白い巨塔
#10 一部最終回・無常
財前(唐沢寿明)の手兵とも言うべき医局員たちの教授選辞退を求める「菊川直談判」という蛮行に、鵜飼(伊武雅刀)も不快感を隠さず、又一(西田敏行)らのいる夜の席で財前を問い詰めた。しかし、財前は諦めてはいなかった。「今さら困ります。支持すると言われたからこそ、舅は何千万も使った」と脅しとも取れる言葉を繰り出し、「不愉快だ」と立ち上がる鵜飼に、今度はすがりつき、さらに土下座し「どうかお助けください」と泣き落とす。
翌日、教授選の最終投票が始まった。案の定、清廉で鳴る大河内教授(品川徹)が「今回ほど不正の気配がする選挙はない。厳正なる判断を」と発言する。低くざわめく会場。鵜飼は平静を装い投票開始を宣言した。
開票が始まる。財前は授業を行い、里見(江口洋介)は診察し、ケイ子(黒木瞳)は口紅を引き、菊川(沢村一樹)は論文を書き…それぞれの時間が過ぎて行く。
里見が財前に頼んだ佐々木庸平(田山涼成)は手術嫌さに、帰る帰らないの駄々をこねて、よし江(かたせ梨乃)や庸一(中村俊太)を困らせていた。里見が、手術が遅れていることを財前に問い質すと、財前は年内最後の診療日、26日に行うとすでに決定していた。その日は東の退官日であった。
佐枝子は久しぶりに三知代に会った。佐枝子は「里見さんのように地位や名誉にこだわらないことが羨ましい」と言う。だが三知代は「私は地位や名誉を求める気持ちが分かる気がする」と言う。「その方が生きやすいからよ。私は平凡だから時々楽をしたくなるの」。
手術日が迫っているというのに、庸平が手術同意書にサインをしない。困った柳原が財前に助けを求めてきた。ぐずぐず腹の決まらない庸平に財前は「端的に申し上げます。死にたくないのなら手術をしなければなりません」。それでも黙っている庸平。柳原がさらに説得しようとして、X線写真に目を落とす。柳原が黙った。
部屋に戻って財前が柳原を叱る。「この程度の手術で同意書がもらえないとは…」。柳原が写真の肺に写った影が気になると言うと、「炎症性変化である」と決め付けた。それでも「胸腔鏡で組織検査を」と食い下がる柳原に対し、「転移ではない。胸腔鏡手術をすると体力を消耗するだけだ。君はがんを放置するつもりか」とピシャリと諌めた。その様子を看護士の君子(西田尚美)はじっと見ていた。
財前が庸平の手術準備をしているとX線写真を手に里見がやって来た。柳原と同じことを言い出す。財前は「越権行為だ」と請合わず、手術を強行する。
翌日、教授選の最終投票が始まった。案の定、清廉で鳴る大河内教授(品川徹)が「今回ほど不正の気配がする選挙はない。厳正なる判断を」と発言する。低くざわめく会場。鵜飼は平静を装い投票開始を宣言した。
開票が始まる。財前は授業を行い、里見(江口洋介)は診察し、ケイ子(黒木瞳)は口紅を引き、菊川(沢村一樹)は論文を書き…それぞれの時間が過ぎて行く。
里見が財前に頼んだ佐々木庸平(田山涼成)は手術嫌さに、帰る帰らないの駄々をこねて、よし江(かたせ梨乃)や庸一(中村俊太)を困らせていた。里見が、手術が遅れていることを財前に問い質すと、財前は年内最後の診療日、26日に行うとすでに決定していた。その日は東の退官日であった。
佐枝子は久しぶりに三知代に会った。佐枝子は「里見さんのように地位や名誉にこだわらないことが羨ましい」と言う。だが三知代は「私は地位や名誉を求める気持ちが分かる気がする」と言う。「その方が生きやすいからよ。私は平凡だから時々楽をしたくなるの」。
手術日が迫っているというのに、庸平が手術同意書にサインをしない。困った柳原が財前に助けを求めてきた。ぐずぐず腹の決まらない庸平に財前は「端的に申し上げます。死にたくないのなら手術をしなければなりません」。それでも黙っている庸平。柳原がさらに説得しようとして、X線写真に目を落とす。柳原が黙った。
部屋に戻って財前が柳原を叱る。「この程度の手術で同意書がもらえないとは…」。柳原が写真の肺に写った影が気になると言うと、「炎症性変化である」と決め付けた。それでも「胸腔鏡で組織検査を」と食い下がる柳原に対し、「転移ではない。胸腔鏡手術をすると体力を消耗するだけだ。君はがんを放置するつもりか」とピシャリと諌めた。その様子を看護士の君子(西田尚美)はじっと見ていた。
財前が庸平の手術準備をしているとX線写真を手に里見がやって来た。柳原と同じことを言い出す。財前は「越権行為だ」と請合わず、手術を強行する。