますけど、こうやって僕が話している言葉を文章にしてくれるっていうのも、オレはできないし…。自分のことで言うと、小さいときからドラマに出させてもらったり歌を歌わせてもらったり…ふたつを同時にやっていく、っていうのはそんなにないことだと思いますし。そういうことに関して、何個か同時にやるっていうことに関してはプロだと思って誇りを持ってやっていますから。まあ、自分の仕事にちゃんと誇りをもってやってる人はプロだと思います。

Q.いままでに好きで見ていた医療ドラマがあれば教えてください。

『Dr.コトー診療所』とかは見てました。でも、いままでは、まさか自分が病気になるなんて思っていなかったし、事故に遭うとも思っていなかったりしたけど、こういう立場になって改めて考えてみると、本当にいつ死ぬかわからないし…。そういう意味では医療に関して凄く興味が湧いています。

Page Top