あらすじ
<第1回> <第2回> <第3回>

<第1回> 「女30才さようなら終身雇用!!これはあなたの物語」
 “アメリカの女性が太り過ぎでドアに挟まり、部屋から出られなくなった揚げ句の救出劇がありました”―その夜、TVから伝えられるニュースを見ていた本宮籐子(深津絵里)は、ドキリとなって今、現在の我が身をながめていた。ワイン片手にポテトチップスをバリバリと頬張る何とも緊張感のない姿・・・。それは、ニュースの女性にいつなってもおかしくないと思われる、恋人もいない、仕事にもやる気の失われた30才OLの現実だった。
 「なんか、酒臭いんですけど〜」。
 翌日、アルコール臭を残して出社してきた籐子を同僚で同じく三十路突入仲間の須田真季(猫背椿)がとがめながら近付いてきた。二人が百回も禁酒宣言を破ったことをいい合っているところに、若い後輩OLたちがワイワイとやってきた。
 その話題の中心は、貫井功太郎(堤真一)。ユニバーサル社のクリエティブ、制作課に所属するその男は、今年も自身が手掛けたCMで賞を獲ったという。広告業界の誰もがナンバー1と認めるやり手社員を女子社員たちは放っておくはずがない。これでも元クリエイティブにいた籐子は、自分にもそういう時があったかもしれない・・・と思いながら、庶務課の仕事に走りまわるのだった。
 次の日も、またその次の日も、同じような日々が繰り返されて行くのかと思っていた。この日の朝だって洗面所の鏡に向かう籐子は眉のひとつも満足に整えられず、どんよりした気分で出社してきた。だが、その時思いがけないニュースが籐子の耳に入ってきた。貫井が会社を辞めて独立するという。上司と衝突し、自分のやり方を貫きたいと考えた揚げ句の独立宣言。だが、周囲はそれはいつあってもおかしくない事態だと思っていた。「あれだけ実力のある人物ならば」と。確かにそれは籐子も思った。だが、しかし!貫井の独立が自分の身にも関わってくるとは全く思っていなかった・・・。
 その日、木村壮吾(坂口憲二)という聞き覚えのない男性から電話をもらい、会う約束をした籐子は、そこで「・・・僕は貫井さんと共に新しい事務所を立ち上げることになりました。そこでぜひ本宮さんに来ていただければと思いまして・・・」と切り出されたのだ。“嘘ッ!!”我が耳を疑った。だが籐子は、それが貫井のたっての希望だと壮吾から聞かされ、すっかりその気になるのだった。
 「人生諦めるのはまだ早すぎます!もう一度頑張って下さい」。同居する倉持春菜(矢田亜希子)も背中を押してくれた。引きとめるかもしれないと思った上司の佐藤(長谷川初範)はすんなりと辞表を受けとってくれた。ただ一人真季だけは、「一流企業で終身雇用って安定感があるのに・・・」と渋ったが・・・。だが、籐子は決めた。心機一転、自分の新たな可能性を求め『貫井企画』に行く!
 そして、希望に満ちた『貫井企画』のドアを叩いたのだが、籐子はそこで貫井から驚愕の一言を聞くことになった。
 「誰?・・・違う。俺は秘書課の宮本曜子ならと思っていたんだ・・・すまないが、そういうことだから」。人間違いされた上に即刻クビ!?
 だがすべて投げ出してきた籐子は引きさがるわけには行かなかった。
 貫井が何と言おうと、翌日もきちんと出社「責任は取ってもらいます」と迫ったのだ。憧れていた貫井の冷たい一面を見せられ、失望と怒りに燃えた籐子が見せる女の意地!だが、この新会社に対するしがみつきも及ばなくなる事態が起こる。貫井が付き合いをしてきた大手がことごとく取引を中止を言い渡してきたのだ。ユニバーサルからの圧力か・・・貫井と木村に早くも諦めの表情が浮かんでいた。

<第2回> 「30才OLそして恋が始まる!!」
 ことごとく得意先に手を回し、仕事を妨害しているのは事実なのか?と貫井(堤真一)は信頼していた元上司の吉武(西村雅彦)に迫るが、「当然のことだし、お前のような人間が大嫌いなんだ!」と吉武に言い返され愕然となる。
 だが、「まだ何もはじまってない!」という籐子(深津絵里)のことばに貫井は、いま一度得意先を回ってみることから始める。
 一方、籐子と木村(坂口憲二)は貫井が鼻にもかけない小さな仕事を一つずつでもやっていこうと決め、動いていた。途中、事務所に置くためのソファーなどを物色しながら、それでも楽しそうに。
 そんな中、木村がある製薬会社とのツテを持ってきたと報告する。聞けば、その会社の宣伝契約の一切を取り仕切る部長の娘とのお食事会だという。「冗談だろ?バカバカしいっ」ビジネスに対しては真っ向勝負の貫井は相手にしない。だが、木村はどんなきっかけも大事にしたいとその娘と会うことにするのだった。一石二鳥のオイシさもあって。
 だが・・・その当日、木村があるアクシデントに巻き込まれ約束の場所にいけなくなったと連絡をよこしてきた。急遽、木村の代役を勤めることになる貫井。しかし、やってきた相手・長谷川郁子(菅原禄弥)はその場にいるのが木村でなく、“オヤジ”の貫井であることにあからさまに不満の表情を浮かべている。
 とそこに郁子の友人という女性が現れた。なんとそれは春菜(矢田亜希子)。だがこの時二人はまだ、お互い籐子という共通の知人がいることなど知るはずもなく、その後、郁子が仮病を装い帰ってしまったことで二人きりの楽しい時を過ごすことになるのだった。
 そして、それから数日たったある日のこと、今度は無事初仕事を終えたささやかな貫井企画のお祝いパーティーの食事の席で貫井と春菜は偶然、再会した。二人の嬉しそうな様子を伺う籐子ではあったが・・・・・・。

<第3回> 「女が嘘をつくとき」
 貫井(堤真一)とまた食事ができたことがよほど嬉しかったのか、春菜(矢田亜希子)は帰ってきてもそのことばかり。籐子(深津絵里)に、「今度事務所の方に遊びにいってもいいですか?」といい出す始末。まさか、製薬会社の宣伝部長である父親とのコネが欲しくて食事をセッティングしたのが始まりだったとは、さすがの籐子も言い出せなかった。
 一方、壮吾(坂口憲二)は、一度はダメになったと思った食事会が思いがけない方向に転び大喜び。貫井は、「言われた通りにしたまで・・・」と素っ気なく言うが、壮吾は、これまで女性に対してあれほどの応対をした貫井を見たことがないと指摘し、貫井が春菜に対して好印象を持ったことを確信していた。数日後、籐子の仕切りで再び四人が食事をすることになった。
 真季(猫背椿)からは、「春菜には『父親とのコネを作るため』ということは内緒。そして貫井には、『春菜と貫井の2人をくっつけるため』ということは内緒、そんなウザいこと辞めておけ」と言われたのだが・・・。食事会は、和やかなムードで進んでいた。壮吾が二人に気を使って携帯の番号の交換をしてあげたりしながら。だが、そこに、春菜に今日のことを聞いたという長谷川郁子(菅原禄弥)が姿を現したのだ。この前のフォローもしてなかったと慌てた壮吾は、別の所で話しをしようと郁子を促したが、怒りに震える郁子は、その場で春菜と食事をしたのは父親とコネを作るためだったことを暴露してしまったのだ。
 その夜マンションに帰ってから、籐子はすべてを内緒にしていたことを何度も何度も謝った。そして壮吾は、翌日「ショックを受けるらしい」春菜のことを籐子から聞かされた。だが、その春菜が貫井企画にやってきて、「父に企画を見てもらえるよう頼んでみます」と貫井と約束したのだ。早速貫井と壮吾はポスター案を徹夜で練り上げ、完成させた。その一部始終をそばで見守り、最後の最後には自分にも企画に対する意見を求めてくれたことに籐子はジワリと感動していた。そして協力して作り上げた企画書を春菜に託すのだった。だが、父・堅(児玉清)は、こんなやり方は好きではないと企画書に目を通すことも拒否、一流のクリエーターとして認識していた貫井のことも「墜ちたものだ・・・」と言い放つのだった。
 このことを春菜から聞かされても、あれほど真剣だった二人の姿を見せられては、籐子は貫井と壮吾には本当のことは言えなかった。そこで、籐子は今度は自ら春菜の父に会いに行くこと決意したのだ。かつてプロポーズまでされた元彼の父親に・・・・・・。


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