第7回 2005年8月16日(火)放送 あらすじ

せつない海

 悦子(鈴木杏)たちは毎日熱心にトレーニングに励んだが、2年生の夏を迎えても対外試合では連敗続き。片や男子部は着実に上位入賞を重ねていた。コーチの仁美(石田ゆり子)としてはなんとか一勝させてやりたいが、原因が掴めないから打つ手がない。もちろん一番勝ちたいのは女子部員たち。そこで利絵(相武紗季)の提案で朝練をすることになったが、初日から悦子だけが遅刻した。いつになく多恵子(岩佐真悠子)が「キャプテンの自覚が足りん」と不満を漏らしたが、利絵のとりなしでその場は収まった。みんな勝てなくてイライラが募っていた。
 浩之(錦戸亮)も悦子が無視し続けるものだからイラ立っていた。悦子は利絵から「浩之と仲良くされると辛い」と打ち明けられたので、避けるようになったのだ。勘の良い三郎(田口淳之介)は「お前、女と付き合ったことないんか?」と浩之をからかうが、浩之は利絵の視線に気付かない。悦子も利絵に「告白すれば?」とけしかけたが、不注意にも多恵子、敦子(佐津川愛美)、真由美(藤本静)にも聞かれてしまった。責任を感じた悦子は2人の仲を取り持とうとするが、利絵を「公私混同はせん!」とますます怒らせてしまった。自分の無神経ぶりに悦子は「なんで私、余計なことばっかり言うてまうんやろ」と落ち込んでしまった。
 男子ボート部が新海高校と対抗戦をすることになり、女子部も、ちえみ(関めぐみ)から試合を申し込まれた。「今の悔しさ、丸ごとオールにぶつけるんよ」。仁美のゲキに悦子たちは盛り上がったが、勝ちたい気持ちが強すぎて次第にぎくしゃくした空気が生まれた。仁美から太りすぎを注意された真由美がボヤくと、多恵子は慰めるどころか「みんなのためにダイエットしぃよ」とキツイ一言。悦子もキャプテンの自覚が足りないと指摘された。トレーニング中もみんなイライラしてオールが揃わない。「原因は2人にあるんとちゃう」。真由美は悦子と利絵の仲がおかしいことに気付いていた。
 悦子と浩之を仲直りさせようと、三郎がマラソンでの勝負を仕組んだ。マラソンの授業で勝てばカツ丼をおごる。悦子はマラソンが大の苦手だが、利絵の手前逃げるわけにいかなかった。2人は抜きつ抜かれつを繰り返しているうちに、悦子は突然倒れた。真っ先に駆け寄ったのは浩之だった。悦子を背中に背負って保健室へ向かう浩之。その後姿を利絵は胸をしめつけられる思いで見ていた。幸い貧血と分かって、キヌ(花原照子)や帰省してきたばかりの法子(浅見れいな)は一安心したが、悦子本人は部活を1週間禁じられたのがショック。仁美は代理キャプテンに利絵を指名した。一方、三郎は安田(北条隆博)たちに根本(小日向文世)のお好み焼き屋に呼び出されてボート部に勧誘された。実はラグビー部は先輩たちとの折り合いが悪くて辞めたばかり。三郎がいつになく困惑すれば、浩之も「まじですか?」と絶句。ただ1人、緑(友近)だけが「この部には美形が必要や」とすっかりその気になっていた。
 悦子は見舞いに来てくれた仲間たちから利絵の代理キャプテンを知らされた。内心ショックだったが「リーならしっかりしとるけん」と明るく振る舞った。ダイエットを始めた真由美は新海高校との試合までに5キロ落とすと誓った。「はよう戻ってきてや。私らのキャプテンは悦ネェやけん」。多恵子の励ましが悦子はうれしかった。片や重責を任された利絵は張り切っていた。これまでのトレーニングをチェックし直すと、大野(池内博之)が参加する選抜メンバーの強化練習を見学させてほしいと頼んだ。「もっと気持ちが上に向くようなこと考えないかんて」。利絵の読みは当たった。日本代表の座を争う選手たちの力強い漕ぎっぷりは、女子部員たちの瞳に輝きを呼び戻した。男子部員たちは「篠村よりよっぽどキャプテンらしいなぁ」と利絵を持ち上げたが、そのやりとりをこっそり自宅を抜け出してきた悦子に聞かれているとは知るはずもなかった。そして利絵は「本物はすごい。ありがとうな」と浩之からかけられた一言がなによりうれしかった。
 悦子が浮かない顔で帰宅すると三郎が待っていた。マラソンを言い出した責任を感じて見舞いに来てくれたのだ。「お前はボート部の大黒柱じゃ。はよ体治して、またニコニコしてくれや」。三郎の優しい言葉に悦子の顔に笑いが蘇った。三郎が帰ると法子が「あれは恋や」と決めつけたから幸雄(大杉漣)は不機嫌になってしまった。
 悦子はやっと主治医から登校を許された。教室に入るとためらいながらも浩之に保健室まで運んでくれた礼を言った。「いい加減ブーって呼ぶのやめや」「ブーはブーやろ」。わだかまりなどすぐにふっ飛んでしまった。楽しげにはしゃぐ姿を利絵が辛そうに見ていたのを2人は気付かなかった。
 悦子は部活はまだ止められていたので、利絵が代理キャプテンを続けた。「今日は長い距離どんどん漕いで行こうと思う」。岬まで10往復、20キロ。レースで完全燃焼するには漕いで漕ぎまくるしかない。根本から教えられたロウアウト精神を習得しようと利絵は考えたのだ。悦子は「いきなり20キロは」と不安を漏らしたが、利絵は「見学しとったらえやない」と冷たく言い放った。「やる前から諦めんと挑戦してみよや」。利絵の言葉に押し切られる格好で多恵子たちは「やろう」とうなずいた。「声出していこう」。ボートはゆっくりと海上を滑り出した。悦子の代わりは1年生の文江(土屋詩穂)だ。今日は気迫が違う。ボートはぐんぐんと進んでいく。しかし砂浜から見ていた悦子は真由美の様子がおかしいのに気付いた。

キャスト

篠村悦子 … 鈴木 杏

関野浩之 … 錦戸 亮
中田三郎 … 田口淳之介

矢野利絵 … 相武紗季
菊池多恵子 … 岩佐真悠子
中崎敦子 … 佐津川愛美
中浦真由美 … 藤本 静
     ●
大野仁美 … 石田ゆり子
大野 健 … 池内博之

福田正一郎 ・・・  相島一之
篠村法子 … 浅見れいな
根本 緑 … 友近
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篠村友子 … 市毛良枝
根本 満 … 小日向文世
篠村幸雄 … 大杉 漣

スタッフ

■原作
 「がんばっていきまっしょい」敷村良子(幻冬舎文庫刊)

■脚本
 金子ありさ

■プロデューサー
 重松圭一

■演出
 三宅喜重

■音楽
 オリジナルサウンドトラック「がんばっていきまっしょい」
 吉俣 良(ポニーキャニオン)

■制作
 関西テレビ

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