あらすじ
<第10回> <第11回>

<第10回> 「別れ道」
 加奈子(飯島直子)は友之(原田龍二)から再婚するから拓(神木隆之介)を引き取らせろと迫られ、また柊平(妻夫木聡)は名門ブランド「ロメオ」社からイタリアでの仕事を提案され、さらには美咲(木村佳乃)と純(阿部寛)が出来てしまい、スウィートブライダル社は朝から滅茶苦茶な空気が充満している。知らぬはトオル(ユースケ・サンタマリア)ばかりなのだ。上の空の加奈子は、ウェディングドレスの採寸を誤り、一週間で2着も作り直す羽目に陥る。にもかかわらず、拓のためと言ってさっさと帰ってしまうのだった。が、責任感の強い加奈子は、拓を寝かしつけた後、社に戻りドレスの作り直しに取り掛かるのであった。
 加奈子の様子のおかしさに、トオルは友之と何かあったとにらむ。早速、友之とコンタクトを取ると、拓を引き取ると言ったことを教えてくれる。心配したトオルは、陰から応援しようとするが、引き出物を間違えたりと逆に足を引っ張る。加奈子になじられた勢いで、トオルはつい、「拓はどこにも行かない。お前一人で背負い込むな」と啖呵をきってしまう。そのせいで、スタッフは、加奈子母子の事情を知ってしまう。
 そんな日曜日、友之は加奈子の家に電話をかけ、一人で遊んでいた拓を、遊びに連れ出すのだった。家に帰った加奈子は、拓の様子がおかしいのに気づいた。問い詰めると友之に会ったと言う。「お母さんに黙って会わないと約束したでしょう」と叱る加奈子に、拓は「どうしてお父さんと仲直りしてくれなかったの」と逆になじる。拓は、友之の再婚相手のカレーライスを食べてきていたのだ。
 一方、迷いに迷った挙句、柊平は、ロメオ社の申し出を断る。が、淡々と仕事を続ける柊平を見て、気持ちが痛いほど分かるくるみ(伊藤歩)は皆の前で「イタリアに行きたいんでしょう」と秘密をばらしてしまう。柊平は「もう断ったよ」と、寂しげに部屋を出て行く。くるみはそれを追いかけた。
 「皆を裏切りたくないんだ。困るだろう」と決心を語る柊平にくるみは「うぬぼれないで。自分を伸ばせるならそっちへ行って」と言い放つのであった。
 挙式まで後5時間と迫ったところで、加奈子のドレスは完成した。ほっとしたスタッフ一同は、柊平をイタリアに送り出す宣言をする。とその時、加奈子が倒れてしまった。過労と睡眠不足であった。
 そんな中、柊平は、「ここで初めて人の気持ちを写真に残す喜びを知りました」と書置きを残し、旅立って行った。
 その間だった。加奈子の病室に友之が訪れ、「入院の間、僕が預かる」と拓を連れて行ってしまったのだ。後でトオルが訪ねた時は、もはや拓はなく、加奈子はトオルに当たってしまう。
 一方、美咲は、胃炎の診療に行った病院で妊娠を宣告されてしまうのだった。

<第11回> 「逆転」
 過労のため入院した加奈子(飯島直子)だったが、トオル(ユースケ・サンタマリア)、美咲(木村佳乃)、純(阿部寛)らが見舞いに来てくれ、なかなか賑やかである。純は花を持って来てくれたり、プリンを食べさせてくれたりと親切。トオルと美咲は、ちょっと複雑な気持ちである。
 スウィートブライダル社に戻って、立花友之(原田龍二)が拓(神木隆之介)を連れて行ったことに話題が及んだ。くるみ(伊藤歩)は「拓君のお父さんを作っちゃえばいい」とトオルと純の顔を見る。偽装結婚すれば拓が戻ってくると言うのだ。トオルは立花に知られているため、純とニセの結婚式を挙げることに決まった。美咲の複雑な気持ちは続く。そんな頃、立花は拓を連れて加奈子の病室を見舞っていた。喜ぶ拓の様子に、立花も加奈子も困った思いである。
 偽装結婚式用のタキシードを試着して純は得意気である。「ひと月結婚生活を持たせれば、立花側も諦める」とくるみが言うのを聞いて純は「1カ月以内に本物の結婚生活に持ち込む」と鼻息が荒い。結婚の挨拶状も刷り上った。と、そこへ加奈子が帰って来た。
 「え、私が結婚するの?」
 くるみが事情を説明すると、加奈子は意外なことを言った。
 「拓は戻って来たわ」
 喜ぶ一同だったが、「彼が結婚すると拓は名古屋へ行く。一緒なのは1週間だけよ」
 立花の「拓のことを考えろ」という説得を納得し、加奈子は決心したのだ。皆、絶句した。拓にはまだ話していない。辛い思いをかみ締める加奈子である。
 日が替わって、スウィートブライダルにカップルがやって来た。「出来ちゃった結婚」だという。「日本男児ですから卑怯なことは出来ません」と自慢気に語る男性婚約者に「最初から気をつけろ」と毒づく純。偽装結婚がポシャってくさっているのか。ただ、妊娠が発覚した美咲は他人事ではない。「父親」の純に対して、どうしても当たってしまう。美咲は煙草も吸わず、ワインも飲まなくなっている。「なぜ?」。美咲の妊娠を知らぬ純は、怪訝な表情である。
 一方、トオルは立花を呼び出した。立花の意思を確認し、出来れば拓を連れて行くのを諦めさせようという気である。しかし、立花は「拓に一人で食事をするような生活をさせたくない。加奈子に預けるのは不安なんです。拓は私の息子だ。他人に口を挟んで欲しくない」とぴしゃりと口を封じられてしまった。
 無力感に苛まれるトオルが白金クリニックへ行くと響子(高橋ひとみ)が結婚のため医院を閉めるという。患者たちに「卒業証書」を渡す響子。「ほかに相談するところがない」と迫る患者たちだが、響子は無責任に言いたい放題。トオルにも「プロポーズとビデオの返却は早めにね」と取り付くしまもない。
 トオルは加奈子に「拓のために結婚しろ」と迫る。「相手がいない」と相手にしない加奈子に「なんなら俺でもいいし。俺は拓の友達だから」と冗談めかしてプロポーズの台詞を吐いてしまう。が、加奈子は「馬鹿にするのもいい加減にして。お断りよ」と相手にしない。
 うんざりした加奈子は家に帰って、美咲とくるみに「いつまでも友達でいてね」と言い出す。くるみは柊平(妻夫木聡)のいるイタリアに行くかもしれないと答える。美咲もつい「私は妊娠している」と言ってしまう。慌てて誤魔化そうとするが、加奈子とくるみの追求から逃れられず、相手が純であることも白状する。美咲はシングルマザーとして子供を産むと言う。納得する加奈子たち。
 ただし取りあえず、純には言うべきだ、と、加奈子とくるみは純のそばまで寄るが、二人とも言い出せない。純は加奈子から何か告白があると都合のいい推測をするばかり。しかし、美咲の様子が普通でないことに気づいた純は、それとなく加奈子に尋ねた。
 「美咲は妊娠してるの?」
 加奈子は父親の名前を言わないで、その問いを肯定した。
 その晩、加奈子は拓に、名古屋に行くことを伝えた。嫌がり拒む拓。加奈子は「あなたが嫌いになったのよ。だからパパのところへ行って」と無理に嫌われようとする加奈子。
 その様子を、通りかかったトオルが見かけ、加奈子に声を掛ける。
 「ひどすぎるよ」
 だが、加奈子は「所詮あなたとは他人」と突き放す。悄然とするトオルだった。
 日が替わり純は美咲を呼び止めた。
 「俺も煙草やめる」「味噌汁は何が好き?」「スープは?」「朝飯すんだら3人で散歩しよう」
 純は察していたのだ。喜びの笑顔でそのプロポーズを受ける美咲だった。
 スウィートブライダルの電話が鳴った。
 「拓が教会の屋根に座っている!?」。飛び出す加奈子やトオル。
 現場に着くと、拓が「ここを動かない」と覚悟を決めた様子で居座っている。「ママと一緒にいたい」
 トオルは説得しようと、梯子を使って拓の近くに上る。
 「トオルがパパになってくれればいいじゃないか」と拓。
 トオルは加奈子を見ながら「本当はそうしたかったけど・・・・・・友達はパパになれないんだ。ママも我慢しているんだから拓も我慢しろ」
 拓は説得に応じて屋根を降りるのだった。
 拓が引き取られる日が来た。新しい母親に拓を託す加奈子。立花に手を引かれ拓が離れて行く。そこへトオルがやって来た。
 「泣くな、拓。男らしくしろ」
 と、加奈子が振り向いた。
 「あんたはどうなのよ。薄っぺらなプロポーズして。ずるいわよ。すぐ諦めるんだから」。トオルに噛み付く加奈子。
 が、トオルも黙っていなかった。
 「黙って聞け。頑固で意地っ張りで大酒のみで、こんな女見たことない。夢にまで出てくる。気になるんだ。お前が好きだ。本当に結婚したいんだ」
 足が止まる拓や立花たち。
 「バツ2にしたら殺すわよ」
 拓が走って戻って来た。
 「俺がお前のパパだ」。トオルは今度こそ、そう言えた。
 夏の草原。スウィートブライダル社の慰安旅行である。純と美咲は仲良く後方から歩いてくる。トオルと加奈子は、相変わらず言い争い。拓もウンザリ。くるみが「着いた」と声をあげる。そこには祭壇がしつらえてある。トオルと加奈子の結婚式だ。ピカッとストロボが光った。柊平が笑顔でカメラを向けるのだった。


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