第7回 2005年8月16日(火)放送 あらすじ

人を殺した

 『ながれ』に威嚇射撃の命令が下り、船内に緊張が充満した。射手の池澤真樹(仲村トオル)と助手の仙崎大輔(伊藤英明)は言わずもがなである。そのころ、池澤の妻、尚子(芳本美代子)は緊急治療を受け、付き添いの伊沢環菜(加藤あい)はロビーのニュースを見つめていた。また、下川いわお(時任三郎)の娘・唯(一木有海)は電気店のテレビニュースで父の危険に気付き、オーシャンズのスタッフは息をのみ…と、それぞれに恐怖と不安を受け止めている。発砲予定時刻が来た。船上に発射音が鳴り響く。「撃ち返すな」と願う大輔の希望むなしく、不審船は応戦。闇の海上に光が炸裂し『ながれ』の船体に着弾する。船体に穴が開き、窓が割れ飛ぶ。吉岡哲也(佐藤隆太)が必死でビデオ撮影を続ける。「正当防衛につき、応戦せよ」。勝田孝太郎船長(夏八木勲)の命令が下った。大輔の号令と共に引き金を引く池澤。光の筋は交錯し、池澤の弾も不審船に着弾する。敵の攻撃が止み「もう止めましょう」と叫ぶ大輔を無視し撃ち続ける池澤。と、不審船が爆発。「被弾か?自爆か?」。本部も色めき立つ。不審船はあっという間に沈没してしまった。放心する池澤と大輔はその場に立ちすくんだ。
 夜が明け、不審船の捜索が行われたが、何かを特定できる残留物は浮かんで来ず、不審船の引き上げも難しかった。大輔はゴム手袋を引き上げたが、手掛かりにはならない。だが、その手袋が「誰かのもの」というリアリティに、大輔は罪悪感を倍増させた。
 帰港し、携帯の留守電を聞いた大輔は仰天する。環菜から、尚子が入院したという連絡が入っていたのだ。病室に向かう池澤と大輔を、尚子と環菜が待ち受けた。環菜は、尚子と赤ちゃんの無事を説明する。だが、池澤に向かって「なぜ一緒にいてあげないんですか」と責め始めた。大輔は、池澤が駆けつけられなかったことをかばおうとするが「全部分かってるわよ!でも赤ちゃん生まれるんだよ!!」と言い残して、環菜は病室を飛び出していった。追い掛けてきた大輔に環菜は言う。「私には耐えられない」と。二人が去った後、目を覚ました尚子は池澤に「赤ちゃん、頑張ったのよ。触ってあげて」と告げる。だが、昨夜の罪悪感で強張る池澤は「また来る」と病室を後にした。
 『ながれ』にいる下川の元に別れた妻・里江子(奥貫薫)から電話が入った。唯との次の面会をやめにして欲しいと言う。事件を知った唯は、動揺していた。下川も納得するしかない。そのころ唯は、一人、海保の敷地を悄然とながめていた。
 霞ヶ関の海保本部に勝田船長と下川、池澤、大輔が事情説明に召喚された。勝田と同期の五十嵐監察官が聴取責任者である。一通りの説明が終わると、大輔が質問した。「遺留品の調べは付きましたか?」。「何も分からない」という回答に、大輔の目に涙がたまっていく。
 扉の外で待つ下川の前に矢吹真一(布施博)が現れる。「まだ、潜ってるのか」と尋ねる矢吹に現場が好きだからと答える下川だった。
 池澤と大輔を帰し、勝田船長は五十嵐監察官たちと話を続けた。「修復はどのくらいかかりますか」と問う勝田に、五十嵐は驚きの答えを返した。「『ながれ』は廃船が決まった」。勝田は一抹の寂しさを感じる。
 『ながれ』では、吉岡が潜水士を目指し呉の学校に入る発表が行われる。永島康太(坂本真)や大輔に焚きつけられての事だった。
 そんなある夜、環菜は冬柴康介(鈴木一真)に誘われ食事をしていた。冬柴は、展示会の夜の告白を持ち出し「あれは本気だ」と環菜に迫る。「こうやって毎日お前と一緒にいたい」と言う冬柴に、環菜は少し時間が欲しいと答えた。レストランから外に出ると、電光ニュースで『ながれ』と不審船の映像が流れている。強張る環菜は、冬柴に慌ただしく別れを告げた。雨が降り始めた……。
 部屋に戻った環菜が着替えもせずに大輔との関係に悩んでいると、ドアのチャイムが鳴る。大輔であった。だが「開けないで」と大輔。大輔は「俺は人を殺した。こんな奴と付き合っちゃいけないんだ。今まで有難う」と泣きながら言うと階段を駆け降りて行って…。

キャスト

仙崎大輔(26) … 伊藤英明
伊沢環菜(25) … 加藤あい
下川いわお(42) … 時任三郎
池澤真樹(38) … 仲村トオル
勝田孝太郎(55) … 夏八木勲(特別出演)
吉岡哲也(23) … 佐藤隆太

肥後大作(50) … 伊武雅刀
光森千佳(27) … 佐藤仁美
津田晋平(44) … 益岡 徹
池澤尚子(32) … 芳本美代子
大野里江子(38) … 奥貫 薫
冬柴康介(32) … 鈴木一真

三宅弘城、平山祐介、坂本真、坂本あきら、飯田基祐、臼田あさ美、一木有海 ほか

スタッフ

■原作
 「海猿」(小学館・ヤングサンデーコミックス)
  佐藤秀峰 ※原案・取材 小森陽一

■脚本
 福田 靖

■演出
 羽住英一郎(ROBOT)
 小林義則(共同テレビ)

■音楽
 佐藤直紀

■制作
 フジテレビ
 共同テレビ

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