第7回 2005年12月1日(木)放送 あらすじ

真の敵

 徳松も亡くなり半狂乱のお伝の方(小池栄子)と大乱闘を繰り広げた安子(内山理名)は、そんな状況を見ても薄ら笑いを浮かべる信子(藤原紀香)に不審の念を抱き、長丸が亡くなった際の行動を問い詰める、信子は「私がそなたの御子を手にかけたとて、何の得になると言うのや。御子同士がお世継ぎ争いをなさっている、お伝殿なればともかく、ホホホ」と安子の追及をかわす。右衛門佐(高岡早紀)も長丸の死には疑念を抱き、思い当たる人物について安子と話し合うのだが…。
 ついに、世継ぎがいなくなってしまったことに気をもむ桂昌院(江波杏子)はこの不幸の連続の原因を隆光(火野正平)に質す。隆光は、徳松が亡くなったのも、不吉な子・長丸のせいであるとし、この世に長丸が存在したという印を全て焼き払うようにというご託宣を守っていないからではと苦し紛れに言う。桂昌院は安子の部屋に乗り込み、安子が隠し持っていた長丸の形見の“でんでん太鼓”を投げ捨て、安子に「長丸の恨み悲しみが徳松に取り憑き、道連れにしたのです。失せるがよい」と非難する。
 さらに、悲嘆にくれるお伝の方には、娘・鶴姫を紀州家に嫁がせよと言い付ける。鶴姫までも失うことになる悲しみで乱心のお伝の方は、思わず庭の青梅を頬張り、病に臥せってしまう。その哀れな姿を見舞った安子は、お伝の方だけへ恨みを抱く場合ではないと痛感するのだった。
 まさに、そんな折、大典侍(中山忍)は綱吉(谷原章介)と桂昌院に対し、徳松の上に柱を倒したのは安子であると、ウソの報告をし、大奥から放り出すべきであると進言する。桂昌院はこれは追い風とばかりに綱吉に同意を求めるが、綱吉は「このうえ安子にまで行かれたら、わしが困る」と寂しげにその提案を拒否するのだった。
 そんなある日、綱吉は柳沢(北村一輝)と将軍になる前、館林にいた頃の思い出話などしながらぼんやりと釣りをしていた。綱吉は「おなご同士は何ゆえ、相争うのであろうの」と柳沢に問う。そこにひとなつこい野良犬がやってきた。刀に手をかける家来を制し、綱吉は「そなたたちより、この犬のほうがましじゃ」と、城に連れ戻って竹丸と名付け溺愛する。
 犬にうつつを抜かす綱吉に対して、桂昌院もさすがに苛立ち、奥泊まりの日には「大典侍殿をお閨にお呼びくださいますよう」と迫る。その気迫に怯えたか竹丸は廊下に飛び出した。綱吉と桂昌院がそれを追う。そこにばったり出くわした隆光は、戌年生まれの綱吉は、子孫繁栄のために生き物、特に犬を大事にするべきである、と託宣を述べる。桂昌院に「いかにすれば、一刻も早く、上様に新たなるお世継ぎが生まれ、そのお血筋を絶やさずに済むか」と迫られての、でまかせであったが、綱吉は我が意を得たりとばかりにそれに従い、結果として、歴史的悪法「生類憐みの令」が制定されたのだ。
 ある夜、綱吉と大典侍のいる閨に、女中の菊江が忍び足で近づいていく。懐には小刀。気付いた音羽(余貴美子)が取り押さえ、人に知られぬよう別室に連れて行った。音羽は、その部屋に、安子と右衛門佐を呼んだ。菊江は下級役人の娘だったが、野良犬に襲われた菊江を助けようと斬り付けた父が、「生類憐みの令」により切腹させられたというのだ。綱吉に近づいたのは仇討ちのつもりだったのだと言う。「この場にて自害をお許しください」と菊江。右衛門佐は、もう我慢ならぬとばかり菊江に言う。「憎むべきは世の掟。私が恨みを晴らして差し上げます」。
 右衛門佐は、隠密裏に徳川御三家の水戸家ご老公・徳川光圀(大杉漣)を訪ね、政道の乱れを訴えた。光圀も綱吉の悪政に業を煮やしており、その裏には柳沢が隠然たる勢力を張り巡らせていることを明らかにした。光圀は言った。「悪のはびこる世は、続かせてはならぬ」。
 そんな夜、綱吉はお忍びで安子の部屋を訪ねてきた。長丸をしのびながら「人は何故死ぬのであろうの。虚しうてならぬ。政も、何もかも。何も考えとうない。そなたとこうしていたいのじゃ」と腑抜けたこと言う。安子はピシャリとさえぎった。「なりませぬ。長丸はこの世の醜い争いの生贄にされたのだ」と迫った。が、綱吉は「そなたまで指図するか」と興奮し始め、なんと、そこで倒れてしまった。
 それから1カ月以上も綱吉は高熱を出して病の床に臥せった。
 その頃柳沢の邸では、柳沢が染子(貫地谷しほり)に「これからはお方さまとお呼びいたそう。吉里君と共に大奥に入って頂くのだから」と冷ややかに言い放っていた。政治の道具に成り果てていく母子の運命を染子は呪わざるを得なかった。
 安子の部屋に右衛門佐が現れ、小さな赤い紙包みを渡す。それは毒薬であった。大奥を腐らせ、表の世を乱しているのは綱吉にほかならないと言う。「上様の病床に近づけるのはあなた様お一人。一匙、上様にお含ませくださいませ」。愕然とする安子。そこに信子が登場し、そそくさと立ち去る安子を見送りながら「安子殿にできますやら」と不敵に微笑むのだった。
 その頃、中奥では、ある会合が…。中心は光圀。老中や柳沢、成貞(平泉成)も列座している。次期将軍候補の詮議であった。甲府の綱豊公と紀州の綱教公の名が挙がる。どちらかに決めようとしたその時、もう一人候補がいると柳沢が衝撃の発言をした。「実は上様には今一人御子がおられるのです」。騒然とする一同。「わが邸の染子にめでたく若君が生まれましてございます」。大いなる陰謀が動き出したのだった…。

キャスト

内山理名
谷原章介
小池栄子
高岡早紀
北村一輝
中山 忍
貫地谷しほり
  ・
大杉 漣
  ・
平泉 成
火野正平
  ・
余 貴美子
  ・
江波杏子
  ・
藤原紀香

スタッフ

■脚本
 浅野妙子

■演出
 葉山浩樹

■音楽
 石田勝範

■企画
 保原賢一郎

■プロデュース
 林 徹
 手塚 治
 樋口 徹
 金丸哲也

■製作
 フジテレビ
 東映

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