プロジェクト概要
■支援国 |
パプアニューギニア独立国 |
■プロジェクト名 |
HIV/エイズの拡大する状況下での母子保健サービス強化プロジェクト
(Strengthening Maternal and Child Health Services within the context of emerging HIV epidemic in Papua New Guinea) |
■目標 |
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保健施設のサービスの質の向上と、母子感染予防と小児HIV/エイズ治療を統合したサービスの強化 |
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子どもの生存と母子保健プログラムの実施規模の拡大 |
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保護・教育・保健分野での基本的なサービスの充実とアクセスの増加 |
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家庭、コミュニティ、市民社会、そして政府レベルでの子どもの保護システムの強化 |
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■対象エリア |
東山岳州、西山岳州、シンブ州、東セピック州、ミルンベイ州、ブーゲンビル自治州、モロベ州、ポートモレスビー |
■支援対象者 |
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子どもと女性(特に妊産婦) |
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暴力(性的暴力を含む)を受けている子どもや女性、若者 |
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孤児や脆弱な立場にある子ども |
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■背景と分析 |
パプアニューギニアのHIVの蔓延は深刻で、大人のHIV感染率は、農村地域で1%、都市部で2%、首都のポートモレスビーでは3%で、HIV陽性の大人と子どもの数はおよそ80,000人である。HIV感染率が高い要因は様々であるが、複数の人と性的関係を結ぶ傾向や性暴力や性行為の強制、女性蔑視、性感染症の拡大、炭鉱・農園・貿易港エリアでの人口移動の増大があげられる。HIVを予防するための検査やカウンセリングなどのサービスへのアクセスは、この12ヶ月で5%から10%に上昇しているが、HIV/エイズ治療やHIV陽性の子どもとその家族へのフォローアップは遅れている。
家庭内暴力、虐待、特に女の子に対する性的暴力は、社会の安定にとって深刻な脅威である。およそ82万7,500人から134万4,600人のこどもたちが虐待などの暴力を家庭で受けており、これは世界的に見ても高い数字である。慣習によって12歳未満で結婚する少女もいる。さらに、母親を亡くした15歳未満の子どもはおよそ10万4,452人おり、18歳未満の子どもの4%を占めている。
母子感染予防サービスと啓蒙活動
若い世代のHIV感染、特に出産可能年齢にある女性の感染者の増加により、母子感染のリスクに晒される子どもが増加し、またエイズが原因で孤児になる子どもが増加している。母子感染予防の取り組みを国家レベルで早急に、また組織的に実行・拡大していく必要がある。
若い世代は情報を得る機会が少なく、HIV/エイズの知識が乏しい。HIV/エイズについて正しい知識を啓蒙することが若者にとって重要である。『国家のHIV/エイズ戦略計画(2006-2010)』は、教育と保護を優先分野とし、若い世代に対する政策が盛り込まれている。また、家庭やコミュニティに対する分かりやすい情報、ケア、サポートの提供にも重点を置いている。
保健システムの整備
母子保健システムを含む公共的な保健サービスのインフラが、数十年以上にわたって著しく悪化し続けており、既存の保健施設の多くが機能していない。そのため、出産前検診や助産師などの立会いのもと出産する女性が減少しており、妊産婦や乳幼児のリスクが高まっている。
HIVに感染した子どもは予後不良の場合が多く、1歳の誕生日を迎える前に命を落としてしまう。エイズに罹っている子どもの病状が悪化しないよう、栄養面でのサポートが必要不可欠である。子どもの主要な死因は、基本的な予防対策が必要なマラリア・下痢・肺炎・結核だが、エイズに関連した病気も子どもの主要な死因になりつつある。
母子感染予防プログラムの実施を拡大し、女性や子ども、またその家族がアクセス可能な母子保健サービスと医療ケアシステムの整備と改善が必要である。
孤児や弱い立場にある子どもへの支援
社会的一体性を目指し、コミュニティ内の弱い立場にある人を保護する機能を持った伝統的な「ワントク」システムが崩壊しつつある。貧困、教育の欠如や非公式な養子縁組、危険な性交渉、商業的性的搾取などの危険に晒されている。孤児や両親から引き離された子ども、さらに女の子は虐待、ネグレクト、そして搾取の対象となりやすい。
HIV/エイズの影響を受けている子どもの立場はさらに脆弱である。成人のエイズに関連する病気による死の増加は、孤児の増加につながっている。2003年、エイズが原因で孤児となった子どもは1,549人だったが、2005年には2,704人となり、2007年には3,704人に増加している。そして、HIV陽性の孤児も増加している。また、愛する人の死、死にゆく家族の看病でのトラウマ、看病中のHIV感染のリスク、貧困、教育や保健サービスの欠如、保護者不在による虐待やネグレクトなど、様々な困難な状況に直面している。また、彼らを支援する専門プログラムや組織が少ないため、保護を受けるなど権利を主張することが難しい。
政府の支援システムが整っていないため、必要なサポートを得ることが難しい。このような子どもたちは医療やカウンセリング等を含む心理的サポート、法的、社会生活面に及ぶあらゆるサポートを必要としている。
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■支援内容 |
1)母子感染予防 ($15,000)
● 保健員へのHIVの母子感染予防研修の実施
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保健員50人を対象に研修を実施。研修時の指導者の派遣 |
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専門スキルを持つ保健員による母子感染予防サービスを受けることができる妊産婦数6,000人増やす。 |
2)小児HIV/エイズ治療 ($15,000)
● 費用補助 対象地域: ポートモレスビーと西山岳州
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保健サービスを受けに行くための交通費などの援助 |
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母子感染予防と小児HIV/エイズ治療のフォローアップのための保健サービスの提供 |
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抗レトロウィルス治療が受けられる子どもを増やすと同時に、フォローアップの保健サービスを受けられない子どもの人数を減らす。 |
3)栄養支援 ($75,000)
● 主要病院における栄養室の設置
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対象病院: ポートモレスビー公立病院、ゴロカ公立病院
母親を対象とした栄養と適切な食事に関する情報、教育(啓蒙)を提供。
*設置初期(特に初年度)は、現地で入手可能な食料品を使用。 |
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2地域の子どもと母親の栄養状況を改善し、それぞれの栄養室は、国内における他の保健センターの実習施設としても活用する。 |
4)母子保健支援 (計:$169,000)
● システム支援($109,000)
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医療器具や物資の調達
>基礎医薬品、医療器具、病棟設備、支援地域に暮らす女性や子どもたちへの殺虫処理済の蚊帳 |
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移動クリニックの支援(母子保健/母子感染予防/小児エイズサービス)
対象地域: 東セピック州、西山岳州
>燃料費支援、交通費補助
>車両1台(10人乗り)の提供
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母子保健・母子感染予防と小児エイズサービスを充実させる。($65,000) |
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出産前ケア・母子感染予防サービスにアクセスできる妊産婦を増やす。($44,000) |
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● インフラ整備($60,000) 対象: ポートモレスビー公立病院
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母子感染予防センターの修復・増築 |
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母子にやさしい保健センター(ウェルベイビークリニック、産後ケア、小児HIV/エイズクリニック)の修復 |
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妊産婦、産後の女性、乳幼児への総合的なケアの質を改善する。
*プライバシー保護など適切な環境づくりも含む |
5)HIVの感染検査($20,000)
● キット調達と配布
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HIV検査キット、梅毒検査キット |
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HIV検査結果を確定するための中央検査室への検査サンプルの輸送コスト補助 |
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研究室以外での検査の効率性アップと女性と子どもの検査数を増加させる。 |
6)青年期の子どもへの支援($15,000)
● 若者へのライフスキル・トレーニング支援 対象地域:西山岳州、東セピック州、シンブ
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若者への交通費支援 |
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「若者にやさしい」保健センターへの物資供給 |
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「若者にやさしい」保健サービスへのアクセスの増加とライフスキルを習得した若者を増やす。 |
7)孤児や脆弱な環境にある子どもへの支援(計: $160,000)
● ファミリーサポートセンターの設置 ($110,000)
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暴力を受けた女性や子どもへ医療面、法律面、心理面でのサポート
⇒6,000人の子どもと女性が社会心理的なケアとサポートを受けられる。 |
● 宗教団体用:研修マニュアル作成 ($35,000) 子どもの保護、ケア、サポート(*研修マニュアルの制作を含む)
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ケアを実施するパートナーである宗教団体のトレーニング用マニュアル本の提供 |
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マニュアル本20冊、教科書2,000冊 |
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6,000人の子どもと女性が適切な心理社会的なケアと宗教団体を通じたサービスをサポートする。 |
● Lukautim Pikinini 子ども条例: 研修マニュアル作成 ($15,000) 対象6地域での同条例実施のため、主要パートナーへの研修実施。また、それに伴う物資の提供
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6地域が“Lukautim Pikinini 子ども条例”を執行するための専門知識を習得する。 |
● 脆弱な立場にある子どもに関する情報収集 ($15,000)
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保健、教育、保護に関わる基本的なサービスを利用する最も脆弱な立場にさらされている子どもの割合を明確にする。 |
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■支援期間 |
1年(2008年8月1日〜2009年7月31日) |
■必要資金 |
約US$469,000 |
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