第2回 2004年4月20日(火)放送 あらすじ

#2 はじめての奇跡

 桐島(反町隆史)は、桃の木ジャガーズの試合など一顧だにすることなく、自分のマンションに向かった。だが、そこはすでに不動産屋の手に渡り、新しい住人となる一家が下見に来ていた。桐島はすぐさま妻坂(八嶋智人)を呼び出し「俺はどこに住むんだ!?」と詰問した。だが、妻坂は「もう僕はJリーガーの代理人。あなたとは関係がない」と冷たい。ふと残された電話器に留守電メッセージが入っている。開けてみると、みずき(長谷川京子)からの「試合が始まります。お願いです、来てください」という懇願であった。
 そのころ、1対59で負けた試合を見終えたみずきは、智学ゼミで授業の準備をしていた。塾長の桶川(堀内健)は「昼は野球やるくせに夜の勉強はサボリか」と毒づいている。みずきが仕事を終え「龍苑」に帰ると子供達が焼肉をぱくついているではないか。半年振りに1点を挙げたことで保(西村雅彦)がお祝いしていたのだ。みんなで桐島の素晴らしさを言い募っている。みずきだけが、桐島の不実さを知っていた。
 日が変わり、桐島はマンションに残された自分の荷物を整理していた。ほとんどを処分と書かれた段ボール箱に投げ込んでいたが、古いアルバムだけはスーツケースに仕舞った。そこにみずきが現れた。
 みずきは、子供たちが桐島を信じていることから、嫌々ながらも、監督続行を頼みに来たのだった。桐島は、みずきにおごらせた昼飯をかきこみながら、ギャラをきく。みずきが「20万くらいなら」と言うと「話にならない」と断ろうとしたその時、窓の外を桐島の部屋に住む一家が楽し気に通り過ぎる。宿無しの桐島は、慌てて「手を打とう。ただしマンションを用意しろ」とみずきに迫るのだった。
 みずきは桃の木商店街のみんなに相談した。喧々諤々の論議の最中、保にアイデアが浮かんだ。
 桃の木商店街に桐島が戻って来た。不服そうなみずきにスーツケース1個を預け、グラウンドに出る。そもそも、やる気がないので、適当なことばかり御託を並べ、練習の指導も適当。終わった途端、みずきに「マンションに案内しろ」と言う。みずきが連れて行ったのは「龍苑」。店の裏にある自宅に入り2階の畳敷きの小汚い小部屋に案内する。
 「ふざけんな」と桐島。「こんなところに住めるか」。「住む? 土日だけでしょ」と怪訝なみずき。どぎまぎする桐島に保が「汚い代わりに特上焼肉食べ放題」とおいしい話をぶらさげた。「特上!?」と、桐島はすぐに居候を決め込んだのであった。早速、焼肉を食いまくり裸で歩き回る桐島の下品さに、みずきはあきれ返るのであった。
 翌日、商店街の会合でジャガーズの存続に関する討議が行われた。桐島も現れたし経費が掛かりすぎるのだ。皆で頭を悩ませた。
 そのころ、「龍苑」に妻坂がやって来た。「僕も失業して宿無しなんです」と言う。はてなと桐島。「横領しちゃったんです。弁護士廃業、脱税発覚、全財産没収なんてね。ここに置いてください」と、軽い奴。「俺のギャラもピンはねか!?」と桐島やっと気付きケンカが始まろうとした時、会合から保たちが帰って来た。
 保によると「今度の試合で負ければジャガーズ解散」が決定したのだった。「つまり、勝たなきゃ僕たちは食いっぱぐれということです」と妻坂が解説する。「なんで俺たちなんだよ」と桐島は怒るが「公園の土管で寝ることになるんですよ、僕たち!」と妻坂は引かない。「要するに勝てばいいんだろ!!」。桐島は覚悟を決めた。妻坂はその晩からまたもや代理人へと返り咲きしたのであった。
 ジャガーズと強豪ファイヤーズとの試合の日がやって来た。「勝ちたいか?」と子供達に聞く桐島。一堂、気弱に「そりゃ勝ちたいよなあ」とうなずく。桐島はにやりと笑い「俺に任せろ、秘策がある」と子供たちを見回した。桐島も勝たねば宿がなくなるのだ…
 桐島の指示は汚なすぎるものであった。体の大きいメンバーには「相手に突っ込んではじき飛ばせ」、石ころだらけのグランドを見て「3塁線にころがせ」とイレギュラーバウンドを狙い、小柄な子にはデッドボールを受けるように言う。ありとあらゆるダーティな戦略を駆使するのである。しまいには「次の打者はピッチャーだ、ぶつけろ」と無理やり指示を出す。下を向く子供たちに桐島は「勝ちたいんだろ」と残酷な檄を飛ばすのだった。そしてこのチームになっての初勝利をもぎ取ったのだったが…。
 「龍苑」に引き上げ、「サインしてやるぞ」とご機嫌の桐島に対し、子供たちは暗い顔で一人一人と引き上げていく。不思議に思った桐島が翔(川口翔平)に聞くと、「ズルしなきゃ勝てないんですか。本当の野球じゃない」と出て行くのだった。
 桐島と妻坂が休む部屋にみずきがやって来た。「子供たちに夢を与え、奇跡を起こしてくれると思っていたのに…」と20万円を差し出し「明日出て行って」と切り出した。
 桐島は部屋に戻り、マンションから持って来た自分のアルバムをながめた。少年野球時代の写真…背番号はつい最近までの自分と、翔とも一緒の23番である。なぜ? と、妻坂も目をさました。桐島は問わず語りに言った。「小学校の時、メジャーの試合で背番号23のライン・サンドバーグが目の前で弾丸ライナーのホームランを放った。それにあこがれてこの世界に入ったんだ…」
 翌朝、みずきと翔が学校に行く途中、グラウンドをひとり整備する人影が…桐島だった。

キャスト

桐島 明(32)…反町隆史
伊佐山みずき(24)…長谷川京子
妻坂正義(32)…八嶋智人
桶川治虫(30)…堀内 健
林 次郎(41)…田口浩正
林 薫子(42)…犬山イヌコ
小野田 勲(41)…村松利史
小野田早苗(35)…大島さと子
篠田ミカ(31)…芳本美代子
葛木塔子(20)…市川由衣
伊佐山幸枝(37)…濱田マリ

伊佐山 翔(11)…川口翔平
林 耕介(12)…松川尚瑠輝
小野田淳平(12)…米谷真一
小野田健太郎(11)…川北純也
篠田 要(12)…高橋賢人
望月雅人(12)…川原一馬
黒羽拓真(12)…細山貴嶺
太田光樹(12)…内藤惟人
関 博文(11)…伊藤拓也
稲葉龍二(12)…村田将平

矢島咲子(32)…木村多江
矢島俊太郎(10)…片岡 涼

伊佐山 保(42)…西村雅彦

スタッフ

■原作・脚本
  福田 靖
■演出
  植田泰史
  河野圭太
■プロデューサー
  小椋久雄(共同テレビ)
  木村元子(共同テレビ)
■制作
  フジテレビ
  共同テレビ

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