第15回 2004年2月5日(木)放送 あらすじ

#15 判決

 法廷ではよし江(かたせ梨乃)の尋問が始まった。国平弁護士(及川光博)は、金銭問題など感情面を刺激する冷酷な質問を重ね、よし江を心理的に追い込んでいく。よし江はその挑発に乗り「主人に謝って欲しいだけだ」と激昂してしまう。
 その夜、扇屋で財前派の打ち合わせが開かれた。又一(西田敏行)と岩田(曾我廼家文童)は、国平の手腕に感激し、裁判の行方を楽天的に展望する。だが、財前(唐沢寿明)は「里見君が不利な証言をすれば、そんな有利など覆される」と冷静に分析する。慌てて「自分が説得にいく」と言い出す又一を制し、財前は「僕がやりますよ」と冷酷に言い放つ。
 里見(江口洋介)のもとへ急患が運び込まれた。開業医をたらい回しされた腹痛の激しい女子高生・美香であった。そのまま入院した美香は後腹膜腫瘍であった。内科治療では完治は難しく、難度の高い外科手術が必要である。両親も手術を望み、里見は財前の顔を思い浮かべた。そんな折、家にいる三知代(水野真紀)に電話が掛かっていた。鵜飼(伊武雅刀)の妻・典江(野川由美子)からである。典江は「里見さんも研究ができなくなると大変ですねえ」と裁判を牽制しながら「明日食事でも」と持ちかけてくるのだった。
 里見は財前に美香の手術を要請に行った。財前は冷静に対応する。「危険を伴う難手術だ。家族は理解しているのか」と前向きな態度である。財前はじっと考え「わかった」と言う。ほっとする里見に財前が付け加えた。「金井君にやらせるよ」。「君が切ってくれるんじゃないのか」と動揺する里見。財前は「あいにく今は裁判のことで頭がいっぱいだ。難しいオペを引き受ける余裕はない」と突っぱねる。里見は「15歳の命が掛かってるんだぞ」とすがるように責める。財前は「だからだ。裁判に負ければ大学を辞めなきゃならなくなる。そんな精神状態で手術したらミスを起こさんとも限らん。患者のために敢えてメスを握らんのだ」と里見の証人出廷と手術を取引の材料にしているのは明らかだった。だが、里見に言い返す材料はない…。
 財前と里見が証言する第3回証人尋問の日がやってきた。裁判所に向かう車中の財前に、すでに傍聴のため裁判所に着いたケイ子(黒木瞳)から電話が入った。「この前あなたのお母さんに会ったの。心配していたことを伝えたくて」。財前は「勝ったら会ってくれるか」と訊いた。ケイ子は「その時考える」とかわし電話を切るのだった。
 里見も裁判所に向かおうと支度をしていた。と、三知代が「行くの?」と背中で尋ねる。怪訝な里見に三知代は続けた。「あなたが行くなら、私も出て行きます。私はそんな立派な夫なんか、いらない。家族を一番に考えてくれる人と一緒にいたいの。あなたは何もわかってないわ」。見詰め合う二人。里見は…。

キャスト

財前五郎 … 唐沢寿明
(浪速大学第一外科教授)
里見脩二 … 江口洋介
(同第一内科助教授)

花森ケイ子 … 黒木 瞳
(クラブ・アラジンのママ)
東 佐枝子 … 矢田亜希子
(東の娘)
里見三知代 … 水野真紀
(里見の妻)

関口 仁 … 上川隆也
(原告側弁護士)
国平学文 … …及川光博
(財前側弁護士)
佃 友博 … 片岡孝太郎
(第一外科医局長)
鵜飼医学部長 … 伊武雅刀
(第一内科教授)

財前杏子 … 若村麻由美
(財前の妻)
亀山君子 … 西田尚美
(外科病棟ナース)
鵜飼典江 … 野川由美子
(鵜飼の妻)
黒川きぬ … 池内淳子
(財前の母)
佐々木よし江…かたせ梨乃
(裁判の原告)

柳原 弘 … 伊藤英明
(第一外科医局員)
東 貞蔵 … 石坂浩二
(第一外科元教授)
財前又一 … 西田敏行
(財前マタニティクリニック院長、財前の舅)

スタッフ

■原作
  山崎豊子
■脚本
  井上由美子
■企画
  和田 行
■プロデューサー
  高橋萬彦
  川上一夫
■演出
  村上正典
■音楽
  加古 隆
■制作
  フジテレビ
  共同テレビ

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