第5回 2003年7月1日(火)放送 あらすじ

第5話 京から来た姫君

 将軍家定の死で、篤子(菅野美穂)は髪を切って天璋院となり、喪に服した。大奥に残る決意をしていたまる(池脇千鶴)は、中臈に昇格して女中たちを取り仕切る立場になった。
 新将軍・家茂(葛山信吾)と天皇の皇女・和宮(安達祐実)の結婚話が進み、大奥に嵐が近づいていた。諸外国との条約調印問題などで対立が深刻化した朝廷と幕府を融和させる政略結婚。最初は渋った和宮も、家茂の生母・実成院(野際陽子)の使者として京に上った初島(木村多江)が持参した、家茂の姿を描いた絵巻物を見て結婚を承知した。公家の社会に退屈していた和宮が、東国での新しい生活に夢を持ったこともある。
 和宮は降嫁に当たり、毎年一回京に里帰りする、大奥でも身の回りは京風にするなど五ケ条の条件をつけた。実成院は大奥の新しい権力者で、昼から宴会を開いている。気位が高く、和宮が条件をつけたことに激怒したが、なぜか受け入れた。
 実成院が、若い家茂の御内証を選ぶという。将軍に閨の手ほどきをする女中で、生涯大奥から出られない。女中を集めて酒宴をし、自分が目隠しをして吹き矢を吹き、当たった女を選ぶ。矢が当たったのは、許婚がいてもうすぐ奉公の年季が明ける、おその(水川あさみ)だった。哀れに思ったまるは、「自分が代わりに」と言ったが、商人の娘のまるに務まる役ではなかった。
 和宮の輿入れの行列が、中仙道を通って江戸へ向かっていた。
 江戸城に入った和宮は実成院と対面する。実成院は上座の豪華な座布団の上、和宮は畳の上に座らされる。実成院が到着の喜びを伝えると、和宮は一言「ありがとう」と言う。天皇の娘として育ち、周囲に敬意を払う環境になかったためだが実成院は怒り、女中たちも唖然とする。これがバトルの始まりだった。
 五ケ条の条件は最初から破られた。京から同行した女官たちも怒る。和宮が不服を言うと、初島は「大奥では大奥のしきたりに従って」と言う。実成院には最初から条件を守る気がなかった。しかし、和宮も毅然として京風を通し、従う気はない。
 家茂が和宮の寝所に渡ってくる。鳥かごの小鳥を和宮に土産として渡した。その小鳥をかごから出して手に乗せる和宮。自然なふるまいに、家茂は新鮮な驚きを感じた。和宮は家茂に、「大奥は鬼や蛇のいる恐ろしいところと聞いていたが、嫁ぐ当のお人がしっかりと宮をかばうて下さるなら、怖いものはない。仲良うしましょうな」と微笑んだ。家茂もその純粋さに胸を突かれて、和宮を抱き寄せた。
 政略結婚ではあっても、家茂と和宮は仲むつまじく暮らした。和宮も身の回りのことにはあまり京風にこだわらなくなった。ただ、京への里帰りだけはしたいと実成院に言う。実成院は冷ややかに、「嫁という字は女に家と書く。他家へ嫁ぐのに条件を出すことが僭越」と取り合わない。追い討ちをかけるように、「子の産める体がどうか、これから検査を」と御典医のところへ連れて行かせようとする。屈辱である。
 医師たちが待つ部屋の前で、和宮は踵を返した。和宮はまると初島の制止を振り切って廊下を歩く。家茂に直接会おうと考えたのだ。もとよりご法度の行為だが、「妻が夫に会いに行って何が悪いのじゃ」と言う和宮の言葉に、まるは胸を突かれた。
 大奥と将軍の居所をつなぐ御鈴廊下のところに、黒い影があって和宮に向かってきた。乱れた髪と着物の女。口には小鳥の羽。あまりの運命の変転に、狂ったおそのだった。

キャスト

まる   … 池脇千鶴
和宮   … 安達祐実
徳川家茂 … 葛山信吾
今岡慎之介… 岡田義徳

葛岡   … 鷲尾真知子
初島   … 木村多江
吉野   … 山口香緒里
浦尾   … 久保田磨希
藤波   … 小松みゆき
雲井   … 片桐華子
堀田良庵 … 山田明郷
勧行院  … 岡 まゆみ
おその  … 水川あさみ
松江   … 栗田よう子
有栖川宮 … 田窪一世

実成院  … 野際陽子

スタッフ

■プロデュース
  保原賢一郎(フジテレビ)
  手塚 治(東映)
■脚 本
  浅野妙子
■演 出
  林 徹
■音 楽
  石田勝範
  オリジナルサウンドトラック(SME Records)
■製作協力
  東 映
■制 作
  フジテレビ制作センター

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