あらすじ
<第1回> <第2回> <第3回>

<第1回> 「ノーベル賞は絶対貰えない天才のお話」
 この日の柳沢家の一日は、ちょっと不思議な口論から始まった。
 《柳沢良則》と三女《世津子》の口論の中身は横断歩道を渡るか渡らないか、何が常識で何が常識じゃないのか。互いに自分の説を一歩も譲らない二人。そんな父娘を傍らで見守る妻《正子》。とうとう世津子は怒って席を立ってしまう。それでも柳沢教授は今日も道路の右側を歩き、横断歩道を渡って大学へと向かうのであった。柳沢教授は世の中のどんな事象に対しても常に探求心と学習する意欲を持ち続けている。あらゆる種類の書物が彼の友だ。世津子との口論をきっかけに彼が選んだのは『交通の教則』。道路交通の規則について徹底的に学ぼうという訳だ。
 『交通の教則』を手に街を行く柳沢教授。教則には『交通の妨げになるものを道路に置いてはいけません。』と書かれている。しかし、路上に座り込む女子高生、乱雑に停められた自転車、店の前に置かれた広告看板・・・。町中に規則違反が溢れている。それを見過ごせる柳沢教授ではない。
 彼は女子高生に注意し、自ら看板をどけようとする。ついには営業妨害だと警察まで呼ばれ、柳沢教授の周りには人だかりが出来ていく。
 そんな大騒ぎの中でも柳沢教授は少しも慌てることなく、集まった人々に議論を持ち掛ける。何が正しいのか意見を交換しようというのだ。変なおやじの行動に最初は戸惑っていた人々だったが、少しずつ意見が出始めると議論は盛り上がり、やがて町の人々の間に不思議な連帯感さえ生まれていくのであった。

 果たしてこの出来事は柳沢教授の家族にどんな影響をもたらしたのであろうか・・・。

<第2回> 「家族揃って歌合戦」
 その朝、柳沢・山口家の二世帯住宅にご機嫌な幸弘(小日向文世)の歌声が響き渡った。「カーラースーなぜ鳴くのーカラスは山にぃー可愛い七つの子があるかーらーよ〜」。
 一晩中呑みあかしての朝帰り。だが迎えた奈津子(戸田恵子)は玄関に仁王立ち、烈火のこどく怒りをぶつけた後、柳沢家に駆け込むと「しばらく実家に帰らせていたたぎます!」と家を出てきたとまくしたてるのだった。だが、この時、母・正子(松原智恵子)は、繕ったタイツに文句を言う世津子(国仲涼子)とのやりとりでそれどころではない様子で、もちろん良則(松本幸四郎)に至っては、食事に集中して奈津子のかしましさに取り合うふりすら見せない。だが実はこの時、良則の中にはどうしても気になって仕方がないことが頭をもたげていたのだ。
 それは今朝方聞いた幸弘の歌にあった“七つの子“のこと。七つとは七羽のことなのか、七歳の子のことなのか・・・はて?早速、大学の図書館でそのことを調べはじめる良則。と、それを目撃したヒロミツ(佐藤隆史)はすかさず、恋人の父親と音楽という共通の趣味があったことを喜び良則に接近すると、自らもカラスの生態に興味があると言い、自ら公園に張り込みカラスの生態を調べはじめるのだった。良則の疑問に答えたいがために。
 だがこの時良則には、華子(三浦透子)の算数のドリルの問題に関する新たな疑問も生まれており、こちらは吉田助教授(金田明夫)に解明協力がなされていた。
 そんな中、今度は離婚を決意した!とまたも奈津子が騒ぎ出した。
 幸弘の浮気現場を世津子が目撃したのだ。しかも相手は雅史(山口智充)が世話になってるギャラリーのオーナー。
 いつ子(川原亜矢子)は姉の怒りをよそに、雅史がそんな男ではないことを思い涙し、さらにこれが奈津子の苛立ちに拍車をかける。
 はたしてこのまま二人は離婚・・・?幸弘も今度ばかりは覚悟しなければと思う。そしてその後のことを話し合うため良則と話しにのぞんだのだが・・・。

<第3回> 「ランジェリー売り場の眠り姫」
「…世津子、どうするの?」。その夜、正子(松原智恵子)は今度の日曜に迫ってきた良則(松本幸四郎)の誕生日のことについて世津子(国仲涼子)に切り出してきた。
「みんなで外で食事でもどうかって…」どうやら隣に住む長女の奈津子(戸田恵子)がこう持ち掛けてきたらしい。だが、すでに世津子はヒロミツ(佐藤隆太)と楽器屋にキーボードを見に行く約束をしている。それに、良則はいわゆる世間一般の父とは違うのだから、そんなことは今更必要ないだろうと言う。 
 だが、そんな二人の会話を耳にした良則は気になり始めた。「この私は、それほどまでに世間一般の父親とは違うのか…? 一般の父親とはどんな休日を過ごしているのだろうか?」と。
 翌日、良則は早速そのことに関する本を探し始め、またいつものように助教授の吉田(金田明夫)にも意見を求めた。その結果…今度の日曜には娘三人と共にデパートにて一日を過ごすことを決めたのだった。
 そして日曜日。いつ子(川原亜矢子)を送り出した雅史(山口智充)は、工房で意欲的に作品づくりに取り組んでいる。
 そして柳沢家では、良則と渋る娘たちを送りだし、留守を預かっていた正子が、良則の生徒だという派手な格好の青年と対峙していた。楽器屋に行く約束を世津子にドタキャンされたヒロミツが、素性を隠し様子をそれとなく探りにきたのだ。そうとは知らずに、勝手にスキャンダルを想像し、娘の華子(三浦透子)と探偵ごっこを始める幸弘(小日向文世)。
 その頃、デパートでは、屋上…レストラン…そしてCD売り場と…良則の練り上げた娘たちとの休日の過ごし方は極めて順調に進んでいるようだった…。


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